日本の国はここがおかしい

将来の希望を失いつつある日本。国民が安心して生活できる国になるにはどうすればいいか

どんなに人手不足でも賃金は上がらない。日本企業の競争力の無さ

2017-05-17 11:09:51 | 経済活性化
経済学の教科書には、人手不足になれば、労働市場の価格メカニズムにしたがって、賃金に上昇傾向が生まれると、きまって記されている。しかし、日本の現実は、教科書の指摘とはおよそほど遠い。深刻な人手不足なのに、いつまでも賃金が上がらないことが問題視されている。

しかし、日本の現状を鑑みれば賃金が上がらないのはむしろ当然と言える。

経済学では価格が需要と供給で決定されるとされているが、この前提には価格が自由に変更でき、価格が上昇すれば需要が減り供給が増え、価格が低下すれば需要が増加し供給が減少する、というように価格、需要、供給が自由に変動することを暗黙の了解としている。

しかし、現実の日本経済では労働者の絶対数は不足しているが賃金が上がったからといって労働力が増やせる状況にはない。一方日本企業の商品やサービスは付加価値の低いものが多く利益率も低い為、原価としての人件費を上げる余力は少ない。

バブル崩壊後の長期不況の後、日本企業がなんとか立ち直ってきたのは、画期的な製品やサービスを開発したからではなく、非正規化による賃金の下落や過度な円高からの脱却により価格競争力が増したからにほかならない。

1980年代と異なり、日本の製品と他のアジア諸国の製品との格差は縮小しており、日本の優位さは価格の割に性能が少し良いという程度に留まっている。

製品やサービスの絶対的な優位が無いため、どんなに人手不足になっても大幅な賃上げをする余力はない。これを受け安倍政権は女性活躍社会を標榜し、女性を家庭から追い出し低賃金労働者として労働市場に送り出す政策を推進している。また、年金の開始年齢を繰下げその間低賃金労働者として再雇用するのもその政策の一環である。

団塊世代の大量退職と少子化による労働人口の減少が人手不足を招いているが、日本企業に賃上げ余地は無く、立場の弱く組織化されていない派遣社員やパート等の非正規労働者は、企業との交渉能力がなく、人手不足という追い風があっても、賃上げを勝ち取ることはできない。

日本企業が、製品やサービスの優越性ではなく、非正規社員という、いつでも解雇できる低賃金労働者による価格競争力に頼っている限り、どんなに人手不足になっても賃金を上げる余裕はない。




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私がオーストラリアの牛肉は食べても、アメリカの牛肉は食べない理由

2017-05-16 10:21:44 | リスク管理
最近スーパーの肉売場を覘くとアメリカ牛が目立つ。価格的にもオーストラリアの肉よりアメリカの肉の方が安い場合が多い。

しかし、私はアメリカ牛を買う気にはなれない。狂牛病等に関してはアメリカ牛により多くのリスクを感じざるをえないからである。

別に、アメリカ牛の方がオーストラリア牛よりリスクが高いと考える客観的な理由があるわけではない。アメリカとオーストラリアの牛肉の生産過程には無知だから比較はできない。

私がアメリカ牛により大きなリスクを感じるのは、日本政府がオーストラリアには正当な要求ができてもアメリカには遠慮して正当な要求ができないからにすぎない。

防衛をアメリカに依存し、実質的にはアメリカの半植民地である日本政府はアメリカ政府には、例え正当なことであっても、その主張を貫くことができない。

例えば1975年に農水省は米国から輸入されたレモンに日本では禁止されている防カビ剤を大量に検出し廃棄したが、これを知ったアメリカ政府の要求により防カビ剤を解禁せざるをえなかった。

トランプ政権になってからもアメリカは日本では食品への使用が認められていないアルミノケイ酸ナトリウム(固結防止剤)、ケイ酸カルシウムアルミニウム(固結防止剤)、カルミン(着色料)、酸性リン酸アルミニウムナトリウム(膨張剤)の4品目を食品添加物と早急に認めるように要求してきている。

アルミニウムについては、生殖系および神経発達に影響を与えること、水腎症など泌尿器病変などの悪影響も判明し、アルツハイマー病の関連も完全に否定されたわけではない。それにもかかわらず、安倍政権はアルミニウムを含有する4品目を新たに食品添加物に指定しようとしている。(Business Journal 米国に「薬品漬け」にされる日本…危険な添加物混入の食品を続々輸入解禁 から抜粋 )

このように日本政府はアメリカ政府の意向には逆らえない。牛肉に対してはアメリカ側の要請により当初基準よりは大幅に緩和されている。

日本が厳正に対応できるオーストラリアの牛肉とアメリカ政府の顔を覗わざるを得ないアメリカの牛肉のどちらを選ぶべきか考えた場合、私は躊躇なくオーストラリアの牛肉を選ぶ。

勿論お金に余裕があれば国産牛を選ぶことは言うまでもない。
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憲法改正に教育費無償化を持ち出す安倍首相と大阪維新のいかがわしさ

2017-05-15 10:15:16 | 憲法
私は憲法改正派のはしくれであるが、今回の安倍首相や大阪維新の憲法改正論議にはいかがわしさを感じざるをえない。

その理由は憲法改正の理由に教育無償化を持ち出していることである。多くの識者が指摘しているように教育無償化を実現するのに憲法改正は全く必要ない。

安倍首相も大阪維新の会も、憲法改正のような国民生活に甚大な影響を与える事項を検討する時は、誠実な態度で真摯に対応すべきである。

憲法改正のターゲットが憲法9条であるなら、あくまでも憲法9条改正の必要性について国民に説明し、その上で憲法改正を図るべきである。

憲法がアメリカの占領軍によって押し付けられたとかいう成立経緯などは何の関係もない。今日本の基本的な社会規範である憲法のどこが問題で、どう改善すべきか真摯に国民に説明し判断を仰ぐべきである。

国民の関心を引きそうな教育無償化やオリンピックを持ち出して、国民をごまかし、どさくさに紛れて憲法改正を行おうというような姿勢は決して容認できない。
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小泉信次郎のような前途有望な青年にすら、人口減少と縮小経済を不可避と思わせた自民党・官僚政治の罪は大きい

2017-05-12 10:41:50 | 少子化
社会保障に関する提言の中で小泉信次郎氏は、人口減少を前提に、経済社会システムを抜本的に見直す事が必要だと書いている。

しかし、人口減少社会に明るい希望を抱けている国民は少数派であることは否定できない。

年金生活者は年々減少する年金と増加する税金と国民負担の増加で、年々生活が苦しくなっていくことに怯え、中年現役層は役職定年や賃上げ抑制で収入が増えないだけでなく、年金支給年令の繰下げ年金額の減少で老後生活の目途がたたないことに大きな不安を感じている。また、若者も負担だけが増え自分は恩恵にあずかれないかもしれない年金や社会保障制度への不信、日本経済の停滞と非正規社員の増加で増えない賃金等に直面し日本の未来に明るい希望を抱けていない。

これらは少子高齢化が進行することでますます悪化する。

少子化で人口が減ることを是とするのは、「日本の問題は人口が多すぎることだ」と刷り込まれてきた80代以上の老人だけである。

確かに人口だけ見れば、日本の人口は半分になってもやっていける。

但し、その前提は人口構造がピラミッド型であるということだ。人口減少社会の問題点は逆ピラミッド型であり、労働人口が少なくなり大勢の非労働人口を抱えるということである。

そして、そんな社会は決して豊かで幸せな社会とはなりえない。

日本にとっては何としても人口を急速に増加させ、短期間で人口減少社会を通過することが必要である。政府はそれを国民に理解させ、役にたたない防衛費やその他の予算を流用して重点的に少子化対策を実施することに国民的コンセンサスを得る必要がある。

こうなることはわかっていたにもかかわらず、何の手もうたず少子高齢化を悪化させた自民党・官僚政府の罪は万死に値するが、何の責任も感じていない。

このまま官僚と自民党に日本の国家運営を任せていれば、50年後人口が9000万人を切るころには日本はアジアの最貧国の仲間入りをしていることだろう。

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小泉信次郎氏の社会保障改革には概ね賛成できる。但し、こども保険はいただけない。

2017-05-11 10:55:57 | 社会保障
小泉信次郎氏が「人生100年時代の社会保障」について提言している。その内容は大きく次の三つからなる。http://shinjiro.info/20161026message.pdf

一つは「勤労者皆社会保険制度の創設」である。
 現在の企業の社会保険は正規雇用のみを対象にしており、一定の所得・勤務時間に満たない勤労者は、企業の厚生年金や健康保険に加入できず、十分なセーフティーネットの対象になっていないことを問題として指摘し、いかなる雇用形態であっても、企業で働く方は全員、社会保険に加入できるようにして、充実した社会保障を受けられるようにすべきだ、としている。

この点には全く同意見である。加えて言えば商店主のような自営業者についても同じ年金・健康保険制度に加入できるようにすべきである。

二つは「年金受給開始年齢の柔軟化である。
 現在の制度は定年を越えて働く高齢者は少ないと想定してきたため、一定年齢を超えると保険料が納付出来なくなったり、働きながら年金を受給すると年金が減額されたりする仕組みになっている。これでは、働き方改革が進展しても、年金制度が障害となって、働く意思や能力のある高齢者の就労を阻害してしまう恐れがある。と指摘し、年金制度は「長く働くほど得をする仕組み」へと改革すべきだと主張している。

年金受給開始年齢はより柔軟に選択できるようにする。年金保険料はいつまでも納付できるようにする。働くと年金が減額される仕組みは廃止する。と提案している。

厚生労働省や財務省にかかると、開始年齢の柔軟化イコール開始年齢の引上げであるが、小泉氏の提案については文字通り柔軟化と解釈しておこう。元気な高齢者が増加し、一方で労働力が不足している実情を考えれば、高齢者が働く意欲を持て、働いても損にならない年金制度にすることは絶対に必要である。

三つめは「自助を促す自己負担割合の設定」である。
 高齢化の進行で医療介護費用が一層高額化していく中で医療介護制度の持続可能性を確保するためには、「病気になってから治療する」だけでなく、そもそも「病気にならないようにする」自助努力を支援していく必要がある、と指摘し、健康維持に取り組んできた方が病気になった場合は、自己負担を低くすることで、自助を促すインセンティブを強化すべきだとして威厳している。

また、現行制度では、自助で対応できる軽微なリスクも、大きな疾病リスクも、同じように支援している。、湿布薬やうがい薬も公的保険の対象であり、自分で買うと全額負担、病院でもらうと3割負担だ。こうした軽微なリスクは自助で対応してもらうべきであり、公的保険の範囲を見直すべきだとも主張している。

健康維持に取り組んできたか否かを客観的に判断するのに何を基準とするか、また基準ができたとしても私生活への干渉とプライバシーの侵害を伴うことから、これについて国民の理解を得ることは難しそうである。

また、軽微な負担を全額自己負担とすることで、かえって病気を重症化するリスクがあり、これは予防を重視する姿勢とは矛盾しそうである。

むしろ終末期の医療に多額の費用がかかっていることを鑑み、安楽死を容認し、本人や親族の意思に反する過剰な医療を排除すべきであり、さらに快癒見込みが無く生命活動を維持するだけの治療は原則として廃止し、家族が希望する場合は全額保険対象外とすべきである。

また、この提言では「我々が忘れてはならないことは、仮に出生率が人口水準を維持するために必要な2.07 まで上がっても、人口減少は不可避であるという事実である。毎年人口が減り続けることを嘆いても、明るい未来は切り開けない。人口減少を前提に、経済社会システムを抜本的に見直すことで、人口減少をチャンスととらえ日本の強みに変えていくことが必要だ、とも書いている。

しかし、この主張には私は反対である。人口減少しながら日本が発展することはありえにない。政府は何としても人口を増加させる政策をとるべきである。

この点で小泉氏の提案している「こども保険」は適切ではない。子供が増えれば、何もしない場合に比べ将来の税収は増加する。とすれば少子化対策の費用は国債で賄うのが本来である。保険で調達した資金が官僚により湯水のように浪費されたことを忘れてはならない。借金であれば実際に少子化を克服できず、担税能力のある大人に育てることが゛できなければ国家は借金を返済できない。資金の無駄遣いは許されない。

この意味で少子化対策は保険ではなく返済財源を新しい世代の負担する税金とする借金で賄うべきである。

また、財源が無いと言っているが、少子化対策は北朝鮮の国家予算以上の税金を使いながら、それに単独で対抗できない安全保障予算よりはるかに重要であり、その分を流用すれば済む話である。

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