木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

吉岡棟梁がみえました

2009-06-29 22:47:59 | 木工
2日前、神戸の吉岡棟梁から「栃の材を持って工房へ行きたい」という電話をいただきました。
それが今日になり、トラックいっぱいに栃や栗の材を積んで、次男の雅哉君と一緒に来てくださいました。

その栃の板がこれ、

幅1m以上、長さ4.6m


厚さ10cm 全面縮み杢 木の反りほとんどなし
3月に吉岡さんの工房におじゃました時見せてもらった材ですが、こうして見るとその大きさに圧倒されます。
さすがにこれは小生の手に負えるものではないので
一緒に積んでこられた共木で座卓を作らせていただく事にしました。


共木といっても
長さは4.6m、一番広いところが90cm以上あり、末が少し細くなっていますが、座卓が3つはとれます。しかも厚み8cm近くあり、全面縮み杢。
置き場所がないので3枚に切って工房の中に入れました。


そのほか、同じ栃の端材も。
端材と言っても幅が60cm以上はあるのです。
5~6年以上前奈良県の山奥で伐採された原木を買われたものだそうです。

吉岡さんが工房にみえたのは初めて。砥石や道具、作品を見ていただいきながら、いろんなお話をお聞きしました。
吉岡棟梁の木材に対する造詣の深さにはいつも驚きますが、それは営林署の放出する天然木の入札権を得て、ありとあらゆる木材を原木から挽いて使ってこられた経験の上に立っているものなのです。
もちろん棟梁としても研ぎや道具を使う腕もまさに超一流。
プレカットがほとんどの昨今ですが、天然木の材を刻んでの家作りを今でも中心にし、時には弟子の修行のために採算を度外視ししてでもプレカットを使わず家を建てる事もあるそうです。そういう棟梁なのです。
会ってお話を伺う度に、もの作りや木にたいする姿勢など学ばせていただいています。
雅哉君に「そんな親方の元で修行できるなんて幸せだね」と言うと、「すごすぎてついていけない。」と言う返事。
でもしっかり受け継いでいますよ。

時間はあっという間に過ぎ、話に夢中になり、写真を撮るのをすっかり忘れてしまいました。
持ってきていただいた栃と栗で座卓や文机、盆など作らせていただきます。
吉岡さん、ありがとうございました。


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ステンドグラス入りドア その3

2009-06-27 21:16:19 | 木工
ドアの作成 一番のポイントの框(縦の部材)と桟(横の部材)のほぞの調整です。


ステンドグラスをはめたり腰板をはめる部分は額縁状に仕上げるためその部分だけ留め(45度)にする、面腰ほぞというほぞにします。
留めの部分は材の厚みに合わせた留め定規を作って鑿で削ります。


ほぞの堅さの調整とともに、面腰ほぞの場合は、胴付きと留め(45度の部分)がぴったり合うように調整します。


調整が済み仮組


この段階で目違いを払います。
今回は木作りの際、桟(横の材)の厚みを框より少し厚くしておきました。
こうすると目違いをはらうのに框(縦の材)を削らなくて済みます。
前回の衝立を作った時の教訓です。


これで完了。
もう一度分解して、ステンドグラスや腰板を嵌める小穴をついたり、額の部分の加工に入ります。
ドアの中に置いてあるのは、ほぞを抜くためのあて木
ほぞの表面積が広いので、これを框に嵌めて大玄翁で叩かないとほぞは抜けません。
それにしても大きなドアです。重さもまた格別。

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ステンドグラス入りドア 制作開始

2009-06-26 21:39:13 | 木工
ステンドグラス入りドア、ブラックウォールナット材の動きを見ていましたが。
あまり動きがないので、制作に取りかかりました。


反った部分を再度削って平面を出し、寸法取りをして墨を付けました。


角鑿盤でほぞ穴をあけました。
ほぞ穴が深いので、角鑿を元までいっぱい使いました。


ほぞは、ペティーワークが使えないので、ほぞ厚は昇降盤(丸鋸盤)で切りましたが、ほぞ幅は手で挽きました。


ペティーワークを使い出す前は、これでほぞを挽いていました。
信州諏訪の田中米吉作8寸両刃鋸。
もっぱら縦挽きに使ったので、縦引きの方が減っています。


ほぞは、小根付き2段ほぞです。


面腰ほぞにするので少しやっかいです。
胴付きの当たる部分も鋸で挽き、鉋と鑿で仕上げます。


留め(45度)は留め定規をつくって仕上げます。
材が大きく重たいので取り回しが大変です。
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部材用ワゴン

