木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

「一木一優」作品展打ち合わせ会

2011-08-31 22:02:58 | 木工
今日は、当工房で京都木工芸同好会「一木一優」の作品展に向けての打ち合わせ会。


11時から始まった打ち合わせ会。昼食をはさみ、当日の運営についてや作品の制作状況など交流しました。


打ち合わせの後は、研修・交流会。
今回のテーマは、作品の仕上げ方や、塗装について。
拭漆についてだけでなく、オイル、柿渋、ウレタン塗装、蜜蝋ワックスなどを使った仕上げの技法やコツ、道具・材料の入手先等、お互いの経験を交流し学びあいました。
岩kさんからは、液だれのしない容器(酒器)の特許申請の許可が下りたことと、
その木口を完全に埋め、食品を入れても安全なウレタン塗装について、いろいろ研究してきたことを報告してもらいました。

昨日までの作業台は、会議テーブルに早変わり。それを囲んでお茶を飲みながら話がはずみます。
楽しい話は果てしなく続き、気が付けば外は真っ暗。
まだまだ話足りない思いを持ちながら解散したのは、夜の8時でした。
皆さん、遅くまでご苦労様でした。
作品展まであと2ヶ月足らず。まだまだ暑い毎日が続きますが、身体に気をつけて頑張りましょう。

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囲炉裏風テーブル天板 鯱留 

2011-08-30 22:01:24 | 木工
囲炉裏風テーブルの制作もいよいよ佳境に入り、炉縁(天板)の鯱留に取りかかります。

まずは、留めの胴付を決鉋(しゃくりかんな)で正確に削ります。こちらは左勝手。


こちら側は右勝手を使います。


すべて仕上げて仮組み。胴付がきっちり付くことを確認。


この段階で、鉋を掛け、目違いを払いほぼ仕上げてしまいます。
暑い日中の鉋掛けはなかなか厳しいものがあります。汗がポタポタとしたたり落ちます。


いよいよ鯱道の掘り。
やや傾斜をつけて横切り盤で切り込みを入れ、斜めに溝を掘ります。
櫛形決鉋は3分。平出さんに注文して送っていただきました。
3分では広すぎますので、刃の幅を2分5厘に落としましたが、まだ広いようです。


あとは鏝鑿で掘っていきます。


一組が完成。


試しに細木を削って軽く嵌めてみました。OKのようです。
この鯱栓、叩き込んだら抜くことができません。従って、実際に利かせるのは、最後の組み立ての時だけなのです。

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炉縁 鯱留のほぞ加工

2011-08-29 22:21:34 | 木工
ちょっと不安を感じながらも、炉縁の鯱留のほぞの加工に取りかかりました。

墨に沿って、昇降盤でほぞを切ります。ほぞは相欠きで嵌めるので、中心の墨が正確でないと目違いが生じます。


ほぞ穴を角鑿盤であけましたが、留めを切ってみると、あけられたほぞ穴はごく一部でした。
あとは手で掘らねばなりません


ほぞの幅は4分。手持ちの穂と首の長いのみを総動員。4分以下の鑿はほとんどが薄鑿・・・。
3分の叩き鑿は、首の両脇を口金までグラインダで削って細くしました。それでも穂先から口金まで12cm程。
これでは、鑿だけで掘るのはちょっと困難。
もっと首の長い穴屋鑿でもあれば良いのですが・・・。


いろいろ考えた結果、ほぞ穴の一番奥の部分だけドリルで下穴をあけ、側面は鋸で挽くことにしました。


この大型畦引き鋸、昔、田中米吉さんに特別に打っていただいたものです。
これで道をつけ。


最後は、普通の大きさの畦挽き鋸で深く挽き込みます。
というと簡単そうですが、縦引きを短いストロークで正確に挽いていくのはなかなか根気の要る作業です。
この鋸は、高見澤秀一郎さんからいただいたものです。目立てをして大切に使っています。


鋸で穴の側面を挽いた後、鑿で少しずつ落とし必要な深さまで掘りました。


仕上げは突き鑿。千代鶴貞秀作です。欅がサクサク削れます。


ほぼ完了。最終の詰めは鯱道を掘ってからになります。


すべて完了したところで一度仮組みしてみました。


少し目違いはありますが、ねじれもなく納まり、一山越えたという感じです。

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日野へ

2011-08-27 23:10:40 | その他
久しぶりに仕事を休み、妻の実家の日野へ。
義母、叔父、叔母と昼食に行きました。


5人で食事に行ったのは初めてのこと。
行った先は、日野町の寿志屋さん。200年の伝統を持つ料理旅館です。
ゆったりした座敷のテーブル席で、いろいろな話に花を咲かせながら、おいしい料理をいただきました。


