7月期でヒットしたドラマは「マイ★ボス マイ★ヒーロー」と「結婚できない男」。
この状況は既存のドラマが飽きられてきたものと見るべきであろう。
考えてみれば、現在テレビには「ゴリエ杯」や「甲子園」など、ドラマ以外にも様々な感動がある。
視聴者はその真実の姿に感動するようになり、ドラマの感動を嘘だと思うようになってきた。
「ダンドリ」は実話をもとにして描かれているというが、どうもよくできた話。嘘っぽい。
最終回、要は足を負傷しているにも関わらず、何とか治って大会に出場してしまう。こんなエピソードもあった。
さやかがコスチューム代を稼ぐために夜、交通整理のバイトをする。そんなさやかの思いを知って仲間たちが退学取り消しに動く。
どうも嘘っぽい。
「レガッタ」になると非常にそれは顕著。
倉田(窪塚俊介)が死んで、八木(松田翔太)は大会を前に怪我。
ということで、
「ドラマはどうせ嘘なんだからいいじゃないか、この野郎!」と開き直って作られたのが「マイ★ボス マイ★ヒーロー」。
この作品は日本テレビの土曜9時が目指していたドラマの完成形とも言える。
明らかにあり得ない設定。
このあり得ない世界に視聴者をギャグなどの力業で無理やり引き込んでおき、主人公の心のドラマを見せてしまう。
視聴者は最初から嘘から入っているのだから、中で描かれていることが嘘でも許せてしまう。
例えば、真喜男の純愛。
ヤクザの若頭が小娘に恋をするなどということは現実にはあり得ない。でも設定自体が嘘だとわかっているから、そんなこともあるかなと思ってしまう。
今の時代、「本物らしく見せかけること」が一番しらける。
甲子園などでリアルな感動があるのだから、作り物は作り物に見えてしまう。
ドラマは嘘。
そこから始まることで、新たなドラマが見えてくる様な気がする。
そして「結婚できない男」。
このドラマは今までのドラマの反対をやっている。
まず、信介と夏美は全然接近しない。
回を追うごとにふたりの亀裂は広がっていく。
「あんな人だけは嫌だ」と夏美は言う。
しかしラストはハッピーエンドなのは、「嫌い嫌いも好きのうち」「人は自分がいいと思っていることの反対のことを望んでいる」という心のあやをうまく取り入れているせいだ。
またこんな既存のドラマの反対もやっている。
主人公たちを結びつける大きな障害がない。
普通は主人公たちの間に様々な障害があって、ふたりはなかなか結びつかないというのがセオリー。
「花嫁は厄年っ!」では、隠しカメラの取材や母親との確執。
しかし、「結婚できない男」の場合、障害となるのは本人のキャラクターだ。
信介の変人ぶりがドラマを作り動かしている。
分かりやすいのは、はとバスツアーで信介と夏美が偶然隣同士になってしまうエピソード。
はとバスで隣同士になるのは事件でなく状況だ。
「偶然、隣同士になったら信介と夏美はどんな事件を巻き起こすか?」
シナリオライターは、こんなふうにしてドラマを書いている様に思える。
これは「タイヨウのうた」で主人公の病状がどんどん悪化していって、ドラマが進行していくという事件先行型のドラマ作りではない。
アンチドラマという点では、月9の反対もやっている。
月9で花火のシーンといえば、美しいシーン。
しかし「結婚できない男」では違う。
信介はビルの一番高い所に昇ってひとりで花火見物。それを見て夏美たちは呆れている。花火のうんちくをたれて、ひんしゅくを買ったりもしている。これらは今まではギャグメーカーの脇役がやっていたこと。
この様に7月期のドラマは既存のドラマ作りを打破した作品が成功している。
視聴者は新しい作りのドラマを求めている様だ。
その点で10月のドラマはどうなるのだろう?
