平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒 「密愛」

2009年02月20日 | 推理・サスペンスドラマ
 「密愛」

 脚本は古沢良太さん。
 ドラマ「ゴンゾウ」や映画「キサラギ」を書かれた方。
 今回の内容は「キサラギ」のテイストがいっぱいですね。
・演劇の様な作劇。
・舞台上の人物のやりとりによって描かれる物語。
・事件の断片が再構成されて浮かびあがる真実。

 今回の事件の断片は<フランスの恋愛詩集><盗聴器入りの万年筆><ごちゃまぜのハーブティ><密室><オモテと裏の顔を持つペテン師>。
 これらの断片からどの様な物語を作り上げるか。
 右京(水谷豊)さんが紡ぐ物語はこう。
・<フランス詩集>を読むことで近づいてきた男ジュリアン。
・女カテリーヌはやがて男を愛する様になるが、歳をとってからの恋愛しかも恋愛慣れしていない女は男の気持ちを疑うようになる。
 <盗聴器入りの万年筆>を男に渡す。
・そして男が<オモテと裏の顔を持つペテン師>であることを知る。
 男は自分に毒を盛っていた。
 <ごちゃまぜのハーブティ>は毒の味を誤魔化すため。
・裏切られた女は男を毒で殺害。
・しかし男は女を本当に愛していた。
 現場を<密室>にしたのは実は男。
 毒を盛られて瀕死の男は最期の力を振り絞ってドアの鍵をかける。
 その理由は女が犯人だと疑わせない様にするため。

 実はこの右京さんの作った物語は情況証拠だけで単なる空想でしかない。
 宇佐美悦子(岸惠子)が否定してしまえばそれで済んでしまう話。
 しかし右京さんは悦子の心を読んでいる。
 自分をここに呼んだのは自分の罪が明らかにされ罰せられたいと考えたから。
 罪を認める悦子。
 だが右京は最後の悦子の気持ちは読み違えていた。
 悦子が右京を呼んだのは「自分が愛されたことを誰かに知ってもらいたかったから」。
 右京は悦子の女心を読み違えたわけだ。
 これで恋愛心理には疎い右京のキャラクターが浮き彫りに。
 見事なオチ。

 先程述べた古沢さんの作家性も入った見事な一編でした。

※追記
 この作品を気に入った方はぜひ映画「キサラギ」をご覧下さい。
 喜劇仕立てでミステリー要素も十分。
 小栗旬さん、ユースケ・サンタマリアさん、小出恵介さん、塚地武雅さん、香川照之さんなどキャストも豪華。


コメント
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