木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

赤漆

2010-11-30 22:09:41 | 
楓の香合とペンダントを赤漆で仕上げるてみることにしました。

蘇芳で染めるのは初めてのことです。

普通は木地の段階で染めるのでしょうが、捨て摺り、水研ぎを重ねたので、
600番での水研ぎの終わった段階で染めてみました。
蘇芳の液を塗り、媒染液で発色させました。


しっかり乾かしてから生漆を塗ります。左端は拭漆で仕上げる楓の小皿


生漆を塗り、しばらく置いて綿布で拭き切りました。


どんな仕上がりになるか楽しみです。



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木地師発祥の地へ

2010-11-26 21:24:40 | 木工
永源寺を出て向かったのは、永源寺町蛭谷にある、木地師資料館


筒井神社の境内にあります。


館内には、木地師にかかわる歴史的文書や木札、各地から寄せられたろくろ製品などが展示されていました。

展示室の一画には手回しろくろも展示されていました。

案内していただいた小椋さんが実際に回して見せて下さいました。
この手回しろくろは、材を固定する爪以外は、ほとんど木でできていました。
その昔木地師たちはこのろくろを担いで良材を求めて山から山へ渡り歩いたのだそうです。


こちらは鉋、などの刃物。
小椋さんからもいろいろなお話を伺う事ができました。

そこから更に奧の君ヶ畑へ

ここで一軒だけろくろをしている、小椋昭二さんの工房をお訪ねしました。


ご自宅は展示場になっていて、お盆などの作品が並べられていました。
小椋さんは元々木地師ではなく製材所をされていたそうですが、40歳ころから独学でろくろを学び今日に至っているそうです。


工房では、実際にろくろで木地を挽いて見せていただきました。
楽しくお話を伺っていると時間はあっという間に過ぎてしまいました。小椋さんありがとうございました。

帰り道、この地に木地挽きの技を伝授した惟喬親王の御陵に寄ってみました。

御陵は、君ヶ畑から百済寺方面に抜ける県道脇の杉木立の中にひっそりと佇んでいました。


今は訪れる人も少なく、過疎化の進む山村ですが、かつてこの地が木地師の里として大いに賑わい、ここから全国各地に散らばった木地師により、その伝統が脈々と引き継がれていると思うと、雄大な歴史の流れを感ぜざるにはおれませんでした。
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永源寺~木地師発祥の地へ 

2010-11-25 23:13:01 | その他
前から一度訪れたかった木地師発祥の地へ、永源寺の紅葉を見がてら行って来ました。

まず、永源寺へ。
平日なのに愛知川を隔てたバス駐車場には観光バスがいっぱい。たくさんの観光客が訪れていました。


永源寺の紅葉は、盛りを少し過ぎたところ。


でも、まだまだ美しい紅葉が楽しめました。


満天の紅葉


法搭前の紅葉はひときわきれいでした。


今年は猛暑で葉が焼け、美しい紅葉は期待できないと思っていたのですが、近年に無い色づきだそうです。
久しぶりでりに美しい紅葉を満喫、木地師の発祥の地へ向かいました。

つづく

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2010-11-24 21:22:49 | 
最近記事が少なくなりましたが、遊んでいるわけではありません。
各種椀その他小物の塗りや拭漆の作業の繰り返しです。


拭漆の途中の、中次、香合、小皿、ぐい呑み、羽反椀、合漉椀等々
進度はばらばらなので、どこまで進んだかしっかり確認しながら進めています。



これは、先日、杉テーブルをお納めした、Mさんが丹後から見えた際にご注文いただいた、仙才椀の木地。材は欅です。
一番上の写真にある羽反椀をご覧になり、5客注文をいただきました。


捨て摺り1回目は、磨きろくろの真空ポンプで引きながら生漆を塗ります。
導管の中までしっかり漆を吸わせ、丈夫な椀にするためです。
暫く置き、木地が漆を吸ってしまった部分には更に生漆を足しながら様子を見て、できるだけ導管に漆を残しながら均一に刷毛でのばし、拭き取らずそのまま乾かします。
その後漆風呂に入れ、1週間ほどかけて中までしっかり乾燥させます。

