日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本。国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

年金を減らし介護要件を厳しくすることで、官僚は日本をどんな社会にしようとしているのか

2018-01-29 10:27:20 | 社会保障
厚生労働省は26日、2018年度の公的年金の支給額を今年度と同額に据え置くと発表した。総務省が同日公表した昨年1年間の消費者物価指数の総合指数は、前年度比0.5%上昇した一方、過去3年分の賃金が平均で0.4%減だった。この場合改定ルール上、年金支給額は据え置かれる。

政府は賃上げを実現するはずだったが失敗しむしろ賃金は下がった。この責任を自分ではとらず、そのまま年金生活者に押し付けたのがこの結果である。

年金制度は様々な改悪をされ、今後物政府の思惑通り物価が上がれば、物価が上がっても年金支給額は上がらず(現役世代の払う年金はそれでも上がりつづけるが)、結果的に年金は減額されつづけ、20年もたては小遣いに毛の生えた程度になってしまうだろう。

介護保険もしかりである。40歳すぎれば多額の介護保険相当分を負担させられ、65歳をすぎれば少ない年金からびっくりするくぐらいの介護保険料を引かれるが、一方で利用しにくにように改悪されつづけている。

利用者負担を重くする施策がここ数年、次から次へと繰り出されてきた。
1.要支援1、2のホームヘルプ(訪問介護)、デイサービス(通所介護)は保険からはずされ市町村の事業に、2.特別養護老人ホームへの入居は原則要介護3以上の人に、3.所得にかかわらず1割だった自己負担は一定所得以上の人は2割に、4.非課税世帯でも預貯金が一定額あれば、介護保険施設の食費や部屋代の補助は打ち切り等々

 そして今年決定したのが介護保険利用者の「自立支援」である。介護保険サービスの利用が必要なくなった状態を「自立」と呼び、介護保険から「卒業」させる動きである。

結局のところ、年金にしろ介護にしろ誰にでも訪れる老後に対応し安心して生活する為のものであり、必要性に応じて始まった制度であるが、現在高齢者の増加による財源不足の脅威に直面している。

これに対し、官僚主導の政府の対策は、当初の目的を軽視し支出を減らすことに終始しているとしか思えない対応を繰り返している。

このまま官僚の短絡的な視点で社会保険が改悪されつづければ、日本は高齢になり収入が無くなったり、介護状態になれば座して死を待つしかない社会になってしまう。

「生活に困ったり介護状態になれば自殺する。」ということが自分にとっても後に残す配偶者や子供にとって最善の選択になるようなすさんだ社会であっても、支出を減らせるものが官僚の理想とする社会保障制度でないことを祈るばかりである。
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小泉信次郎氏の社会保障改革には概ね賛成できる。但し、こども保険はいただけない。

2017-05-11 10:55:57 | 社会保障
小泉信次郎氏が「人生100年時代の社会保障」について提言している。その内容は大きく次の三つからなる。http://shinjiro.info/20161026message.pdf

一つは「勤労者皆社会保険制度の創設」である。
 現在の企業の社会保険は正規雇用のみを対象にしており、一定の所得・勤務時間に満たない勤労者は、企業の厚生年金や健康保険に加入できず、十分なセーフティーネットの対象になっていないことを問題として指摘し、いかなる雇用形態であっても、企業で働く方は全員、社会保険に加入できるようにして、充実した社会保障を受けられるようにすべきだ、としている。

この点には全く同意見である。加えて言えば商店主のような自営業者についても同じ年金・健康保険制度に加入できるようにすべきである。

二つは「年金受給開始年齢の柔軟化である。
 現在の制度は定年を越えて働く高齢者は少ないと想定してきたため、一定年齢を超えると保険料が納付出来なくなったり、働きながら年金を受給すると年金が減額されたりする仕組みになっている。これでは、働き方改革が進展しても、年金制度が障害となって、働く意思や能力のある高齢者の就労を阻害してしまう恐れがある。と指摘し、年金制度は「長く働くほど得をする仕組み」へと改革すべきだと主張している。