楽しみだ。
★追記
「下北サンデーズ」の堤幸彦演出。少々飽きられてきた感じがする。
この状況は既存のドラマが飽きられてきたものと見るべきであろう。
考えてみれば、現在テレビには「ゴリエ杯」や「甲子園」など、ドラマ以外にも様々な感動がある。
視聴者はその真実の姿に感動するようになり、ドラマの感動を嘘だと思うようになってきた。
「ダンドリ」は実話をもとにして描かれているというが、どうもよくできた話。嘘っぽい。
最終回、要は足を負傷しているにも関わらず、何とか治って大会に出場してしまう。こんなエピソードもあった。
さやかがコスチューム代を稼ぐために夜、交通整理のバイトをする。そんなさやかの思いを知って仲間たちが退学取り消しに動く。
どうも嘘っぽい。
「レガッタ」になると非常にそれは顕著。
倉田(窪塚俊介)が死んで、八木(松田翔太)は大会を前に怪我。
ということで、
「ドラマはどうせ嘘なんだからいいじゃないか、この野郎!」と開き直って作られたのが「マイ★ボス マイ★ヒーロー」。
この作品は日本テレビの土曜9時が目指していたドラマの完成形とも言える。
明らかにあり得ない設定。
このあり得ない世界に視聴者をギャグなどの力業で無理やり引き込んでおき、主人公の心のドラマを見せてしまう。
視聴者は最初から嘘から入っているのだから、中で描かれていることが嘘でも許せてしまう。
例えば、真喜男の純愛。
ヤクザの若頭が小娘に恋をするなどということは現実にはあり得ない。でも設定自体が嘘だとわかっているから、そんなこともあるかなと思ってしまう。
今の時代、「本物らしく見せかけること」が一番しらける。
甲子園などでリアルな感動があるのだから、作り物は作り物に見えてしまう。
ドラマは嘘。
そこから始まることで、新たなドラマが見えてくる様な気がする。
そして「結婚できない男」。
このドラマは今までのドラマの反対をやっている。
まず、信介と夏美は全然接近しない。
回を追うごとにふたりの亀裂は広がっていく。
「あんな人だけは嫌だ」と夏美は言う。
しかしラストはハッピーエンドなのは、「嫌い嫌いも好きのうち」「人は自分がいいと思っていることの反対のことを望んでいる」という心のあやをうまく取り入れているせいだ。
またこんな既存のドラマの反対もやっている。
主人公たちを結びつける大きな障害がない。
普通は主人公たちの間に様々な障害があって、ふたりはなかなか結びつかないというのがセオリー。
「花嫁は厄年っ!」では、隠しカメラの取材や母親との確執。
しかし、「結婚できない男」の場合、障害となるのは本人のキャラクターだ。
信介の変人ぶりがドラマを作り動かしている。
分かりやすいのは、はとバスツアーで信介と夏美が偶然隣同士になってしまうエピソード。
はとバスで隣同士になるのは事件でなく状況だ。
「偶然、隣同士になったら信介と夏美はどんな事件を巻き起こすか?」
シナリオライターは、こんなふうにしてドラマを書いている様に思える。
これは「タイヨウのうた」で主人公の病状がどんどん悪化していって、ドラマが進行していくという事件先行型のドラマ作りではない。
アンチドラマという点では、月9の反対もやっている。
月9で花火のシーンといえば、美しいシーン。
しかし「結婚できない男」では違う。
信介はビルの一番高い所に昇ってひとりで花火見物。それを見て夏美たちは呆れている。花火のうんちくをたれて、ひんしゅくを買ったりもしている。これらは今まではギャグメーカーの脇役がやっていたこと。
この様に7月期のドラマは既存のドラマ作りを打破した作品が成功している。
視聴者は新しい作りのドラマを求めている様だ。
その点で10月のドラマはどうなるのだろう?
楽しみだ。
★追記
「下北サンデーズ」の堤幸彦演出。少々飽きられてきた感じがする。