木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

神代杉

2012-09-30 18:00:36 | 木工
10月10日から開かれる木竹部会展に出品する作品の制作に取りかかっています。
その一つが、神代杉を使った四方盆。



この神代杉、普通の神代杉に比べ色が茶色いので、茶神代と呼んだりしています。
この材と四方盆が自分の中でぴったり一致し、もう25年ほど前から時々制作しています。



四方転びの留めを削るための削り台も2代目。向留、上端留とも指金(さしがね)で出しています。



雇い核を入れて組立て。今回は覆輪に神代欅を貼りました。



同じ材料で作っている短冊掛け。
昔、Tさんから芭蕉の弟子の書いた短冊を掛ける短冊掛けを作って欲しいという注文をいただき、悩んだ末制作した形です。
鉋で削って仕上げます。


気持ちよく制作を続けていましたが、台風の接近で雨脚が強まって来ました。

裏の志津川の水位も上がりはじめ、濁流になってきました。
炭山林道の通行止めを知らせる広報車も走っています。
今日は早めに仕事じまいをして帰ってきました。


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漆の苗 池尾にて 

2012-09-29 21:16:19 | 
昨日、一木一優の仲間の工房へ届けるものがあって行ってきました。


工房があるのは、炭山から更に5km程奥に入った池尾。
そういえば、池尾に来たのは、20年ぶりぐらいになります。



秋晴れの元、のどかな風景が広がっていましたが、ここも、先日の水害では大きな被害を受けました。
特に炭山からの道はあちこちで土砂崩れのあとが残っており、近づいている台風が心配です。



池尾にある臼杵さんの工房。
工房に居られた臼杵さんの、漆の実入りのコーヒーをご馳走になりました。
臼杵さんは、今年も京都に残されていた漆の木で、漆掻きをされているそうです。



工房の横には漆の苗が植えられていました。
だれかこの苗をひきとって植えてくれる人がいないかなぁ・・・と言っておられました。



庭の隅には、大きくなった漆の木も。京都産の苗を植え、3年程になるそうです。
この漆を植える土地が見つかり、何年か先漆掻きができるようになれば良いのですが・・・。

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漆塗りスピーカー

2012-09-24 21:38:18 | 


スピーカーボックスを固定していたハタガネを10日ぶりにはずしました。
麦漆は、中まで完全には乾いていないと思いますが、拭漆をする事ができる程度には乾いています。




生漆を塗り、しばらく置いて木地に吸わせ、残った漆をヘラで取ります。




数日乾かして、水研ぎをします。




こちらの茶器やボンボニエール等は研ぎが#600まで終わり、拭漆の工程に入りました。
杢が浮き上がってきました。
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東京へ

2012-09-23 23:12:23 | 作品展
一昨日より、1泊で東京へ行って来ました。
伝統工芸展の東京展を見がてらいくつかの目的で。

20日夕方、三越本店へ。東京展は10年程前に一度見たことがあるような・・・。
東京店では入選作がすべてが展示されていますので見応えがあります。

こういう所に並ぶ自分の作品を見るのも何となく照れくさいような・・・が、よく見るとなにかおかしい。
指定したはずの正面位置が違っている・・・だけでなく、なんと蓋が身の位置とずれた状態で被せてあるのです。
だから、正面位置がくるい、蓋と身の木目も合わない・・・。
まあ、細かなことで誰も気が付かないでしょうが、作り手は身と蓋の木目を合わせるために少々手間をかけているのです・・・
会場係の人に言って、蓋を被せ直させてもらい一件落着・・・・と思いきや、図録の写真も蓋と身がずれた状態で撮影されていたのです。
ちょっとがっかりですが、気が付く人もほとんどいないでしょうから、まあ、良しとしましょう。

20日には、7月に一度工房に来てくれたM君が学校を終わって駆けつけてくれました。
会場におられた、三重の作家のTさんと話がはずみ、M君作品を見る時間がほとんどなくなってしまい、気の毒なことをしました。


会場を出て向かったのは、新宿。

JR東口のすぐ近くにある、ファーストフードの店「BERUG」
本も出されている、こだわりの店なのです。ここで働く甥に会いに行きました。
にこやかに接客し、元気で働く甥にたくましさを感じました。
お店はいつも大賑わい、ただ、回転が速いのでテーブル席で、カレーやサラダ、甥が開発したという「ラタトゥイユ」などをおいしくいただく事ができました。

21日は午前中会場へ。
ルーサイトギャラリーの米山さん、平塚のUさん、目黒のAさん・・お目にかかれてうれしく思いました。ありがとうございました。


昼、会場を出て向かったのは、谷中のアラン・ウエストさんのアトリエ「繪処」

ここで、始まった「アランウエスト掛軸展」を見るためです。
アランさんとは2年半ぶりの再開。テレビでは時々拝見していましたが・・・。
しばし、アランさんの絵の世界に入り、心地よい時間を過ごす事ができました。
アトリエは前回訪れた時とは内装も外装も大きく変わり、正面に小さな能舞台が設えてありました。



10月26日には、アランさんの屏風絵に囲まれて能舞が行われます。



近ければ是非行きたいのですが、残念です。


帰りの電車の時間にせかされ短い時間でしたが、楽しいひとときでした。



アトリエの外に出ると、ヒマラヤスギが、前と変わらない姿でそびえていました。



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第59回日本伝統工芸展

2012-09-18 22:25:39 | 作品展

明日から第59回日本伝統工芸展が始まります。





会期:9月19日(水)~10月1日(月)
会場:東京日本橋三越本店 本館7階ギャラリー
時間:午前10時~午後7時 

小生の「桑十角飾箱」も展示されます。
ご高覧頂けましたら幸いです。

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スピーカーボックス組立て

2012-09-15 22:21:00 | 木工


スピーカーボックスの制作も佳境に入り、仕上げの鉋掛け。
節だらけですが、逆目を止めて仕上げます。



バッフル板は節のない部分を選び、やや胴張りに仕上げました。
そのため、スピーカーを取り付ける場所は一段彫り込んであります。



仕上げ削りが完了。



内部の配線をして、吸音材を貼って、組み立て。
接着剤に何を使うかだいぶ迷いましたが、結局麦漆を使うことにしました。
乾燥に時間はかかるのですが、はみ出しても拭漆にあまり影響がないのを重視しました。



