日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本。国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

USスティール買収に失敗し違約金が発生すれば日本製鉄経営者は賠償責任を負うべき

2024-12-04 09:42:33 | 企業
トランプ次期期大統領が当選後初めて日本製鉄によるUSスティール買収を阻止すると表明した。日本製鉄側はバイデン政権の内に買収許可を得る方針のようだが、トランプが大統領になればいつでも取り消しが可能となる。

日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収については、不成立となった場合に5億6500万ドル(約800億円)の違約金が設定されていることが分かっている。これは例え米規制当局の審査で買収が認められない場合でも適用され日本製鉄に巨額の違約金負担が発生する。

日本製鉄の森高弘副社長は会見で米国内の反応は想定内だとし、予定通り今年4~9月の買収完了を目指す考えを強調したが、かなり難しいと思われる。

USスチールのような名門企業の買収を大統領選挙というセンシティブな時期に行うとしたことはリスクを見誤ったとしかいいようがない。もし買収失敗で多額の違約金を支払うことになれば、これは明らかに経営陣の失敗であり株主代表訴訟で損害賠償を請求されても仕方のない事例である。
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日本製鉄が違約金を支払うことになれば、経営者の株主訴訟は避けられない

2024-09-06 09:45:48 | 企業
バイデン大統領が日本製鉄によるUSスチール買収を阻止する為に動き始めた。民主党候補のハリス副大統領は2日の演説で、USスチールについて「米国内で所有、運営されるべきだ」と述べ、買収に反対する考えを示した。共和党候補のトランプ前大統領も、再選されれば買収を阻止すると明言している。

日本製鉄副社長の森氏は会見で米国内の反応は想定内だとし、予定通り買収完了を目指す考えを強調したが、この買収が成功する可能性は低くなっている。

問題なのはこの買収が失敗すれば日本製鉄が5億6500万ドルもの違約金を支払う必要があることである。契約では、米規制当局の審査で買収が認められないと日鉄に巨額の違約金負担が発生する。一方、買収が、株主総会で否決されるなどUSスチール側の事情で不成立となった際は、同社が日鉄に違約金を支払う、ということになっているらしい。

あきらかにおかしい契約である。規制当局の審査で買収が認められないとしても、それは日本製鉄側の事情ではない。規制当局の判断は日本製鉄が左右できるものではないからである。

このような明らかにおかしい契約で多額の違約金を支払う必要が生じれば、その責任はこんなおかしい契約を締結した日本製鉄の経営者にある。

このまま買収が失敗し約800億円にも及ぶ違約金を支払うことがあれば、今回の契約に関係した役員は株主代表訴訟は避けられないだろう。
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ドイツの生産性が日本より高いのは付加価値の高い製品を作っているから

2024-08-27 10:10:28 | 企業
日本はGDPでドイツに抜かれ3位から4位に転落したが、この原因は為替だけではない。労働生産性の違いが大きな原因と言われている。労働生産性とは、1人の労働者が1時間に生み出すGDPである。

2022年のドイツの労働生産性は68・6ドル(OECD11位)で、日本は48・0ドル(OECD21位)よりも約43%高い。2022年の日本の労働生産性は、G7諸国の中で最も低かった。

OECDの統計によると、2022年のドイツの年間労働時間は1341時間で、労働時間は我々日本人よりも約17%短いのに、労働により生み出す価値は我々よりも約43%多い。

ここから短絡的に導きだされるのが、日本の労働者の労働効率が悪い、日本の労働者はもっと効率的に働くべきという結論である。

少し物事を考える者はさらに、労働時間が長すぎるから生産効率が悪くなる。労働時間を短くして働ける環境を整備すべきというものである。

いずれもある程度事実をついている。しかし、本当の原因は別のところにある。日本の生産性が低い最大の原因は付加価値の低い商品やサービスしか提供できていない経営者の無能にある。

ドイツの産業というとBMW、メルセデス・ベンツ、等々のような自動車産業を思い浮かべるが、むしろ製造業界の主役は、ミッテルシュタントと呼ばれる中小企業である。メディアや消費者にはあまり名前を知られていないが、特定の業界では世界市場で大きなシェアを占める一流企業が多い。2021年のドイツの勤労者の54%にあたる1900万人が中小企業に雇用されていた。

中小企業が多いことや中小企業での雇用が多いという点では日本と同じである。日本と異なるのはドイツの中小企業には、大企業に依存する下請けというイメージはないことである。ドイツの中小企業の特徴は、ニッチ市場に特化することだ。幅広い分野で様々な製品を扱うのではなく、特定の製品に開発・販売のための努力を集中する。

