かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

一度はやってみたかった『怪獣物』を実現したのも、今回の目玉の一つです。

2009-07-26 21:48:06 | Weblog
 さあブログをつけよう、と思ってブログサイトを開き、何気にカレンダーを見てみましたら、なぜか23日が未投稿になっていました。7月は3日に投稿できず、年明け以来続けていた連続投稿が途絶えてしまいましたが、それ以外はきっちり忘れず書き込みに精を出していましたので、23日未投稿、はありえません。そこで確認してみましたら、例によって書くには書いたものの、下書き状態でアップせずにブログを閉じていたことがわかりました。たまにやるミスですが、こんな後になって気づくのはちょっと珍しい気がします。とにかく改めて公開でアップしなおしましたが、当日にアップしそこなったのに今更空白日を埋めると言うのは、どうもなんとなく後ろめたい気もいたします。

 さて、今日の連載小説更新は、いよいよクライマックスでスペクタクルなシーンになります。私はとにかく巨大怪獣が好きで、やはり幼少時に薫陶を受けた東宝特撮を初めとする怪獣ものやウルトラマンに代表される巨大ヒーローの影響が色濃く、できるだけばかでかいものや、大規模な破壊シーンを描きたくて仕方ないところがあります。「麗しき、夢」の巨大智盛や「夢都妖木譚」の夢の木、「円光地獄変」の戦艦大和、「夢封じ」の大ムカデ、「悪夢の純情」では未遂に終わりましたけど東京を壊滅状態にしようとしましたし、「夢都-平成編」では、京都の町を粉々に砕いてみました。そして今回、ターゲットを大阪に定め、そのシンボルとも言うべき建物を最終決戦地に選定して、悪夢と麗夢ファミリーのバトルを描くことにしたわけです。
 この巨大ROMちゃんは、構想当初から設定していたもので、この作品で描きたかった事の一つが、これだったのです。そのイメージは、ずばりゴジラ! 大ムカデとかマンモスフラワーならぬ巨大サボテンとか書いてきましたけど、やっぱり一度はちゃんとした怪獣(笑)を書いてみたい、という願望をぬぐうことが出来ず、とうとうこんなかわいらしい怪獣を描くことになってしまったわけです。この後も怪獣ROMちゃんの活躍(?)が続きますが、その部分はかつて観てきたゴジラの雄姿を創造しつつ、筆を進めました。もっとも、今見直すとゴジラと言うよりキングコングのパロディっぽくなってしまってますね。これは、物語の展開上必然的にそうなってしまっただけで、書いている当初は、無意識的にはともかく、意識の上ではキングコングはあまり考えておりませんでした。
 ネタバレになりますが、設定の基本は初代ゴジラですので、怪獣はROMちゃん一体。対抗する巨大麗夢ちゃんとか円光さんとかは出てきません。ウルトラQよろしく、麗夢ちゃんファミリーの知恵と勇気と団結でいかにこの怪獣ROMちゃんと対峙するか、をお楽しみいただきたいと思います。でもいずれ機会があったら、巨大ヒーロー物な話も考えてみてもいいかもしれませんね。

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10 巨大怪獣 その1

2009-07-26 09:56:58 | 麗夢小説『向日葵の姉妹達』
 巨大な火柱が桜之宮公園を真昼に変えた。
 と同時に漆黒の瘴気が渦を巻き、突風を伴って公園内を席巻した。
 既にJR桜之宮駅構内はじめ、帰路についていた祭参加者130万人の目が一斉に振り返った。
 中には、花火が終わったと思ったのは早合点だったか、と慌てて踵を返した者もいるが、大多数の人々は、堪能した花火よりもはるかに高く沖天を焦がすその火柱に、漠然とした恐怖を抱いた。
 まだ公園付近に残っていた人々は、その火柱を中心に、突如発生した強烈な風にあおられ、吹き飛ばされた。
 大勢の男女が目の前の安治川に放り込まれて盛大な水しぶきをあげ、あるいは根こそぎにされた木やバラバラに砕け散る屋台の残骸に巻き込まれながら突き転がされていく。プロパンガスのボンベが衝撃で爆発し、ショートした発電器が、自身奇怪な燭光を放ちつつ飛び去っていく。
 円光自身、あっと思ったときには、既に10mも吹き飛ばされ、無理矢理そんな残骸の中に叩き込まれていた。それでも辛うじて受け身をこなして着地するや、殺人的な勢いで突っ込んでくる残骸や人体を避けてその火柱を見た。
 円光はこの突風に辛うじて耐えた柳の木に寄り添いながら、強風をものともせずに目を見開き、今は瘴気に包まれ姿が見えなくなったシェリーの姿を追い求めた。
(迂闊だった)
 と円光は無念のほぞをかんだ。
 ようやくにして思い出したのだ。あの、天真爛漫な悪魔の姿を。
 麗夢と二人でようやく倒した魔の姿をどうして今まで思い出すことが出来なかったのか。
 ひょっとして、女子中学生にやられそうになったと言うことが、自身の記憶にある種の封印を強いていたのかも知れない。
 そう。あの少女の名前はROM。
 ドリームハッカーを名乗り、人の夢を喰らい尽くしてやまない狂ったコンピューターの産物。
 それがどうして実体を得て現れたあげく、こうしてシェリーを拉致するまでに至ったか。
 それは円光には判らない。
 だがこの禍々しき力の漲りは、心を挫かんばかりな負の圧力はどうであろう。
 かつて、屋代邸で対峙したスーパーコンピューターグリフィンとは比較にならない強烈さではないか。下手をすると智盛並みの、いや、智盛すら凌駕するとんでもない化け物が現れるかも知れない。
 円光は上空はるか見上げつつ、その信じがたい想像に思わず呼吸が乱れるのを必死で抑えていた。
 やがて、大阪の街に立ち並ぶ高層ビルよりも高く上がった火柱が、さっきまでの花火と同じく、頂点から細かい光の粒子となって崩れだした。オレンジに輝く中心部も、次第に色あせて透けてくる。同時にその柱の中に、ちょっとしたビルディングほどもある奇怪な影が浮かび上がった。影は薄れゆく光の中で徐々にはっきりした形をなした。
 袖の膨らんだピンク地に赤い格子縞のワンピースと真っ白なエプロンドレス。
 ボリュームのある金髪の上にそそり立つピンクのリボンが二柱。
 大きな目とあどけない唇は無表情に辺りを睥睨し、真っ赤な靴が大地を踏みしめた。
 それは、身長数十メートルにも及ぶ、巨大なROMの姿その物であった。
(あ、あれは!)
 思わず息を呑んだ円光は、目ざとくその巨大ROMの胸の辺りに気が付いた。
 何かを大事に抱え込むように胸の前に組まれた手の中に、シェリーを発見したのである。
 円光は無意識に拳を握りしめ、今は地上30mの高みに離れた少女の姿を凝視した。
 ぐったりと脱力しているのを見ていると、もはや絶命しているのではないか、と不吉な予感がふとよぎる。だが、と円光は頭を振ってその予感を振り払った。まだ死んだと見極めがついたわけではない。
(しかしどうやって助ければよい? あの巨体をかいくぐり、どうすれば……?)
 円光が思案する間もなく、ROMの巨体が蠢きだした。南向きの巨体が、公園の木々を蹴散らしながら一歩足を踏み出す。その先には、別名錦城の名を戴く天下の名城が、夜目に輝く優美な姿を、夏の夜空に誇示していた。
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