昨日の続き。
1台で走れても私はお断りするが、腕に覚えがあるレーシングドライバーなら走ることはそう難しくないかもしれない。
しかし、レースにはライバルがいる。
インディ500のグリッドには33台が並び、他車の動きが大きく影響する。
それは、クルマが“周辺の空気をかき混ぜながら走る”からだ。
クルマの後ろに張り付き、空気抵抗を減らしてスピードを上げる“スリップストリーム”。
それが半端なく強烈に効く。
前や後ろのクルマが急激に進路変更を行なうと、居場所に寄っては目には見えない空気の流れに進路を乱されてスピンする。
まさに、合気道の空気投げだ。
インディカードライバー出身で、現在は佐藤琢磨のスポッターを務めるロジャー安川氏は、そうした状況を「空気を分け合う」というなかなか詩的な表現で教えてくれた。
要するに、相手が信頼できるかどうかで、近づくかどうかを決めるのだそうだ。
スポッターというのは、高いコントロールタワーなどの上から走りを観察し、ドライバーに周囲の状況を伝えるオーバルコースには必須の存在。
空気を分け合っていることを理解した上で、ドライバーに指示を与える。
さて、単純なコースをグルグル回っているだけに見えるオーバルコースだが、超高速で走るとなると些細なクルマの状況がスピードを左右する。
ウィングの角度やタイヤの空気圧を、ピットイン毎に気温や周囲の状況などを読み取りながら有利になるように調整する。
勝負は200周レースの残り30周あたりから。
そこまでのレース中に気温や湿度、周囲の状況を計算に入れてウィングの角度や空気圧などを微調整して「クルマを作っていく」とロジャー氏。
最後の最後に最適なセッティングにして、勝負をかけるのだ。
問題は、出ている全員がそのことを知っていて、最後の30周に向けてレースを消化していること。
勝つのは一人だけなのだから。
そして、最後の30周から始まるバトルを熱くさせるのは“賞金額”である。
予選でポールポジションを取っただけで10万ドル、約1000万円。
そして、レースの優勝賞金は、ザッと10億円だ。
インディ500に勝てば名誉と金を一気に手にすることができる。
ドライバーが安静でいられなくなるのがわかるだろう。
ちなみに、インディ500はなにから何まで賞金が付く。
200周全周に、その周のトップだったドライバーに賞金が出る。
特に、区切りの周には額が跳ね上がるしくみ。
さらに面白いのは、“最初にリタイアした賞”“最初にウォールの餌食になった賞”などもある。
インディ500の翌日は、優勝者が歴代ウィナーの顔が掘られた巨大な銀色の優勝トロフィーと一緒に記念撮影を行なうことになっている。
画面の端に新聞の束が高々と積まれている、と思ってよく見たら札束だ。
アメリカンドリームが明確な写真で全世界に流されるのだ。
1989年に初めてインディ500を見物したとき、最後の10周でエマーソン・フィッティパルディというブラジル人と、アル・アンサーJr.という若いアメリカ人の先陣争いになった。
歓声だけでなく観客の大ウェーブが巻き起こり、壮観な眺めに圧倒された。
今年、ウェーブを起こさせるのは誰だろうか。
佐藤琢磨は、予選11番手。
レース中にクルマをうまく作ることができれば、オーバルコースなら、充分可能性があるポジションだ。<了>
今年のインディ500の結果(速報)⇒http://www.as-web.jp/overseas/19418
何もかもアメリカンなビッグスケール。
観客は40万人で、これも世界最大級。
機会があれば、現地で見て(感じて)みたい。
それだけの価値があるに違いない。
ちなみに今年に優勝賞金は約2億8300万円(日本円換算)とか。
一般的な日本のサラリーマンの生涯賃金が2億5000万円といわれていますので、それとほぼ同額です。
1台で走れても私はお断りするが、腕に覚えがあるレーシングドライバーなら走ることはそう難しくないかもしれない。
しかし、レースにはライバルがいる。
インディ500のグリッドには33台が並び、他車の動きが大きく影響する。
それは、クルマが“周辺の空気をかき混ぜながら走る”からだ。
クルマの後ろに張り付き、空気抵抗を減らしてスピードを上げる“スリップストリーム”。
それが半端なく強烈に効く。
前や後ろのクルマが急激に進路変更を行なうと、居場所に寄っては目には見えない空気の流れに進路を乱されてスピンする。
まさに、合気道の空気投げだ。
インディカードライバー出身で、現在は佐藤琢磨のスポッターを務めるロジャー安川氏は、そうした状況を「空気を分け合う」というなかなか詩的な表現で教えてくれた。
要するに、相手が信頼できるかどうかで、近づくかどうかを決めるのだそうだ。
スポッターというのは、高いコントロールタワーなどの上から走りを観察し、ドライバーに周囲の状況を伝えるオーバルコースには必須の存在。
空気を分け合っていることを理解した上で、ドライバーに指示を与える。
さて、単純なコースをグルグル回っているだけに見えるオーバルコースだが、超高速で走るとなると些細なクルマの状況がスピードを左右する。
ウィングの角度やタイヤの空気圧を、ピットイン毎に気温や周囲の状況などを読み取りながら有利になるように調整する。
勝負は200周レースの残り30周あたりから。
そこまでのレース中に気温や湿度、周囲の状況を計算に入れてウィングの角度や空気圧などを微調整して「クルマを作っていく」とロジャー氏。
最後の最後に最適なセッティングにして、勝負をかけるのだ。
問題は、出ている全員がそのことを知っていて、最後の30周に向けてレースを消化していること。
勝つのは一人だけなのだから。
そして、最後の30周から始まるバトルを熱くさせるのは“賞金額”である。
予選でポールポジションを取っただけで10万ドル、約1000万円。
そして、レースの優勝賞金は、ザッと10億円だ。
インディ500に勝てば名誉と金を一気に手にすることができる。
ドライバーが安静でいられなくなるのがわかるだろう。
ちなみに、インディ500はなにから何まで賞金が付く。
200周全周に、その周のトップだったドライバーに賞金が出る。
特に、区切りの周には額が跳ね上がるしくみ。
さらに面白いのは、“最初にリタイアした賞”“最初にウォールの餌食になった賞”などもある。
インディ500の翌日は、優勝者が歴代ウィナーの顔が掘られた巨大な銀色の優勝トロフィーと一緒に記念撮影を行なうことになっている。
画面の端に新聞の束が高々と積まれている、と思ってよく見たら札束だ。
アメリカンドリームが明確な写真で全世界に流されるのだ。
1989年に初めてインディ500を見物したとき、最後の10周でエマーソン・フィッティパルディというブラジル人と、アル・アンサーJr.という若いアメリカ人の先陣争いになった。
歓声だけでなく観客の大ウェーブが巻き起こり、壮観な眺めに圧倒された。
今年、ウェーブを起こさせるのは誰だろうか。
佐藤琢磨は、予選11番手。
レース中にクルマをうまく作ることができれば、オーバルコースなら、充分可能性があるポジションだ。<了>
今年のインディ500の結果(速報)⇒http://www.as-web.jp/overseas/19418
何もかもアメリカンなビッグスケール。
観客は40万人で、これも世界最大級。
機会があれば、現地で見て(感じて)みたい。
それだけの価値があるに違いない。
ちなみに今年に優勝賞金は約2億8300万円(日本円換算)とか。
一般的な日本のサラリーマンの生涯賃金が2億5000万円といわれていますので、それとほぼ同額です。