その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響定期Bプロ/ファビオ・ルイージ首席指揮者就任記念/ベートーヴェン&ブラームス プログラム @サントリーホール

2022-09-23 09:52:36 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

ルイージの首席指揮者就任披露演奏会第3弾。Bプログラムの2日目を聴いた。NHKホールでのAプロ、Cプロに続く、3つ目のプログラムのためか、ルイージが登場しても、サントリーホールの聴衆は新首席熱烈歓迎の拍手というよりも、既に定位置にしっかりと落ち着いた感のある首席に対するお迎えの拍手という感じがしたのは、気のせいだろうか。

この日はベートーヴェン、ブラームスというドイツ音楽の直球ど真ん中プログラム。これまでベルディ、R.シュトラウスとルイージらしい華のあるプログラムで魅了させてくれた彼がどんな剛速球を投げ込むのか、A,Cとは全く異なる期待を抱かせてくれる編成だ。

2曲とも特筆すべき演奏だったが、個人的には前半のベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が圧巻だった。エーネスさんを聴くのは2回目だが、端正で濁りのない音色に息をのみっぱなしの45分だった。とっても優美なのだけど、精緻さと緊張感を漂わせる、実に表情が豊かな音で、聞き惚れるとしか言いようがない。オケとのバランスも申し分なく、こんなベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴いたのはいつ以来だろう。

本当に完成度の高い演奏だったのだが、個人的な好みの問題で、特に第2楽章のテンポはスローで私のストライクゾーンから鋭く外に曲がる高速スライダーを打ちに行く感じがしたのは残念だった。

後半のブラームスの交響曲第2番。硬派で熱のこもった演奏だった。弦の厚いアンサンブルの美しさ。ホルンも良くなってたし、第3楽章の吉村さんのオーボエにもうっとりだった。個人技とチーム力がかけ合わさった充実感たっぷりの横綱演奏だった。

終演後はほぼ満員の会場から熱い拍手が送られた。楽員からも気持ちのこもった拍手を受けるルイージ。すでにしっかりと信頼関係が築かれているように見える。本当にこれからが楽しみだ。


<花束贈呈を受けるルイージさん>


<ピンぼけですが、ソロカーテンコールのルイージさん>

 

第1964回 定期公演 Bプログラム
ファビオ・ルイージ首席指揮者就任記念

2022年9月22日(木)開演 7:00pm [ 開場 6:20pm ]
サントリーホール

出演者
指揮 ファビオ・ルイージ
ヴァイオリン ジェームズ・エーネス

曲目
ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
ブラームス/交響曲 第2番 ニ長調 作品73

No. 1964 Subscription (Program B)
Chief Conductor Fabio Luisi Inauguration Concert

Thursday, September 22, 2022 7:00pm [ 6:20pm ]
Suntory Hall

Artists

Conductor: Fabio Luisi
Violin: James Ehnes

Program

Beethoven / Violin Concerto D Major Op. 61
Brahms / Symphony No. 2 D Major Op. 73

 

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