Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ミンチュク/都響

2014年04月04日 | 音楽
 ロベルト・ミンチュク指揮の都響。ミンチュクを初めて聴いたのは2009年のヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ」全曲演奏会だった。あれは画期的な演奏会だった。ミンチュクにも注目した。それ以来気になっていたので、今回の定期が楽しみだった。

 プログラムはひとひねりしたもの。1曲目はウェーベルンの「パッサカリア」。作品番号1だ。めったに生では聴けない曲。点描的な作風に入る前の作品だ。激しい感情と色彩が渦巻く曲。曲そのものにも期待度が高かったが、この曲を初登場のオーケストラでプログラムにのせるミンチュクにも注目した。

 だが、結果はどうだったか。どうも腑に落ちない消化不良の思いが残った。テンポの変化にはメリハリがあったが、オーケストラの音はガサガサし、なんともまとまりが悪かった。

 2曲目はバルトークのヴァイオリン協奏曲第1番。これは名演だった。ヴァイオリン独奏はエステル・ハフナー。ブダペスト(ハンガリー)生まれで、今はグラーツ国立音楽大学とデンマーク王立音楽院で教授を務めているそうだ。張りのある音で、明快な旋律線を描き、十分な存在感があった。

 オーケストラも悪くなかった。1曲目でも感じたことだが、テンポの変化にメリハリがあり、わかりやすかった。そのせいだろうか、抒情的な第1楽章よりも、動きのある第2楽章のほうが、精彩があった。

 余談だが、この曲は若き日のバルトークがシュテフィ・ゲイエルに恋して、彼女のために書いた曲だが、ゲイエルとはどういう人だったのだろうと、Wikipediaで調べてみた。ゲイエルにはバルトークだけではなく、オトマール・シェック(ハインリヒ・フォン・クライスト原作のオペラ「ペンテジレーア」の作曲者)もヴァイオリン協奏曲を捧げていた。またパウル・ザッヒャーが監督するコレギウム・ムジクム・チューリヒでコンサートミストレスを務めたそうだ。当代一流のヴァイオリニストだったのだろう。

 3曲目はブラームスの交響曲第1番。ミンチュクの指揮者としての真価がわかると意気込んで聴き始めたが、結果は???だった。1曲目でも感じたことだが、オーケストラの音がガサガサし、大声でがなり立てるので、途中で気持ちが切れてしまった。

 これはミンチュクのせいだろうか。そうかもしれないが、都響の悪いところが出た面もある。最近評価を高めている都響だが、まだまだ油断は禁物だ。
(2014.4.3.サントリーホール)
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