週刊FLASH、5月26日号より(記事も写真も抜粋)。
5月初旬、派遣会社に登録している大橋さん(仮名・30代男性)がアルバイトのため向かったのは、千葉県流山市にある「楽天フルフィルメントセンター流山(RFC流山)」だ。
ここは楽天スーパーロジスティクス株式会社が、2019年に設けた巨大物流拠点。
おもに「楽天市場」店舗の商品保管、入出荷を一括でおこない、ほぼ毎日、100人を超える派遣労働者が配送先への仕分けや、入出荷の処理をおこなっている。
「最寄りの東武野田線・初石駅から送迎バスが出る」と聞かされていた。
だが、駅に着いた大橋さんは、目を疑ったという。
「このご時世なのに、駅前には、ずらっとバスを待つ人の長い列ができていました。車中も寿司詰め状態。ゴホゴホと咳をする人もいて、『ここにコロナの感染者がいたら、どうしようもない』と思いました」
RFC流山にバスが到着すると、建物内で出欠確認がおこなわれる。
ところが、ここでも廊下での待機列などで、密集状態になっていた。
4月20日に国立感染症研究所が定めた「濃厚接触者の判断目安」は、「1m以内かつ15分以上の接触」だが、冒頭の写真のような状態で、20分待機させられたという。
「皆マスクはしていたものの、建物内は明らかに『3密』状態です。消毒用のアルコールも一部にしかなく、体温管理も自己申告のみ。作業中は比較的隣とスペースは空いていましたが、昼食時の休憩所でも、密集解消の呼びかけはされておらず、混雑していた。本当に危ないと思いました」
本誌も5月6日、初石駅に到着した「楽天専用」送迎バスを確認したが、車内はとても混雑しており、窓の結露で車内が見えないほどだった。
労働環境問題に詳しい大貫憲介弁護士は、RFC流山の現状について、こう指摘する。
「楽天側には使用者責任があるので、安全に働ける環境を作る責任を負います。派遣会社にも、責任はあるでしょう。もし派遣労働者が、職場で集団的にコロナ感染した場合、両社は『安全配慮義務違反』に問われる可能性があります」
4月には実際、懸念された事態が山形県で起きた。
米沢市の食品工場がクラスター化し、10人が新型コロナウイルスに感染したのだ。
その際、休憩時間や仕事の前後、同じロッカーの使用で感染しやすいことが指摘されたためか、「これまでに働いたほかの企業では対策が講じられていた」と大橋さんは話す。
「たとえば、『ユニクロ』の有明倉庫では、送迎バスの定員が30人に抑えられ、倉庫内にサーモグラフィや消毒液を設置。休憩スペースも席が減らされていました。通販サイト『アスクル』のお台場の物流センターも同様でした」
3密状態の職場環境を派遣会社は、どう認識しているのか。
大橋さんが登録しているX社に問い合わせると、こう回答があった。
「派遣元としては、派遣事業者に対し、つねに安全な就業環境になるよう要請し、いまの時期は、マスク着用や消毒を徹底するように言っています」
一方、楽天スーパーロジスティクスは、「楽天本社が対応する」と言ったものの、期限までに返答はなかった。
全国で「3密回避」が叫ばれている。
家で外出自粛を頑張っても、仕事場がこれでは……。
※本誌発売日の5月12日に楽天の広報担当者から、「期限中にご返信をしていたものの、メールアドレスの不備によって、きちんと送信できていないようでした」との謝罪とともに、以下の回答があった。
「ご指摘ありがとうございます。『楽天フルフィルメントセンター』では、従来より、作業者の方々に安心して作業していただくために、ロッカーや休憩室を含むセンター内の新型コロナウイルス感染拡大防止策として、作業者全員へのマスク配布および着用義務、検温報告、体調確認、消毒液の設置、換気などを徹底してまいりました。
また、建物内の共有部分や通勤時における感染拡大防止策についても、建物オーナーおよび派遣会社と取り進めてまいりました。今後は、バスの増便や休憩室の拡張など、さらなる施策を強化していく所存です」
【写真】「RFC流山」最寄りの初石駅前で、送迎バスを待つ派遣労働者たちの長い列 <了>
昨今、アルバイトの求人も急減し、募集が出ているのは、この記事にあるような流通系のものが目立つ。
外出が自粛となり、店舗も休業状態。
なので宅配系、ネットショップ系が忙しい状態にある。
それを下支えしているのは、告発した方のような派遣労働者(もしくはアルバイト)の皆さんである。
それなのに、このように極めて杜撰で、感染のリスクがある危険な状態で勤務させているのは、彼方此方にあるのではないだろうか?
