F1-Gate.comより。
~インディカーとシムレーサーの評判を地に落としたシモン・パジェノー~
2016年のインディカー王者であり、2019年のインディ500ウィナーであるシモン・パジェノーがINDYCAR iRacing Challengeで行った愚かな行為は、インディカーの評判だけでなく、バーチャルレースをeスポーツとして確立させるために努力してきたシムレーサーの努力を踏みにじるものだった。
インディアナポリス・モータースピードウェイを舞台に行われた最終戦では、ゲスト参戦したマクラーレンのF1ドライバーであるランド・ノリスがレースをリードしていた。
しかし、レース終盤、シモン・パジェノーが故意にスロー走行してラインを塞いで追突させ、ランド・ノリスは優勝争いから脱落させた。
シモン・パジェノーは、二人がクラッシュする直前にライブ配信で「ランドをクラッシュさせちゃおうぜ」で話していた。
そして、接触時には「おっと、ピットに入りたかったんだけど・・・」と嘘をついたあと、笑顔でゲームを続けた。
シモン・パジェノーは、自身の行為についてランド・ノリスに謝罪したが、ノリスは純粋にパジェノーがインディカー以外のドライバーがイベントに勝つことを望んでいなかったように感じたと明かした。
「彼はピットに入りたかったのと僕のスピードを失わせたかったと言っていた。アスキューに勝ってほしくて、僕が勝つことを望んでいなかったみたいだね」
「インディカー外のドライバーがインディのレースで勝ちそうだからって、しょっぱいことするよね。ほんと台無しにされたよ」
マクラーレンのCEOであるザク・ブラウンも「チャンピオンとしてあるまじき行為だ」とシモン・パジェノーを批判する。
新型コロナウイルスのパンデミックによってモータースポーツ界全体が活動休止を強いられるなか、様々なカテゴリーがゲームを使用したバーチャルレースを開催。
ゲームであり、決してリアルなレースに匹敵するものではないが、それでも自宅での自粛生活を余儀なくされているレースファンを楽しませるための公式イベントでの出来事だ。
すべてのドライバーは最新のマシンを走らせ、ドライバーのライブ配信には多くの場合に個人のスポンサー名が出ている。
また、レースはNBCスポーツ、スカイスポーツ、インディカーのYouTubeチャンネルで生放送された。インディカーの“チャンピオン”であるシモン・パジェノーには、守らなければならないスポーツの規範と価値観がある。
先月、NASCARドライバーのカイル・ラーソンは、NASCAR公認のiRacingイベントのライブ配信中に人種差別的な発言をしたことで、所属チームであるチップ・ガナッシから解雇されている。
F1ジャーナリストのウィル・バクストンは、シモン・パジェノーの行為はeスポーツ全体を踏みにじるものだと語る。
「確かに“ただのゲーム”ではあるが、プライベートで仲間内でやる遊びではなく、これは公式イベントだ」とウィル・バクストンは語る。
「ロイヤリティーの高いファンを裏切る行為だ。スポーツマンシップの欠如という点でも衝撃的なことであり、現在の世界情勢においてバーチャルスポーツへの賭け事が巨大なビジネスになっている点も注目されるべきだ。故意に他人を追い出すなど褒められたものではない」
プラットフォームを提供したiRacingにとっても許しがたいことだろう。
iRacingのエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるスティーブ・マイヤーズは「これはインディカーのプライベートシリーズであり、参加者も彼らが独自に決めたものだ。我々は、レースの問題について誰かのプライベートリーグを監視することはしていない」としながらも、「彼がシリーズとiRacingのための絶好の機会を“まがい物”にしたのは本当に残念なことだ」と語った。
ランド・ノリスは「真剣に受け止めていない人もいるだろうし、彼らはただのゲームだと思っているかもしれない。そこは別に問題ではないんだ」と続ける。
「でも、ドライバーの他にも多くの人が関わっている。僕はエンジニアのジャーヴとかと一緒に戦略を立てていた。僕たちが家にいるかどうかに関係なくそこにまだ時間をかけていた。彼らはそれに取り組んでいるんだ。家族と一緒に他のことをできたかもしれないのにね」
インディカーに参戦する(元F1ドライバーの)マックス・チルトンは、ランド・ノリスの怒りに理解を示している。
「インディカーが悪く見られてしまうことを残念に思う」とマックス・チルトンは語った。
