かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

今更ながら新刊感想文「未来の白地図」

2006-01-08 22:35:30 | マリア様がみてる
 あんまり早く書くとネタばれになってしまいそうですし、他に日記に書きたくなるようなネタが無い日に取り上げようかと思っていたのですが、そうしていると思っていたよりずっと時間がたってしまいました。今日は、北朝鮮の拉致事件を巡る官房長官の発言とか日航の整備ミスとか秋田県の雪害陸自出動要請とか色々取り上げてみたい話題もありますが、この辺で書いておかないと々も気になってしょうがないので、忘れない内に書いておきます。
 
 さてこの本、もちろん発売日当日にしっかり購入してその日の内に読み切ってしまったのですが、読後感を一言であらわすと、

「?」

でした。
自分は何か読み方を間違えたのかしらん? と早速読み返すこと2回、都合3回立て続けに読んだのですが、やっぱり最初感じた違和感というか、妙に割り切れない不満くすぶり状態が解けませんでした。
 巷間随分指摘もあってSSネタにもされている誤植が気に障ったわけではないのです。そんなもの、このシリーズではある意味付き物ですし、文章がまるっきりおかしいというならともかく、漢字の間違いくらいで意味が分からなくなる訳でもありません。もっとも、幾ら安い文庫だからって編集担当は手抜きしすぎだとは思いましたが・・・。

 それよりもこの違和感は何なのか、とつらつら考えてみるに、一つは可南子と瞳子の仲がいきなり親密になっている事。「あの」瞳子が振りきれないほど可南子が瞳子の心を掴みきっているのが実に不思議でした。前々巻の「スール・オーディション」でさらっと現れた以外は、本巻の柏木のセリフで推測できるのみ。そのうち事情説明のための短編か何か出てくるのかも知れませんけど、今の段階であの関係を脳内補完で理解しろと言われても、どうにも受け容れがたいものがあります。

 とはいえ、これはお話その物を左右するほどの違和感ではありません。むしろ違和感大きかったのが、瞳子に対する、祐巳突然の妹申し込みでした。いえ、妹申し込みが悪い訳じゃないのです。そして、瞳子がお断りしたことも悪くないのです。これは拍手喝采を送りたい待望のシーンだったのですが、ここでの祐巳の行動があまりに刹那的というか、唐突すぎて、一体祐巳の心のどんな動きがあの行動を起こしたのか、がどうにも私には理解できかねたのです。せっかくここまで読者を焦らして来たというのに、その大事な場面がすとん、と拍子抜けしてしまったみたいに感じたのでした。冒頭で家出した瞳子が祐巳の家に「避難」した所や祐巳の部屋に行くことを拒絶したシーン、あまりに鈍感な祐巳に苛立つ乃梨子を叱る志摩子のお姉さまぶりなどは読んでいて大変面白かっただけに、少し引っかかりが強く意識されてしまいます。

 とまれ、瞳子家出の原因もまだ判りませんし、前作でも本作でも披露された柏木の意味深な話など、まだ明かされない謎が多々ある中、次はそのあたりも整理しつつ晴れて瞳子が祐巳の妹に納まって、すっきりした読後感のある話になってくれることを期待いたします。

コメント
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