コロナで余儀なくされたテレワークにより現れた日本人の特異な承認欲求を解説した一冊。
発刊間もないころに図書館で予約したが、既に予約が2桁入っていて、借りるのに数か月待った。なので、期待して手に取ったのだが、理論と実務のどちらにも寄らない「帯に長し、襷に短し」感が拭えなかったというのが正直な感想。筆者自身、原因は承認欲求だけではないとは認めつつも、様々な事象がすべからく承認欲求によるものとこじつけられてる論法に読めてしまうところも気になった。
エッセイと思って読めばいいのだが、一般化、類型化された(ように感じられる)単語や文章が目についたのも、読んでいて落ち着かない。20年、30年前ならいざ知らず、今や日本企業といえども相当多様化しているので、一概に「日本企業」/「欧米企業」といった比較や、「管理職」といった言葉で括るのは、相当無理がある。「この日本人って誰?」「この日本企業ってどこ?」平均化されたワードにはリアリティが感じられないのが残念だ。大雑把な議論で、「まあ、そんな会社組織やそんな管理者もまだ少なくはないのかもなあ~」ぐらいの感想しか持てなかった。
もちろん、納得感ある箇所もある。若者のチラ見せびらかし文化や、今後は、「コスモポリタン」型の社員(組織への忠誠心は引きが、専門的技術に対するコミットメントが高く、準拠集団は所属組織の外にある社員)が増えていくであろうことなぞは、肌感覚ともあったところだ。
Amazonのレビューでは一定の評価も受けているようなので、私の趣味の問題だろうが、全体的には私には欲求不満が残った1冊となった。