木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

三代目千代鶴貞秀襲名

2019-02-15 22:24:36 | 道具
千代鶴直秀こと森田直樹さんが三代目千代鶴貞秀を襲名されました。
その襲名会が2月9日、兵庫県三木市で行われました。
私も司会の大役を仰せつかり、参列してきました。


三代目を襲名した森田直樹さんは、2004年二代目千代鶴貞秀氏のもとに弟子入り。
以来十五年間に渡って師匠の元で技を磨き、2017年には伝統工芸士に認定されました。
切れる鉋で定評のある千代鶴貞秀の鉋の技をしっかり受け継ぐとともに、大学の芸術学科彫刻専攻で学んだ新たな美的感性を生かした刃物制作にも挑戦しています。
森田さん襲名おめでとうございます。

二代目神吉岩雄さんとは、1985年に工房にお邪魔し鉋を作っていただいて以来、大変親しくおつきあいさせていただいてきました。
「吉田五十八賞」をはじめ数々の賞を受賞された初代の後を継いだ二代目は、初代が偉大であればこその苦労もされていました。
何かと初代と比べられることも多い中で、その技を更に磨き千代鶴の名に恥じない素晴らしい刃物を作り続けてこられました。
その功績が認められ、昨年春の叙勲では「瑞宝単光章」を受章されました。
また、弟子の育成にも力を入れられ、15年にわたって森田さんに技術を伝え、今日を迎えたのです。
その間けがや病気、また悲しい出来事もありましたが、今日までのそのご努力に心から拍手をお送りしたいと思います。

今、伝統工芸や伝統産業は大変厳しい状況で、日本各地に伝わる伝統的な技が危機的な状況にあるといっても過言ではありません。
そうした中で日本の大工道具の中でも最高峰と言われる鉋の技術が、長い時間を掛けて育てた弟子に受け継がれたのです。
15年間にわたるお二人のご努力と、支える回りの皆さんの励ましの賜物であり、まさに歴史的な出来事なのだといっても良いと思います。
34年間のいろいろなことが頭をよぎり、大変感慨深いものがありました。

襲名会には、全国各地から刃物の業界の皆さんや関係者、千代鶴貞秀の鉋を使い仕事をされている皆さんなど35名の皆さんがお祝いに駆けつけて来られました。
1765年から続く金物問屋の老舗、黒田清右衛門商店の社長の挨拶で始まり、


二代目から襲名証が送られました。

会は、家庭画報者元社長であり「伝統工芸を継ぐ女たち」「伝統工芸を継ぐ男たち」を執筆された関根由子様の祝辞、
削ろう会会長の上条勝様の発声で乾杯と、和やかに進んでいきました。


最後に参加者全員で記念撮影

神吉さんいつまでもお元気で。森田さん一層のご活躍を!

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豆鉋の刃口を埋める

2015-12-26 19:44:36 | 道具
今年最後?の仕事に使うため、豆鉋の刃口を埋めました。


だましだまし使ってきましたが、ここまで刃口が開くとどうしようもありません。
摩耗に強くするため、蟻で仕込み下端に木口が出るようにします。


埋め終わった豆鉋と使った鑿類。


これでしばらく気持ちよく削れます。

今回削るのは、

如意。煎茶の家元からの注文で、桑を使いました。
これに細かな彫りを入れなければなりません。年内にできるのでしょうか・・・。
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三木へ~鍛冶でっせ ~

2014-06-01 09:48:35 | 道具
昨日は朝から、兵庫県三木市で開かれている、「鍛冶でっせ!」

会場は「道の駅みき」の隣にある「メッセ三木」


朝からたくさんの人で賑わっていました。


行き先は、千代鶴貞秀さんのブース。


鉋や槍鉋、小刀などが整然と並べられていました。


柄を作らせていただいた槍鉋や塗師屋も。
この槍鉋は全国伝統的工芸品公募展で日本伝統工芸士会会長賞を受賞されました。
少しでもお役に立て、うれしい限りです。


貞秀さん、弟子の森田君と3人で記念撮影。


会場の一画には、たくさんの削り台。明日はここに多くの腕に覚えのある人が集まって薄削りに挑むのでしょう。
ゆっくりしたかったのですが、次の予定があったので昼過ぎには会場を後に、京都へもどりました。