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座卓脚納品 そして「バロックな月夜」

2010-11-21 22:02:11 | 木工
丹後の上世屋へ、完成した座卓の脚部納品に行って来ました。


以前納品したテーブルの天板を乗せ、座卓としてもお使いいただきます。


テーブルと並べて見ました。
Mさん、大変遅くなりましたが、ありがとうございました。


この日、いーポート世屋しおぎり荘では、「バロックな月夜」と題して、井幡万友美チェンバロコンサートが開かれました。

夕日が宮津湾を幻想的に照らす頃


チェンバロコンサートは始まりました。


この日のコンサートは、「透き通るように美しい月光の夜に、イタリアワインのグラスを傾けながら、チェンバロの音色に耳をすます」という企画
井幡さんの美しいチェンバロの音色にうっとり聞き惚れながら、


さらに、イタリアワイン・ソムリエの石井龍さんのワインについてのお話とサービスも楽しみました。

そして、コンサートの後は、

三条木屋町のイタリアンレストラン”京都ネーゼ”のシェフによる一晩だけの里山ビュッフェ


生ハムと、ここの地元でとれた食材をふんだんに使って作られたイタリア料理も絶品。
何とも贅沢な夜を過ごすことができました。


朝目覚めると、宮津湾は朝日に輝いていました。
いーポート世屋「しおぎり荘」の、音楽と里山ビュッフェのこの企画、今年初めて会員となり、3回参加しました。
美しい自然の中で、日本でもトップクラスのミュージシャンの演奏と、趣向を凝らした里山ビュッフェ。
すばらしい時間を過ごさせていただきました。支配人のSさん、ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。。
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杉座卓用脚が完成しました

2010-11-16 20:54:25 | 木工
制作が遅れている座卓用脚


オイルがやっとしっかり乾いたので、フェルトとゴムを貼りました。
脚の下には、床を傷つけないようにフェルトを、上には天板の滑り止めにゴムを貼りました。


これで完成です。Mさん大変お待たせしました。20日に納品させていただきます。

こちらは毎日大活躍の集塵機

10年以上経ち、吸い込みがやや悪くなったので上のフィルターを換えました。


新しいフィルター。不織布でできており、オリジナルのものに比べだいぶ厚めです。


機械を運転しても、しわが残ります。それだけ空気の透過率が高いのでしょう。吸い込みが強くなったように思います。


こちらは集塵用ポリ袋。透明なので中がよくわかります。
このまま出せますので、布製の袋からビニール袋に移す、あの腰の痛くなる作業が無くなります。
使い捨てですが、回収すれば2~3回は使えそうです。



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携帯用茶箱修理

2010-11-15 22:03:48 | 
このところ漆の仕事が続いています。


これは、携帯用茶箱の修理。竹で編み、内側に布を貼り、外側は漆を塗っています。
妻手側の側面から底にかけて、他何カ所か虫に食われた跡がありました。


穴を地で何回かに分けて埋め、錆で表面を整え、黄口の顔料と弁柄で色を合わせて漆を塗りました。
最後に全体に摺漆をして完了の予定です。


こちらは楓の中次。拭漆で仕上げます。
一番左は、赤漆のペンダント。


話は変わりますが、先週の金曜日、野田芳直さんの個展に行って来ました。
場所は、大原花尻の森にある芳直釜。


ここはヤブツバキの群生で有名。落花したツバキが地面を覆う様子は実に見事だそうです。


小さな社の裏には、欅の大木。直径は2m以上あるでしょうか。今まで見た中では一番太い欅のような気がします。

野田さんの個展はこれで2回目ですが、前回同様作品の美しさに大変感動しました。
美しさと同時に作品に込めた野田さんの思いが伝わってくるようです。
眺めているだけで良い気分になり、いつまでもそこにたたずんでいたくなります。
居心地が良く、気が付けば3時間もおじゃましていました。
聞かせていただいた、作品作りについてのいろいろなお話は、これからの制作を進めていく上で大変勉強になりました。
野田さん、本当にありがとうございました。


ほしかった野田さんの作品、今回初めてコーヒーカップをいただきました。
帰ってから、拭漆で仕上げた栃の皿に乗せ、早速炒りたて、挽き立てのコーヒーを入れてみました。
仕事の合間に実に贅沢な時間が持てますね。


