その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

当たり前だがN響以外も素晴らしい!:日本フィル/指揮 広上淳一/レオンカヴァッロ:歌劇《道化師》(演奏会形式)

2023-07-09 07:30:07 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

過去からのご縁もあり、今、定演の会員になっているのはN響だけになっているのですが、7月はN響定期のオフシーズンにあたるので、他のオーケストラを聴く良い機会にしています。今回は数年ぶりに日本フィルの演奏会に足を運びました。

プログラムはレオンカヴァッロの歌劇《道化師》(演奏会方式)の一本勝負。有名な「衣装をつけろ」は知っていますが、通して聴くのは初めてです。

広上さんの指揮の下、歌手陣、合唱、オケが高いレベルでまとまっていて、素晴らしい公演でした。

特に印象的だったのは、カニオ役の笛田博昭による「衣装をつけろ」の入魂の歌唱。愛する妻の浮気を知りつつ、舞台の上では笑いを取る道化を演じる哀しさを、120%の投入感で情感豊かに歌ってくれました。終わるや否や、会場からはブラボーの大歓声。納得です。私は初めて聴く方でしたが、今後、要マークですね。

透明感あふれるベッペ役小堀勇介さんのテノールを初め、ネッダ役の竹多倫子さん、トニオ役の上江隼人さんなど、他の独唱陣もとっても充実していて、舞台がとっても引き締まっていました。

加えて、東京音楽大学と杉並児童合唱団のコーラスの美しさが出色。声が良く出ていて、ホール一杯に響きます。第1幕の前半部分の合唱に聞き惚れてしまい、こんな合唱を聴けただけでも来た価値あったと思った程でした。

広上さんの指揮は久しぶりですが、相変わらず音楽と一体化した指揮で、オケ、歌手、合唱をまとめ上げる職人芸は素晴らしいです。ステージ奥席ではないので表情は見えませんでしたが、杉並児童合唱団の子供たちが終始指揮者からじーっと目を離さずとっても嬉しそうな(笑い)顔でいるのを見て、きっと広上さんの顔芸を楽しんでいるのだろうと推察。

オケも的確に反応し、ダイナミックな愛憎劇を創り上げてくれました。演奏会方式なのでより楽曲の重層性、個々の演奏やアンサンブルの美しさが引き立ちます。

終演後、大きな感動に包まれたホールからは暖かく大きな拍手喝さい。客層も雰囲気もN響の定演とはかなり違いアウエイ感は満載でしたが、そうした違いも楽しいです。1週間がぴしっと締まった気持ち良い金曜の夕べとなりました。

※指揮台の高さにも注目ください。

2023年7月7日 (金)
19:00 開演( 18:20 開場 )

サントリーホール

指揮:広上淳一[フレンド・オブ・JPO(芸術顧問)]

カニオ:笛田博昭 
シルヴィオ:池内響
ネッダ:竹多倫子 
ベッペ:小堀勇介
トニオ:上江隼人 

合唱:東京音楽大学 児童合唱:杉並児童合唱団

レオンカヴァッロ:歌劇《道化師》(演奏会形式)

Fri, July 07, 2023
- Start 14:00 ( Doors Open 18:20 )

Suntory Hall

Conductor: HIROKAMI Junichi, Friend of JPO/Artistic Advisor

Canio: FUEDA Hiroaki 
Silvio: IKEUCHI Hibiki
Nedda: TAKEDA Michiko 
Beppe: KOBORI Yusuke
Tonio: KAMIE Hayato

Chorus: Tokyo College of Music
Children Chorus: Suginami Junior Chorus 

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