木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

彫刻の台

2011-11-30 22:54:50 | 木工
彫刻家の木代喜司先生から、個展で使われる作品の台を依頼されました。
木代先生には、昔同じ職場で勤務しいろいろ教えていただきました。

5cm位から20cm位の長方形の台をいろいろ取り混ぜて、と言う注文です。
先生の作品を思い浮かべながらいろいろな材を削ってみました。



おもに使った材は、欅、栃、タモ、栓、ミズメなどです。
板の幅を決めて、表裏と木端に鉋を掛け、いろいろな長さに切り、最後に木口を削ります。







ミズメ
この後面取りをします。



大きめの板が少し少ないので補充。



全部で50枚以上になりました。これだけあれば大丈夫でしょう。
後、ペーパーを掛け、蜜蝋ワックスで軽く磨きます。

木代先生の個展は、12月13日から「画廊ぐれごりお」で開催されます。
なお、現在ぎゃらりーかもがわで「彫刻4人展」を開催中です
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拭漆 作業開始

2011-11-27 23:03:45 | 木工


拭漆の最初の捨て摺りの準備が整いました。まず、座板から。



続いて後脚。写真を撮るのを忘れ、思い出して撮った一枚です。



最後は24本の背で完了。
できるだけ漆を吸わそうと、時間をおいて三回ずつ摺り込みました。



使った刷毛は広重の胴摺刷毛軟口1寸5分と8分。
木地の導管にしっかり漆を摺り込むのに、なくてはならない刷毛です。
 


今日一日かけ、椅子4脚分に使った生漆は、約600グラム。よく吸ってくれました。

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かかとが・・・

2011-11-26 20:21:35 | 木工
昨日、時々行っているプールでのこと。
クロールで気持ちよく泳いでいて、クイックターン。
目測を誤ったのか、思ったよりスピードが出ていたのか、返した脚のかかとをプールの縁にゴツン!
あまりの痛さに、思わず「いたた!」と叫んでしまいましたが、しばらくすれば痛みもなくなるだろうとそのまま泳いでいました。
ところが、水から上がって着替え、靴を履こうとしたら痛くて履けません。
その夜は、湿布をして寝たのですが、朝起きて見ると・・・


こんな状態になっていました。(きたないものをお目にかけてすみません。)
考えて見たら、水の中でしたら水しぶきが立つくらいの勢いで返した脚のかかとをまともにコンクリートにぶつけたのですから・・・。
幸い歩くことはできますので、今日一日はサンダルを履いて過ごしました。

もちろん仕事はしています。



これは、昨日の木地磨き。ベビーサンダーの出番です。
今までは、木地磨きをせず、直接漆の捨て摺りに入りましたが、今回は納期も迫っているので木地を磨いておくことにしました。



座板の座は凹曲面なので手で磨きます。
導管に入った粉は掃除機で吸い取ります。


そして今日は、仕口部分に漆が付かないよう、マスキングテープ貼り。

ほぞ穴は発泡スチロールを切って埋め、ほぞは、胴付きまですべてマスキングテープを貼ります。



はみ出た分はカッターで切ります。



猫の手も借りたいところですが、猫は飼っていないので妻の手を借りました。



丸一日かかって部材のすべての仕口のマスキングが完了しました。

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椅子 鉋掛け最終盤

2011-11-25 22:40:31 | 木工
椅子の鉋掛けも最終盤、傘木の削り出し。

万力に固定して、表を削り



裏を削り。



上部は万力で挟めないので手で持って削ります。



最後は木口。ここは小刀で仕上げます。



傘木、4本を削り終えました。



これですべての部材の削り出しが完了。
動画を撮ったりブログに書いていて改めてわかったのですが、この椅子の作成では、半分~2/3は削り出しの作業でした。


部材が揃ったところで、一応仮組みをしてみました。

後脚と背はこの順番でないと組立てられません。
逆に言うと、6本の背も構造材としての働きもしており、傘木を外さない限り、後脚と背を座板からはずすことはできません。(材を割れば別ですが。)
つまり、たとえ後脚と座板の接合部の糊が切れたとしても壊れることはないのです。
極めてシンプルでありながら丈夫さを兼ね備えた構造なのです。
さらに、ダイニングチェアとして、座の角度・掘り・奥行き、背の角度・丸み、腰部の支え等、座り易さも追求して設計しています。
ちょっと能書きを垂れさせて戴きました。

