平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

名探偵コナン 時計じかけの摩天楼

2009年02月18日 | コミック・アニメ・特撮
★蘭ちゃんの想いがせつない。
 5/3 オールナイトの映画に行こうと工藤新一を誘う毛利蘭。
 彼女の気持ちはこう。

 翌日の5/4は新一の誕生日。
 オールナイトで日を越して誕生日プレゼントをあげる。
 プレゼントは占いで蘭と新一共通のラッキーカラーである<赤>のポロシャツ。
 映画は『赤い糸の伝説』。
 5/3を楽しみにカレンダーを毎日見ている蘭。
 友達の鈴木園子にわたしもいっしょに映画に行くと言われて当惑。

 何と一途な女の子なんでしょう!
 しかし新一は謎の組織から蘭を守るために姿を現すことが出来ない。コナンであることを告白できない。
 そんな中、何度新一にすっぽかされても想い続ける蘭。
 「コナン」は推理ドラマと同時に見事な恋愛ドラマですね。
 最近のテレビオンエアでも「推理の答えを聞きたいから」(=新一の気持ちを聞きたいから)と決心してずっと手を握っていてすれ違うという描写があったが、蘭の恋、絶対に実ってほしい。

★この蘭の想いはこの作品「時計じかけの摩天楼」を名作にした。
 以下ネタバレ。

 爆弾解体。
 ドアが塞がっていて蘭が爆弾を解体することに。
 新一の指示で爆弾は解体されていくが、最後に<赤>と<青>のふたつのコードが残る。
 どちらを切っていいかわからない新一。
 「お前が好きな方を選べ。死ぬ時はいっしょだ」と言う新一。
 テレビドラマ「ガリレオ」でも同じ様なシチュエーションがあったが、この作品の方がひとひねりもふたひねりもある。
 <ふたりのラッキーカラーは赤>という伏線があるから観ている者は当然蘭は<赤>を切るだろうと思う。
 だが蘭が切ったのは<青>。
 当初僕はコードを切った時、照明が消えたので蘭が<赤>と<青>を間違えて切ったのだろうと思った。
 だが違っていた。
 蘭が<青>を切ったのは<赤>を切ってしまったら<赤い糸>が切れてしまうと思ったから。
 なるほど! お見事!
 見に行こうと思った映画が『赤い糸の伝説』というフリもあるからこのオチは全く不自然でない。
 これでこの作品は心に残る名作になりましたね。
 月曜日の「深イイ話」で島田紳介さんが「頭でなく心で記憶する」ということを言ってましたが、まさに観客の心にしっかりと刻まれた。
 それは新一を想う蘭の気持ちがきっちりと描かれているから。

 同じシチュエーションでも「ガリレオ」はこう。
 湯川に「好きな色を切れ」と言われて薫は他にもう一本あった<ピンク>を切る。
 理由は文字どおり薫が<ピンクが好きだったから>。
 これでは気持ちは描けていない。
 同じ「ガリレオ」でも「容疑者Xの献身」は胸を打つ。
 それは犯人・石神の気持ちがしっかり描かれているから。

 心をしっかり描くこと。
 これが名作の条件なんですね。


コメント
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