平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ディスクロージャー

2009年02月08日 | 洋画
 マイケル・ダグラス主演の「ディスクロージャー」のストーリーラインはこんな感じ。

★トム・サンダース(マイケル・ダグラス)はハイテク企業デジコム社の重役。生産ラインを任されている。
★副社長として本社からやって来る女メレディス・ジョンソン(デミ・ムーア)。
 彼女はトムのかつての恋人。
★仕事が終わりトムはメレディスのオフィスに呼び出され体の関係を強要される。
 思い留まるトム。
★だがプライドを傷つけられたメレディスは激怒。
 会議の時間変更を教えない。会議で前日打ち合わせをしていた内容を翻しトムに恥をかかせるなどの嫌がらせをする。
★そしてメレディスはトムにセクハラされたと社長に訴える。
 トムといっしょにいると怖いから他の支店に彼を異動してくれと頼む。
★トムは「セクハラされたのは自分だ」と言い、調停の裁判に。
★事実確認の調停裁判。
 トムとメレディスの人間性と過去がそれぞれの弁護士から詰問される。
 トムの妻は彼の過去に激怒。家庭崩壊?
 トムの秘書も呼び出され、彼の軽いボディタッチも問題にされる。
★トムは会社でも白い目で見られる。
 会社のデータベースにもアクセスできなくなる。
 社長は合併話がご破算になることを怖れメレディスに味方したのだ。
 部下などトムに味方する者を懐柔する社長。
★メレディスのセクハラを証明する録音テープが見つかる。
 トムはセクハラを受けた時、友人に電話をしていてその電話は切られなかったのだ。
 友人はそれを面白がって録音していた。
★形勢逆転。
 メレディスは示談金を払うことに。
★しかし罠が。
 新製品の発表会。その商品の欠陥を指摘してトムを排除しようとするメレディス。
★トムはそれを事前に察知。
 メレディスがセクハラを仕掛けた理由も把握する。
 商品の欠陥を作り出していたのはメレディス本人だったのだ。
 セクハラを仕掛けたのも生産ラインの責任者であるトムがそれに気づき告発するのを怖れたため。
 セクハラで異動になればトムはメレディスの不正に気づかない。
★メレディスの不正を証明する書類を集めて、逆に彼女を左遷させることに成功するトム。
★なおトムはメレディスの件で様々なアドバイスを匿名のメールで受け取っていた。
 メールを出していたのはメレディスの後釜に座ったひとりの女性だった。


 実に面白いストーリーラインですね。
・逆セクハラ
・トムの会社でのピンチ
・不利な調停裁判。家族も崩壊?
・調停裁判での逆転
・新たな罠
・メレディスが逆セクハラを仕掛けた本当の理由がわかる。
・メレディスの不正を暴いて逆に左遷させるトム。
・後釜に座った女性のこと。

 主人公のトムにとってはピンチと逆転の連続。起伏に富んでいる。
 普通なら逆セクハラが証明されてめでたしめでたしで終わる所だが、さらに大きなピンチを用意している。
 セクハラを仕掛けたメレディスの動機が別の所にあったというのも見事。
 これが本当に面白いということなんですね。

 原作は「ジュラシック・パーク」のマイケル・クライトン。
 見事なストーリーテラーです。


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ハッピーフライト

2009年02月07日 | 邦画
★飛行機ものですね。
 「アテプリ」などでCAとパイロット、整備スタッフのことは描かれたが、乗客のクレーム対応に追われる<グランドスタッフ><オペレーション・ディレクター><ディスパッチャー><管制官><バードパトロール>などに着目したのはさすが矢口史靖監督。
 目のつけ所が違う。
 そうですね。働いている人ひとりひとりにドラマはあるわけですからね。

★矢口作品の特徴はミスマッチの面白さ。
 男の子がシンクロする?
 女子高生がジャズをやる?
 今回のミスマッチは格好悪いパイロットやCA。
 制服に身を固めてパイロットやCAは格好いい。
 でも内実は?
 テレビドラマでもダメダメなCAが描かれたが、ギャレーで青竹踏みをしているCAは見たことない。
 乗客の注文を覚えるのに<ほくろ小僧>とかあだ名をつけているのも笑える。

