平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

007 カジノ・ロワイヤル その2

2009年06月17日 | 洋画
 CSのムービー・プラスでやっていたので「007 カジノ・ロワイヤル」を再見。

★007になったばかりのボンド(ダニエル・クレイグ)。
 初めて見た時にはあまり気づかなかったんですが、この作品でのボンドって若くて未熟だったんですね。
 冒頭での追いかけでは大使館を爆破して国際問題に(←決してスマートではない。大事にならない様に処理するのがプロ)。
 マティーニにもられた毒で死にそうになる。
 スイス銀行の暗証番号はヴェスパー(VESPER)。
 あげくの果てにその女性・ヴェスパーに騙されて。

 でもその若さ、未熟さがボンド像に人間臭さを与えている。
 ロジャー・ムーアのボンドなんかは完全に記号でしたからね。ジェイムス・ボンドという記号を演じている感じ。
 ロジャー・ムーアのそれは紛れもなくジェイムス・ボンドなんですが、行間がない。
 滲み出て来るものがない。
 好き嫌いはあるでしょうが、この点でダニエル・クレイグは秀逸。

★再見して<肉体の復権>ということも感じましたね。
 これもロジャー・ムーアとの比較になりますが、「オクトパシー」という作品では何と宇宙を舞台にしてインベーダーゲーム。
 完全にデジタルな世界。
 しかしこのボンドは体を張っている。
 冒頭の追っかけがそう。
 飛行機の爆破を食い止めたボンド。その後のボンドの顔は傷だらけになっていましたが、誰がそんなボンドを見たことがあったでしょうか?
 またあの男性ならわかる痛~い拷問シーン。
 全裸で縛られるボンドや痛みの伝わってくるボンドを誰が予想したことでしょうか?
 時代と共に変わっていくボンド像。
 とすると今はデジタルからアナログの時代? 肉体の時代?

※追記
 以前の記事でこの作品で提出されたボンドの女性観について書きましたので再録します。
『そんなボンドだが、ここで一歩踏み込んで考えてみれば、こんな解釈も出来る。
 ボンドは彼が愛して死んだヴェスパー・リンドを永遠に求めているのだ。
 以後の事件でボンドが愛した女たちは、みんな彼を愛して裏切った。
 ボンドはそんな女たちの中に、ヴェスパー・リンドを求めているのかもしれない。
 あるいは彼を愛して決して裏切らない女性を求めているのかもしれない。
 そう考えてみると、ボンドの心の中は非常に孤独でせつない感じがする。
 ボンドはスパイであると同時に愛の放浪者でもあるのだ』

 「007 カジノ・ロワイヤル その1」 の記事はこちら
 「007 慰めの報酬」         の記事はこちら


 
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