食事のあと館内を見せていただきました。


この衝立は、ここのおばあさんの使っていた帯を使って作ってもらったのだそうです。
何とも言えない良い雰囲気に惹きつけられました。


奥座敷につながる数寄屋作りの廊下と庭。とても落ち着いた雰囲気でした。

ここ日野は日野商人の発祥の地。
町のどこそこにも、そして義母や叔父叔母の人生にも、その歴史が流れていることを改めて感じました。

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炉縁

2011-08-26 21:10:07 | 木工
次は炉縁(天板)の制作


機械で削った欅材を正確に寸法取り。
仕口は、「鯱留」にしてみようと思います。
この、「鯱留」というのは、「違胴付留ホゾ差鯱栓接(ちがいどうつきとめほぞさししゃちせんつぎ)」といい、松本家具に使わる技法です。
昔世話になり、亡くなられてからほとんどの道具をいただいた指物師の高見沢秀一郎さんが得意としていて、昔よく話してくれました。
木工をはじめてから、是非一度やってみたいと思っていた仕口です。

まずは、端材を使って試みて見ました。

両方の部材に相欠きのほぞを堀り、胴付きを留めに切り、留めに反って鯱道を堀ります。


ほぞを差し込み、鯱道に鯱栓を差し込みます。


鯱栓を軽く叩き込むと、留めがぴったり付き、鯱栓を抜かない限り外れることはありません。


炉縁も鯱留を使ってみることにしました。


早速墨を付けて見たのですが・・・・


ここで手が止まりました。ほぞ穴は何で掘ったら良いのだろう?


炉縁は幅が180mmありますから、ほぞの深さは150~160mmほしい・・・
角鑿盤で掘れる深さはせいぜい7~8cm。
向待鑿でも12cm程度。
・・・・確か家に長い薄鑿があったはず、あれが使えるのでは・・・まあ何とかなるでしょう。

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囲炉裏風テーブル

2011-08-25 22:05:14 | 木工

この囲炉裏風テーブルは、できるだけシンプルな造りにするため脚と幕板に炉縁(天板)を嵌めるだけの構造にしました。
従って幕板と脚の接合は強固なものにしなければなりません。
さらに、作品展への搬出入、およびその前後の収納を考えると分解できる構造にしておく必要があります。
いろいろ考えた末に思いついたのがこんな接ぎ手です。


ほぞは、小根付きの3段のほぞと2段のほぞにし、脚の中で通し違いにしました。
こうすることにより、「先組み」や「留め先差し」(これらはいずれも1段のほぞ)と比べ、ほぞの長さも長くでき、ずっと強固な接合ができます



緩くなく、かといって堅すぎないように嵌合度を調整。


幕板の仕上げ削り。


さらに幕板は大入れにして、より強固な接ぎ手にします。


脚に、鉄炉を入れ、炉縁を嵌めるための必要な加工をして部材の接ぎ手加工が完成。


仮組みをしてみました。


特注の鉄炉が届きましたので、早速入れてみました。
この鉄炉、鉄板の厚みが2.3mmあり、焼き付けの耐熱塗装がされています。


うまく収まりました。これに炉縁(天板)を嵌めれば、強度は完璧です。たぶん。


一度分解して、脚の仕上げ削りをします。いつものとおりやや胴張りに仕上げました。
午後からの雨で蒸し暑くなり、4本の脚を仕上げると、シャツもズボンも汗でドボドボになってしまいました。
仕上げは拭漆にします。

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「糾う魂」牛田光男油彩展のDMが届きました。

2011-08-23 22:15:55 | 木工
平塚の牛田さんから、DMが届きました。





牛田さんとは、昨年10月1日、みやこメッセの美術工芸ギャラリーの申込の時はじめてお会いしました。
当日、朝早くから事務所前に並んで順番を待っている時にいろいろお話をうかがい、それ以来のおつきあいです。
5月、東京三越でひらかれた伝統工芸木竹展にも足を運んでいただきました。


封書に「作者からの一言」が添えられていましたので紹介します。
展覧会を今から楽しみにしております。

私達の「一木一優」の作品展は10月末
テーマコーナーに出品する「囲炉裏風テーブル」の制作に取りかかりました。
お盆前に荒木取りだけしてしておいた欅材。
動きを見て、木作りをしながら構想を再検討。

その結果を図面に反映させ、


寸法取りをします。


接ぎ手の墨を付け


接ぎ手の加工へと進みます。
接ぎ手は、3段ほぞと2段ほぞを脚の中で通し違いにします。
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椅子 拭漆

