木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

十角箱その後

2011-06-28 22:48:52 | 
その後の十角箱

蓋の部材の拭漆にかかっています。今日は#400で水研ぎ。
今まで箱物は木地の段階で組み立て、その後拭漆をしていました。
内側の拭漆をある程度仕上げてから組み立てるのは初めての試みです。


これが十角箱のほぼ全部材。覆輪は入っていませんが・・。
うまく組立ができるのでしょうか・・。


こちらは昨日木地固めをした弁当箱。今日は底の隅に地を付けました・
水漏れの予防の役目もありますが、隅を洗い易くするためでもあります。



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弁当箱

2011-06-27 22:37:58 | 
一昨日届いた曲げ輪っぱの弁当箱、早速塗りにかかりました。

赤漆仕上げとするため、まずは蘇芳で染めました。


しっかり乾かしてから生漆をたっぷり吸わせて木地固め。


余分の漆を拭き取り、乾かします。目指すはワインレッドの弁当箱。

今まで蘇芳で染めて漆を塗ると、漆の色が濃くなってしまい、どうも思ったような仕上がりになりませんでした。

昨年12月に塗ったもの。
厚く塗りすぎたのだろうか、乾燥をもっとゆっくりした方が良かったのか・・・いろいろやってみましたが、どうしても黒くなってしまったのです。

先日、豊島さんに、「媒染液はミョウバンを使っている」とお聞きして、ふと思いつき、早速ミョウバンを買ってやってみました。

左がこれまでの媒染液を使って蘇芳で染め、生漆を塗って拭き取ったもの。
この媒染液は、「木に染めるのならこちらが良い」と染料店で勧められたものです。
右が媒染液にミョウバンを溶かしたものを使ったものを使って同じように染め、生漆を塗り拭き取ったもの。
これだけの違いがでました。もちろん、蘇芳で染めた状態では両方全く変わらす、漆を塗って初めておこる変化です。

今までつかっていた媒染液(浸染用アルミ液)の成分表示はありませんが、においからすると酢酸アルミニウムのようです。
それに対し、ミョウバンは硫酸アルミニウム。
どうも酢酸が影響しているように思い、大藪さんにいただいた本を調べてみましたら、漆乾燥材として酢酸アンモニアが使われていたことがわかりました。
そういえば、乾燥を遅らせようと、湿度の低い風呂にいれて乾かしても、6時間ほどで乾いてしまいました。
酢酸アルミニウムを使うと黒くなるのは、乾燥が促進されるためなのか、漆を黒くする化学反応が起こるためなのかはわかりませんが、これを応用することはできそうです。
そしてなにより、いままで胸につかえていたものが取れたような気分で、ちょっとすっきりしました。

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曲げ輪っぱ

2011-06-25 23:02:38 | 木工
信州奈良井の花野屋さんから荷物が届きました。


中身は、4月にお伺いした折りにお願いしておいた曲げ輪っぱの弁当箱。


娘が曲げ輪っぱの弁当箱が欲しいというので探していたものがようやく見つかったのです。
ミニサイズながら2段になっています。
早速漆を塗って仕上げます。


荷物の中には、そのほかにもいろいろ入れていただきました。
「塗って(塗り直して)使ってください。」という丁寧なお手紙が入っていました。
ありがとうございます。活用させていただきます。



三線の拭漆が完成しました。最終は手クロメ漆を使い、しっとりした艶に仕上げました。



最後は、工房裏の志津川を乱舞する蛍。(手持ち撮影なのでぶれていますが・・)
今年は例年になくたくさん飛んでいます。
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写真額

2011-06-23 21:15:22 | 

写真額。麦漆がすっかり乾き、捨て摺りも乾いたので、240番のペーパーで水研ぎ。
栃の縮みが浮き出します。


水分が乾いたら生漆を塗り、乾かします。


十角箱の蓋の天板の内刳りも2回目の研ぎ、だいぶ整ってきました。


こちらも漆を塗り、十分吸わした上で余分な漆は篦でとり、


風呂へ入れて乾かします。25度以上、約80%の風呂内温・湿度で数時間で漆は乾いてしまいます。
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屋久杉十角箱

2011-06-21 22:25:36 | 木工
屋久杉の十角箱に挑戦

まずは、手頃なタモの端材板で試作を兼ねて定規の作成。何とか角度が合いました。


身の側板に貼る黒柿の鉋削り。厚さ約1mmです。


黒柿を貼った側板を所定の角度に合わせて切断


角度の確認は組んでみます。良いようです。


雇核を入れる溝と底板を嵌める溝を突き、木口を正確に仕上げます。


組む前に拭漆をしておきます。


漆が乾いたら水研ぎ。3回ほど研ぎます。


その間に蓋の天板の内刳り。鑿と豆鉋を使い、木目を飛ばさないように慎重に掘ります。


こちらも組む前に拭漆をある程度まで仕上げておきます。
今日は湿度が高いので、漆もあっという間に乾いてしまいました。


三線の棹の拭漆も10数回を重ね、だいぶ仕上がってきました。
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呂色磨き

