木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

内丸鉋刃口埋木

2010-05-12 20:54:34 | 道具
内丸鉋の刃口に埋木をしました。


写真を撮り忘れましたが、この鉋、市販の内丸鉋の下端のRを大きく直したため刃口の両脇が広く開いてしまっていたのです。


台の出口を平らに両脇に蟻を掘りました。
蟻を合わせた樫の板の表を刃のRにあわせて削り、固めにはめ込みます。


これが使った主な道具。


埋めた樫は、刃口が開いてきた時出せるよう、ネジでとめています。


内丸鉋は中央部が減る傾向がありますが、これで解消できます。

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組子削鉋

2010-04-18 22:25:15 | 道具
三条のtachibanaさんのブログ「越後の大工刃物販売日記」で組子削鉋を拝見しました。

懐かしくなり、早速写真を撮り掲載してみました。


この鉋、もう、20年以上前になりますが、何かの本で見つけたのを参考に作ってみたものです。
神代杉の四方盆の部材を同じ厚さに仕上げるのに使うためでした。
古い鉋刃を用い、台も自分で掘りました。


tachibanaさんのブログにあるのは、桟をネジで止めているようですが、これは、木ねじの引独鈷(ひきどっこ)を使っています。


こうすることで、いろんな厚みの桟を簡単に作り取り替えることができます。
つまり、この桟の厚みに正確に部材の厚みを揃えて削ることができるのです。
一番薄いのは、1分半(4.5mm)です。


この部分にはバネが仕込んであります。このバネで削る部材を押しつけながら削り、刃が薄い部材を吸い上げ部材の中央部が薄く削れてしまうのを防ぎます。


このバネは、台直しの時などは、裏のネジをゆるめて取り外せるようになっています。

機械を使うようになり、ほとんど出番がありませんが、いつでも使える状態です。
本当は機械に頼らず、道具を使ってじっくり仕事をしたいのですが・・・。

追加
この鉋を使う場合、当止めは、横桟式のものでなくダボ式のものを使います。
また、薄く長い材料を削る時は、削り台の先に釘を斜めに打ち、板の厚さより短く残して頭を切り、
これに板の先を叩き込んで削ります。こうすると薄い板でもたわみません。
先を両面テープで止めることもありました。但し、両面テープで止めた部分はテープの厚みだけ薄くなります。
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平出さん来たる

2010-03-12 21:29:30 | 道具
新潟の平出さんが関西方面へ来られたついでに当工房に寄ってくださいました。


道具バス この中に刃物満載です。

定番の刃物の他、時々いろんな珍しい道具や、新開発の道具を見せてもらうのですが、今回はこれ。

なんだかわかりますか。信州の田舎育ちの私も知りませんでした。
先に刃がついているのですが大工道具ではありません。人差し指にはめて使います。
当てた方には一つ進呈・・・しません。答えは明日のお楽しみ。

次は、

銅製の小玄翁
小さい方が20匁、ですから、75グラム。私も自作しましたが、小鉋の刃の頭を痛めず叩くのに良いですね。


こちらはできあがってきた別注の蟻作理左勝手。
右勝手は昔左久作さんに作ってもらったのですが、前回お見えの時、左勝手を注文していたのです。

今日は他のお客さんが少なかったので、工房でお茶を飲みながらいろいろお話を聞かせてもらいました。
その後、大津へ行き、それから大阪と言っておられました。お気を付けて。


平出さんが帰られた後、昨日引っ張り出した栃の盤を軽トラに積み込みました。
明日朝一番に製材所に持ち込み、製材してもらいます。

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プレーナー改造

2010-02-11 22:33:28 | 道具
以前よりプレーナーの材料送りのスピードを遅くしたいと思っていましたが、良い方法が見つからず、いつもお世話になっているワタナベ機械さんに相談しました。
インバータを使う方法を教えてもらい、早速インバータを注文しました。


元々はここに運転スイッチと、速度の2段切り替えスイッチが付いていました。
ここにスイッチとインバータを付けることにしました。


いろいろ考え、良い方法が見つかりました。
スイッチの付いていた元のパネルをはずし、3mmのアルミ板で長いパネルを作り、取り換えました。
コードを外に出すために、本体の鋳物にΦ18の穴も開けました。
何とか取り付け・配線ができ、試運転もOK。材料送りのスピードの変速も思い通りできました。


装着完了。
材料送りを遅くすると、逆目が立つのを押さえることができるのです。
機械は古いですがまだまだ使えます。

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町家発ほんまもん 1月例会

2010-01-17 23:25:17 | 道具
12月に引き続き、町家発ほんまもん1月例会に行って来ました。


今回のテーマは「初削り」すなわち鉋の扱いです。
大工の工藤さんと、宮殿師の山田さんの実演と講習です。
お二人とも、現場での鉋使いについてのお話で、大変興味のある内容でした。