就労現場にも問題があるし、派遣会社もあまり厳しく言っていない(言えない⇒もし、しつこく言ったら、別の派遣会社に切り替えられる可能性がある?)から、ほどほどで済ませているのだろう。
生活を維持するために、時間を割き、危険も顧みず働く人たちに、仕打ちにも似た労働環境の提供はあまりに酷い。
派遣元も派遣先もどちらもブラック企業として認定してもいいくらいじゃないか。
これも非正規雇用をやたらと増やして(半ば推進して)きた、ここ20年の労働行政の問題もあると思われる。
とにかく、このようなブラック企業(劣悪な勤務環境やその実態)は厳しく取り締まるべきだ。
少なくても、労働者が泣き寝入りする状態は避けねばならない。
厚労省はもちろん、各地域の労基署もしっかり監督しろよ!
㎰、この話題が、自宅から比較的近い地域というのも…。
事実、近年首都圏では、新たな物流倉庫(ロジスティックセンター)や営業倉庫は次々建設され、多くの派遣社員が働いています。
千葉県も広範囲にわたって、このような倉庫が建っています。
私もこちらへ来た頃(2017年9月から半年ほど)、空いている時間を活用し、単発でいろんな現場に行きました。
中にはとんでもない職場もありましたね。まるで「働かせてやってる」って感じで派遣社員を扱う会社とか。
派遣契約の中に守秘義務があり、あまり詳しく言えないんですけど…。
5月初旬、派遣会社に登録している大橋さん(仮名・30代男性)がアルバイトのため向かったのは、千葉県流山市にある「楽天フルフィルメントセンター流山(RFC流山)」だ。
ここは楽天スーパーロジスティクス株式会社が、2019年に設けた巨大物流拠点。
おもに「楽天市場」店舗の商品保管、入出荷を一括でおこない、ほぼ毎日、100人を超える派遣労働者が配送先への仕分けや、入出荷の処理をおこなっている。
「最寄りの東武野田線・初石駅から送迎バスが出る」と聞かされていた。
だが、駅に着いた大橋さんは、目を疑ったという。
「このご時世なのに、駅前には、ずらっとバスを待つ人の長い列ができていました。車中も寿司詰め状態。ゴホゴホと咳をする人もいて、『ここにコロナの感染者がいたら、どうしようもない』と思いました」
RFC流山にバスが到着すると、建物内で出欠確認がおこなわれる。
ところが、ここでも廊下での待機列などで、密集状態になっていた。
4月20日に国立感染症研究所が定めた「濃厚接触者の判断目安」は、「1m以内かつ15分以上の接触」だが、冒頭の写真のような状態で、20分待機させられたという。
「皆マスクはしていたものの、建物内は明らかに『3密』状態です。消毒用のアルコールも一部にしかなく、体温管理も自己申告のみ。作業中は比較的隣とスペースは空いていましたが、昼食時の休憩所でも、密集解消の呼びかけはされておらず、混雑していた。本当に危ないと思いました」
本誌も5月6日、初石駅に到着した「楽天専用」送迎バスを確認したが、車内はとても混雑しており、窓の結露で車内が見えないほどだった。
労働環境問題に詳しい大貫憲介弁護士は、RFC流山の現状について、こう指摘する。
「楽天側には使用者責任があるので、安全に働ける環境を作る責任を負います。派遣会社にも、責任はあるでしょう。もし派遣労働者が、職場で集団的にコロナ感染した場合、両社は『安全配慮義務違反』に問われる可能性があります」
4月には実際、懸念された事態が山形県で起きた。
米沢市の食品工場がクラスター化し、10人が新型コロナウイルスに感染したのだ。
その際、休憩時間や仕事の前後、同じロッカーの使用で感染しやすいことが指摘されたためか、「これまでに働いたほかの企業では対策が講じられていた」と大橋さんは話す。