2009-06-24 21:22:21 | 木工
ドアに使うウォールナット材の動きを見ながら、その間に次の作品の設計や木取りを並行して進めているのですが、困ることがひとつ。


狭い工房なので、木取りした部材の置き場がないのです。
そこで、部材を置くワゴンを作ることにしました。


これはオークションで購入した中古のハンドリフター


レバーを足で踏むとテーブルが上がります。


テーブルが汚いのでコンパネでカバーを作りました。
このように作業台の上までテーブルが入るのもgoodです。


ワゴンはこの上に乗せ


木取りした部材を乗せたり、運んだり使い勝手はいろいろ。
高さも変えられるので乗せたりおろしたりも楽ちんらくちん。
もちろん、大きな作品を載せて、機械の間の狭い通路を出口まで運ぶこともできる優れもの。
満足!満足!!・・・自己満足!

ところで、工房のインターネットが約10日ぶりに開通。
ADSLなのですが、局から6.8kmもあるのでおそいことおそいこと、その上しょっちゅう切れる。
そんな折、宣伝の電話に乗せられて他のプロバイダとADSL回線に変更。
工事に伴う不通期間は1~2日と思っていたのが1週間以上かかってしまいました。
その甲斐あってちょっと速くなりました。


実用的にはまあ十分です。

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サンチュ収穫!

2009-06-23 19:12:57 | その他
おとなりのKさんに苗をいただいて植えたサンチュが立派に?育ち、2回目の収穫をしました。


どうです、結構とれたでしょう。
無農薬、有機栽培。家庭菜園ならでは、です。
これにサンチュ味噌を付けて食べる味は格別です。


夏野菜もこのところの暑さと雨で、茄子以外はだいぶ大きくなりました。

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栗下駄箱 納品

2009-06-21 22:13:36 | 木工
栗の下駄箱を納品させていただきました。
マキノ町のYさんのお宅は


マロン街道から少し入った別荘地の


栗の木立の中にひっそりたたずむ


すてきなログハウス


手入れの行き届いた庭には色とりどりのきれいな花が咲いていました。


その玄関に納めさせていただきました。

ちょっと飾っていただくと

壁の額や蔓で作った自転車ともうまくマッチできたようです。

廊下から見ると、

Yさんに気に入っていただき、とてもうれしく思いました。
その上、手作りのごちそうまでいただき、楽しい時を過ごさせていただきました。
Yさん、本当にありがとうございました。

天気が回復してきたので、帰りにちょっと足を伸ばして

マキノ高原へ
ここは冬はスキー場になるところ。一度も来たことはないのですが、昔あったと聞いていたリフトも今はありません。
広大な芝生の広がりが何ともさわやかでした。

その後は琵琶湖へ

岸辺にはカルガモが二羽遊んでいました。

そっと近づきましたがカメラを向けると

飛び立ってしまいました。


梅雨の晴れ間の琵琶湖の眺めもまた何とも言えぬ心地よさ。
本当に良い1日でした。
Yさんありがとうございました。


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人工乾燥材

2009-06-20 21:07:08 | 木工
ステンドグラス入りドア
今回もブラックウォールナット材を使うことになり、木取りをしました。
手押し鉋で一面を平らにして、バンドソーで厚みに余裕を持たせて挽いたところ・・・


