「考えてみたら私たちの会話は、キャッチボールじゃなくてドッジボールばかりだった気がします。私は、あなたとキャッチボールがしてみたい。ボールは投げましたよ」
この夏美(夏川結衣)に対し、キャッチボールをしに来た信介(阿部寛)。
夏美の住む家の設計ができない理由。
自分や自分の愛する人が住む家を設計できない理由を話す信介。
夏美の望む家は「明るくて開放的でたくさんの人が集まる家」。
信介の望む家とは180度違う。
でも、自分は夏美のいるこの家に住みたい。
自己矛盾。
こういう家を設計するのは難しい。
夏美の家、自分の家ということで、気負い、思い入れもあり必要以上に考えてしまうからかもしれない。
さて、信介のプロポーズはこの様に「家」を通してのものだった。
やはり信介は「家」を通して他人とコミュニケーションをしていた。
キャッチボールしていた。
でも、それでは言葉が足りないと思ったのか、次のようなせりふ。
「要するに、ぼくは……あなたが……好きなんじゃないかな。だめですか、ぼくじゃ?」
とても無器用。中学生の告白のよう。(「ダンドリ!」のカルロスの方がもっとうまく告白できてたぞ)
しかし、望む家の設計ができないため、「結果的には、結婚できないんですけどね」。
家が出来ないと結婚できない。
これが信介のこだわりポイント。
「ちょっと話が見えなくなってきましたが」
「だから、住んでいる家がイメージできないんです。だから……」
「家なんて、どうでもいいじゃないですか!賃貸でも何でも」
「そうはいきません、僕は建築家なんで」
常人には理解できないこだわり、これが信介の信介たるゆえん。
しかし、これが結婚というものだろう。
価値観の違う他人がいっしょに住む。
こだわりも食べ物も洋服の趣味も。信介の場合はその価値観が極端だが。
そして圧力鍋。
ロールキャベツの調理に最適な圧力鍋。
「家でいっしょに食事をしようということ」を物を通してしか表現できない。
この点、信介はおたくだ。(そう言えば、みちる(国仲涼子)やケンちゃんに対する気持ちの表し方も物だった)
しかし
「アナタがどうしてもと言うなら」という夏美の問いかけに「来てください、どうしても」と素直に返事。
おたくの信介はがんばった。
自分が一番苦手なこと(自分をさらけ出して気持ちを伝えること)をしても夏美は信介にとって手に入れたい存在だったのだろう。
そしてラストシーン。
信介と夏美の家の模型。
やはり気持ちを伝える手段としては「家」と「物」だったが、この模型を目にした時の夏美の表情が目に浮かぶ。
夏美はいつもの微笑で大喜び。
それに対して、信介は得意のウンチクをたれるだろう。
いい関係だ。みちるや摩耶(高島礼子)が認めるように。
ドッジボールの会話はふたりに合っている。
信介の強いボールをかわしたり、受けたりできるのは夏美しかいない。
夏美はそれを楽しむことができる。
そして信介を理解しようとしている。
テレビで打ちきりになった信介のコメントを夏美は知りたいと言った。信介に対する理解度は摩耶に一日の長がある様だが(摩耶はコメントがカットされたことを見抜いた)、いずれは追いつくだろう。(ビデオにも録画していたし)
一方信介。
信介は夏美を頼っている。
テレビ出演のシャツのことを相談し、意見を求める。
ある意味、母親に甘えるような感じだが、それを受けとめる愛情が夏美にはある。信介のシャツ選びに何だかんだ言いながらつき合っている。
母と子のような関係だが、男女のあり方は様々。
一番しっくり行く関係。
これが夫婦。結婚だ。
そこに類型やマニュアルはない。
こんな結婚観を描いたところに、このドラマの新しさがある。
結婚に至る障害も状況や事件ではなく、主人公たちの性格・気質にあるというのもいい。(この点は「花嫁は厄年」は比べてみると面白い。「7月期のドラマの感想」でいずれ詳述したいと思う)
いささか信介の夏美に対する気持ちの動きが言葉足らずな感じもしたが、それを補っても余りある面白いドラマだった。
★追記
信介の気持ちの動きが言葉足らずなのは、表現がさりげないから。
2匹いる水槽の金魚とかコンビニとレンタルビデオ店の定員さんの結婚指輪に目が行くなど。
でもそれが逆におしゃれ、マニアックでいい。(DVD-BOX向け)
テレビ出演を通じて金田とも人間関係を結べた様子。
金田と人間関係ができることを信介は嫌がるかと思ったが、満更でもない様子。
これが信介の成長か?