工藤さんは、節だらけの5寸の柱を仕上げるに必要な鉋の下端の調整や研ぎ、刃の調整など、実演をしながら詳しく説明してくださいました。


台直し


刃の研ぎ


削り
今まで大事と思っていた事の発想の転換が必要だったり、気軽にしていたことの中に大事な要素があったり、まさに目から鱗の連続でした。
特に、削りに合わせた刃先の管理、台の管理、研ぐものに合わせた砥面の管理ができることが大切、と言っておられたのがとても印象に残りました。


宮殿師の山田さん


千代鶴是秀の鉋や善作の鉋を実際に使わせていただいたり、和鉄と釜地の違いを実際に研いで確認させていただいたり、「経験することが大切。」と、普通ではおよそできない経験をさせていただきました。
特殊鉋の仕立てや調整など、もっともっとお話を聞きたかったです。


午後からは用意された削り台で、皆さん持参の鉋や槍鉋などで削りを楽しんでおられました。


奈良からおいでの、若い大工のEさん。
私の工房の近くで木工房を最近開かれた人のお知り合いで、炭山にも来たことがあるとお聞きしびっくり。
熱心に削りに取り組まれていました。。
いろんな方と親しく交流でき、また、初めてお会いする方から、ブログ見てますと声をかけていただいたのもうれしい出来事でした。

タイル作家で元職場の同僚のYさんも4ヶ月になる史くんを連れて会場に見え、久しぶりにお会いできました。お元気な様子で、子育てを楽しんでおられるのを感じました。

あっという間の一日でしたが、多くのことを学び充実した時間を過ごさせていただきました。

谷口さんをはじめスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。




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鉋 刃口埋め

2009-12-26 22:05:37 | 道具
先日完成したペアの合鹿椀


同じ炭山のKさんに納品させていただきました。
遅くなりましたが、お正月に使っていただけます。Kさんありがとうございました。

五稜箸の拭漆も完了したので、次の作品にかかる前に、刃口の広くなった鉋の口埋めをしました。


まず、木っ端返し側を蟻に掘ります。ちょっと深く掘りすぎましたが、まあいいか。


埋める材は赤樫を使い、掘った溝に合わせて蟻に削ります。


ちょっときつめにして、木槌で叩き込みます。


一旦抜いて、木ねじの穴を開けます。穴を長円にしておくと、刃口が開いた時たたき込むことができます。


木ねじでしっかり固定して


刃口を削ります。


台全体に鉋をかけ、きれいにしました。


昭和59年葉月鍛 千代鶴貞秀作、淡路の夕凪 一寸四分です。
昭和60年に購入したものです。
これでまた気持ちよく使えます。
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長勝塾「鋸研ぎに挑む」

2009-12-13 23:14:12 | 道具
「町家発ほんまもん」主催の12月企画 長勝塾「鋸研ぎに挑む」に参加しました。
会場は大津市の滋賀県建築組合大津支部の事務所。 
静岡県伊東市から長勝さんの出張講義です。


午前中は、まず長勝さんの鋸刃の構造や研ぎについての講義。
ここでまず、目から鱗!下刃の角度、なげしの角度など、全く理に叶っており大いに納得しました。


その後、従来の研ぎ(目立て)と長勝さんの研ぎの2つの鋸で試し切り。

私も挽かせていただきました。その結果・・・

これが、有名な鋸も研いでおられる目立て屋さんの研がれた鋸で挽いた木口。
切れ味は下がりの良い、良く切れる鋸といった感じ。

そしてこれが長勝さんの研いだ鋸で挽いた木口。ささくれが全くなく、鉋か鑿で一削りしたような切り口なのです。
切れ味は、抵抗がなく、滑っているような感触。ですが下がりは抜群なのです。
そして鋸道も全く広がりません。またまた目から鱗がぽろぽろ・・・。
この衝撃は実に大きかったです。


その後、お二人の大工さんの基本的な鋸の使い方と、ちょっとした技で調整する切り口の妙技を見せてもらいました。
これまた大変勉強になりました。

昼の休憩をはさんで、午後はいよいよ「鋸研ぎの実習」
長勝さんも言っておられたように「短時間の勉強で上手になることなどあり得ない」とは重々承知の上で挑んでみました。


はじめに長勝さんが一人一人に見本の研ぎを数カ所残してくださり、それをお手本に研ぎ始めましたが・・・。
鑢は思うように動かず、研いではいけないところばかり研いでしまい、そのうち元の歯の形状さえ壊してしまい・・・惨憺たる有様。
結局、中勝さんに刃先を揃え、最度すり込みの見本を作っていただき1から研ぎ直し。
予定の時間もあっという間に過ぎてしまい・・・。鋸研ぎの難しさをいやと言うほど知りました。(写真を撮るのもわすれてしまいました。)
しかし、今回参加させてもらって本当に良い勉強ができました。
教えていただいた長勝さん、お世話くださった町家発ほんまもんのスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。
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比布倉鉋

