木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

鞴修理

2010-09-29 23:41:48 | 木工

三木の古式鍛錬保存会よりお預かりしていた鞴(ふいご)の修理に取りかかりました。


今回の鞴の修理箇所は、側板。
貼られていたガムテープを剥がしてみると、割れではなく、接ぎ合わせ部分の目切れでした。
板を取り替えなければならないと思っていましたが、合い釘もしっかりしているので、接ぎ合わせ箇所に板の厚みの約半分の深さの溝を掘り、別の杉板で埋めることにしました。


板が割れていた部分に貼られていたガムテープは、完全に硬化。


板の接ぎ合わせには竹釘を使っているだろうと勝手に思い込んだのが間違いの元。
トリマーではじめから2.5mmの溝を掘ったのですが・・・・
合い釘は鉄でした。もちろんトリマーのビットはぼろぼろになってしまいました。
後は鑿で掘りました。


反対側は教訓を踏まえ、1mmから0.5mmずつ掘り進め、合い釘が見える直前の2.0mmまで掘りました。
溝の深さより厚い杉板を埋め、接着剤が乾いてからカンナで面一に仕上げました。


穴が開きかけていた所も部分的に修理。


こちらは反対側。蓋の近くの板が割れた部分は接着剤を入れて圧着。
これで完了。前回の修理ほどの手間はかかりませんでした。

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「一木一優」木工芸・漆作品展が終了しました。

2010-09-28 22:21:19 | 木工
一木一優の木工芸・漆作品展が終了しました。
ご多忙中にもかかわらず、多くの皆様においでいただき、本当にありがとうございました。
作品を見て頂いたこともさることながら、久しぶりにお会いし、いろいろお話できたことが何よりうれしかったです。
多くの皆様に支えられながら、こうして好きな木工に専念できている喜びを改めて感じました。

この京都木工芸同好会「一木一優」は、30歳から70歳まで(多くは60歳を過ぎていますが・・・)の11名でやっています。
住んでいる場所も、経歴も、木工歴も様々、木工への関わりも、一応プロ(できているかはともかくとして生業としていると言う意味で。)から、忙しい会社勤めの合間を縫ってやっている人まで様々。
さらに、ルーツである、「黒田乾吉木工塾」(その後樹輪舎木工塾)で学んだ人が中心ですが、その時期にも10年以上の開きもあり、また、木工塾には全く関係のない若いメンバーも加わっています。
そんな様々な11名が、なにより木工が好きという一点で集まり、作り上げている作品展なのです。

作品展も回を重ね、会員それぞれの作品の個性もだんだんはっきりしてきていますが、それがうまく調和して、今回のテーマコーナーのように一つの雰囲気を作り出せるというのも他にはない、この作品展の大きな特徴ではないかと思います。
指導者もおらず、お互いに学び会い、影響し合いながら制作を進めていますが、「年々会員の腕が上がっている」「年々充実している」といううれしい評価もいただいています。

研修会や打ち合わせ会、新年会等1年間に全員で顔を合わせる機会は多くありませんが、集まって話していると時の経つのも忘れます。
こんなすばらしい仲間(多くは人生の先輩ですが)と一緒に作品展ができ、それに向けて制作ができるというのは本当に大きな喜びなのです。

来年に向け、また頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
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「一木一優」木工芸・漆作品展

2010-09-24 23:31:23 | 木工
京都木工芸同好会「一木一優」の作品展が始まりました。


こちらがギャラリーA


こちらはギャラリーB 今年から両方のギャラリーを使っての展示です。


初日の朝からたくさんのお客様においでいただきまして、ありがとうございました。

今回出品した私の作品を紹介します。

書道用文机と椅子、机の高さを書道のしやすい高さにし、脇に半紙を入れる抽斗をつけました。


テレビ台と漆塗りのスピーカーシステム。


各種お椀とおなじみの五稜箸。
お椀は、しっかりなやしをかけて手グロメした日本産漆の塗り立てです。内側のみ朱もあります。


飯田の田見さんの奥様お手製のランチョンマットの上にコーディネートしてみました。
今回久しぶりにお盆も制作してみました。


煎茶の点前盆と、一文字盆。その右は漆教室で教えていただいた、一閑摺りの盆と、桑の結界。


最後に作成したタモの抽斗。

今回は特別展示としまして、漆の掻き殻や漆掻き道具、パネルを展示しました。

パネルの写真は、1988福知山市夜久野(旧夜久野町)で撮影したものです。

掻き殻は岩手県浄法寺で購入、掻き道具は(株)加藤小兵衛商店でお借りしました。
是非ご覧ください。
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「一木一優」の木工芸・漆作品展が始まります。

2010-09-22 20:59:23 | 木工
明日から今日と木工芸同好会「一木一優」の木工芸・漆作品展が始まります。

今年は、会場が昨年の約倍の広さ(美術工芸ギャラリーAB両方使用)になり、たくさんの作品を展示させていただきます。



今回は、漆掻きの道具や掻き殻、漆掻きの様子のパネル、漆塗りの道具等の展示もさせていただきます。
また、梅原英光苑さんのご協力で、会場を飾っている山野草の販売もさせていただきます。

多くの皆様のおいでを心よりお待ち申し上げます。

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作品展直前

2010-09-19 22:46:50 | 木工
作品展まで後3日、最後の追い込み、いや、あがき?


