平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

コード・ブルー シーズン2 第2話 HANABI

2010年01月19日 | 職業ドラマ
 藤川(浅利陽介)は工事で事故にあった作業員を救えなかった。
 緋山(戸田恵梨香)は整形手術の失敗で顔の腫れた女性を救えなかった。
 白石(新垣結衣)は脳腫瘍を切除したが、患者・北山の記憶を奪ってしまった。

 外科医は死を避けて通れない。
 そのことはわかっているのだが、自分の無力を感じる主人公たち。
 だが奇跡はある。わずかな光りはある。
 記憶を失った北山が、初めて会った時にしたように、妻にプロポーズしたのだ。
 手術前には白石に北山は「万が一のことがあっても妻とまた結婚します」と言っていた。
 自分のやっていることに意味はあるのかと悩む主人公たちだが、彼らはたくさんの死の中にあるたったひとつの奇跡のために闘っている。

 このテーマは主題歌「HANABI」でも表現されている。

♪どれくらいの値打ちがあるだろう?
 僕が生きているこの世界に
 すべてが無意味だって思える
 ちょっと疲れてるのかなぁ ♪

 そしてサビ。

♪決して捕まえることの出来ない
 花火のような光りだとしたって
 もう1回 もう1回
 もう1回 もう1回
 僕は手を伸ばしたい
 誰も皆 悲しみを抱いてる
 だけど素敵な明日を願っている
 臆病風に吹かれて 波風がたった世界を
 どれだけ愛することができるだろう♪

 まさに今回の物語と同じ内容。
 物語と主題歌がこれほどマッチした作品も珍しい。

 ちなみに冴島(比嘉愛未)と恋人のエピソードは主題歌ではこんなふうに表現されている。

♪さよならが迎えに来ることを
 最初からわかっていたとしたって
 もう1回 もう1回
 もう1回 もう1回
 何度でも君に逢いたい
 めぐり逢えたことでこんなに
 世界が美しく見えるなんて 
 想像さえもしてない 単純だって笑うかい?
 君に心からありがとうを言うよ♪

 どんなにつらいことがあっても
 もう1回 もう1回
 もう1回 もう1回
 と心に叫び続けてがんばっていきたいですね。

 これがドラマと歌の力!!
 ドラマや歌に触れることで、人は力を与えられる。


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龍馬伝 第3回「偽手形の旅」

2010年01月18日 | 大河ドラマ・時代劇
 <自分探し>をしている龍馬(福山雅治)。
 自分は何をなすために生まれてきたのか?
 加尾(広末涼子)への気持ちも定まらないらしい。

 そんな<自分探し>をしている龍馬に弥太郎(香川照之)はこう言う。
 「お前は飢えたことがあるか!?」
 この言葉は強い。
 どんな理屈も理想も黙らせてしまう最強の言葉。
 明日の食べ物がない状態では<自分探し>などやっている余裕などないのだ。
 弥太郎はこうも言う。
 「這い上がりたい、這い上がりたい。どんなにそう思ってがんばっても誰も助けてくれない。お前といっしょにするな」
 この必死の叫びにも龍馬は何も言えない。

 だが、この作品が「龍馬伝」というタイトルである以上、主人公・龍馬は弥太郎を越える言動をしなくてはならない。
 そこで行ったのが関所での弥太郎の弁護。
 解決方法としてはわりと直球、オーソドックスである。
 ある意味、機略も工夫もなく安易。
 前回の堤防作りで農民たちを心服させたのと同じがする。
 第1回の上士への土下座もそう。
 物語の主人公ならこのくらいの行動はするよなという感じ。

 現在の龍馬はただ人が好いだけのお坊ちゃん。
 いずれは変わってくるのだろうが、普通の人。
 ヤクザとのチャンバラで見せ場を作った感じだろうが、とってつけた感も否めない。

 「竜馬がいく」のイメージで坂本龍馬を捉えている僕としてはこの龍馬像はちょっと物足りないんですよね。
 たとえば「竜馬がいく」での江戸への旅はこんなふうに描かれている。
 まずお金。
 金に窮した岡田以蔵に金を渡してこう言う。
 「ぜんぶで五十両ある。おれは幸い、金に不自由のない家に育った。これは天の運だ。天運は人に返さなければならぬという。おれのほうはあとで国もとに頼みさえすればいくらなりとも送ってくれる。このうち半分を持っていけ」
 「竜馬がいく」の龍馬は自分が金持ちの家に生まれたことについて、既に哲学を持っている。
 また行動としては、「世間に出ると泥棒とも知り合いになれる」と言って寝待ちの藤兵衛という盗賊を子分にしたり、「おれにやらせてくれ。お前はそこについて、いちいち手直ししてくれればいい」と言って船の舵取りに弟子入りしたりしている。
 家老の娘・お田鶴さまと宿が同じ部屋になって龍馬は外で寝ることにするが、その時田鶴にこう言う。
 「相宿はごめんこうむります。私は窮屈なのが大嫌いなのだ。こうして天地の間に出ているのが一番いい」