夜は、工芸会でお世話になっている村山明先生が春の叙勲で「旭日小綬賞」を受賞されたのを祝って木竹部会でお祝いの会が開かれ、それに参加しました。
木竹部会の半数に近い会員が参加。
村山先生を囲んでいろいろお話を伺い、楽しいひとときをすごすことができました。

村山先生、おめでとうございます。

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Tachibanaさんと2年ぶり再会

2013-10-06 18:52:01 | 道具
昨日と今日は、伏見区にあるサトウ金物醍醐店のセール。


朝からのぞいてみました。いつもこのセールに、はるばる新潟から来ておられるTachibanaさんと再会。
昨年は漆の研修会のためこれなかったので、2年ぶりの再会です。
お店の一画での販売のためちょっと狭いですが、いつもは置いていない商品も並べられていました。


今話題の「隅木万能定規」もありました。
最近よく出ているそうです。これの四方転び用があったら便利なのですが・・・

おもしろいものを見つけました。

ルーペ付きとげ抜き。
手に良くとげがささり、いつも針で掘っていましたが、眼がだんだん見にくくなって・・・・
これならよく見え、細かいとげもしっかりつかめそうです。

もう一つは、

60×~100×の「ポケット顕微鏡」LEDライト付き。小さく軽いので、ちょっと刃先などを見るにはもってこい。
これらは橘産業さんのHPからも購入できます。

久しぶりでしたので、道具や業界の話から最近頑張っておられる写真の話まで、いろいろ楽しくお話をお聞きしました。

ツーショット写真も初めてです。
Tachibanaさん、ありがとうございました。


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素敵な贈り物

2013-04-04 21:31:25 | 道具
先日千代鶴さんと一緒に工房に見えたNさんからお手紙をいただきました。
封を開けると・・・


中には、見事な鉋地が同封されていました。
東京の有名な鍛冶屋さんで働くNさんが鍛えられたものです。



これを見て、ぱっと頭に浮かんだ写真があり、早速本を取り出してきました。



村松貞次郎文、岡本茂男写真の、「続々道具曼荼羅」のこの写真。
この写真の鉋地は、東京の小信作の鉋地。
必要な長さに切って台にすえて豆鉋を作るのです。
当時、いつかはこんな鉋地が使えるようになりたい、と思いながら眺めていました。



写真の上に並べて、一人にやにやしながら眺めています。
Nさん、ありがとうございました。切ってしまうのが惜しい気がしますが、大いに活用させていただきます。

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槍鉋柄完成

2013-03-06 22:08:22 | 道具
槍鉋の柄が完成し、挿げてみました。

口には籐の代わりに銀の板を巻きました。



もちろん実際に使える槍鉋ですが、こんな道具があってもいいのではないでしょうか。
千代鶴さんお待たせしました。

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「鍛冶でっせ」・・三木へ

2012-07-01 22:02:12 | 道具
千代鶴貞秀さんに案内をいただき、三木で開かれた「鍛冶でっせ」へ行って来ました。

京都を出る時は大降りだった雨も、会場に着いた頃には小降りになり、



朝から会場には沢山の人が訪れていました。



千代鶴貞秀さんのブース。沢山の鉋や小刀が並べられていました。
弟子の森田君も千代鶴さんの立派な右腕となって頑張っていました。



ブースの前で、貞秀さん、神奈川から見えたTさんと記念撮影。




会場では、鋸の目研ぎでお世話になっている、京都の長勝さんもゲストで実演をされていました。



その横では、京都の大工のはんなりさんが鉋削りを楽しんでいました。



山本さんの大鉋はいつ見てもすごいですね。薄く幅の広い鉋屑にみなさん感心していました。



午後からは、丸太切競技も行われるなど、いろいろな催しが楽しめる内容でした。

帰りには、埼玉から千代鶴さんを訪ねて来ていたM君が小生の工房を見たいということで、京都まで一緒に帰ってきました。
訓練校に入り、これから木工を学んでいこうとしているM君。
そのきっかけは、自転車旅行で三木に立ち寄った際、たまたま千代鶴工房を何気なくのぞいていて声をかけられたことからだそうです。
その時千代鶴さんの名前も知らなかったと言うのですから、縁とは不思議なものですね。
これから大いに学び、頑張って欲しいと思います。

