(今年読んだ本のメモが全然書けてない。今年もカウントダウン間近なので、とりあえず簡単ですが、書けるものを書いていきます)
既存の方法では解決できない複雑で困難な問題(適応課題)を解くために、組織のコミュニケーションを「対話」と「ナラティブ」を切り口に分析する。理論と実践(実務)のバランスが取れた信頼できる本と感じた。
「ナラティブ」とは「物語、つまりその語りを生み出す「解釈の枠組み」のこと」(p32)。そして、「対話」とは人それぞれの異なるナラティブに橋を架け、新しい関係性を築くこととする。組織とは関係性そのものであるから、対話とナラティブは新しい関係性を築く組織論となる。筆者は、そのための方法論を実例を交えて説明する。
準備、観察、解釈、介入と言う対話のプロセスとその実践例は納得感ある。また、「マネジメントは現場を経営戦略を実行するための道具扱いしない」、「立場が上の人間を悪者にしておきやすい「弱い立場ゆえの正義のナラティブ」に陥らないように」、「対話の罠として「迎合」「馴れ合い」といった事象への注意」などの個々の指摘も身につまされる。
節目節目で読み返し、その時々の自分と対話すると、そのたびに新しい気づきが得られる気がする。職場でも、良書として紹介した。