 地味だと思われる<グランドスタッフ><オペレーション・ディレクター><ディスパッチャー>などが格好良く描かれるのもミスマッチ。
 グラウンドスタッフの木村菜採(田畑智子)が無線機を手に取る。
 まるで刑事が拳銃を配備する時の様。
 ディスパッチャーがコンピュタを駆使して天気情報、風向きなどの情報を伝える所はまさに海外ドラマ「24」。
 情報官のクロエ・オブライエンを連想させた。

 仕事には格好悪い部分と格好いい部分があるんですね。
 そして人が格好良く輝くのはプロフェッショナルな仕事をしている時。
 先程のグラウンドスタッフやディスパッチャーの例がそうだし、横暴な客を見事にさばくチーフパーサー山崎麗子(寺島しのぶ)もそう。
 CA斎藤悦子(綾瀬はるか)はドジばかりだったが、緊急着陸の時はプロのCAになっていた。
 オペレーションディレクター高橋昌治(岸部一徳)もデジタルに対応できていない親父だったが、コンピュータが使えなくなりアナログで対処しなくてはならない時、風を読むなど力を発揮した。

 そうどんな仕事であってもプロの仕事をしている人間はカッコイイのです。
 オリンピックで最高のパフォマンスをしてメダルを獲る姿は格好いいし輝いていますが、普通の仕事をしている人にもそういう瞬間があるのですね。

 
※追記
 「ウォーターボーイズ」「スウイングカールズ」そしてこの「ハッピーフライト」。
 これら矢口作品に共通しているのは<どちらかと言えばダメダメな普通の人が格好良く輝く>ということ。
 物語は「ロッキー」なのですが、素材の切り口が面白いんですね。

※追記
 せりふもカッコイイ。
 パイロットに「エマージェンシー(緊急事態)を要請しますか?」
 チーフパーサーがCAに「これから私達はサービススタッフでなく保安スタッフになります。乗客に厳しくあたってよろしい」
 決断のせりふ、事態の変化を的確に表すせりふというのは立ちますね。


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Q.E.D.証明終了 火サス刑事!

2009年02月06日 | 推理・サスペンスドラマ
★過去<ヅラ刑事>など様々な刑事が登場してきましたが、この作品では<火サス刑事>。
 どんなふうに<火サス>かと言うと……
・単なる窃盗事件なのに背後に殺人事件が起こっていると思ってしまう。
・ワンルームマンションなのに家政婦がいると思ってしまう。
・被害者は結婚をしていないのに事件の背後に夫と愛人のドロドロがあると思ってしまう。
 etc.etc

 ある意味キャラクターもので、ある意味パロディですね。
 こういう遊び心、好きです。
 でもサスペンスドラマには女子高生がつきものというのはどうなんだろう?

★さて本題
 <火サス刑事>笠山杉道(松尾諭)も言っていたように我々の日常というのはわりと単調で退屈。
 波瀾万丈など程遠くロマンのかけらもない。
 だからドラマや映画、小説があるわけなのだが、これを現実に実行してしまう人ってすごいですよね。
 <サスペンスドラマ>が好きだから刑事になりドラマの様なロマンを求める。
 <必殺仕事人>が好きだから現実で殺し屋をやるという人がいない様になかなかいません。
 笠山はよほどサスペンスドラマが好きなんでしょうね。
 こういうふうにのめり込めるものがある人は幸せです。(悪く言えば現実と空想の区別がつかないとも言えますが)
 それに笠山はなかなかのパワーの持ち主です。
 なぜなら退屈な日常を自分の力でねじ曲げてロマンにしてしまうのですから。
 普通の人なら思い留まる所を飛び越えて<火サス刑事>になってしまうのですから。

 そのパワーは『サスペンスの女王』と呼ばれる女優・渚幸代(青田典子)をも動かした様です。
 危機を救ってくれたのもありますが幸代にとって笠山はひたすら自分をリスペクトしてくれる人間。
 自分を大好きで肯定してくれる人間。
 幸代は落ち目になった自分の人気に悩んで狂言を行いますが、生きる上で必要なのは<お金>や<名声>でなく、<自分を大好きで肯定してくれる人間>なんですね。

 笠山のことで言えば<あることをひたむきに愛せれば人生は幸せ>ということでしょうか。

 そんなことを今回のラストは物語っている様な気がします。


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容疑者Xの献身

2009年02月05日 | 邦画
★この作品は天才数学者の石神哲哉(堤 真一)に尽きる。
 才能を持ちながら恵まれない生活。
 そんな彼に一筋の光明を見せてくれたのは娘と二人で暮らす隣人・花岡靖子(松雪泰子)。
 そんな靖子のために……。

