平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

天地人 第22回「真田幸村参上!」

2009年06月01日 | 大河ドラマ・時代劇
 「真田幸村参上!」

 前回の三成に続き真田幸村(城田優)が兼続(妻夫木聡)と心通わせる話でしたね。
 ここで今回示された兼続の人物像を分析してみると……

★共感力
 初音(長澤まさみ)の境遇に対して「つらかったであろうの」と心から語る共感力。
★信じる力
 どんなに裏切られても信じ切る。「人は信ずるに足るもの」という信念を持っていること。
★楽天家
 真田と結ぶことに秀吉などが不快感を示すのではと懸念する仲間に対し、兼続はこう言う。
 「その時はその時じゃ」

 と兼続の人物像はこんな感じ。
 知謀の軍師というよりは戦国の世にあって<人を信じ切ることの出来るカラッとした明るい人>という感じでしょうか。
 知謀の軍師でしたら「その時はその時じゃ」なんていい加減なことは言いませんからね。(『知謀の軍師』という僕の兼続像は間違っていました)
 そして喰うか喰われるかの戦国時代にあって兼続の様な人物は希有であったのでしょうね。
 だから三成も幸村も初音も心を寄せた。
 一面それは<人のいいおバカさん>でもあるのですが。

 <おバカさん>と言えば三成もそうですね。
 世の中の流れに逆らって豊臣家に殉じる。

 こんな<おバカさん>兼続や三成に対するのは真田昌幸(岩松了)の様な<生き残るために何でもする>という人間。
 この対決では<おバカさん>の方が弱いんですね。

 これを現代に当てはめると、例えば会社で不正があった時おバカさんは不正を告発する。
 お利口さんは会社に従って隠蔽する。
 結果、会社で生き残るのはお利口さん。
 仮におバカさんが勝ったとしてもその時会社は潰れている。

 この作品はそれでも<おバカさん>になりましょうと言っている。
 <人として美しくありましょう>(=義)と言っている。

 さて兼続たちの生き方をどう考えるか?
 歴史では三成が滅び、兼続が生き残った。
 その理由を考えてみるのも面白い。

※追記
 心がきれい過ぎる、ひたすら明るい兼続は主人公として魅力的か?
 僕は清濁合わせ飲むというのが人間だと思うので、イマイチリアリティがないんですよね。
 むしろ「どんなことをしても生き残る」というしたたかな真田昌幸の方がリアリティがある。
 この辺がこの作品になかなかのめり込めない理由。

 ということでもやもやしたものを感じていたが、それを的確に表現して下さった記事があった。
 いつも独特のギャグ切り口で作品を斬って捨てるぱるぷんての海の家さんの記事。
 「今年の大河には行間がない」
 まさにそのとおり!
 僕も今年の大河には深みがないと思っていて、それが脚本・演出のせいなのか、役者さんのせいなのか考えていましたが、この記事でやっとその理由がわかりました。


コメント (3)
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