木工芸・漆・道具        

 木肌の美しさに惹かれ、指物の伝統技術と道具に魅せられて・・・・・ 木工芸 市川 (宇治市炭山)

再び信州へ 続き

2011-04-29 23:25:17 | 故郷信州にて
諸手続や家の片付けを済ませ、京都への帰り道、

立科町の津金寺に寄ってみました。
このお寺、702年に行基によって開かれたという古いお寺で、天台宗最古の談義所(学問寺)だそうです。
この仁王門は1813年に再建、未完の仁王像には伝説が残されています。


本堂の観音堂は元禄時代に再建されたものです。


5分咲きのしだれ桜が美しい境内を抜け、お寺の裏山へ回るとそこは自然探勝園となっていました。、


カタクリをはじめとして山野草がいろいろ咲いていました。


ちょっと盛りは過ぎていますが、特にカタクリの群生はみごとです。


裏山の中腹には、鎌倉時代に造立された、滋野一族の法統が佇んでいました。


お寺の入り口近くに立つ杉の木は樹齢900年。その堂々とした威容は実に見事でした。


津金寺をあとに、和田峠を越え、諏訪に。

高島城址では、満開の桜が咲き誇っていました。


諏訪湖の対岸に沈む夕日。

旅は続き、翌日は塩尻から木曽へ。

木曽平沢で訪れたのは、滝沢商店。漆の材料を扱っているお店です。
その昔、真弓の篦木を購入したことがあり、一度寄ってみたいと思っていたお店です。


案の定ありました、真弓の篦木。そして今回は地元で採れるサビ土もいただいてきました。
お店のご主人から、いろいろお話も聞かせていただき、大変勉強になりました。


木曽平沢の隣は、奈良井の宿。ここを訪れるのは初めてなのです。
妻籠ほど有名ではありませんが、その分素朴な味わいが残っています。


そのうちの一軒、中村邸。奈良井宿の典型的な家の作りで、資料館になっていて見学ができます。


ところで、ここは、今放映中のNHKの朝ドラ「ひまわり」ロケ地になったところ。
ドラマに出てくる、「あめや」にこの中村邸が使われていました。


もう一つ、奈良井での目的は、曲げ輪っぱの木地を手に入れること。

曲げ輪っぱを作っている「花野屋」さんを見つけ、購入してきました。
娘に頼まれていた弁当箱の木地は後日送っていただくことになりました。
ここでもいろいろお話を聞かせていただきました。

その後、権兵衛トンネルを越えて伊那へ出ました。
かんてんぱぱホールで開かれている、「小椋栄一、石本愛子 二人展」を見るためです。
小椋さんの作品は、日本伝統工芸展の入選作をはじめとする生前の作品が多数展示されていました。
素材の美しさと、それを引き出している轆轤の技術、特に何とも品のある曲線の美しさはすばらしかったです。
また、石本さんの、主に沈金の技法を用いたパネルや器、茶器なども独特の品と美しさを感じました。
この展覧会は5月8日まで開かれています。連休に信州方面にお出かけの方は必見です。




コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

再び信州へ

2011-04-27 22:35:19 | 故郷信州にて
母の49日の法要と納骨に、先週より信州へ帰省していました。


帰省途中、清里高原からの八ヶ岳赤岳。
多少の春の気配はあるものの山はまだ冬の装いでした。


故郷の町の千曲河原。こちらは梅が満開を過ぎたところ。


土曜日、孫を中心に集り、母の納骨を済ませ、寂しいながらもちょっとホッとしたような・・・。


葬儀に参列できなかったので、と東京から駆けつけていただいた私の又いとこのYさんを駅までお送りした帰り道、
子どもの頃よく遊んだ羽黒山の上り口に立つ庚申塚では、桜が咲き始めていました。


翌日は朝からの快晴に誘われて千曲川辺を散歩。

前夜の雨は、山では雪になったようです。


咲き始めたしだれ桜と八ヶ岳。実にきれいでした。

この日は時間があいたので、隣町の小海高原美術館で開かれている、

フィンランドと日本の生活デザイン展『木の椅子』を見に行ってきました。
ここ、小海町では、昨年小海フィンランド協会が設立され、様々な取組が計画されています。
フィンランドの木の椅子と、日本の椅子が展示されていましたが、フィンランドの椅子が少し少なかったのが惜しまれます。