「彼のスポッター(※)は、ランドがしたことは現実には起きないことだと言っていた。でも、ドライバーがレースのリーダーを故意にフェンスに押しやるためにピットから出ていくようなことは現実に起こりえないことだ」
(※)ドライバーの代わりにコース外から作戦指示を出す補佐役のこと。
「ゲームだということは分かっているけど、スポンサーやチーム、シリーズを代表するチームシャツを着ている以上、責任を問われるべきだ」
残念ながら、シモン・パジェノーはファンの敬意を失っただけでなく、インディカー全体、そして、シムレーターたちの評判を地に落とした。
まさに“ゲームオーバー”だ。<了>
Simon Pagenaud intentionally wrecks Lando Norris in iRacing Indy Race
動画⇒ https://youtu.be/nDYa2yfeAoM(YouTubeより)
これはゲームとはいえ、やってはいけなかったことだ。
パジェノーは軽い気持ちだったのかもしれないが、単なる遊び(ゲーム)の領域を超えている「スポーティングな公式イベント」だったこと、そして競争相手に危険な目に合わせた(それも故意なのは重罪である)ことは、言うまでもなくスポーツマンシップにもとる行為である。
おそらく、各方面から厳罰に処せられるだろうし、もしかしたらレーシングドライバーとしての命運も尽きてしまう可能性もある。
その前にチャンピオンとしてすべきことではなかった。浅はかだったと言わざるを得ない。
そして、記事の中でマックス・チルトンもコメントしているように、このことで「インディカーが悪く見られてしまう」可能性も大いに含んでいる。
そのことで、インディカーシリーズ(選手権)の権威を失墜させ、スポンサー離れが進めば大きな痛手になる。
素晴らしいシリーズだけにとても残念であり、悲しい気持ちになる。
もっといえば、今日のような先行きが不透明な状況で、必要不可欠なものではない自動車レースの存在意義にかかわる重大なインシデントであり、eスポーツの可能性に泥をかけたのだ。
長年、自動車レースを追いかけ、紛れもなく人生の一部になっている私のような人間にとっては、今回のバッドニュースはとても残念でならない。
~インディカーとシムレーサーの評判を地に落としたシモン・パジェノー~
2016年のインディカー王者であり、2019年のインディ500ウィナーであるシモン・パジェノーがINDYCAR iRacing Challengeで行った愚かな行為は、インディカーの評判だけでなく、バーチャルレースをeスポーツとして確立させるために努力してきたシムレーサーの努力を踏みにじるものだった。
インディアナポリス・モータースピードウェイを舞台に行われた最終戦では、ゲスト参戦したマクラーレンのF1ドライバーであるランド・ノリスがレースをリードしていた。
しかし、レース終盤、シモン・パジェノーが故意にスロー走行してラインを塞いで追突させ、ランド・ノリスは優勝争いから脱落させた。
シモン・パジェノーは、二人がクラッシュする直前にライブ配信で「ランドをクラッシュさせちゃおうぜ」で話していた。
そして、接触時には「おっと、ピットに入りたかったんだけど・・・」と嘘をついたあと、笑顔でゲームを続けた。
シモン・パジェノーは、自身の行為についてランド・ノリスに謝罪したが、ノリスは純粋にパジェノーがインディカー以外のドライバーがイベントに勝つことを望んでいなかったように感じたと明かした。
「彼はピットに入りたかったのと僕のスピードを失わせたかったと言っていた。アスキューに勝ってほしくて、僕が勝つことを望んでいなかったみたいだね」
「インディカー外のドライバーがインディのレースで勝ちそうだからって、しょっぱいことするよね。ほんと台無しにされたよ」
マクラーレンのCEOであるザク・ブラウンも「チャンピオンとしてあるまじき行為だ」とシモン・パジェノーを批判する。
新型コロナウイルスのパンデミックによってモータースポーツ界全体が活動休止を強いられるなか、様々なカテゴリーがゲームを使用したバーチャルレースを開催。
ゲームであり、決してリアルなレースに匹敵するものではないが、それでも自宅での自粛生活を余儀なくされているレースファンを楽しませるための公式イベントでの出来事だ。
すべてのドライバーは最新のマシンを走らせ、ドライバーのライブ配信には多くの場合に個人のスポンサー名が出ている。