年金受給開始年齢はより柔軟に選択できるようにする。年金保険料はいつまでも納付できるようにする。働くと年金が減額される仕組みは廃止する。と提案している。

厚生労働省や財務省にかかると、開始年齢の柔軟化イコール開始年齢の引上げであるが、小泉氏の提案については文字通り柔軟化と解釈しておこう。元気な高齢者が増加し、一方で労働力が不足している実情を考えれば、高齢者が働く意欲を持て、働いても損にならない年金制度にすることは絶対に必要である。

三つめは「自助を促す自己負担割合の設定」である。
 高齢化の進行で医療介護費用が一層高額化していく中で医療介護制度の持続可能性を確保するためには、「病気になってから治療する」だけでなく、そもそも「病気にならないようにする」自助努力を支援していく必要がある、と指摘し、健康維持に取り組んできた方が病気になった場合は、自己負担を低くすることで、自助を促すインセンティブを強化すべきだとして威厳している。

また、現行制度では、自助で対応できる軽微なリスクも、大きな疾病リスクも、同じように支援している。、湿布薬やうがい薬も公的保険の対象であり、自分で買うと全額負担、病院でもらうと3割負担だ。こうした軽微なリスクは自助で対応してもらうべきであり、公的保険の範囲を見直すべきだとも主張している。

健康維持に取り組んできたか否かを客観的に判断するのに何を基準とするか、また基準ができたとしても私生活への干渉とプライバシーの侵害を伴うことから、これについて国民の理解を得ることは難しそうである。

また、軽微な負担を全額自己負担とすることで、かえって病気を重症化するリスクがあり、これは予防を重視する姿勢とは矛盾しそうである。

むしろ終末期の医療に多額の費用がかかっていることを鑑み、安楽死を容認し、本人や親族の意思に反する過剰な医療を排除すべきであり、さらに快癒見込みが無く生命活動を維持するだけの治療は原則として廃止し、家族が希望する場合は全額保険対象外とすべきである。

また、この提言では「我々が忘れてはならないことは、仮に出生率が人口水準を維持するために必要な2.07 まで上がっても、人口減少は不可避であるという事実である。毎年人口が減り続けることを嘆いても、明るい未来は切り開けない。人口減少を前提に、経済社会システムを抜本的に見直すことで、人口減少をチャンスととらえ日本の強みに変えていくことが必要だ、とも書いている。

しかし、この主張には私は反対である。人口減少しながら日本が発展することはありえにない。政府は何としても人口を増加させる政策をとるべきである。

この点で小泉氏の提案している「こども保険」は適切ではない。子供が増えれば、何もしない場合に比べ将来の税収は増加する。とすれば少子化対策の費用は国債で賄うのが本来である。保険で調達した資金が官僚により湯水のように浪費されたことを忘れてはならない。借金であれば実際に少子化を克服できず、担税能力のある大人に育てることが゛できなければ国家は借金を返済できない。資金の無駄遣いは許されない。

この意味で少子化対策は保険ではなく返済財源を新しい世代の負担する税金とする借金で賄うべきである。

また、財源が無いと言っているが、少子化対策は北朝鮮の国家予算以上の税金を使いながら、それに単独で対抗できない安全保障予算よりはるかに重要であり、その分を流用すれば済む話である。

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人工透析患者に「実費負担できないなら殺せ」と叫ぶ長谷川豊に象徴される日本の病んだ自己責任ブーム

2016-09-23 10:27:21 | 社会保障
長谷川豊は、ある医師が語ったという「人工透析患者
の8~9割は『自業自得』の食生活と生活習慣が原因」
との言説を受け、自業自得の人工透析患者なんて、全
員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!
今のシステムは日本を亡ぼすだけだ、と主張している。

ニュースサイト・BLOGOSは不適切な表現があったとし
て謝罪。当該記事を削除のうえ、謝罪文に差し替えた。

長谷川だけでなく、現在の日本では自己責任を強調し、
弱者に対する福祉を否定する傾向が目につく。

財務省の財政破綻キャンペーンが日本人の精神を
病ませた副作用の一つである。

透析患者が自己責任なら、当然糖尿病患者も同様
であり、肺がん患者はタバコを吸ったり、タバコを吸う
人間の近くにいたから当然自己責任になる。
癌の大部分も検診等を怠ったことによる自己責任と
言われるかもしれない。

