平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史

2009年06月23日 | 推理・サスペンスドラマ
★歩く、聴く、話す!
 相手の心の中に入って真実を引き出す!

 これが平塚八兵衛(渡辺謙)の捜査手法。
 <相手の心の中に入る>って所がアナログなんですね。
 現代はデジタル。
 その代表が「MR.BRAIN」の科捜研の捜査。
 指紋、DNA、声紋鑑定、遺体復元、プロファイリング……これらデジタル技術で真相をあぶり出していく。
 このドラマ「刑事一代」でもFBIの声紋鑑定を使うという描写があったが、八兵衛には「アメリカ人に日本語がわかるか」と一笑にふされてしまった。

 アナログとデジタル。
 それぞれに長所、短所があるのでしょうが、アナログにあってデジタルにないことは<人の心>でしょうね。
 指紋、DNA、声紋、いずれも<事象>であって<心>ではない。
 事象で容疑を固めていく。心で相手を見ようとしない。

 だから最近の『足利事件』の様な冤罪事件が起きる。
 足利事件はDNAを信じすぎたために起こった事件。
 菅家さんを<心>で見ていたら起こらなかった事件。
 おまけに『足利事件』ではDNA鑑定が違っていたことを隠蔽?
 警察のシステムの中で疑問を表明することが出来ない現代の捜査官たち。
 もし八兵衛が生きていたら「DNA鑑定をやり直せ」と言ったでしょうね。
 八兵衛の判断基準はあくまで自分。警察ではなかった。だから警察システムに歯向かえた。

★八兵衛は現代が失ったものを教えてくれる。
 「吉展ちゃん事件」の小原保(萩原聖人)との関わりもそう。
 八兵衛のお陰で<真人間>として死んでいけると言って死刑になった小原。
 八兵衛は八兵衛で、保が母親が眠る小原家の墓に入れなかったことを哀しみ号泣する。
 ここにあるのは、刑事と犯人の間にある信頼・友情。

 また「MR.BRAIN」を例に挙げるが、九十九の犯人を落とす方法は『騙し』ですからね。
 九十九は騙して、ネックレスの欠けらを手の中に隠したこと、証拠の楽譜を隠したことで犯人を追いつめた。
 ここには犯人との信頼・友情はない。
 『騙すこと』でしか犯人を追いつめられない九十九の<人間力>のなさも感じる。

 今の時代に必要なのは八兵衛の様な人間。
 時代を少し<アナログ>に戻しましょう。


コメント
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