反りが・・・

一方木表側を挽いたものは・・・


半分に挽いたものは

いずれも、木裏、木表に関係なく内側に反ります。
人工乾燥で自然乾燥で到達する平衡含水率(15%~12%)以上に乾燥させた材(10%以下)が大気中の水分を吸い、材の外側の含水率が上がった結果ではないかと思われます。
問題は、この後の材の動きです。
新しく出た面が大気中に置かれることにより平衡含水率に達してこの反りが戻るのか、それともこの状態で固定してしまうのかです。
ちなみに反った内側に何度か水を付けてみましたが、それで戻ることはありませんでした。
通常の家具等でしたら材の組み合わせで動きを一定押さえることはできるのですが、建具の場合はそうはいきません。
しかもこのドアを注文してくださった野沢温泉パトロール隊員のSさんのお家は雪深い丹後。
こうなれば焦らず、幸い?明日あたりから雨が続くようですからしばらく湿気の高い状態の中で様子を見てから判断することにします。
Sさん少し遅れますがご容赦を。

木工をやっていて一番やっかい?なのがこの木の乾燥によるくるいです。
特に最近の冷暖房の入る室内では、平衡含水率が10%以下になってしまうということも起こります。
自然乾燥で十分乾燥した材でもくるいが生じます。もちろん、冷暖房がなくても日本の四季の中で12%から18%くらいの変化はあるようですが。
なかなか難しいですね。


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掘り出し物

2009-06-19 21:09:56 | 道具
パルスプラザで開かれている「京都大アンティークフェア」に行ってきました。
これで2回目。行きたいと思いながら、なかなかいけませんでしたが、今朝思い立ち行ってきました。金曜日というのに大勢の人で賑わっていました。
会場を一通り見て回り、見つけた掘り出し物?はこれ。


古い漆刷毛です。
約2寸の広い幅の刷毛が5本、5分から1寸の狭い幅のものが5本。全部合わせて、広い幅の刷毛の今の1本分以下の値段。それをさらに値切って・・・。


皆周りに和紙を貼り、漆を塗って固めてあります。5分は未使用。
どれも今の市販品と比べると長い。本通し途中で接いでいますので。時にその必要があって長くしているのかもわかりません。
厚みはやや薄手。特に2寸の幅の刷毛はかなり薄いです。

毛の根元が漆で固まっているので、切り直しすることにしました。


漆で固まってしまっている部分を切り落とし、塗師屋包丁で慎重に切り出します。
漆の刷毛は毛を漆で固めてあるので、このままでは使えません。


まず、ぬるま湯を付けながら、金槌で叩いて漆で固められた毛をほぐします。
ところがこの刷毛、最近の刷毛に比べると漆が硬いこと。
あまり強く叩くと毛が折れてしまうので加減しながら、根気よく叩くこと約30分
やっとほぐれて来たので、次はゴミ出し


もち粉を水に溶いて良くかき混ぜのり状にしてそれを付けて定盤の上でもみ、篦で突き出します。
これを繰り返して、固めてあった漆のかすや折れた毛を洗い出します。
実はこの刷毛の仕立て方法、黒田乾吉先生に教えていただいたのですが、その時使ったのはもち粉ではなかったような気がするのです。
「一度火を通しα化した米の粉」と言っていたように記憶しているのですが、それが何だったか・・・。
まあ、糊状のものなら何でもでも良いとは思うのですが・・・。


こちらは6分の刷毛。腰が強いので、箸の捨て刷り用に先をとがらせずに切り出しました。


4本ほぐしましたが、今の刷毛と比べて毛の腰が強いように感じます。
使うのが楽しみです。

今日はもう一つうれしいことがありました。
夜、大学時代のサークルの同窓生のハチロー君から電話をもらいました。電話の中身は、ブログを見てくれてその感想。
その昔「芸大を目指せ」と美術先生に言われたほどのハチロー君から、作品の写真を見てのお褒めの言葉。
写真ですからよく見えたのでしょうが、うれしかったのは、「今までやってきたことが作品の基になっているように思う。」と言ってもらったこと。
33年間、養護学校や聾学校で障害のある子ども達の教育に携わり、その中で学んで来たことを、もの作りや作品に生かしたい。
具体的にはどうしたらよいのかわかりませんでしたが、そこに自分が木工芸をする意味がある、そんな思いをもって昨年早期退職してこの道に進んだのです。
まだまだそんなところに至ってはいないのですが、ハチロー君がそう感じてくれた事は何より大きな励みになりました。
ハチロー君ありがとう! 