このことが中小企業に高い付加価値をもたらしドイツの生産性を高くする原因がある。日本のように大企業の下請けになり価格を値引きさせられていては高い付加価値を得ることはできず生産性も低く表れざるをえない。

日本企業の付加価値を上げるには個々の労働者に生産性を上げろと要求するよりも、経営者自らが高い付加価値を得られるビジネスモデルに切り替える必要がある。
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従業員の能力や勤勉さでは劣っていないが、経営者の能力の低さが日本の生産性が低い理由である

2024-07-02 10:28:58 | 企業
日本生産性本部によると、日本の就業者1人当たり付加価値は、2022年時点で8万5329ドルであり、経済協OECD加盟38カ国中31位に落ち込んでいる。既に韓国にも負けている体たらくである。

日本人個々の能力がヨーロッパや韓国に劣っているとは日本人であれば誰も思っていないが、数字は厳しい現実を表している。

本当に個々の能力では劣っていないとしたら何が日本の生産性を低くしているのだろうか。いろんな説が言われているが一つは日本企業の体質である。

多くの日本企業は、高度経済成長期以来「いかに良いモノをより安く大量に供給できるか」を競いながら成長してきた。過去の松下幸之助の水道哲学などはその代表である。

しかし、それには常に人口が増加し続けるということが前提として存在した。だが、少子高齢化の進行で国内市場に対する成長期待が著しく低下したのである。成長期待の低下が日本全体を覆い尽くし、企業は製造設備などのモノへの投資だけでなく、日本国内でのヒトへの投資も抑え込み、企業の投資を起点とする将来に向けた市場の創出に自己抑制がかかり、ヒト・モノ・カネの動きが著しく停滞してしまった。

その結果、企業も個人も経済活動を委縮させてしまい、新たな市場やこれまでにない付加価値を創出するようなイノベーションは起こりづらくなっていった。

人口減少を前提とするなら、良いモノをより安く、多くの人に売る戦略から良いモノをより高く、繰り返し使ってくれる人に売る方向に戦略変更すべきであったが、日本企業はそれができなかった。

良いものを安く売るのであれば、既存の製造工程の合理化や仕入先への値下交渉で対応できるが、高く売るためには付加価値の高い新商品の開発やマーケティングの改革が必要となる。

そしてこれらは経営者の役割である。日本企業が付加価値の高い商品を開発し高く売ることができないのは日本企業の経営層の無能さに原因がある。

減点主義で冒険せずミスの少ない者がトップに座るような日本的な人事を継続している限り、従業員個々の能力が
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技術を極めても周囲に目が届いてしないと失敗する。シャープの事例

2024-05-22 09:57:27 | 企業
シャープは大阪府堺市にある子会社で生産していたテレビ向けの液晶パネルを9月末までに停止する。液晶事業からの遅すぎた撤退である。「世界の亀山モデル」と謳い一世を風靡してから約20年での崩壊である。

勝ち組であったシャープ液晶事業の終わりは2000年代から始まった。2000年代に入り製造装置が標準化され、それを購入さえすればどのような企業でも液晶を生産できるようになった結果、韓国メーカーに続き台湾メーカーが参入。その後、中国メーカーが勢力を拡大し価格は下がり続け、液晶事業は儲からない事業へと変わっていった。

しかし、シャープは液晶テレビの大成功という果実を手にし、同事業はまだまだいける、いや、まだまだ拡大していかないといけないと判断し、設備投資を拡大していった。結果シャープの経営は健全な多角化へと向かわず、ビッグビジネスの液晶へ偏重してしまった。

追い打ちをかけたのが、2008年秋のリーマンショックである。先進国だけでなく急拡大していた新興国市場でもテレビの伸びが鈍化。60インチ以上の大型テレビが普及すると見て、2009年10月に、大画面テレビ向けの大型液晶を生産するため、4200億円もの巨費を投じた設備投資は無用の長物になってしまった。

さらに地デジ移行とアナログ放送の廃止(2011年)により、一時的な買い替え需要が発生したものの、その後長期にわたりデレビの国内需要が大幅に減少したことも大きなダメージを与えた。

また、有機ELの能力向上により、液晶のシェアーが奪われ液晶事業はもはや収益産業としては成り立たなくなった。

結局のところムシャープの失敗は過去の成功に惑わされ、製造環境の変化や新技術の動向を考慮せず過去の方針を踏襲し資源を液晶事業に集中し続けたことにある。

常に周辺技術や環境変化に目を配り機動的な経営をしていかないと企業が失敗するという典型的な事例である。

メモリー中心の半導体事業でもそうだったが、日本企業は過去の成功事例や前例に囚われ新しい環境変化への適応が遅れ失敗するケースが目立つ。




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