椅子式文机は拭き漆が終わり、組立を残すのみ。しかしこれを組み立ててしまうと置き場所がいるので、組み立てるタイミングが難しい。


こちらは、椀。下地までできていたがその後が進まず、他の拭き漆作業が終わったところで中塗りから再開。



泉清吉さんの刷毛を初めて使ってみましたが、なんという使い良さ。塗るのが楽しくて仕方がありません。


今回最後の制作になる、小間物抽斗。


これだけは作りたかった作品なのですが、間に合うのでしょうか???
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泥まみれ、漆まみれ

2010-09-12 22:29:54 | 
久しぶりの更新です。
最近の仕事は同じ事の繰り返し。


朝から、文机、盆、地板などの部材の水研ぎ。
エアーサンダーの力も借りながら、とにかく夕方まで研ぎ続けます。
今日は、文机の部材、小盆栽の地板、盆・・・


夕方から漆塗り。まだ研ぎを続けるものは刷毛で塗った後余分な漆をヘラで取ります。


こちらは研ぎの終わった煎茶盆と一文字盆。漆を塗った後綿布で拭き取ります。


それを、風呂へ入れて乾かします。風呂の中は満杯状態。これをすべてあと10日で完成させなければなりません。


最後は風呂に入らない文机の天板に漆を塗って・・・


刷毛を掃除して、


ヘラをきれいにして・・・こうして、研ぎ泥まみれ、漆まみれの毎日が過ぎていきます。

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拭漆完了

2010-09-06 22:46:38 | 木工

拭漆が完了したテレビ台と几帳台を漆風呂から出し、文机に捨て摺りをして風呂に入れました。


仕口のマスキングテープやほぞ穴の埋めをとり、組み立ててみました。
作品よりも、後のごちゃごちゃに目が行きますね。
まだ糊は入れていません。組み立ててしまうと置き場所に困るので、また分解して保管します。
作品展まであと2週間です。

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加悦へ

2010-09-05 22:56:02 | 木工
朝から与謝野町の加悦へ
目的は、杉の盤を引き取りに

上に端材を乗せたので、ちょっと見にくいですが、幅50~60cm、長さ約3m、暑さ10cmの杉の盤4枚です。
これを天板に使ったテーブルの注文をMさんよりいただきました。


もちろん軽トラでは運べませんので、黒田材木店でトラックをお借りし、息子を連れて行って来ました。

行った先は

ここ、与謝野町加悦工芸の里にある「そば工房くり」さん。その駐車場に保管されていたのです。
トラックに積み込んだ後は、ここで昼食の蕎麦をいただきました。
ご主人手打ちの、腰のある十割蕎麦の味は絶品でした。蕎麦好きの息子も大満足でした。

京都に戻り、トラックを返したその足で京都文化博物館へ。


案内をいただいていた、元同僚の野上さんの個展、今日が最終日だったのです。


創画会で活躍する野上さんの作品は、抽象的な表現の日本画ですが、優しさが漂い、眺めているとどこか懐かしさが感じられ、何とも気持ちが落ち着くのです。


今回は小さな作品も展示されていました。
ちょっとした額にいれて部屋に飾り、日々の生活の中で何気なくふっと目に入ってきたらどんなにか良いことでしょう。
野上さんありがとうございました。
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文机木地完成

2010-09-04 21:53:38 | 木工
文机の木地が完成しました。

仮組みをしたところ。


こちらが正面です。
この後、抽斗をつけるための桟を取り付け、蟻桟、抽斗桟、天板の仕上げ削りをして木地が完成しました。
この文机、田舎の同級生から書道用の文机として依頼されたものです。
これから長く使うことを考えて椅子式にし、書道で使いやすい高さにしました。半紙を入れるための浅い抽斗を左右に付けます。
これから拭漆の作業にかかります。

明日は加悦まで出張?です。
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文机の制作

2010-09-03 21:29:11 | 木工
ほぞ穴をあける前に、角鑿盤の鑿を研ぎました。

この機械、2~3年前オークションで見つけたもの。
ダイヤモンドの付いた砥石で研磨する、なかなかの優れものです。


精度も良く、簡単に研げます。返りを砥石で落とせば完了。


こちらは中の錐。これは目立て鑢で研ぎますが、なぜこんなにやわらかいのでしょう。
この角鑿の錐、もう少し良いものがないのでしょうか。


ほぞ穴をあけて、寄せ蟻で蟻桟をはめ、


ほぞを切ります。


部材の仕上げ削りは、胴張りにわずかに丸みを持たせて仕上げます。わずかな丸みなので平鉋で削ります。


その丸みに合わせて、順に大入れの穴を掘っていきます。
いつもの工程、作業は順調に進んでいます。
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