これで木地が完成。椅子としての完成までには、まだ拭漆の工程が残っています。

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椅子の制作 鉋削り

2011-11-24 22:45:31 | 作業動画
部材の削り出し(鉋削り)続きます。


座板の側面(木口、木端)の鉋削り。


これが済んだところで、座板と後脚の仕口を仕上げます。

少しきつめに調整しておきます。



しっかり組めました。


次は背の鉋掛け。

背は6枚揃えて同じ面になるよう削り出します。こちらは表面。



こちらは裏面。



4脚分の面出しが完了。




この後、1本ずつ表と裏面をやや胴張りに削り、面を取って仕上げます。

一日、ひたすら削って削って削りました。
今日で鉋掛けが3日続きました。でも少しも苦でありません。
いろんな曲面や材の状態を見ながら道具を選び、刃の調子を整えて削り、少しずつ仕上げていくのはむしろ楽しいのです。


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椅子の制作

2011-11-23 21:09:20 | 作業動画
椅子の制作の様子を動画で紹介します。

脚と貫のほぞ組みの大入れ。


トリマーで底の深さを決めた後、穴の側面を鑿で墨に沿って掘ります。


この後は部材をひたすら鉋で削ります。

まず、後脚の側面の仕上げ削り。

鉋は「乱菊」。研ぎ上げて押さえを効かせているので、逆目は完全に押さえられています。
木目も波打っているのでどちらから削ってもあまり変わりません。(本当は削りやすい方向はあるのですが。)



続いて、脚の見付け(前面)と見返し(背面)の曲面を一脚分ずつ仕上げ、



1本ずつ、胴張りに削って仕上げます。



こうして並べるときれいですね。(自己満足です。)


最後は、脚の背面を胴張りに削って仕上げました。

削った後、カーブを定規や型紙で確認することはしません。
削っている時の鉋の感触や削った後を目で見て手で触って、自分の感覚をたよりに揃えています。
そうして揃えた時の見た目ではわからない不揃いが、どことない心地良さを醸し出してくれることを目指しています・・・
なんて言うと格好良いのですが、実は面倒くさいだけだったりして・・・0型人間ですから。
でも、そんな境地に至りたいものですね。

こうして一日、部材の鉋削り。時間があっという間に過ぎていきます。



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椅子の制作進む

2011-11-20 22:58:31 | 木工
ダイニングセットの椅子の制作が順調に進んでいます。

各部材に墨を付け、ほぞを切りました。こちらは貫と前脚。



後脚と背は並べて墨を付けた状態で、先にほぞを切っておきます。



すべての部材をバンドソーで切り離し、傘木にも背のほぞが入るほぞ穴をあけました。



座板は、仕口の加工をした後、座面の最終鉋仕上げ。完全に逆目を止めて仕上げます。


さらに、

その上で墨に沿ってバンドソーで切り抜き、鉋で墨に沿って周りを削ります。



座板の裏の仕上げ削り。後脚との仕口を合わせるため厚みを仕上げておきます。



後脚の仕口。ペティーワークに厚い刃を付けて、底取りをして落としたものですが、この底の切り口をご覧下さい。


使った丸鋸は、左右の毛引きと底取りの3種類の刃がついているのですが、毛引きの線も底の境も全くありません。
有限会社ヨシダさんの研磨技術のなせる技です。

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座掘り

2011-11-18 20:53:43 | 作業動画
昨日記事にした、椅子の座堀り。
鉋で仕上げる作業を動画で撮影してみました。
25分ほどで、仕上げることができます。

お時間のある方はご覧下さい。




削りに使った四方反りの小鉋の刃の研ぎです。

刃先のRがあまりきつくないので、砥石はいつも使う平らな砥石を使っています。
刃先のRを確認しながら研ぎますので、平らな物より時間がかかります。





研ぎ終わった刃先。刃先の丸みはこの程度です。
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今週の仕事