おまけに独り焼き肉をしているのを見て更に共感した様だ。
この夏美(夏川結衣)に対し、キャッチボールをしに来た信介(阿部寛)。
夏美の住む家の設計ができない理由。
自分や自分の愛する人が住む家を設計できない理由を話す信介。
夏美の望む家は「明るくて開放的でたくさんの人が集まる家」。
信介の望む家とは180度違う。
でも、自分は夏美のいるこの家に住みたい。
自己矛盾。
こういう家を設計するのは難しい。
夏美の家、自分の家ということで、気負い、思い入れもあり必要以上に考えてしまうからかもしれない。
さて、信介のプロポーズはこの様に「家」を通してのものだった。
やはり信介は「家」を通して他人とコミュニケーションをしていた。
キャッチボールしていた。
でも、それでは言葉が足りないと思ったのか、次のようなせりふ。
「要するに、ぼくは……あなたが……好きなんじゃないかな。だめですか、ぼくじゃ?」
とても無器用。中学生の告白のよう。(「ダンドリ!」のカルロスの方がもっとうまく告白できてたぞ)
しかし、望む家の設計ができないため、「結果的には、結婚できないんですけどね」。
家が出来ないと結婚できない。
これが信介のこだわりポイント。
「ちょっと話が見えなくなってきましたが」
「だから、住んでいる家がイメージできないんです。だから……」
「家なんて、どうでもいいじゃないですか!賃貸でも何でも」
「そうはいきません、僕は建築家なんで」
常人には理解できないこだわり、これが信介の信介たるゆえん。
しかし、これが結婚というものだろう。
価値観の違う他人がいっしょに住む。
こだわりも食べ物も洋服の趣味も。信介の場合はその価値観が極端だが。
そして圧力鍋。
ロールキャベツの調理に最適な圧力鍋。
「家でいっしょに食事をしようということ」を物を通してしか表現できない。
この点、信介はおたくだ。(そう言えば、みちる(国仲涼子)やケンちゃんに対する気持ちの表し方も物だった)
しかし
「アナタがどうしてもと言うなら」という夏美の問いかけに「来てください、どうしても」と素直に返事。
おたくの信介はがんばった。
自分が一番苦手なこと(自分をさらけ出して気持ちを伝えること)をしても夏美は信介にとって手に入れたい存在だったのだろう。
そしてラストシーン。
信介と夏美の家の模型。
やはり気持ちを伝える手段としては「家」と「物」だったが、この模型を目にした時の夏美の表情が目に浮かぶ。
夏美はいつもの微笑で大喜び。
それに対して、信介は得意のウンチクをたれるだろう。
いい関係だ。みちるや摩耶(高島礼子)が認めるように。
ドッジボールの会話はふたりに合っている。
信介の強いボールをかわしたり、受けたりできるのは夏美しかいない。
夏美はそれを楽しむことができる。
そして信介を理解しようとしている。
テレビで打ちきりになった信介のコメントを夏美は知りたいと言った。信介に対する理解度は摩耶に一日の長がある様だが(摩耶はコメントがカットされたことを見抜いた)、いずれは追いつくだろう。(ビデオにも録画していたし)
一方信介。
信介は夏美を頼っている。
テレビ出演のシャツのことを相談し、意見を求める。
ある意味、母親に甘えるような感じだが、それを受けとめる愛情が夏美にはある。信介のシャツ選びに何だかんだ言いながらつき合っている。
母と子のような関係だが、男女のあり方は様々。
一番しっくり行く関係。
これが夫婦。結婚だ。
そこに類型やマニュアルはない。
こんな結婚観を描いたところに、このドラマの新しさがある。
結婚に至る障害も状況や事件ではなく、主人公たちの性格・気質にあるというのもいい。(この点は「花嫁は厄年」は比べてみると面白い。「7月期のドラマの感想」でいずれ詳述したいと思う)
いささか信介の夏美に対する気持ちの動きが言葉足らずな感じもしたが、それを補っても余りある面白いドラマだった。
★追記
信介の気持ちの動きが言葉足らずなのは、表現がさりげないから。
2匹いる水槽の金魚とかコンビニとレンタルビデオ店の定員さんの結婚指輪に目が行くなど。
でもそれが逆におしゃれ、マニアックでいい。(DVD-BOX向け)
テレビ出演を通じて金田とも人間関係を結べた様子。
金田と人間関係ができることを信介は嫌がるかと思ったが、満更でもない様子。
これが信介の成長か?
おまけに独り焼き肉をしているのを見て更に共感した様だ。