 「竜馬がいく」の龍馬像に二十歳の若者としてリアリティがあるのかというと疑問が出るが、痛快な英雄譚としては「竜馬がいく」に軍配が上がる。
 さて、リアリズムで描いた「龍馬伝」の龍馬は吉と出るか凶と出るか?


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逆境ナイン

2010年01月17日 | 邦画
 甲子園地区予選決勝。
 得点差116対0。
 ナインは傷つき倒れ、野球が出来るのは主人公・不屈闘志(玉山鉄二)のみ。

 これほどの逆境はないだろう。
 しかし主人公・不屈は負けない。
 逆境に置かれれば置かれるほど燃え上がる男だからだ。

 さすが島本和彦先生のマンガである。
 バカバカしく、しかも熱い! 松岡修三のように熱い!
 この映画版も原作をそのまま忠実に描いている。
 苦しいつらい状況にある方にはぜひ見て欲しい作品だ。
 あまりにバカバカしくて大笑いし、スカッとする。
 そして、こんなふうに考えてしまう。

 逆境に負けてウジウジしていてもしょうがない。
 不屈のように逆境に立ち向かおう!
 不屈のように逆境にこそ燃えよう!
 116点差に立ち向かう不屈はバカかもしれないが、そんなバカこそカッコイイ!
 同じ逆境ならお利口な負け犬になるより、バカな熱いやつになろう!
 たとえ負けたとしても、熱く生きた記憶は残る。
 116点差あるのに必死で闘ったんですよ、と大人になってから人にバカ話が出来る。
 それは自分の人生について何も話すことのない退屈なオトナよりずっといい。

 日本中が不屈のような人間ばっかりだったら、この国は元気でしょうね。
 不況なんて関係ない。国中が熱くなる。
 職がない。お金がない。恋人がいない。これこそ待ち望んでいた逆境!
 そう言って開き直れれば、結構楽しく生きられる。
 不屈が逆境に立ち向かう原動力には何の根拠もないのだが、理由などなくても熱く生きる。
 どうせ生きるならバカになって生きよう!

 今は癒しが求められる時代だが、不屈や松岡修三のような生き方も悪くはない。
 バカバカしいけど「逆境ナイン」に感動した!
 そんな人が街に溢れるといいですね。

※追記
 2005年製作のこの作品、今やイケメンの代表の玉山鉄二さんも若かった。
 マネージャー役の堀北真希さんも初々しかった。
 おふたりのファンの方も必見!!


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時をかける少女

2010年01月15日 | コミック・アニメ・特撮
 原作もアニメ版もそうなんですが、「時をかける少女」のメインモチーフというのは<少女から大人へ>。
 この大人へ変わる不安定な時期がタイムリープをもたらすというのが基本設定。

 さて、このアニメ「時をかける少女」は原作の主人公・芳山和子の姪である紺野真琴の物語。
 時代は平成。(おそらく)
 真琴はクラスメートの間宮千昭や津田功介と野球に興じるなど、極めて中性的、どちらかというと男の子。
 また全く屈託がない。
 何の迷いもなくタイムリープの超能力を使っている。
 和子の場合はタイムリープする自分がおかしいのではないかと悩むのだが、真琴の場合は何の悩みや不安もなく使ってしまう。
 簡単に飛び越えてしまう。
 この辺は現代っ子っぽいというか要するに子供。

 だが、そんな真琴にも大人になる時が。
 間宮千昭に告白されそうになり、タイムリープで逃げてしまう。
 津田功介との距離が縮まりそうになると、タイムリープで他の女の子をあてがったりする。
 真琴は今の三人の関係が好きで壊したくないし、男女の関係にランクアップするのが怖いのだ。
 こういう少女から大人に変わる微妙な心理を描く所は、原作「時をかける少女」のモチーフをよく理解してアレンジしている。