途中通った、八千穂高原スキー場。営業は3月で終了していますが、まだ雪はたっぷり。
私のホームゲレンデとも言えるようなスキー場なのですが、ここ数年は冬に来る機会がありません。


帰りに少し足をのばし、新海三社神社へ。
古来佐久地方の総社と言われている神社で、訪れたのは小学校の遠足以来です。


拝殿の前には欅と桧の巨木が向かい合って立っています。


社殿の後には、なぜか三重の塔が。
元来は隣にあった神宮寺の塔として室町時代に建立されたもので、神社の宝庫として使われ、明治の廃仏毀釈での破却を免れた、と案内板に書いてありました。


その後、桜を見ようと龍岡城五稜郭に寄ってみました。
まだ3分咲と言うところでしたが、お堀をバックにした桜は何とも言えない風情があります。


その中でも、高遠から贈られたコヒガンザクラは満開を迎えていました。


今回は、お堀に沿って内側の土手を一回りしてみました。
城跡は小学校として使われているにもかかわらず、お堀にも柵一つないのがとても印象的でした。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漆風呂テストその1

2011-04-20 21:01:19 | 木工
完成した漆風呂のテストの内、ヒーターに関しては気温が低い時でないとテストができません。
そこで早速やってみました。


朝9時頃の工房内と漆風呂内の温湿度。
上が工房内、下が漆風呂内。漆風呂の方が気温が低いのは、外気温が少しずつ上がってきているためだと思われます。


ヒーターのスイッチを入れ、1時間ほど経った温湿度。
温湿度計とコントローラーは風呂の前面に固定しました。


風呂内には別の温湿度計を置いて測定。1台は上の棚右側に、もう1台は下の棚の左側に設置。


上の段は、19.4度、湿度75% 


下の段は、19.7度、湿度70% でした。
温湿度計の誤差は、温度が1度、湿度が5%となっていましたので、温湿度の分布状況はまずまずだと思います。
湿度が若干低めなのは、外気温との差が少ないので、ヒーターがあまり熱くならず、水分の蒸発が少ないためだと思われます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漆風呂 完成

2011-04-19 21:33:40 | 木工

鏡板を嵌めて扉をの組み立てました。糊が乾くまでハタガネで固定。
その後、仕上げの鉋をかけ、取っ手、丁番の取り付けをしました。


扉の取り付け完了。取っ手はウォールナットで長いものにしました。


気密性を高めるため、扉は相欠きにしました。


内側には、棚板の受け桟を3段付けました。これで木の仕事はほぼ完了。


温度と湿度管理のため、パネルヒーターと湿度供給のためのバットを置きました。


手前が温度コントローラー。風呂の上にあるのは内部の温湿度を測る温湿度計。
上の値が部屋の温湿度、下の値が風呂内の温湿度を表示します。


ヒータの温度センサーと温湿度計のセンサー。


ヒーターを20度に設定し、しばらく置くと、温度は20.3度、湿度は75%を示していました。
今後、風呂内の温湿度の分布状況の測定や、ヒーターを入れない場合の加湿方法の検討などをしていこうと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

扉の制作

2011-04-17 22:28:16 | 木工

扉の框材には栂を使いました。木作りして墨を付け、ほぞの加工が済んだ状態。


ほぞは面腰ほぞ。


仮組みしながら、留を微調整します。


仮組みの段階で鉋をかけ、目違いを払ってから鏡板をはめる小穴を突きます。


切り面は、ルーターで荒削りしたあと、切り面鉋で仕上げます。


仕上げの鉋をかけ、組立の準備ができました、が、今日はここで時間切れ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漆風呂組み立て

2011-04-15 23:07:36 | 木工
漆風呂の組み立て


まずは帆立(側板)から。框に鏡板(杉板)をはめ込んで


組み立てて、ハタガネで固定。


このまま一日固定し、糊を乾かします。


つづいて背板を嵌めて全体の組み立て。


もう一方の帆立を嵌めて


ハタガネで固定。


糊が乾いたら起こして地板を貼ります。
棚受けの桟を付け、天板を貼れば本体は完成。扉の制作に移ります。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漆風呂試作

2011-04-12 20:48:44 | 木工
ヒーターを使って温度、湿度の管理がしっかりできる中型の漆風呂を試作してみました。
本当は暖かくなる前に作って試したかったのですが、遅れてしまいました。


