平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

曲げられない女 第3話 定石を外す

2010年01月28日 | 恋愛ドラマ
★「我、死すとも、いいとも」

 この辞世の句が面白い仕掛けになっている。
 これの意味する所は何か?
 このことが今回の謎になっているのだ。
 そして、この謎が解けた時、死を前にした母が早紀(菅野美穂)に伝えたかったことがわかるという仕掛け。
 プロの技ですね。
 こういう技を見せてくれると、さすがと思ってしまう。
 ちなみにネタバレになってしまうが、意味する所は……
 「我、死すとも いい友」
 自分が死んでひとりぼっちになってしまったとしても、いい友達がいれば大丈夫というメッセージ。
 そのいい友達として、璃子(永作博美)と藍田(谷原章介)がいるというオチ。
 実に上手い。

★その他にもプロの技がある。
 死を賭して最後の教壇にあがろうとする母。
 早紀はそんな母の想いをくみ取って、母を病院から脱出させ学校に向かわせるが、教室を前にしてこう言う。
 「一秒でもお母さんと長くいたいから、やっぱり病院に戻ろう」
 普通なら母親と生徒を対面させて、感動の授業を行うという流れになるが、それを敢えて外した。
 それは母親の死のシーンでも同じ。
 普通なら早紀と死に行く母が涙の別れをして感動!という流れだが、璃子と藍田との対面シーンの後、いきなりお通夜のシーンへ。
 母子の感動の別れのシーンはない。

 この作劇の定石を外した展開には賛否両論があるだろうが、早紀と母親の物語は十分に語られているから、敢えて別れのシーンをいれなくてもいいと僕は思う。
 むしろ母親が璃子と藍田に三つ指ついて早紀のことを頼むシーンの方が重要だと思うし、母子の別れのシーンで泣かせるのは作劇として安易すぎる。
 いい感じで視聴者を裏切っているし、この処理は正解であると思う。

 ドラマの定石は大切だが、視聴者に先が読めてしまう作劇は当たり前でつまらない。
 ただ、このウルトラCが可能なのは、早紀役が菅野美穂さんだから。
 下手な役者さんがやったら伝わらない。
 脚本は「女王の教室」の遊川和彦さん。
 「女王」は天海さんと志田未来さんという役者さんを得て大成功したが、今回もそうなりそうな予感。


コメント
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