平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

曲げられない女

2010年01月14日 | 恋愛ドラマ
 荻原早紀(菅野美穂)は心にシャッターを下ろしてしまった女性なんですね。
 弁護士になるため、自分のルール、自分の時間、自分の世界で生きている。
 そこに他人は存在しない。

 そんな早紀の心のドアを叩く人が3人。
 結婚の幸せを説き仲間にしようとする高校時代の同級生・長部璃子(永作博美)。
 結婚は無料でセックスをし家政婦を雇うことと言い切る藍田光輝(谷原章介)。
 プロポーズする恋人の弁護士・坂本正登(塚本高史)。
 しかし彼ら3人はいずれも早紀の心の扉を開くことが出来なかったようだ。(ほんの一瞬は開いたが)

 早紀にとって他人は自分の世界の闖入者であり、自分のルール、時間を乱す存在でしかない。(それが日記という小道具でうまく表現されている)
 そして結婚は自分の世界を完全に壊すこと。
 だが一方で早紀はこのままでいいのかとも思っている。
 人恋しい時がある。
 将来の不安もある。
 母親に孫の顔も見せてやりたい。
 自分の世界を捨てて新しい世界に行くべきか迷う早紀。

 早紀は典型的な<自閉人間>ですね。
 僕もそういう面があるからよくわかる。
 僕の経験から言うと、こういう人は結婚しても上手くいかない。他人がわずらわしくなってくる。
 だが今のままの早紀ではきっと弁護士にもなれない。
 法律は単なる文字の羅列ではなく、<人間の心>であるからだ。
 たとえば璃子の「自分は結婚して幸せだ」という言葉の裏にあるものを理解できなければ、彼女の弁護などできない。
 あるいは弁護士になったとしても、きっと<人間の心>という壁にぶち当たるだろう。
 果たして早紀はどのように他人を受け入れるのか?
 この点、作者がどう結論づけるのか実に興味深い。

※追記
 「曲げられない女」は「結婚できない男」の女性版ですね。
 「結婚できない男」の信介も自分の世界に他人を入れようとしなかった。
 モチーフとしては「結婚できない男」の尾崎将也さんが書いているはずの作品だが、何と「女王の教室」の遊川和彦さんが書いている。
 遊川さんがこの素材をどう料理するか楽しみだ。

※追記
 早紀が母親に「あたし、結婚できないかもしれない」「孫の顔見せられないかもしれない」と電話した時、震えていた。
 正登にプロポーズの返事をした時もそうだった。
 早紀にとって自分の心の扉を開けて本音を語るというのは大変なことなんですね。
 でもきっと早紀の心の中にはいろいろな言葉や感情が渦巻いているのでしょう。

※追記
 藍田に言った「そこまで言われると潔い」はある意味、自衛のせりふ。
 他人に何か言われたらそう返せばいいわけですから。
 「ハケンの品格」の名セリフ「それが何か?」に似ている。


コメント (2)
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