 さて話は戻って真琴はこのタイムリープを通して、どのように大人になったか?
 <他人の存在>
 真琴は他人という存在がいることを具体的に知る。
 タイムリープして家庭科の授業での失敗を回避しようとする真琴。
 その結果、代わりに失敗した男の子がいじめられノイローゼになってしまう。
 この事件を通して真琴は自分のしたことが他人に大なり小なり影響を及ぼすこと、世界は自分中心にまわっていないことを知るのだ。
 これが子供から大人への大きな変化。
 また中盤以降、真琴は超能力を自分のためでなく<他人>のために使うようになる。
 踏切事故に遭う津田功介を救い、千昭を救うため(ネタバレになるので詳しくは書かないが)タイムリープする。
 この<他人のために>というのも大人になるための重要な要素。
 子供は自己中心的ですからね。 
 そして最後に、大人になるための要素として忘れてならないのが<恋愛>。
 友情から恋愛へ。
 こうして真琴は大人になっていく。

 少女から大人へ。
 この永遠のテーマを扱った「時をかける少女」はジュブナイル小説の傑作だ。
 テーマがブレていないから、今回のアニメ版のようにアレンジされても心打つものがある。
 20年後、また新しい「時をかける少女」を見てみたい。


 
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曲げられない女

2010年01月14日 | 恋愛ドラマ
 荻原早紀(菅野美穂)は心にシャッターを下ろしてしまった女性なんですね。
 弁護士になるため、自分のルール、自分の時間、自分の世界で生きている。
 そこに他人は存在しない。

 そんな早紀の心のドアを叩く人が3人。
 結婚の幸せを説き仲間にしようとする高校時代の同級生・長部璃子(永作博美)。
 結婚は無料でセックスをし家政婦を雇うことと言い切る藍田光輝(谷原章介)。
 プロポーズする恋人の弁護士・坂本正登(塚本高史)。
 しかし彼ら3人はいずれも早紀の心の扉を開くことが出来なかったようだ。(ほんの一瞬は開いたが)

 早紀にとって他人は自分の世界の闖入者であり、自分のルール、時間を乱す存在でしかない。(それが日記という小道具でうまく表現されている)
 そして結婚は自分の世界を完全に壊すこと。
 だが一方で早紀はこのままでいいのかとも思っている。
 人恋しい時がある。
 将来の不安もある。
 母親に孫の顔も見せてやりたい。
 自分の世界を捨てて新しい世界に行くべきか迷う早紀。

 早紀は典型的な<自閉人間>ですね。
 僕もそういう面があるからよくわかる。
 僕の経験から言うと、こういう人は結婚しても上手くいかない。他人がわずらわしくなってくる。
 だが今のままの早紀ではきっと弁護士にもなれない。
 法律は単なる文字の羅列ではなく、<人間の心>であるからだ。
 たとえば璃子の「自分は結婚して幸せだ」という言葉の裏にあるものを理解できなければ、彼女の弁護などできない。
 あるいは弁護士になったとしても、きっと<人間の心>という壁にぶち当たるだろう。
 果たして早紀はどのように他人を受け入れるのか?
 この点、作者がどう結論づけるのか実に興味深い。

※追記
 「曲げられない女」は「結婚できない男」の女性版ですね。
 「結婚できない男」の信介も自分の世界に他人を入れようとしなかった。
 モチーフとしては「結婚できない男」の尾崎将也さんが書いているはずの作品だが、何と「女王の教室」の遊川和彦さんが書いている。
 遊川さんがこの素材をどう料理するか楽しみだ。

※追記
 早紀が母親に「あたし、結婚できないかもしれない」「孫の顔見せられないかもしれない」と電話した時、震えていた。
 正登にプロポーズの返事をした時もそうだった。
 早紀にとって自分の心の扉を開けて本音を語るというのは大変なことなんですね。
 でもきっと早紀の心の中にはいろいろな言葉や感情が渦巻いているのでしょう。

※追記
 藍田に言った「そこまで言われると潔い」はある意味、自衛のせりふ。
 他人に何か言われたらそう返せばいいわけですから。
 「ハケンの品格」の名セリフ「それが何か?」に似ている。


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まっすぐな男

2010年01月13日 | 職業ドラマ
 まっすぐな男・松嶋健一郎(佐藤隆太)。
 今で言うと<ウザイ男>である。
 昭和の時代では熱血で理想の人物像だったんですけどね。
 しかし、こういう時代だからこそ<まっすぐな男>は描かれねばならぬ。
 製作意図してはそんなところでしょうか?