ハタガネで押さえて乾かします。
完全に乾くにはだいぶ時間がかかるでしょうが、2週間ほどでハタガネをはずして拭漆にかかります。

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漆塗りスピーカー

2012-09-14 21:49:53 | 木工
五稜箸の制作の次は、ちょっと大物。漆塗りスピーカー第2弾。
今回は、らいらいけんさん設計のネッシー型。
先日聞かせていただいてすっかり虜になりました。そのハードコピー。制作の許可もいただき、いろいろ教えていただきました。



材料はスプルース。ギターやバイオリンに使われる材です。
節もありますが、音響的にはこの方が良いようです。
機械で荒削りをした後、正確に寸法取りをします。



仕口は小穴を突いて嵌め合わせます。



精度は要求されますが、加工しやすく丈夫な接合ができます。



側板を被せて仮組み。



続いて、スピーカーの取り付け穴を開け、天板、底板、隅木などを取り付けて部材加工が完了。
こう言ってしまうと簡単なのですが・・・。
一度バラして仕上げ削りをして組立てます。
使うスピーカーは、ScanSpeakにしようか、Vifaにしようか迷うところです・・・。

ところでらいらいけんさん、音的には内部にも漆は塗った方が良いのでしょうか? ご教授お願いします。
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炭山被災から1ヶ月

2012-09-13 22:54:43 | 炭山災害
先月の炭山水害から1ヶ月が経ちました。
炭山に置かれていた対策本部も南部集会所に移りました。
この間、町内会の役員さんをはじめ、頑張っていただいた皆さん本当にご苦労様でした。
笹谷さんのHPにも掲載されていますが、「明日への一歩炭山通信」9月10日号掲載します。



今日の炭山への道。

ここの道路を半分仕切って、通行止めなどに対応していたガードマンさんもいなくなり、通常の状態に戻りました。



都カントリー入り口には、H鋼と矢板で巨大な擁壁ができています。
これで、かなり雨が降っても土砂の流失が防げるようです。


お隣の、柳原さんの工房。

床を完全にめくって、泥出しをして乾かしています。



消毒も済み、ほぼ乾いたようです。



はじめに泥出しが済んだこちらの部屋は大工さんが入って床の張り替えをしていました。

炭山全体では、危険箇所の整備など、まだまだ完全復旧への道は遠いですが、やっと通常の生活や労働のできる状態に戻りつつあります。

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五稜箸 木地完成

2012-09-11 21:07:29 | 木工
今日は朝から雨。今まで少しの雨でも通行止めになっていた二尾木幡線ですが、今朝は通れました。
おびただしい土砂が流れ出した都カントリーの前は、道路に打ち込んだH鋼と矢板で高い土留めが作られ、少しの雨では通行止めにならなくなったようです。



裏の崩落現場。雨のため心なしか溝が深くなっているような・・・。



五稜箸の制作は、木地削りの最終段階。
先を鉋で削り細く仕上げます。ストレートに細くしてしまうと腰が無くなり折れやすくなります。



そこでやや砲弾型に削りますが、先まで五角形に仕上げます。
ただ、漆の研ぎの段階で先は丸く整えます。



手で持つ部分の太さの調整と仕上げ削りで鉋掛けは終了。
この段階で角の面取りはせず、漆の研ぎの段階で軽くペーパーを当てます。
四角形や六角形の箸は面取りをしてないと痛くて使い物になりませんが、
五角形は箸を持つ指が作る角度に良くなじむので、面を取って無くても痛くないのです。



頭だけはベルトサンダーを使って、極低い五角錐に仕上げます。



木地が仕上がると捨摺り、木地が漆を吸う具合を見て塗重ねます。
この段階では拭き取らず、そのまま乾かします。
漆は浄法寺の裏目漆を使いました。



刷毛は、広重の乾漆刷毛。腰が強く、しっかりしているのでこの五稜箸のような小物の摺り込みには抜群です。


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小鉋の刃口埋め

2012-09-10 21:33:23 | 木工


五稜箸の鉋削りの前に、小鉋の刃口を埋めました。
今まではもう少し幅の広い鉋を使っていましたが、箸を削るために、千代鶴さんに作っていただきました。



赤樫を使い、蟻で仕込み木口を出します。接着はせず、ネジで固定します。



この鉋、刃口が広くなってしまったわけではありません。
箸のような細いものを削ったり、面取りに使うと台の中心部ばかりがすり減ってしまいます。
それを防ぐために木口を出して刃口を埋めます。
真鍮を貼る方が減りは少ないのでしょうが、台直しができなくなります。
この方法だと台直しが簡単にでき、台が減ってきたらネジを緩めて埋木を叩き出すことにより、刃口も狭くできます。
そのために、埋めた木も手に当たらない程度に長目にしてあります。



鉋削りの開始。鉋は2丁使います。荒削りと仕上げ削り、と言っても効率よく削るために、刃の出具合を変えているだけですが。



特に先は、鉋一削りで五角形の形が崩れてしまいます。
そのために仕上げに削る鉋は刃の調子をできるだけ低くして薄く削れるようにしています。
これで逆目も完全に止めることができます。
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