久しぶりに千代鶴さんともお話しでき、またいろいろな人とも交流ができて、充実した一日を過ごすことができました。
千代鶴さん、お世話になりありがとうございました。

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漆刷毛が届きました。

2012-01-13 23:34:49 | 道具
東京の泉清吉さんから漆刷毛が届きました。

木工仲間のMさんにいただいた古い髪の毛を送って作っていただいたものです。
半通しにして、一寸六分と八分の2本にしていただきました。
良い道具には凛とした美しさがあります。
良く切れる鉋で削った尾州檜の光沢と手触りは何とも言えません。
泉さんありがとうございました。大切に使わせていただきます。


もう一つ道具の話題。鋸の目研ぎができあがってきました。

お願いしたのは、長勝鋸で有名な長津勝一さん。
2年ほど前、「ほんまもんの会」で長勝鋸を知り、自分の鋸も目研ぎをしていただこうと思っていたのがやっと実現しました。


早速試し挽き

右が今回目研ぎをしていただいた鋸で挽いたもの。一目瞭然です。



留めに挽いてもご覧の通り、鉋で削ったようです。
鋸で切るのが楽しみになりました。長勝さんありがとうございました。

良い道具、それを本当に生かせる仕事ができるよう頑張っていきたいと思います。
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1年ぶりの再会

2011-10-01 21:25:31 | 道具
近所のサトウ金物の展示会に、今年も橘さんがお見えになっていました。
1年ぶりの再会です。


お店の一画に、いろいろな大工道具を並べておられました。



今、話題の鉋や






さらには玄翁など、狭いスペースですがいろいろ並べておられました。
昨年もでしたが、刃物や道具について、いわゆる業界ネタをいろいろお聞きすることができ、時間があっという間に過ぎてしまいました。



橘さんのブログはいつも拝見しているのですが、どちらかというと業界ネタよりも、グルメネタ?の方が多いのです。
それも、私が好きなものばかり。結構カロリーが高いものが多いので、メタボ大丈夫?と心配していましたが、
そのスマートさにびっくり。(私よりウエスト細かった!)
ブログを読ませていただいているとおいしいものばかり食べていると錯覚してしまいますが、実際はカロリーのとりすぎに気をつけ、
運動もするなど、とても健康に気をつけておられることがよくわかりました。

展示会は明日までです。お近くの方は是非どうぞ。いろいろお話が聞けますよ。


工房へ戻り、今日の仕事。

昨日貼った和紙の固めをしました。



糊漆を貼った和紙の上に配り、



刷毛で余分の糊漆を取り、均一にします。
この作業時間との勝負。ぐずぐずしていると、紙の繊維が浮き出して来てしまいます。
手早く余分な漆を取り去ります。
しばらく水分を飛ばし、風呂へ入れて乾かします。


銘々皿はようやく最後の摺りが完了しました。


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美術工芸「久光」

2010-06-14 23:20:53 | 道具
旅の最終日は信州飯田。
市の中心部で美術工芸「久光」を営まれている、田見さんをお訪ねしました。
田見さんとは、千代鶴貞秀さんを中心とする集まりで2度ほどお会いし、先日は三木からの帰りに私の工房にも立ち寄っていただきました。


お店には、奥様の洋裁手芸の品の横にショーウィンドウがおかれていました。


ショーウィンドウには、千代鶴貞秀作の鉋や小刀を中心とした刃物や、砥石や古い墨壺などが並べられていました。


一画には、砂鉄や玉鋼も。


屋号の「久光」の名前は、ご主人のお父さんとお母さんの名前の一文字をもらい、久しく光り続けて欲しいという願いをこめて付けられたそうです。


現役の大工だった頃の道具や、その当時手に入れられた古い道具などいろいろ拝見してお話を伺いました。
職人にとって命である道具こそ本当に良い物を使ってほしい、そしてその道具を後世に残していきたいという思いを熱く語っておられました。


こちらは、小物の制作や道具の手入れをされている自宅の一室。
集められた珍しい道具も見せていただきました。


使い込んだ丸鑿。ここまで柄が短くなった鑿を見たのは初めてです。


こんな丸鑿も初めて見ました。内1本をお土産にいただいてしまいました。

奥様も交えて、いろいろ楽しくお話していると時間はあっという間に過ぎ、帰りにはお土産までいただいてしまいました。
その中の一つは、奥様手作りのランチョンマット。


家に帰って早速、椀や五稜箸を並べてみました。
ワンポイントの可憐な花の刺繍がとても素敵です。
田見さん、奥様、本当にありがとうございました。

5日間の信州の旅を終え、満ち足りた気持ちで帰路につきました。
県境を越える頃に降り出した雨はやがて本降りになり、この日、関西の梅雨入りが発表されました。

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