その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 11⽉B定期、指揮:ファビオ・ルイージ、チャイコフスキー 交響曲 第5番ほか

2021-11-28 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


11月のルイージ・N響2本目。Bプログラムの2日目を聴きにサントリーホールへ。

前半はパガニーニのヴァイオリン協奏曲第一番。曲も独奏のデゴさんも実演に接するのは初めてです。デゴさんは、すらっとした長身・美形で、とっても舞台映えする方。

パガニーニというとヴァイオリンのテクニックを屈指した音楽との印象が立っていましたが、ロッシーニのオペラを想起させる馴染みやすいドラマチックな曲でとっても新鮮でした。ヴァイオリンの演奏テクニックについては語る経験も知識もありませんが、デゴ嬢が明らかに難しそうな曲を難なく演奏しているように見えるのが驚きです。

後半はチャイコフスキー交響曲第5番。久しぶりに実演に接しましたが、熱く集中した演奏でした。ルイージさんは暗譜で指揮棒なしでオーケストラと正対。大きくメリハリを付けて音楽を創っていこうとするのに、N響がくらいついて行く様子がP席からは良く分かります。N響らしい美しい弦のアンサンブルがあれば、要所要所で輝く管の個人技。そして、それらがホール空間の中で融合して化学反応が起きているのが見えます。そんな空気の中に浸る満足感は、何物にも替え難い貴重な時間でした。

終演後は観衆から大きな拍手。一般参賀付きのルイージへの賞賛は、これからのこのコンビへの期待感も含まれているように思えます。

既に、相互の信頼も築かれていて、演奏レベルも相当に達していると思われるルイージとN響コンビですが、むしろ完成度高すぎて、これからの伸び代がどのくらいあるのか心配になるぐらいです。パーヴォさんが就任されたころは、N響の大きな変身・変態を期待させるものでしたが(結果としては、新しい領域を開拓してくれたものの、(コロナもあって)大きくトランスフォームしたとまでは至らなかったのでは、というのが個人的感想ですが・・・)、このコンビは更にこれからどんな成長をしていくのか・・・良く分からない不安感と同時に期待感があります。楽しみなシーズンがこれからも続きそうです。



第1944回 定期公演 Bプログラム
2021年11月25日(木)7:00pm
サントリーホール

指揮:ファビオ・ルイージ
ヴァイオリン:フランチェスカ・デゴ

パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 作品6
チャイコフスキー/交響曲 第5番 ホ短調 作品64

【本公演のアンコール曲】コリリャーノ/レッド・ヴァイオリン・カプリス ― 第4変奏、第5変奏(ヴァイオリン:フランチェスカ・デゴ)

No. 1944 Subscription (Program B)
Thursday, November 25, 2021 7:00p.m. (Doors open at 6:20p.m.)
Suntory Hall

Fabio Luisi, conductor
Francesca Dego, violin

Paganini / Violin Concerto No. 1 D Major Op. 6
Tchaikovsky / Symphony No. 5 E Minor Op. 64
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