 さて、そこで大事なのが<まっすぐな男>健一郎がどれだけ視聴者の共感を得られるかということ。
 お金を最初に五千円あげるのはありとしても、もう一回渡すのはどうか?
 栗田鳴海(深田恭子)を甘やかせてダメにするだけではないかとも思える。
 植木で見えない道路標識のことで警官に意見するのはありだとしても、枝を切らせるのまで立ち会うのはどうか?
 健一郎は給料をもらっている会社員。勤務中、仕事以外のことに労力を使っていてはある意味背信行為。
 インテリアデザイナーの山口達彦(津田寛治)に怒りをぶつけるのはいいが、結果会社に迷惑をかける。
 物語だから大きな被害はなかったが、現実だったら大問題、会社には甚大な被害。健一郎はクビになる。

 人間、何かをすれば何かを失うのである。
 だから大人は自分の行動が何をもたらし、何を失わせるのかを考えて行動する。
 温情が人をダメにすることがある。
 怒りにまかせて自分の言いたいことを言うのはスカッとして気持ちがいいだろうが、それで苦労する会社の人間がいることを知らなければならない。
 だから現実は生きにくく大変なのだが、ドラマとはいえ、健一郎の正義漢あふれる行動が会社に大きな被害をもたらさないのは現実を無視している。
 インテリアデザイナーの方に負い目があるとはいえ、プロジェクトが続くのはリアリティがない。

 脚本が「結婚できない男」の尾崎将也さんなので期待したが、現実と必死に闘っている人には笑われてしまう内容。
 「それでうまくいくなら俺達は苦労しないよ」と言われてしまいそう。
 はっきり言って健一郎は子供。
 こういう大人の鑑賞に耐えない、予定調和の絵空事を描いているからドラマは低迷している。
 どこか面白くない。
 ドラマを現実を忘れさせてくれる息抜きと考えればそれまでだが、それでは現実に生きる人の大きな力にはならない。
 もっとも<まっすぐな男>にリアリティを感じない現代社会こそ、大きな問題なのだが。


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コード・ブルー シーズン2 第1話

2010年01月12日 | 職業ドラマ
★「医者が患者の人生をいちいち引き受けていたら頭がおかしくなる」

 橘啓輔(椎名桔平)のせりふ。
 これはある意味正しい。
 たとえば企業のリストラ担当者が社員の人生にまで思いを馳せていたら、クビなんて切れない。
 あるいは世界には飢餓があり難民がいるのに、彼らに感情移入していたらとても平穏な普通の生活は送れない。
 しかし藍沢耕作(山下智久)たち主人公は、本当にそうなのかと悩む。
 だから主人公。
 だからドラマ。
 青くさいといえば青くさいが、ドラマの主人公は理想を追いかけて悩まなくてはならない。
 また、このせりふを言った橘もこう割り切らずにはいられない何かが過去にあったようだ。
 そんな過去の傷を埋めるために橘は「医者が患者の人生をいちいち引き受けていたら頭がおかしくなる」と自分に言い聞かさせている。

★冴島はるか(比嘉愛未)の恋人・田沢悟史(平山浩行)のせりふも泣かせる。

 「朝、目が覚めて生きてるってわかって嬉しくなった。
  今日ははるかに会う日だと思って嬉しくなった。
  髪が寝ぐせになってなくて嬉しくなった。
  45分かけて公園にやってきて、こうしてはるかに会えて嬉しかった。
  僕には奇跡が溢れている」

 日常に埋もれて忘れてしまっていますが、生きる喜びってこういうことなんですよね。
 普通に暮らしている人間には何でもないことですが、死を前にした田沢にはすべてが貴重で輝いていることなのでしょう。
 人はいろいろなものを求めて満たされない思いを感じていますが、本当の満足・喜びって実は足もとにある。
 そんなことをこのせりふは教えてくれる。

 このせりふと「残りの人生を君に会うために使いたい」と言われたはるかも嬉しかったでしょうね。
 自分が他人にとってかけがいのない存在になる。
 こんな喜びはありません。

 青くさいけれど、これが青春ドラマ。
 昨日は成人式でしたが、青春まっただ中の若者はこの作品をどの様に見たのだろうか?