2011-06-16 23:31:01 | 

漆塗り教室で学んでいる本堅地呂色塗り手板の呂色磨き、最終の段階になり、工房に持ち帰ってすることにしました。


磨く面に菜種油を塗り、ティッシュペーパーで拭き取りながら磨きます。


油がほぼ拭き取れた状態で呂色磨き粉を少し付け、手のひらで磨きます。


しばらく磨くと一層深い艶に仕上がってきます。まさに漆黒の吸い込まれそうな深い艶です。


長方形の手板も磨きました。
この段階まで来ると、駿河炭での研ぎで、いかに傷が残らない研ぎが大切だったかがよくわかります。


上摺りをして乾かし、最後の磨きにかかります。

昨年5月に漆塗り教室にお世話になって約1年かかりました。と言っても漆教室は月3回ですから一年で36回。
木地固めから始まり、布着せ、地付け2回、地空研ぎ、くくり錆、錆付け2回、錆研ぎ、中塗り、中塗り研ぎ
呂色漆上塗り、呂色研ぎ、呂色仕上げ等の工程を表、裏、縁とするのですから1年かかるのは当然。
それぞれの工程の中に、岩淵先生の、目から鱗の技がちりばめられていて、本当に勉強になりました。
次は蒔絵。さらに椀や箱物の下地、塗り・・・まだまだ学びたいことが山ほど。
木工もしたいことが山ほど、もっと時間が欲しい!!

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写真額の制作2

2011-06-11 21:59:56 | 木工


写真用額縁、まずは留(45度)に切断。
額縁の場合、角にちぎりを入れる挽き込み留接ぎにするのが普通ですが、せっかくの杢にちぎりが入るのはなんとも無粋なので、雇い核を入れることにしました。


一分半の角鑿で溝を掘り、


鑿で整えます。角鑿では正確な穴をあけることができません。
先日左久作さんにいただいた薄鑿を早速使わせていただきました。


こちらも、昔左久作さんに作っていただいた一分半の追入鑿。




溝に合わせて雇い核を作り嵌めます。


接着には麦漆を使いました。
今回の麦漆には、生漆でなく、クロメ漆を使ってみました。
その方が乾燥が速い、とどこかのサイトで見たことを思い出し、試して見ることにしました。


幅広の輪ゴムで固定して、漆風呂で乾かします。
木片をこの麦漆で接着したテストピースをいくつか作り、乾燥具合を確認します。
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写真用額

2011-06-07 21:46:37 | 木工


漆の仕事もだいぶ進み、合漉椀も中塗りに。


赤漆で仕上げる猪口と曲げ輪っぱを蘇芳で染めました。


今日から写真額の制作にかかりました。母の写真を入れる予定です。
材は縮み杢栃の栃。拭漆仕上げにします。まずは鉋をかけ木作り。


ついでに3つ制作し、秋の作品展でも展示します。


続いて縁の丸みを削り出します。杢を生かすために単純な形にします。
まずは平の小がんなで荒削りをして、


内丸鉋で仕上げていきます。
どこまで削るかわかるよう、木端に鉛筆毛引きで線を入れておきます。
ルーターを使えば簡単なのですが、ルーターではおそらく逆目が立ち、ひどいことになるでしょう。


なかなか難しいのですが、できるだけ皆同じ曲面になるよう仕上げます。
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今日も漆三昧

2011-06-06 22:18:31 | 
このところ、漆の仕事の毎日です。

まずは、スプーンと箸の仕上げ塗り。クロメ返し漆の塗り立て。柄の先の部分を塗って完成です。


続いて足付き盆の内側の朱塗り。外側は呂色漆の塗り立てです。今日は内側の朱塗り。


クロメ返し漆に朱を入れてよく練ります。


塗りや節上げの練習を兼ねた修理です。


続いて三線の柄の拭漆。
きれいに仕上げられていると思っていましたが、木地固めをしてみると、かなり鑢傷が残っていました。


そこで、600番の耐水ペーパーで研ぎ、鑢傷を取りました。


糸蔵の入り隅も研いで仕上げました。


新潟産の生漆を塗り


拭き上げました。鑢傷が無くなりきれいになりました。乾かして摺りを重ねます。


写真は撮り忘れましたが、この他、合漉椀や茶托の摺りをして、最後は

この手板の呂色磨き。漆教室の宿題?です。

わずかの油と呂色磨き粉を付けて手のひらで磨くと

鏡のような光沢になります。深みのある呂色仕上げの艶は良いものですね。

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三線拭漆

2011-06-04 22:08:14 | 

三線の棹の拭漆の仕事をいただきました。
三線の棹を間近で見るのは初めてです。高名な方の作で、真黒と呼ばれる黒檀でできています。


漆を塗る前の準備として、漆が付いてはいけない部分はマスキングテープを貼り養生します。


糸巻きの部分。糸蔵の内側にマスキングテープを貼り、


唄口は木マスキングテープを巻いた木片で埋め、


糸巻きの穴は発砲ウレタンを丸く切って埋めました。


胴に挿す部分は、発砲ウレタンで被い、糸蔵を埋めた部分を支える台に乗せるようにしました。
仕上げがやや粗い部分をペーパーで整え、準備完了。


日本産の生漆を塗り、よく吸わせた後拭き取ります。


風呂へ入れて乾かします。
乾いたら木地の状態を見ながら、ほど良い艶に上がるよう研ぎと摺りを重ねていきます。




一方こちらは、四方棚の修理。
錆で埋め、生漆で固めた割れ目の外側にマスキングテープを貼って生漆で固めた部分を軽く研ぎます。


マスキングテープを外し、もう一度生漆を差して軽く拭きます。
乾かして、いよいよ最後の色合わせになります。

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