平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

時をかける少女

2010年01月15日 | コミック・アニメ・特撮
 原作もアニメ版もそうなんですが、「時をかける少女」のメインモチーフというのは<少女から大人へ>。
 この大人へ変わる不安定な時期がタイムリープをもたらすというのが基本設定。

 さて、このアニメ「時をかける少女」は原作の主人公・芳山和子の姪である紺野真琴の物語。
 時代は平成。(おそらく)
 真琴はクラスメートの間宮千昭や津田功介と野球に興じるなど、極めて中性的、どちらかというと男の子。
 また全く屈託がない。
 何の迷いもなくタイムリープの超能力を使っている。
 和子の場合はタイムリープする自分がおかしいのではないかと悩むのだが、真琴の場合は何の悩みや不安もなく使ってしまう。
 簡単に飛び越えてしまう。
 この辺は現代っ子っぽいというか要するに子供。

 だが、そんな真琴にも大人になる時が。
 間宮千昭に告白されそうになり、タイムリープで逃げてしまう。
 津田功介との距離が縮まりそうになると、タイムリープで他の女の子をあてがったりする。
 真琴は今の三人の関係が好きで壊したくないし、男女の関係にランクアップするのが怖いのだ。
 こういう少女から大人に変わる微妙な心理を描く所は、原作「時をかける少女」のモチーフをよく理解してアレンジしている。

 さて話は戻って真琴はこのタイムリープを通して、どのように大人になったか?
 <他人の存在>
 真琴は他人という存在がいることを具体的に知る。
 タイムリープして家庭科の授業での失敗を回避しようとする真琴。
 その結果、代わりに失敗した男の子がいじめられノイローゼになってしまう。
 この事件を通して真琴は自分のしたことが他人に大なり小なり影響を及ぼすこと、世界は自分中心にまわっていないことを知るのだ。
 これが子供から大人への大きな変化。
 また中盤以降、真琴は超能力を自分のためでなく<他人>のために使うようになる。
 踏切事故に遭う津田功介を救い、千昭を救うため(ネタバレになるので詳しくは書かないが)タイムリープする。
 この<他人のために>というのも大人になるための重要な要素。
 子供は自己中心的ですからね。 
 そして最後に、大人になるための要素として忘れてならないのが<恋愛>。
 友情から恋愛へ。
 こうして真琴は大人になっていく。

 少女から大人へ。
 この永遠のテーマを扱った「時をかける少女」はジュブナイル小説の傑作だ。
 テーマがブレていないから、今回のアニメ版のようにアレンジされても心打つものがある。
 20年後、また新しい「時をかける少女」を見てみたい。


 
コメント
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