平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

まっすぐな男

2010年01月13日 | 職業ドラマ
 まっすぐな男・松嶋健一郎(佐藤隆太)。
 今で言うと<ウザイ男>である。
 昭和の時代では熱血で理想の人物像だったんですけどね。
 しかし、こういう時代だからこそ<まっすぐな男>は描かれねばならぬ。
 製作意図してはそんなところでしょうか?

 さて、そこで大事なのが<まっすぐな男>健一郎がどれだけ視聴者の共感を得られるかということ。
 お金を最初に五千円あげるのはありとしても、もう一回渡すのはどうか?
 栗田鳴海(深田恭子)を甘やかせてダメにするだけではないかとも思える。
 植木で見えない道路標識のことで警官に意見するのはありだとしても、枝を切らせるのまで立ち会うのはどうか?
 健一郎は給料をもらっている会社員。勤務中、仕事以外のことに労力を使っていてはある意味背信行為。
 インテリアデザイナーの山口達彦(津田寛治)に怒りをぶつけるのはいいが、結果会社に迷惑をかける。
 物語だから大きな被害はなかったが、現実だったら大問題、会社には甚大な被害。健一郎はクビになる。

 人間、何かをすれば何かを失うのである。
 だから大人は自分の行動が何をもたらし、何を失わせるのかを考えて行動する。
 温情が人をダメにすることがある。
 怒りにまかせて自分の言いたいことを言うのはスカッとして気持ちがいいだろうが、それで苦労する会社の人間がいることを知らなければならない。
 だから現実は生きにくく大変なのだが、ドラマとはいえ、健一郎の正義漢あふれる行動が会社に大きな被害をもたらさないのは現実を無視している。
 インテリアデザイナーの方に負い目があるとはいえ、プロジェクトが続くのはリアリティがない。

 脚本が「結婚できない男」の尾崎将也さんなので期待したが、現実と必死に闘っている人には笑われてしまう内容。
 「それでうまくいくなら俺達は苦労しないよ」と言われてしまいそう。
 はっきり言って健一郎は子供。
 こういう大人の鑑賞に耐えない、予定調和の絵空事を描いているからドラマは低迷している。
 どこか面白くない。
 ドラマを現実を忘れさせてくれる息抜きと考えればそれまでだが、それでは現実に生きる人の大きな力にはならない。
 もっとも<まっすぐな男>にリアリティを感じない現代社会こそ、大きな問題なのだが。


コメント
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