 泣かせるのは上に書いた石神の動機だ。
 絶望の淵にいる人にとっては他人の何気ない言葉や笑顔が救いになるんですね。
 その救ってくれた人のために犯罪を行う。

 途中、石神の動機にはミスリードがなされる。(以下ネタバレ)

 靖子に男の陰。男と食事をし車で送られてくる靖子。
 石神は嫉妬……?
 石神は靖子に異常な執着を見せるストーカー?
 靖子を助けたのは見返りを求めてのもの?

 だが違っていた。
 男と会う靖子を追いかけていたのは男が信ずるに足る人物かどうかを確かめるため。
 石神の行為は純粋に靖子の幸せを願う無償の愛だった。

 真実を知って駆けつけた靖子が「自分も償いをします」と叫び、石神が「そんなことをしてはいけない。やったのは自分だ」と叫ぶシーンはすごいですね。
 響き渡る慟哭。
 どんなラブシーンよりも愛が伝わってくる。

 日本映画史に残る名シーン・名演技。

★そして湯川先生(福山雅治)。
 物理と数学、学問の分野は違うが、同じ理論と数字の世界に魅せられていた湯川と石神。
 ふたりには理論と数字の世界の美しさだけがすべてであり、人間の心=愛が介在する余地がなかった。
 ところが石神は<愛>という感情を抱いてしまって。
 この石神を見て湯川は何を考えたのだろう?

 <愛という不合理なものに囚われるからこうなる>。

 そう思ったかもしれない。これが今までの湯川の主張だからだ。
 だが今回の石神を見て湯川は思う。
・数学の世界は石神を救えなかった。
・生きていくために石神には愛が必要だった。
・どんなに不合理であっても愛を求めずにはいられないのが人間。
 
 理論と数字だけだった湯川の心に人間が入ってくる。
 単なる数字・理論おたくなのか、つらい過去があって人間を否定したのか、湯川の人物像はいまだに明らかにされていないが、今回のことで彼が愛や人間について考えさせられたのは確か。

 本編のドラマは冒頭の電磁波を使った派手な事件と違って地味。
 トリックも湯川と石神が歩くシーンでベンチに座ったホームレスがいないことである程度予想がつく。
 しかしドラマがしっかり作られているから胸を打つ。


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ロンドンハーツ 50年に一度の勘違い男SP

2009年02月04日 | バラエティ・報道
 「涙」でブレイクした?狩野英孝ドッキリ第2弾!

★テレビの可能性
 テレビ朝日上層部による企画意図は<未来のテレビの可能性>。
 そうですね、今回の内容は<未来のテレビ>として十分にあり得るものではないでしょうか。
 つまり新しいドラマの形。
 今回の内容は例えば『小室哲哉物語』と言ってもいい。
 あるひとりのアーティストの栄光と転落。
 もちろん小室さんは曲作りの天才だし音楽とは真面目に向き合っていたと思うが、その他の部分は小室さんのドラマと言っていい。
 つまり
 <まわりに持ち上げられて勘違いしてしまった男のドラマ>
 <世界を目指して転落した男のドラマ>
 ドッキリという半ばドキュメンタリーの手法ゆえ通常のテレビドラマのウソっぽさはない。
 視聴者は半ばリアルな感覚でドラマを見る。
 同時に人が勘違いし思い上がっていくというテーマを感じることが出来る。
 これぞ新しいドラマの形。
 ある意味「あいのり」もそうですね。
 僕が「ロンハー」や「あいのり」に惹かれるのは既存のドラマのウソっぽさが退屈だから。
 おそらく今回の「ロンハー」は数字を獲るでしょう。
 なぜならこれは視聴者が求めている<新しいドラマの形>だから。

 今期のテレビドラマは不調らしいですね。
 それはテレビドラマが時代のニーズに合っていないから。
 映像では映画の方が断然面白いし、他に面白いものはいくらでもある。
 テレビドラマ製作者は大いに反省すべき。
 
