Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

「フィレンツェの悲劇」との組み合わせ

2019年04月12日 | 音楽
 大野和士芸術監督は1年おきにダブル・ビルを制作する方針のようだ。今回の「フィレンツェの悲劇」と「ジャンニ・スキッキ」はその第一弾。今回の公演は(残念ながら)あまり面白い出来ではなかったが、第二弾、第三弾に期待したいと思う。

 プログラムに東条碩夫氏が「ダブル・ビル、トリプル・ビルの醍醐味」というエッセイを寄稿している。1969年に旗揚げした東京室内歌劇場のダブル・ビルから始まって、内外のダブル・ビル、トリプル・ビルの注目すべき公演を辿り、ダブル・ビル、トリプル・ビルでは何と何を組み合わせるか、その組み合わせが何を生むか、また演出はその組み合わせを(一晩の演目として)どう見せるか、といった点を検討している。

 願わくは、今後出てくる第二弾、第三弾のダブル・ビルでは、斬新な組み合わせと、斬新な(観客への)問題提起があらんことを!

 さて、「ジャンニ・スキッキ」はともかく(というのは、元々三部作の一つとして書かれたものだから)、「フィレンツェの悲劇」は、それを上演しようとすると、(それ一作では上演時間が短いので)ダブル・ビルが避けられない。では、何と組み合わせるか、という問題がつきまとう。

 舞台が同じフィレンツェなので、今回のように「ジャンニ・スキッキ」と組み合わせる例もあるが、同じ作曲家(ツェムリンスキー)の作品として、「こびと(王女の誕生日)」と組み合わせる例もある。念のためにOperabaseを検索してみたら、ドイツのハレ歌劇場ではモーツァルトの「バスティアンとバスティエンヌ」と組み合わせている。

 わたしが今まで経験した組み合わせで、一番インパクトが強かったのは、シャリーノ(1947‐)の「私を裏切った瞳Luci mie traditrici」との組み合わせだ。そのオペラは、ルネサンス期の作曲家ジェズアルド(1566?‐1613)が妻とその不倫相手を惨殺した事件をオペラ化したもので、「フィレンツェの悲劇」と同じテーマといっていい。

 そのダブル・ビルはフランスのリヨン歌劇場が2007年4~5月に上演したもので、そのときはダブル・ビルの3連発だった。上記の組み合わせと、プーランクの「人間の声」とバルトークの「青ひげ公の城」との組み合わせ、3つ目はビゼーの「ジャミレー」とプッチーニの「外套」との組み合わせ。わたしは日程的にビゼー/プッチーニは観ることができなかったが、あとの二つは観た。どちらも大変刺激的だった。

 大野和士がリヨン歌劇場の首席指揮者に就任したのは2008年9月なので、大野体制が始まる前のプロダクションだが。

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