芳直窯を出て次におじゃましたのは、婆佐羅さん。
この日から11月28日までの会期で「漆器展」が開かれていました。
年に一度の漆器展、お椀、木皿などの漆器が店内いっぱいに並べられていました。

その中で見つけたのがこれ、

江戸時代後期に作られたという木地目合鹿椀。
合鹿椀というと高台の高い大ぶりの椀を思い出しますが、あれは飯椀、それと同時に汁椀やこの写真のような小降りの椀も作られていたそうです。


素朴な作りですが、なかなかきれいな形をしています。


それとよく似ていますがこちらは、飛騨五郎八椀。
合鹿地方から飛騨に移り住んだ木地師が挽いたものだそうですが、詳しいことは知りません。


もう一ついただいたのが、江戸末期の桑名塗小皿。
桑名塗と言うとかぶら盆が有名らしいですが、この小皿のもかぶらの絵が描かれています。

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椀の下地

2010-11-11 22:30:13 | 


1回目のオイル(リボス社のメルドスハードオイル)をしっかり乾かした後、2回目のオイル塗装。
2回目は同じくリボス社の〈クノス〉という、撥水性の強いオイルを使いました。
数日かけてしっかり乾かした後、フェルトや天板の滑り止めのゴムを張り完成です。


こちらは作品展でご注文をいただいた、仙才椀。
漆のみでの下地が終わり、生漆で摺りをして漆の吸いを止めます。


導管もほぼ完全に漆で埋まりました。


3回摺りをすると吸い込みが完全に止まり、艶が出てきます。
乾かして中塗りに入ります。


こちらは高仙才椀と羽反椀。
320番の耐水ペーパーで水研ぎし、水分を乾かした後生漆を塗ります。


拭き取らずにそのまま漆風呂に入れて乾かして、次は400番で水研ぎします。
耐水ペーパーの番手を上げながらこれを繰り返すことにより、木地の導管を漆で完全に埋めます。
こうすることにより、下地を強固に固めます。

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奈良へ

2010-11-09 22:18:34 | その他
お椀をご注文いただいたTさん宅への納品に久しぶりに奈良へ行って来ました。
Tさんありがとうございました。いろいろお話をお聞きし、楽しいひとときを過ごすことができました。


納品を済ませ、平城旧跡へ。


平城遷都1300年祭の最中に一度来てみたいと思いつつ果たせず、今日になってしまいました。
訪れる人もまばらで、広い駐車場もガラガラ。土産物店や食堂などの撤去作業が行われていました。


大いに賑わった(らしい)大極殿の中もゆっくり見学でき、ガイドボランティアの方から平城旧跡の成り立ちや当時の様子、建築にまつわる秘話?まで詳しくお話をお聞きすることができました。
そのお話が実におもしろく、まるでテレビの歴史番組を見ているようでした。
期間中に来ていたのでは、こんなにゆっくりお話は聞けなかったことでしょう。


これからここの発掘や復元がどう進むのか、楽しみでもあります。


その後は、国立博物館で開かれている正倉院展へ。
ここも10分程度並んだだけで入館できました。
ただ、一番人気の螺鈿紫檀五絃琵琶だけは間近で見るために館内で30分の列。
それはパスして、裏の螺鈿を中心に鑑賞しました。

1300年も昔、大極殿や東大寺などの巨大建造物からこの琵琶や宝物のような精巧なものまで製作した当時の工人の技術力に触れ、人間の能力と美意識の偉大さを改めて感じました。
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杉座卓用脚組み立て

2010-11-06 19:19:58 | 木工
遅れている杉テーブルの座卓用脚。


残っていた、貫に仕上げの鉋をかけました。
貫には杉とブラックウォールナットを使い、テーブルとデザインの共通性を持たせました。


仕上げの鉋かけが完了。


接着剤を入れ、組み立て。あて木をしてゴムハンマーで叩き込みます。


クランプで締めて糊を乾かします。


組立が完了。


脚はこの向きに2つ置き、その上に天板を乗せます。
Mさん、もう暫くお待ちください。
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