材料は框部が栂材。木作りをして墨を付けます。


角鑿盤でほぞ穴を空け。


ほぞを切ります。


板は、杉の集成材を使う予定でしたが、手に入らなくなってしまいました。
そこで、行きつけの材木店で見つけたの幅の広い杉板を、削って接ぎ合わせることにしました。


帆立(側板)は2枚。背板は3枚接ぎ合わせました。


框組の仮組み。OKです。


板の厚みの10,5mmの小穴(溝)を突いて部材の加工が完了。


板の接着剤が乾いたら、板の大きさを切りそろえて組み立てにかかります。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「一木一優」作品展打ち合わせ会

2011-04-11 21:58:28 | 木工

先週の土曜日、当工房に京都木工芸同好会「一木一優」の仲間が集まりました。
秋に行われる「木工芸・漆作品展」に向けての打ち合わせと研修・情報交換をしました。
詳しくはこちらをご覧下さい。
久しぶりに集まり、木工や漆のことなど、時間の経つのも忘れて楽しく語り合いました。



このところの暖かさで、里より少し遅い炭山の桜もようやく満開になりました。
今年は満開の桜を見てもなぜかいつものように心が晴れないのは、未曾有の大災害と、あの忌まわしい人災の原発事故のためでしょうか、それとも、2年ぶりに引いてしまった風邪のためでしょうか。

昨日は無理せず、五稜箸の研ぎをしました。

先週生漆を塗り、すっかり乾いた五稜箸。


240番の耐水ペーパーで、1回目の水研ぎをしました。



楓の縮みが現れてきました。


最後に頭の部分も、浅い五角錐に研ぎます。


21膳分を研ぎ上げました。水気を乾かして、生漆を塗ります。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

工房の片付け

2011-04-08 21:28:20 | 工房
作品の発送が済み、ちょっと一息。
昨日は急に思い立ち、午後から物置内の材料の整理をしました。
間口3m、奥行き2.6mの比較的大きなスチール倉庫を使っているのですが、中は一杯でどこに何があるのやらわからない状態。


途中、建てかけであった材が倒れ、背中から頭を直撃! そんなハプニングもめげず頑張りました。
整理すればもっと入るのでは・・・と思ったのが甘く、結局は細かな材が入りきらず残ってしまいました。


そして今日は、昼から工房内の整理と清掃。
明日ここで、「一木一優」の作品展に向けての打ち合わせ会が開かれるのです。


夕方までかかって、やっときれいになりました。


作業台が明日はテーブルに変わります。



どうです? きれいになったでしょう。
えっ、それほどでもないって。そんなことないですよ、なんせ、入り口まで床が見えるようになったのですから。
これで、身をよじりながら歩かなくても済みます。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漆三昧

2011-04-04 22:51:39 | 
今日は一日漆の仕事。
まずは短冊箱の内側の拭漆。(写真を撮るの忘れました。)


つづいて、五稜箸の捨て摺り(木地固め)


生漆をしっかり吸わせます。
材は比較的漆の吸いの少ない楓ですが、刷毛でたっぷりめに生漆を塗ってしばらく置くと結構よく吸ってくれました。
刷毛で何回か伸ばし、拭き取らずそのまま風呂に入れて乾かします。



次は、合漉椀の拭漆。摺りも5回目になるとほとんど吸わなくなります。
ちなみに、五稜箸の捨て摺りに使った漆は、この合漉椀10客に塗った漆の量の約3倍でした。


昼からは、漆ぬり教室の宿題の手板の中塗り

塗る漆は黒中。漉し紙で漉して使います。


中塗りを一度した後、駿河炭で研いで平面を出し、塗り重ねます。


ヘラで漆を配った後、刷毛で均一にのばして仕上げます。


これらの手板で、布着せ、紙着せ等による本堅地の稽古をしてきました。
この作業にかかったのが昨年の5月。月3回の教室で、片面ずつの作業ですから、ここまでの工程は20以上になります。
漆ぬり教室岩淵先生のご指導で、単に手順や方法だけでなく、漆や素材・道具、手や心の使い方など、本当にいろんなことを学ぶことができました。
仕上げは、真塗りおよび、呂呂色仕上げにします。まだまだ学びたいことがたくさんあります。



こちらは、一閑摺りの隅切り銘々盆(裏)
油煙を入れて練った生漆で摺りを重ねていきます。




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする