Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

吉田秀和様へ

2012年05月27日 | 音楽
 吉田秀和様

 こちらは毎日よい天気です。昨日、今日の週末もよく晴れ、気持のよい風が吹いています。まさに初夏ですね。

 昼食に残り物のカレーライスを食べながら、ラジオを聞いていたら、吉田様がお亡くなりになったことを知りました。慌ててインターネットを見てみました。22日の夜だったのですね。ご自宅で亡くなったとのこと。よかったと思いました。病院のベッドでは吉田様らしくない気がします。

 お世話になりました。吉田様はわたしのことなどご存じありませんが、吉田様の著作はわたしが生きる指針でした。音楽のことはもちろん、文学も美術も、社会のあり方も、そして人生も。吉田様にどれだけ多くのことを学んだか、測り知れません。吉田様がいなければ、わたしはちがった人間になっていたことでしょう。

 笑わないで聞いていただけるなら――、吉田様はわたしのアイドルでした。どれだけ憧れたことでしょう。吉田様のような文章が書けるようになりたいと、どれだけ思ったことでしょう(笑)。いや、これは失言です。できるわけがありません。そう思ったのは大学生のころです。それから約40年。とうの昔に身の程を弁えました。

 大学生のころ、吉田様の文章はどれだけ新鮮に映ったことでしょう。先輩(もしくは同輩)の世代――小林秀雄、河上徹太郎、中村光夫、福田恆存といった個性派ぞろいの世代――にたいして、吉田様の文章がどれほどわかりやすく感じられたことか。吉田様はわたしの親よりも少し上ですが、世代のちがいを意識することはありませんでした。わたしにとっては、同時代の感性を示してくれるかたでした。

 なんだか去年から今年にかけて多くのかたが亡くなっていますね。最近では畑中良輔様が亡くなりました。けれども吉田様が亡くなられるとは、思ってもいませんでした。100歳をこえるのが当然のような気がしていました。

 今日は午後からCDでも聴こうかと思っていましたが、気が抜けてしまいました。さきほどから写真をあれこれ見ています。2008年に鎌倉文学館でひらかれた吉田秀和展「音楽を言葉に」で買い求めたリーフレットです。もうお馴染みの写真ですが、京都で結婚式のあとのバルバラ夫人との写真(1964年)。そしてこれは初めて拝見しましたが、長野県大町市でバルバラ夫人と桜を見上げている写真(2001年)。今頃はもうバルバラ夫人と再会されていることでしょうね。
コメント (2)
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