2009-11-24 21:46:46 | 道具

欅座卓。


部材のほぞの加工が完了し、次は寄せ蟻の加工

今日の道具の主役はこれ、

比布倉鉋(ひぶくらかんな)
先日インターネットで大変安く販売されているのを見つけ購入し、今日が初使い。取りあえず、右勝手を仕立てて使いました。

この鉋、蟻桟を先にいくに従い細くするために、側面を削るのに使います。
通常は蟻作理鉋を使うのですが、木目を考えず木取りしたため逆目になってしまうので比布倉鉋を使うことにしました。


なかなか良い調子で削れます。


基本の蟻と蟻溝ができたので、次は嵌める箇所を切って嵌め、硬さの調整をしながらて寄せていきます。

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三木へ

2009-11-24 21:07:30 | 道具
いつもお世話になっている、千代鶴貞秀さんが、兵庫県の技能顕巧賞を受賞されました。
それを祝う集いに招かれ、三木へ行って来ました。


親子二代にわたる受賞。本当におめでとうございます。


集いには、山口県、長野県、愛媛県、名古屋など遠くから千代鶴貞秀作の鉋に魅せられた大工さんや木工家が10名ほど集まり、道具談議に花を咲かせました。
地元三木のS棟梁は、ご自慢の2寸5分の突きのみや、乱れ刃の鉋、ご自分で作られた、赤樫や鉄刀木(タガヤサン)の下端定規などを魅せてくださいました。
2寸5分の突き鑿はさすがに圧巻でした。


道具や木組みについていろいろ話をお聞きし、大変勉強になりました。
話をいていると、4時間ほどが瞬く間に過ぎてしまいました。

お弟子さんも最近めきめきと腕を上げられ、将来がとても楽しみです。
千代鶴さん、これからも元気で良い鉋を作り続けて頂きたいと思います。



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鉋の研ぎ 2

2009-10-30 22:32:18 | 道具
砥石の面直し


砥石の面直しは、荒砥でします。その名もあらと君。
大村砥、金剛砂砥などを使ってきましたが、大きさが手頃なので最近はこれを使っています。
昔、面直しするのに何か平らなものはないかと探したこともありました。
しかし、どんな堅いものでもこすり合わせれば必ず減るので、正確な平面を保ち続けるものはありません。
それならば、自分で平面を作ればよい。と言うことで荒砥を2本用意し、4面を互いにすりあわせ平面を保ちます。


荒砥もかなり減りますので、時々定規で確認して、互いにすりあわせて平面に修正します。

なぜ、そこまでして鉋を平らに研ぐのかと言うと、刃先を仕上げ砥にしっかり当てるため、それだけなのです。
刃先さえしっかり研げれば別に平らでなくても良いのです。
いわゆる2段研ぎがそれです。治具を使えばこれが一番確実に刃先を研ぐ事ができると思います。
ただ、2段研ぎを正確にするためには治具が必要ですし、ずっと刃先だけを研ぎ続けたらよいわけでもありません。
話がそれましたが、刃物を研げば砥石は必ず減ります。そして減った部分に合わせて刃物が減っていきます。
砥石の全面を均一に使うわけではないので、必ず砥石の中心部が低くなり、それに合わせて刃物の砥石に当たっている面も丸くなっていきます。
平らに研ぐと言うことは、この丸くなるのをいかに少なくして研ぎ、硬い平らな仕上げ砥で刃先がしっかり当たるようにするのか、と言うことだと思います。



鉋の裏出しにはこれを使っています。


金床は鉋を当てる部分だけ高くし、後は削り落としてもらいました。
玄翁は、最近、金槌(舟形玄翁)の大きなものを見つけ、先を少し扁平に落として使っています。
簡単に裏が出せ、なかなか具合良いですよ。


裏押しは、もっぱらダイヤモンド砥石。1000番で押した後、焼結式ダイヤモンド砥石の12000番で押します。
この砥石、少々高いですが、逸品です。砥石が3mmと厚く、面直しもできますので、一生使えそうです。
すぐへたる電着式に比べてればずっとお得です。
硬い欅などを削った後は、鉋の裏に刃先も痛みま、仕上げ砥石だけでは裏の刃先の痛みが取れないことがあります。
そんな時この12000番で押すと裏がピシっと決まります。


目詰まりはこの人造名倉?で簡単に落とせます。


最後に、以前にも紹介しましたが、これが研ぎ場。
流しは木で作り、生漆を塗っています。ちょっと贅沢。
この向かい側が作業台、切れ止んだら後を向けばすぐ研げる、という環境です。
言い方を変えれば、工房が狭い、ということになるのですが・・・。
コメント (6)
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