木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

合漉椀

2011-03-25 21:23:17 | 
だいぶ仕事を休んでしまったので、遅れを取り戻さねばなりません。
そのため、いくつかの仕事を並行して進めています。


その一つ。合漉椀の塗り。
この合漉椀、Tさんが石川県能登町(旧柳田村)まで出かけて、現存する椀を見た上で設計されたものです。
使う漆、仕上げ方法もTさんご指定の方法です。
十分漆を吸わせ、生地固めをしっかりした上で、生漆を摺り重ねています。



こちらは、四方棚の棚板。
中央に入った割れの修理です。


修理箇所以外を汚さないようマスキングテープで養生し、割れ目に生漆をしみ込ませて、まずは生地固めです。
しっかり乾かした後、地で埋めていきます。

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西田静人 うるしの器展

2011-03-24 22:21:22 | 
今日は朝から、延び延びになっていた胃カメラの検診に行って来ました。
結果はもちろん「異常なし」

午後からは、その足で、急遽奈良の叙友舎で開かれている、うるし仲間の西田さんの「うるしの器展」に行くことにしました。
そんなわけで今回の写真は携帯カメラで撮影したものです。


会場の「叙友舎」は、いわゆる奈良町の細い通りから更に入ったところ。


その二階のギャラリーで開かれていました。


会場には、西田さんが6年間にわたって作られた漆の器がたくさん展示されていました。


これらの作品は、すべて日本産の漆のみを使い、ご自分が納得するまで時間をかけて仕上げられています。
漆の持つ本来の美しさも印象的でした。


また、今回西田さんは、婆佐羅さんで求めた古い漆器を修理されたものも、大変安い値段で展示即売されていました。
比較的手をかけずに修理できそうなものを求め、生漆で摺りを数回重ねた程度、とのことでしたが、朱塗りの椀などは塗り立てのような美しさでした。
古い時代の良い漆器を求め、それを修理し再度使ってもらうのも、漆の良さを知ってもらい、良いものを長く使っていくという意味でも大切なことだと再認識しました。



西田さんの漆展は、3月27日まで開かれています。



ところで、個展の会場の「叙友舎」は、奈良唯一の中国茶専門のカフェでもあります。
帰りに本場の中国茶を味わってきました。
妻は、名前は忘れましたが菊の花の入ったプーアール茶、私は黄茶を注文。
それぞれ香りが高く、とてもおいしくいただきました。
独特の入れ方も興味深かったです。



JR奈良駅までの帰り道、会場の近くの元興寺に寄ってみました、が時間が遅かったので閉門したところ。
外から極楽堂だけ見てきました。
時間があれば、奈良町をゆっくり散策したかったのですが、それは次の機会に。

良く歩いた一日でした。
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再開

2011-03-23 22:33:47 | 木工
大変な被害を受けた被災地の皆さん。困難な中でも復興に向けて歩み出そうとされています。
長い長い道のりですが、どうか身体に気をつけて、一歩ずつ前に進んでいっていただきたいと思います。
私達もできるかぎりの支援をさせていただきたいと思います。

このブログも、再開します。


2月に長谷川製材さんで分けていただいた屋久杉を使って、箱に再度挑戦です。
今回は短冊箱を作ります。


部材の木作りをして、墨を付けます。仕口は隠し蟻(留形隠し蟻組継ぎ)です。


隠し蟻のほぞ穴の部分の加工。まず墨の内側に胴付き鋸で切り込みを入れます。
胴付き鋸は、信州諏訪の田中米吉作。一寸に40枚の歯。あさりはありません。
もうかれこれ20数年前に作っていただいた、宝物の鋸です。


ほぞ穴は、1分の平の小道具で掘ります。
板の厚みが2分(6mm)しかありませんので、力を入れすぎると刃物が板を貫いてしまいます。
もちろん、切れる刃物を良く研いで使わないと仕事になりません。


仮組みをして、長台で散り払い(目違いを取る)します。


身と蓋の側板が完成。蓋の天板と身の底板の加工にかかります。


だいぶ迷ったのですが、やはり天板の裏を少し刳ることにしました・・・が、
思った通り、屋久杉の逆目を止めるのに大変往生しました。
最後は妥協。小穴を突いて組み立てにかかりました。(写真を撮るのを忘れました。)