「たとえば、『ユニクロ』の有明倉庫では、送迎バスの定員が30人に抑えられ、倉庫内にサーモグラフィや消毒液を設置。休憩スペースも席が減らされていました。通販サイト『アスクル』のお台場の物流センターも同様でした」
3密状態の職場環境を派遣会社は、どう認識しているのか。
大橋さんが登録しているX社に問い合わせると、こう回答があった。
「派遣元としては、派遣事業者に対し、つねに安全な就業環境になるよう要請し、いまの時期は、マスク着用や消毒を徹底するように言っています」
一方、楽天スーパーロジスティクスは、「楽天本社が対応する」と言ったものの、期限までに返答はなかった。
全国で「3密回避」が叫ばれている。
家で外出自粛を頑張っても、仕事場がこれでは……。
※本誌発売日の5月12日に楽天の広報担当者から、「期限中にご返信をしていたものの、メールアドレスの不備によって、きちんと送信できていないようでした」との謝罪とともに、以下の回答があった。
「ご指摘ありがとうございます。『楽天フルフィルメントセンター』では、従来より、作業者の方々に安心して作業していただくために、ロッカーや休憩室を含むセンター内の新型コロナウイルス感染拡大防止策として、作業者全員へのマスク配布および着用義務、検温報告、体調確認、消毒液の設置、換気などを徹底してまいりました。
また、建物内の共有部分や通勤時における感染拡大防止策についても、建物オーナーおよび派遣会社と取り進めてまいりました。今後は、バスの増便や休憩室の拡張など、さらなる施策を強化していく所存です」
【写真】「RFC流山」最寄りの初石駅前で、送迎バスを待つ派遣労働者たちの長い列 <了>
昨今、アルバイトの求人も急減し、募集が出ているのは、この記事にあるような流通系のものが目立つ。
外出が自粛となり、店舗も休業状態。
なので宅配系、ネットショップ系が忙しい状態にある。
それを下支えしているのは、告発した方のような派遣労働者(もしくはアルバイト)の皆さんである。
それなのに、このように極めて杜撰で、感染のリスクがある危険な状態で勤務させているのは、彼方此方にあるのではないだろうか?
就労現場にも問題があるし、派遣会社もあまり厳しく言っていない(言えない⇒もし、しつこく言ったら、別の派遣会社に切り替えられる可能性がある?)から、ほどほどで済ませているのだろう。
生活を維持するために、時間を割き、危険も顧みず働く人たちに、仕打ちにも似た労働環境の提供はあまりに酷い。
派遣元も派遣先もどちらもブラック企業として認定してもいいくらいじゃないか。
これも非正規雇用をやたらと増やして(半ば推進して)きた、ここ20年の労働行政の問題もあると思われる。
とにかく、このようなブラック企業(劣悪な勤務環境やその実態)は厳しく取り締まるべきだ。
少なくても、労働者が泣き寝入りする状態は避けねばならない。
厚労省はもちろん、各地域の労基署もしっかり監督しろよ!
㎰、この話題が、自宅から比較的近い地域というのも…。
事実、近年首都圏では、新たな物流倉庫(ロジスティックセンター)や営業倉庫は次々建設され、多くの派遣社員が働いています。
千葉県も広範囲にわたって、このような倉庫が建っています。
私もこちらへ来た頃(2017年9月から半年ほど)、空いている時間を活用し、単発でいろんな現場に行きました。
中にはとんでもない職場もありましたね。まるで「働かせてやってる」って感じで派遣社員を扱う会社とか。
派遣契約の中に守秘義務があり、あまり詳しく言えないんですけど…。