また、レースはNBCスポーツ、スカイスポーツ、インディカーのYouTubeチャンネルで生放送された。インディカーの“チャンピオン”であるシモン・パジェノーには、守らなければならないスポーツの規範と価値観がある。
先月、NASCARドライバーのカイル・ラーソンは、NASCAR公認のiRacingイベントのライブ配信中に人種差別的な発言をしたことで、所属チームであるチップ・ガナッシから解雇されている。
F1ジャーナリストのウィル・バクストンは、シモン・パジェノーの行為はeスポーツ全体を踏みにじるものだと語る。
「確かに“ただのゲーム”ではあるが、プライベートで仲間内でやる遊びではなく、これは公式イベントだ」とウィル・バクストンは語る。
「ロイヤリティーの高いファンを裏切る行為だ。スポーツマンシップの欠如という点でも衝撃的なことであり、現在の世界情勢においてバーチャルスポーツへの賭け事が巨大なビジネスになっている点も注目されるべきだ。故意に他人を追い出すなど褒められたものではない」
プラットフォームを提供したiRacingにとっても許しがたいことだろう。
iRacingのエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるスティーブ・マイヤーズは「これはインディカーのプライベートシリーズであり、参加者も彼らが独自に決めたものだ。我々は、レースの問題について誰かのプライベートリーグを監視することはしていない」としながらも、「彼がシリーズとiRacingのための絶好の機会を“まがい物”にしたのは本当に残念なことだ」と語った。
ランド・ノリスは「真剣に受け止めていない人もいるだろうし、彼らはただのゲームだと思っているかもしれない。そこは別に問題ではないんだ」と続ける。
「でも、ドライバーの他にも多くの人が関わっている。僕はエンジニアのジャーヴとかと一緒に戦略を立てていた。僕たちが家にいるかどうかに関係なくそこにまだ時間をかけていた。彼らはそれに取り組んでいるんだ。家族と一緒に他のことをできたかもしれないのにね」
インディカーに参戦する(元F1ドライバーの)マックス・チルトンは、ランド・ノリスの怒りに理解を示している。
「インディカーが悪く見られてしまうことを残念に思う」とマックス・チルトンは語った。
「彼のスポッター(※)は、ランドがしたことは現実には起きないことだと言っていた。でも、ドライバーがレースのリーダーを故意にフェンスに押しやるためにピットから出ていくようなことは現実に起こりえないことだ」
(※)ドライバーの代わりにコース外から作戦指示を出す補佐役のこと。
「ゲームだということは分かっているけど、スポンサーやチーム、シリーズを代表するチームシャツを着ている以上、責任を問われるべきだ」
残念ながら、シモン・パジェノーはファンの敬意を失っただけでなく、インディカー全体、そして、シムレーターたちの評判を地に落とした。
まさに“ゲームオーバー”だ。<了>
Simon Pagenaud intentionally wrecks Lando Norris in iRacing Indy Race
動画⇒ https://youtu.be/nDYa2yfeAoM(YouTubeより)
これはゲームとはいえ、やってはいけなかったことだ。
パジェノーは軽い気持ちだったのかもしれないが、単なる遊び(ゲーム)の領域を超えている「スポーティングな公式イベント」だったこと、そして競争相手に危険な目に合わせた(それも故意なのは重罪である)ことは、言うまでもなくスポーツマンシップにもとる行為である。
おそらく、各方面から厳罰に処せられるだろうし、もしかしたらレーシングドライバーとしての命運も尽きてしまう可能性もある。
その前にチャンピオンとしてすべきことではなかった。浅はかだったと言わざるを得ない。
そして、記事の中でマックス・チルトンもコメントしているように、このことで「インディカーが悪く見られてしまう」可能性も大いに含んでいる。
そのことで、インディカーシリーズ(選手権)の権威を失墜させ、スポンサー離れが進めば大きな痛手になる。
素晴らしいシリーズだけにとても残念であり、悲しい気持ちになる。
もっといえば、今日のような先行きが不透明な状況で、必要不可欠なものではない自動車レースの存在意義にかかわる重大なインシデントであり、eスポーツの可能性に泥をかけたのだ。
長年、自動車レースを追いかけ、紛れもなく人生の一部になっている私のような人間にとっては、今回のバッドニュースはとても残念でならない。