かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

実験室でブラックホールを作ったニュースが、やたら難しいのに何か面白いです。

2016-08-17 21:06:00 | Weblog
 本日の最高気温は32.9℃。この数字だけ見ていると昨日までの暑さが少し落ち着いたかのような錯覚を催しますが、実際には、昨日からの雨が今日の9時過ぎくらいまで残り、もうもうと立ち込めた水蒸気の中で気温が上がったので、不快度や消耗度は昨日とは比べ物にならないレベルの「暑さ」になりました。昨日はまだ運動すると汗が止まらない、というものでしたが、今日は立っているだけで汗が噴き出してくるという難儀さです。もっとも、1日曇りがちで苛烈な日差しがなかっただけマシだったのかもしれません。この濛気の中であの日差しが差し込めば、たちまち辺りは天然サウナに変身! そこにいるだけで熱中症間違い無しな環境になっていたことでしょうから。今夜もかなり蒸し暑い夜になるそうなので、万全の暑さ対策を施して、少しでも健やかな睡眠を確保する努力を致しましょう。

 さて、イスラエルの科学者ジェフ・スタインハウアーが、7年の歳月をかけて音響的な事象の地平面を生み出し、その振る舞いを観測した結果、スティーブン・ホーキング博士が1974年に発表した「ホーキング放射」に似た現象を観測したと発表、これを持って人工的なブラックホールを創り出したとするニュースがネットに出ていました。真空中では、何も存在しないところから1対の粒子が常に発生してはすぐに結合して消滅する(対消滅?)のを繰り返していますが、ブラックホール至近の事象の地平面では、片方の粒子がブラックホールに捉えられて落ち、もう片方が外へ逃げて行く可能性があります。その、逃げていく粒子の片割れが、外から観察すると、あたかもブラックホールから放射されたエネルギーに見えるはずで、このエネルギーを
ホーキング放射と呼ぶのだそうです。今回の実験では、光すら捕われる超重力を生み出したわけではなく、ガスを絶対零度近くまで冷却してチューブ内に流し、ある位置でそれをレーザーを使って音速以上に加速させることで、音響的な事象の地平面を生み出したとのことです。この音響的な事象の地平面に一対のフォノン(音子、音響量子、音量子)というものを発生させ、フォノンの片方がブラックホール側に捕われ、もう片方があたかもブラックホールから放射されたように移動したのを観測したそうで、この時、特に高エネルギーのフォノンのペアは量子的なもつれの状態を示すことも判明、これを持って、ホーキング放射の重要な証拠となる特徴だとスタインハウアーは主張しています。
 なかなか面白い実験だと思ったのですが、そもそもフォノンって何? というところで引っかかってしまいました。その語感や実験方法から、音声にまつわる何らかの粒子なのか? と思ったりしたのですが、ウィキペディアなどで見ている限り、どうも想像とは違うもののようで実はよくわかりません。理解できればまたおもしろみも違うんでしょうが。
 まあ少なくとも、大宇宙に散財する天然のブラックホールと違い、この実験で生み出されたものは、かなり色々な条件を制限した中で擬似的にそれらしい性質を示す物を生み出した、ということのようです。従って世界を終わらせるような危険なものではなさそうですし、その割にブラックホールの振る舞いを一部とはいえ観察できるというのなら、中々面白いツールになるんじゃないかと思われます。


コメント
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