★称号をつけられるということ
 「キモい男」「50年に一度の勘違い男」「メロディ工場の工場長」「50TA」。
 「ロンハー」出演で様々な称号がつけられていく狩野さん。
 タレントとしては美味しいでしょうね。
 <勘違い男>というだけで仕事が来る。
 高田純次さんの<いい加減男>と同じ。
 逆につらいのは名前を言われて何のイメージも湧いてこないタレントさん。
 求められることが限られてくるというリスクはあるが、タレントさんが称号を持つことは重要です。

 しかし<狩野英孝>という名前を捨ててしまうなんて。

★狩野さんの曲作り
 今回は狩野さんの曲作りの過程も披露。
 「Go to heaven」はアダルトチャンネル・ペイテレビを見て作られた曲。
 「パーフェクトラブ」と「インドの牛乳屋さん」はこれらのお題を与えられて出来た曲。メロディが降りてくるらしい。
 「インドの牛乳屋さん」のデモテープではインドの都市名を羅列したAメロに大爆笑!
 創作の過程とはこんなものなのかもしれませんね。
 だから創作者は舞台裏を見せない。

 「50TAラップ」の「コロコロコミック読んで」には笑った!

※追記
 今回の内容は<新しいテレビの可能性>だったが<新しい音楽ビジネスの可能性>であるかもしれない。
 おそらく今回の5曲かなりの数ダウンロードされるだろう。
 面白度と話題性は十分ですからね。
 番組と連動した音楽配信。
 ここに新しい音楽ビジネスの可能性がある。


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あいのり 2/2

2009年02月03日 | バラエティ・報道
 ヤマジ、よかった!
 ラブレターの掲示板掲示。賭けの対象(誘惑したらキスするかどうか)。
 過去のつらい体験から他人を信じられなかったヤマジ。
 そんな彼女の頑なな心が解ける。
 ヤマジは言う。
 「過去を恨み未来だけに理想を求め、現在を見ることをしなかった」
 自分を心配してくれるあいのりの仲間がいるのにそれに気づかなかったヤマジ。
 現在を楽しめばいいのに彼女は過去にこだわり未来ばかりを見ていた。

 これはなかなかの心境ですよ。
 人生を重ねてもなかなか気づかない。
 やはり旅は人を成長させる。

 頑なな人の心をほぐすのも人の温かい心なんですね。
 頑なな心が解けて彼女は謝る。
 「わたし、みんなに迷惑かけていた。ごめんなさい」
 そしてラブワゴンに乗って心から笑うヤマジ。
 今まで見たことのない最高の笑顔。
 どんな女優さんも決して出来ない笑顔。

 その日の夜にヤマジが見た月光は一生忘れられないものになったでしょう。
 心が解放され世界と自分が調和する。

 来週はいよいよただっちに告白。
 結果がどうあれ旅の終わり。仲間たちとの別れ。
 久本さんが言う様に「もっと旅を続けて今まで渇いていた心をもっとうるおせばいいのに」。
 心にいい栄養を与えれば心はもっと豊かになる。
 旅を続けていればもっと栄養を与えることが出来たのに。
 もっと変わっていくヤマジを見たかった気もしますが、彼女には今回の体験だけで十分だったのでしょう。
 そして今回の体験を覚えている限り彼女は曲がらない。

 来週はさらに大きな感動のシーンが見られそう。

※追記
 あいのりベイビー誕生。
 アウトローとゴキ。
 アウトローはあんなにとんがっていたのにすっかり丸くなって。
 愛情を与え与えられる心の循環。
 こうして人の心はどんどんやさしくなっていくんですね。


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天地人 第5回「信長は鬼か」

2009年02月02日 | 大河ドラマ・時代劇
★義とは何か?
 謙信(阿部寛)の言う<義>とは「人として美しく生きること」。
 それに対して信長(吉川晃司)。
 「新しい世を作るためなら鬼にも魂をくれてやろう」
 美しく生きることなど二の次。汚いことをしても世の中に安寧をもたらす。
 僕としては信長の覚悟の方が好きですね。
 謙信も悩んでいたが、愚鈍な兄を倒すことで現在の越後の平和がある。
 もし謙信が美しく生きることにこだわって兄をそのままにしていたら越後は信玄に侵略されていたかもしれない。