2011-08-22 22:31:24 | 
お盆前に捨て摺りをしたタモの椅子を、240番の耐水ペーパーで水研ぎしました。


塗ってから3週間近くになりますので、さすがに良く乾いています。
座板の平らな面は、エアーサンダーで研ぎました。


座の刳った部分は平らなサンダーでは研げませんので、手で研ぎます。
今までペーパーでの研ぎは、円を描くように研いでいましたが、漆塗り教室岩淵先生に教えていただいてから研ぎ方を変えました。
平面でも曲面でもムラ無く、楽に研ぐ事ができます。


これは笠木の研ぎですが、まず、斜め方向に直線的に往復させて研ぎます。


全体を研ぎ、研ぎ泥をぬぐうとこんな感じです。


次に60度くらい角度を変えて、同じように研ぎます。


先ほど研ぎ残っていた部分がほぼ研げました。


最後は木目に沿って往復させて研ぎます。


きれいに研げました。
研ぎのコツは、曲面の中の平面に近いところを見つけ、できるだけ早くペーパーを往復することにより、高い部分の頭から研ぐようにすることです。
手で円を描く時のような手首の返しが要らないので、楽に、早く研ぐ事ができます。


すべて研ぎ終えました。3時間ほどかかりました。
水分が乾いたら2度目の捨て摺りをします。


これは先日花野屋さんに注文した曲げ輪っぱの弁当箱。
大きさを変え、1段のものと2段のもの、4種類の木地を送っていただきました。


そのうち2組は蘇芳で染めました。手前はついでに染めた栃の小皿。


2組はそのまま木地固めをしました。


蘇芳で染めた曲げ輪っぱの木地固めと小皿の捨て摺り。
曲げ輪っぱは拭き取っていますが、栃の小皿は木口にも漆をたっぷり吸わせ拭き取りません。


風呂の中が久しぶりにだいぶいっぱいになりました。

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椅子修理

2011-08-21 22:19:06 | 木工
東京のIさんより、3年前、お納めした椅子の座板に隙間ができた、と連絡をもらい、修理のために送り返していただきました。


梱包を解いてびっくり。3年間経つのに、目立った傷もありません。丁寧につかっていただいたのがわかり、うれしい限りです。


座板の開いた箇所はここ。糊がきれて2mmほど開いています。
材はホワイトアッシュ。乾燥した材を使ったのですがこれほど動くとは・・。
おまけに、貫を座の支えも兼ねて座板のすぐ下に入れたのですから、こうなっても仕方がありません。
未熟さのなせる技です。
ただ、糊が弱かったので、板が割れることがなかったのが救い。


修理は同じ材で隙間を埋めて拭漆をやり直します。
ホワイトアッシュの板を隙間の合わせて薄く削り、


隙間に合わせます。


これを座の掘りに合わせて成形してはめ込みます。


糊は今回は麦漆を使いました。


はみ出た麦漆は良く拭き取ります。


座板の裏も同じように板をはめ込みました。


クランプで軽く締めて乾かします。
麦漆が良く乾くのを待ち、拭漆にかかります。

こうした失敗は次の制作への教訓にもなります。
これ以降の椅子では、座板の材質を選び、良く乾燥したやや厚めの材を使う。
貫を座板から離したり、背板の形状を変えることにより、座板の動きに対応できる構造にする。
などの改良を加えてきました。




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同窓会 蓼科~八島湿原へ

2011-08-20 22:21:53 | 故郷信州にて
初盆が済み、17日は大学時代のサークルの同窓会に参加するため蓼科高原へ。
今年は、メンバーのI君の紹介で、トヨタ車体の蓼科山荘を使わせてもらいました。

玄関前で記念撮影。
設備が良く、温泉付き、おいしい食事に、気持ちの良いサービス、そして低料金。
本当にすばらしい宿でした。


夕食後は、夏休みの特別イベントとして、地元の保存会による諏訪神太鼓の演奏。
勇壮な太鼓にしばし酔いしれました。


懐かしい話から、大震災、原発まで、話は夜遅くまで尽きませんでした。
今回は、新潟、東京、静岡、名古屋、三重、京都、岡山と広い範囲から12名が参加しました。
来年はほとんどのメンバーが定年を迎えます。



翌日は、霧ヶ峰高原の八島湿原へ足をのばしました。
ここを訪れるのは、30年ぶり位。


遊歩道もきれいに整備され、爽やかな高原の風に吹かれながらゆっくり散策。


ヤナギランが行く夏を惜しむかのように風にゆれていました。

ここでめずらしい蝶に出会いました。

アサギマダラ


マーキングはされていませんでしたので、捕獲される前のようです。
この身体で1000kmもの渡りをするというのですから驚きです。


途中で、ガイドをされているお二人にお会いし、いろいろ説明していただきました。
その中で、


これはハバヤマボクチ。
この葉をつなぎにつかったのが、幻の「ボクチそば」(富倉そば)。
来年スキーに行った時、是非食べてみたいですね。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、昼食後来年の再会を誓って、それぞれ帰途につきました。
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