遺伝病などは、遺伝性の病気因子があるのに結婚
して子供を産むからだ、と言われかねない。

交通事故被害者の大部分も不注意による自己責任
となり、犯罪被害者は夜遅く人通りの無いところを歩く
からだと批判され、強姦被害者はそんなハデな服を着
るからだと批判されるだろう。

さらには、地震や水害等の天災にあったのは、居住の
自由があるのにそんな危険な所に住んだからであり、
自分の責任である。だから、災害にあったからといって
政府の金をあてにするな、と言われかねない。

財政危機論に煽られ、少しでも落ち度があれば自己
責任であり、自己責任である限り税金に頼らず、全て
自分で解決せよ、という極論は弱者や被害者を迫害
し、その復興を妨げ、社会の健全性を蝕み日本という
国家を崩壊させかねない。


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ヘリコプターマネーは経済対策ではなく社会保障費財源として検討すべき

2016-07-14 10:18:58 | 社会保障
バーナンキ前FRB議長が来日し安倍総理や黒田日
銀総裁と会談したことを期にヘリコプターマネーがに
わかに注目を集めている。

ヘリコプターマネーは、政府が発行した国債を中央銀
行が新しく発行した貨幣で引受け、政府はその貨幣で
国民に現金を直接供給する政策をいう。

新規に発行する国債を永久債にすれば、政府の債務
にはならならない。

実際に日本で検討されているのは、国民に一定額を
給付する形ではなく、ヘリコプターマネーを財源とし、
減税や公共投資などの財政政策を行う方法である。

しかし、減税や公共投資が必ずしも経済成長をもた
らしてこなかった過去の歴史的事実がある。

ヘリコプターマネーは劇薬であり、副作用は否定で
きない。

そのような劇薬を減税や公共投資のような効果が
不確かなものに使用することには賛成しかねる。

もっと有効な使い道がある。

日本の未来を暗くしているのは、少子高齢化の進
行による社会保障に対する不安である。

将来年金制度は破綻するかもしれない。健康保険も
介護保険も値上げばかりが続く一方で医療費や介護
費用は高くなるばかりで、高齢者になり退職すれば生
活できないかもしれない。

このような恐怖が節約して貯蓄に回す消費行動をもた
らし、個人消費が伸びず経済成長を妨げている。

ヘリコプターマネーで社会保障費の不足分を賄い、将来
的に今以上に社会保障負担は増加せず、社会保障給付
が維持されることを国民に納得させることに成功すれば、
国民のサイフの紐は緩み、何よりも有効な経済対策にも
なりうる。

正に一石二鳥である。
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年金引下げ強化は日本経済にも財政再建にもかえってマイナス

2016-02-27 10:33:54 | 社会保障
厚生労働省は26日、賃金の下落などに応じ年金額
を引き下げる仕組みの強化を柱とした年金制度改革
関連法案を自民党厚労部会に示し、了承された。

変更案では、物価上昇に比例することになっている
年金額を賃金が物価より下がった場合は減らすよう
に改悪。

デフレ期に適用できなかったマクロ経済スライド分を
繰り越し、賃金や物価が上がった時に引き下げる。
となっている。

これは少子高齢化による年金財源悪化を補てんする
ものであるが、百害あって一利ない改悪である。

まず、賦課方式を採用している限り、このような小手先
の手段を用いても年金財政の改善にはほとんど寄与し
ない。

一方、先行きの年金額が不確定になることで、定年後
の生活プランが立てにくくなり、40代以上の中高年は
消費を減らし老後資金の確保をせざるを得なくなり、
個人消費が大幅に減少し景気の悪化を招く。

また、現在でも年金では生活できず、ある程度の蓄え
を必要とし、蓄えが無く年金額も少ない非正規労働者
は将来の生活保護予備軍と考えられている。

今回の改悪が実施されれば、従来は何とか年金と蓄え
で自活できていた正規社員についても80歳程度で蓄え
が無くなり生活保護に頼らざるを得なくなる。

結果的に、年金支出は減らせても、それ以上に生活保
護費用が増加し財政は却って悪化することになる。

賦課方式の年金制度を継続する唯一の方法は、当面
の不足額を50年程度の長期国債で賄い、50年かけて
少子化対策を実施し、人口構成を改善することである。

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