その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

記憶に残る就任披露演奏会: F・ルイージ指揮、N響、ヴェルディ/レクイエム

2022-09-12 07:30:06 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

この日は、定期演奏会の新シーズン開幕であり、ルイージさんの首席指揮者就任披露演奏会であり、(私には)改装NHKホールのオープニングでもある。色んな記念に相応しい、記憶に残る素晴らしいヴェルディのレクイエムだった。

NHKホールは正直どこがどう改装されたのか全く分からなかったが、1年半ぶりに座る3階右サイドのマイシートはやっぱり落ち着く。ファンからはいろいろ文句も出やすいホールではあるが、やっぱりN響のホームグランドはここだよね、という感じ。ルイージ就任記念もあってか、会場はほぼ満員。このホールが満員になると、その熱気だけでも高揚した気分になる。

そして、演奏はハイレベルなオケ、独唱陣、合唱がルイージの指揮の元、見事なコラボで胸揺さぶられた公演だった。

弱音で始まった第1曲レクイエムとキリエから痺れっぱなしだった。静かな浜辺にさざ波が寄せては引くような繊細なオーケストラと合唱にいきなり心臓を握りしめられた。第2曲でも怒涛の<怒りの日>に鳥肌立つ一方で、〈RECORDARE‗思い出せたまえ〉でのソプラノのヒブラ・ゲルズマーワとメゾ・ソプラノのオレシア・ペトロヴァの独唱・重唱は、心身が浄化される。男声陣も含めて独唱陣はそれぞれの持ち味を発揮し劇的であり、宗教的であるこの曲の素晴らしさを存分に味あわせてくれた。

新国立劇場合唱団の実力はもう今更だが、今回も美しく、バランスよく安定し、かつ迫力満点の合唱だった。

マロさんと郷古さんの二人のコンマスが舞台に上がったN響も相当気合入っているのが手に取るように分かる。NHKホールの器の大きさを全く感じさせないアンサンブル。

自分自身、1時間半近く自然と前のめりになった。心拍数がぐーっと急上昇したり、すう―っと引いて落ち着いたり、高低の振れ幅が半端ない。手に汗握る音楽体験だった。それは、熱烈なカーテンコールを送った会場の皆さんも同じだったよう。大成功の首席指揮者就任記念演奏会と断言できる。

あと、今月はあと2回もこのコンビで聴けるかと思うと、楽しみ過ぎる。


<今回から終演後の撮影OK。これは素晴らしい改革>


〈ルイージと独唱陣〉


<一般参賀にはダブル・コンマスと一緒に登場>

第1962回 定期公演 Aプログラム
2022年9月11日 (日) 開演 2:00pm(休憩なし)
NHKホール

曲目
ヴェルディ/レクイエム

指揮 : ファビオ・ルイージ

ソプラノ : ヒブラ・ゲルズマーワ
メゾ・ソプラノ : オレシア・ペトロヴァ
テノール : ルネ・バルベラ
バス : ヨン・グァンチョル

合唱 : 新国立劇場合唱団

 

No. 1962 Subscription (Program A)

Chief Conductor Fabio Luisi Inauguration Concert

 

Sunday, September 11, 2022 2:00pm [ 1:00pm ]

NHK Hall

Artists
Conductor : Fabio Luisi

Soprano: Hibla Gerzmava
Mezzo soprano: Olesya Petrova
Tenor: René Barbera:
Bass : Kwangchul Youn:

Chorus: New National Theatre Chorus:

Program
Verdi / Messa da requiem

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