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千代鶴貞秀作 鉋

2009-06-17 22:43:06 | 道具
先日千代鶴貞秀さんが工房に見えた時、焼き戻しをお願いした鉋の刃が戻ってきました。



一番右は、勝秀銘虎印の鉋、一番左は頭が烏帽子型、銘は打ってありません。真ん中は貞秀の刻印。
いずれも昭和40年代以前に作られた鉋だと言うことです。





研ぎあげて、元の台に収まりました。

今日は、次の制作にかかるまでの時間が空いたので、久しぶりに一日鉋の研ぎをしました。
もちろん制作中も鉋で削っては研ぐの繰り返しなのですが、昨日拝見した、大工のはんなりさんのブログからヒントを得たので確認をしたかったのです。


そのため、研いでは刃先を顕微鏡で見て、試し削り の繰り返しでした。


これは100倍の顕微鏡で見た研いだ刃先。
刃こぼれのないところを選んで撮影していますが、通常の研ぎの状態です。
顕微鏡の付属のライトを刃先の方向から当てると、刃先がわずかに光っているのがわかります。
これがなかなかとれなかったのです。砥石はマルカの中では少しやわらかめの石。
名倉はかけずに水をたっぷり使って研いでいます。
通常の鉋がけではこの状態でほとんど問題なく良く切ルのですが・・・。


そしてこちらは持っている砥石の中で一番硬い石に名倉をしっかりかけて研ぎ泥を出して研いだもの。
こちらも刃先方向からライトの光を当てているのですが、刃先はほとんど光っていません。
目から鱗ですね。

今日のもう一つの実験?は、栗板の天日干し
今日で丸3日干したので、様子を見てみました。


まず含水率は、同じ場所ではじめが15.8%でしたから、3%近く減っていました。


材の収縮は、幅320mmの場所で1mm縮んでいました。


材の反りは、木裏を太陽光に当てて干していたので、木裏方向にやや反っています。
明日は木表を日に当てようと思いますので、反りは大きくなるでしょう。
農家の方には申し訳ありませんが、明日天気になーれ!



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栗下駄箱 完成

2009-06-15 21:50:44 | 木工
栗の下駄箱 オイルの匂いもほぼ抜けたので、扉を取り付けました。


本当は昨日納品のお約束でしたが、当方の都合で一週間延ばしていただきました。
Yさん、勝手を言いまして申し訳ありませんでした。

この下駄箱についての能書きを少し。
外側は玄関のイメージに合うよう、栗の一枚板を贅沢に使いました。
取っ手は、ワンポイントのアクセントになるよう神代欅で作りました。
直線で構成される家具特有の堅さを和らげるため、天板の木端と木口、帆立(側板)木端にはわずかな丸み(手ずれ面といいます)を付けています。

中は四段、一番下の段は半分に区切り、長靴などを入れる時半分ずつ棚板を外すこともできるようにしました。
背板には下駄箱内の匂いや湿気を抜くためのスリットをあけています。


右のスペースは、棚の間隔を狭くし、スリッパ入れとしても使えるようにしました。棚板を外せば、ロングブーツもOK。
一番上には抽斗を付けました。玄関に小さな抽斗があるとなにかと便利だと思います。

Yさんお待たせしました。次の日曜日には納品させていただきます。


次は、Mさんの郵便受けの準備
材は水に強い栗を使うことにしました。
問題は直射日光にさらされるという課題をどうクリアするか。
日光による灼けはやむを得ないとして、一番の問題は乾燥によるくるい。
それなら、作る前からくるうだけくるわしてしまったらよいのではと思いつきました。

人工乾燥にかければ簡単なのですが、そんな設備はないし、電子レンジにも入らないので・・・

栗材を使う大きさに切り、荒削り。割れ止めに木口にボンドを厚く塗ります。


ボンドが乾いたら、木口にドリルで浅い穴をあけます。
これは、木口にボンドを塗ってしまうと乾きにくくなるので、乾きを調節するため。
神戸の吉岡棟梁に教えていただきました。


変化を見るため、材の幅や、今の含水率を測定して記録しておきます。

そして

天日干し。板の天日干しは初めてです。
納品が7月なので、これから2~3週間天日にあて様子を見ます。
どういう事になるのか楽しみです。

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