2011-11-17 22:30:51 | 木工
さて、今週の仕事は・・・


まず曲げ輪っぱの木地固め。こちらは蘇芳で染めたものです。
深みが出てきれいですね。


こちらは染めてないもの。注文を戴いている以外に、いろいろ制作してみようと思います。



久しぶりに漆風呂がにぎやかになりました。



ダイニングセットの制作も進んでいます。椅子は、座の墨付けを終え、掘りにかかりました。



テンプレートを使いルーターで粗彫り。
2.5mm間隔で掘り下げ、一番深いところは15mmの深さです。



その後、小がんなで削ります。



使った小がんなは、千代鶴貞秀作の浅い四方反りの小がんな。
横摺り、逆目何でもござれ、荒削りから仕上げまで、途中で研がなくても大丈夫。
今回は、左の新しく台に仕込んだ鉋を仕上げには使いました。
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丹後への旅 その3 ~アート&クラフト@ふくちやま~へ

2011-11-16 23:26:32 | その他
13日の朝は、土砂降りの雨の音に目を覚ましました。
なんと、世屋高原は朝から雨だったのです。
ゆっくり朝食を済ませ、モーニング珈琲を飲みながら、昨日お知り合いになった方ともいろいろお話できました。



すっかり雨もあがり、日差しの出てきた世屋高原をあとに、福知山へ向かいました。



目的は、三段池公園で開かれていた「アート&クラフト@ふくちやま」
たくさんの出展者のテントが並び、賑わっていました。



その中でもひときわ目立っていたのが、この赤い野点傘
いつもお世話になっている「木工の木楽屋」さんのブース。
木楽屋さんは、全国を股に掛け・・・とまではいかないまでも、関西のみならず、東海、中部、北陸、中国地方・・・とそこにイベントや手作り市があれば出展されています。



ただ、他のブースト違うのは、物を売るだけでなく、ご自分で開発された木製の知恵の輪を皆さんに楽しんでもらっていること。
そのためのスペースを作っているのです。
この日も、子どもから大人までたくさんの人が挑戦していました。
そして、知恵の輪を解き、クイズに正解した人にはおまけ付き。サービス精神旺盛です。
私もシャムガキや紫檀などの銘木を使った「スーパー抜け作くん」を一つ戴きました。
これなんぞは単なる知恵の輪と言うだけでなく、しゃれた壁飾りになります。(解けもしないのに買った言い訳ではありませんぞ!)
これで、一度「木楽屋さん」のブースをのぞきたい、という思いが叶いました。


次のお目当ては、「春日工房」さん

この、猫ちゃんの染め物が目印です。
猫ちゃんやわんちゃんのデザインがとてもかわいいですね。



いやがるお二人を無理矢理ひっぱりだして、写真を撮らせて戴きました。
22日から「のんびりずむ-木工と染-春日工房展」を控え、木工の作品は少なかったですが、お二人にお目にかかれ、来た甲斐がありました。
個展頑張ってください。


会場ではこんなことも

今人気?のチェーンソーアートの実演。なんか昔の映画を思い出しそうな・・・・・(失礼!)


木工のブースもいくつかありましたが、その中で、

こちらは、大江町の「mokkoubou canna」さんのブース。
アクセサリーや時計、洋裁の針山やボタン、糸巻きなど女性らしい作品をとてもきれいに作られていました。
丸い物が多かったのですが、これが、木工旋盤など使わず、硬木をバンドソーで荒取りして、サンダーで仕上げているというから驚きです。
訓練校を出て、木工関係の会社で働いたあと独立。アルバイトをしながらこつこつと作品の制作をしているそうです。
頑張ってください。


いろいろの人との出会があり、いろいろな芸術に触れ、大いに楽しんだ密度の濃い丹後への旅でした。

夜はこうして思い出に浸りながら書いていますが、もちろん昼間は、年内納品に向け必死で仕事がんばっております。ハイ!

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