 謙信と信長。
 この対立は後の関ヶ原でも。
 石田三成(小栗旬)は豊臣家に対する<義>に殉じた男。
 家康は世の中の平和のために<義>を捨て豊臣家を倒そうとした男。
 家康はたとえ不忠と罵られても世の中を見出す怖れのある(見方を変えれば反徳川の)豊臣家を倒さなければならないと考えた。
 結果オーライの考え方ですが僕は三百年の平和を作った家康の方を支持します。

 また信長は「義にとわられることはしがらみにとらわれること」と言ったが、まさにそのとおりですね。
 義にとらわれるとは帝や足利将軍、また比叡山などの寺社にこだわるということ。
 それらは古き秩序。自らの権益を守ることのみを考えている時代の進歩を妨げる存在。
 だがそれにこだわっていたら新しい時代は作れない。
 具体的な例で言えば楽市楽座。
 寺社などの既得権が残っていたら楽市楽座という自由な経済活動は出来なかった。

 こう考えると小泉さんは現代の信長ですね。
 小泉構造改革の是非は別の議論として時代に逆行する既得権を壊そうとした。

 幕末もそうですね。
 徳川という古い秩序が時代に合わなくなったから倒された。
 この際、帝という権威が錦の御旗として使われたことが面白い。
 信長は帝の権威を使わずに自分の力で平定しようとしたが、薩長は利用した。
 やはり信長という人はすごい人です。滅茶苦茶強烈な自我。
 もっとも徳川三百年の秩序が帝の求心力を使わなければ打倒できないほど重かったとも言えますが。

★さて兼続(妻夫木聡)。
 謙信と信長というふたりの英雄を目の当たりにしていろいろ迷っている様です。
 世の中の安寧のためには義にこだわらなくてもいいのではないかと。
 その迷いは謙信にも伝わって……。
 それだけ信長という存在はインパクトのあったものなんでしょうね。

★今回は人物の描き方が見事ですね。
 兼続と信長の会見。
 ここで謙信との比較で信長を描き切る。
 その緊張感の中で秀吉と三成に出会わせる。
 初音(長澤まさみ)に関しては兼続を信長に会わせ危険な目に合わせたり、助けたり。その中で<謎の女>というイメージを描き出す。
 会見という一連の行動の中でこれらの人物を描いている。
 実に見事です。

 あとは恋愛パート。
 お船(常盤貴子)の婿取り。
 お船は兼続に「自分が」と言ってほしい雰囲気。
 兼続も多少迷っている感じ。
 でも家格の差が……。
 戦国時代版「ロミオとジュリエット」です。


※追記
 「義はいくさをするための口実」と言い切る信長。
 本当に合理主義者ですね。
 また言葉の本質(曖昧さ)をしっかり理解している。
 立場が違えば「義」は「不義」になるのですから。


コメント (2)
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長崎犯科帳

2009年02月01日 | 大河ドラマ・時代劇
 うまい設定を考えたものですね。
 舞台は金の力で商人がすべてを牛耳り悪行三昧の長崎。
 そこにやって来た主人公の長崎奉行・平松忠四郎(萬屋錦之介)。
 彼は悪行を行う商人とつるんで賄賂をもらい放題。
 ええっ!正義の味方が!?
 でも実はこれが忠四郎の捜査方法だったんですね。
 悪の中にいた方が悪の情報を得やすい。
 何しろ悪商人は忠四郎を自分たちの味方だと思って悪行を包み隠して喋ってしまうのですから。
 まあ今で言えば潜入捜査。

 この設定により見せ場も作ることが出来た。
 頭巾を被って悪者の前に登場。
 自らを「闇奉行」と名乗って頭巾を外す。
 「あなたさまは奉行様!?」
 今まで悪の仲間だと思っていた人間が180度変わる。
 今までバカにしていた人間が正義の味方に。
 「遠山の金さん」でいう刺青のシーン。
 「水戸黄門」でいう印籠のシーン。
 時代劇ならではの見せ場。

 長崎という舞台設定も作品を面白くする。
 まず長崎限定ということで長崎の悪商人VS長崎奉行という対立図式が明確になる。
 唐人屋敷や密貿易という特異性のある事件が描ける。
 ボウガンなどの外国のアイテムが使える。
 江戸を舞台にした作品には見られない異国情緒を楽しめる。
 実にうまい。

 物語は時代劇の王道の勧善懲悪。
 よくあるストーリー。
 しかし設定を少し変えるだけでまったく別の物語が生まれるんですね。
 エンタテインメントはキャラクターであり設定なんですね。
 

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