並行して進めているのが、注文をいただいている五稜箸の制作。
今回は余裕を見て20膳ほど作ります。


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・・・・・

2011-03-18 21:34:14 | 故郷信州にて

信じられないような大災害が起こって1週間が経ちました。

私にとりましても、この2週間はすべてが夢の中の出来事のように過ぎていった2週間でした。
2月の下旬より、肺炎を起こして入院していた母。
経過は比較的順調に推移していたものの、突然の容体悪化の連絡が入り、急遽長野へ帰省したのが先々週の金曜日。
病院に到着した時には意識不明の状態に陥っていました。
意識はないものの、血圧も安定し低レベルでの小康状態が数日続きました。その間に京都を往復。
3月というのに大雪の寒い月曜日。朝から次第に呼吸が弱くなり、昼過ぎに眠るように息を引き取りました。

母は大正9年生まれ。幼い頃実母と死に別れ、大正、昭和、平成と激動の時代をたくましくも慎ましやかに生き抜いてきました。
貧困の中で私達3人の子どもを愛情深く育て、子ども達が皆独立した35年前、夫(私の父)を亡くし、それ以来、信州の田舎で、私達家族の帰省と孫の成長を何よりの楽しみとしながら、一人で生活をしてきました。
十数年前、実の弟と、長女(私の姉)を突然の事故と病気で亡くした頃を境に認知症の症状が現れてきました。
次第に一人での生活が困難になり、この数年はグループホームでお世話になっていました。
息子として、生前の母にどれだけのことがしてあげられたのか考えると胸が痛みますが、永遠の眠りについた母の顔は、安らかで観音様のように美しく、90年の人生を清貧に生き抜いた母の、人生そのものを表しているかのようでした。
母にとっては、ささやかながらも満ち足りた人生だったのかもしれません。

葬儀を済ませ、諸々の後始末をしているさなか、あの未曾有の大災害が起こりました。
更に、追い打ちをかけるように長野県北部の大地震。

その日が来ることを覚悟し、まさに天寿を全うした母であっても、失った後の空虚感は大きなものでしたのに、今まで元気だった家族や友人を突然に失い、更に、生活すべてさえ失ってしまった被災者の皆さんの心中を察すると言葉が出てきません。
ただただ、頑張ってくださることを、心よりお祈りするしか術がありません。

京都へ戻り、遅れている仕事も少しずつ再開しましたが、ブログの再開にはもうしばらく時間がかかりそうです。
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箱で遊ぶ・・・ 完成

2011-03-03 22:34:12 | 木工
制作中のボンボニエールの箱。

蓋にガラスを嵌めて、段欠き、底を付けて仕上げ削りと面取り。これで完成です。


預かっていたボンボニエールを納めてみました。


実はこの箱、ちょっと仕掛けがしてあるのです。
通常はこのように蓋を開けるのですが、


このようにかぶせるような使い方もできるのです。
え、底も外せるのだろうって?


いえいえ、底はこのようにしっかり接着しているのです。


第一弾の箱と並べて見ました。初公開です。
この箱の構造も知りたいでしょう。

実は、

こうなっているのです。
このアイデアはこれからいろんな所に使っていこうと思っています。
使っている材は、黒檀、トネリコ、桧、欅、神代欅、ブビンガ、黄檗、梅、漆、卯木、アフリカンパドック、栃杢。
ちょっとめずらしい材を使っています。


今日、納品させていただきました。
裏方であるはずの「箱」が大きな顔をしてしまっていますが、「中身と大いにけんかしてほしい」という注文でしたので、大いに遊ばせてもらいました。
笹谷さん、ありがとうございました。
なお、このボンボニエールと箱は3月下旬に京都市内で開かれる陶芸の展示会で実物をご覧いただけるそうです。
詳しい日程等がわかりましたらお知らせします。


もう一つうれしいニュースがありました。
日本伝統工芸近畿展に応募していた「屋久杉砂磨箱」の、入選通知が届きました。


砂磨きは初めての試みで、課題ばかりが残ってしまった作品でしたが、ちょっとホッとしています。
展覧会は、5月下旬~7月にかけ、京都、大阪、滋賀で行われます。
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ボンボニエールの箱 第二弾

2011-03-01 22:36:44 | 木工
第二弾の箱も、完成したボンボニエールの大きさに合わせて本制作です。

まずは、材料となる杢の栃を部材の寸法に木作りをします。


墨付けをして、ほぞ穴をあけて、ほぞを切ります。


嵌める3mm厚のアクリル板に合わせて小穴(溝)を突きます。


そして組み立て。
一度試作すると、勘所がつかめて次に生かせますね。


小さくても正確にほぞや胴付きを作ることもその一つです。


蓋の窓の面取りは平の小道具を使って削ります。
これが一定の角度でまっすぐ削れるかどうかもポイントです。

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