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龍馬伝 第2回「大器晩成?」

2010年01月11日 | 大河ドラマ・時代劇
 悩める龍馬です。

「人の気持ちをわかっちょらん。わしには何もできんがじゃ。わしには無理じゃ」

 この作品の龍馬(福山雅治)はいろいろな所に頭をぶつけて成長していく人物のようですね。
 これまでの龍馬像といえば、自由闊達、痛快、そして人たらし。
 岩崎弥太郎(香川照之)は第一回で龍馬のことを「人たらし」と評していたが、この段階ではまだこれからの様だ。
 何しろ「人たらし」と対極の「人の気持ちをわかっちょらん」ですからね。
 農民が堤作りに協力したのもお決まりのパターンっぽかったですし、龍馬の人間性に打たれて協力したという感じはあまりなかった。
 ここから龍馬は成長して変わっていくのだろうが、<人の気持ちをわかっちょらん龍馬>と<人たらしの龍馬>のギャップをうまく埋めていかないと、昨年のようなキャラの混乱になりかねない。
 ここは要注意事項。

 それでも唯一、龍馬の基盤となる基本性格は今回も描かれていた。
 それは洪水で父親を亡くした母子の感謝の思いを感じ取ったこと。握り飯に込められた思いを感じ取ったこと。
 この弱い者への<やさしさ>が龍馬なんですね。
 他のことではある意味普通の若者ですが、この点だけが個性になっている。
 これから龍馬はこの<やさしさ>をのばしていくのだろう。

 最後に福山雅治さんの龍馬について。
 ナイーブな少年のような感じがあっていいですね。
 少しひ弱な感じもしますが、もっと世間を見聞きし、自分を見出せば変わっていくのでしょう。
 そしてこの変化の演じ分けが難しい。
 役者としては一番面白い、やりがいのある部分ですが、視聴者もこれが楽しみ。
 あとは香川さん演じる弥太郎に食われないようにしないと。
 ふたりはこれから珍道中を繰り広げていきそうですが、今のところ弥太郎の方が個性やくせが強いですからね。
 この両者のバランスも大きな見所。


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メチャイケ AKBを追いかけまわす江頭2:40

2010年01月10日 | 監督・俳優・歌手・芸人
 昨日のメチャイケSPは、江頭2:40対AKB48。

 それにしても江頭さんってすごい。
 上半身ハダカで下半身は黒タイツ。
 その格好で唾を天井に吐きながら、アイドルAKBをキャアキャア悲鳴をあげさせながら追いかけまわしている。
 完全にアングラ芸人ですね。
 犯罪すれすれ。
 良識ある人が見れば眉をひそめる。
 テレビに出てはいけない芸人。

 でも、だから凄みがあって面白いんですよね。
 上半身ハダカの男がアイドルにキャアキャア悲鳴をあげさせながら追いかけまわすなんて映像、普通テレビでは見られませんから。
 ただこれだけでは過激なだけでお茶の間には不向きな映像。
 だからAKBのメンバーのひとりにキックを入れられて倒れたり、「ひと言申す」でちゃんとしたことが言えなかったりして安全弁を作っている。
 ボケることで愛されるキャラクターになっている。

 それにしても江頭さんのようなアングラ芸人は最近少なくなりましたね。
 テレビの外にはいるのかもしれませんが、良識人が眉をひそめる芸人さんて本当は必要。
 みんながみんな規格化されていては突破力がない。
 アングラの怨念、怒りみたいなものを僕は見たい。
 アングラの溢れるエネルギーで退屈な日常をハレ状態にしてほしい。
 誰にでも怖いもの見たさってあると思うんですよ。
 嫌悪感を持つって感覚も。

 ということで、がんばれ!江頭2:40!!

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大脱走 アメリカンヒーローの変遷

2010年01月08日 | 洋画
★映画「大脱走」のスティーヴ・マックイーン演じるヒルツって典型的なアメリカンヒーローだろう。
 明るくて陽気。
 モグラのように掘った土を後ろにやりながら土の中を進んでいく脱走作戦などは実に無邪気。子供のよう。
 そして何よりもタフでめげない。
 脱走が失敗して何度独房に入れられようと胸を張って歩いている。(この時の音楽のマーチの使い方がかっこいい)
 アメリカ人が大好きなヒーロー像だ。

 またヒルツがアメリカンヒーローである象徴は野球のグローブとボールだ。
 独房の中に入っても壁にボールをぶつけてひとりキャッチボールをしている。
 上手いキャラクター造型だ。小道具としても効いている。
 何しろ野球はアメリカの象徴ですからね。

★さて、こんな陽気で明るいアメリカのヒーロー像が変わってしまったのはいつからか?
 「俺達に明日はない」「明日に向かって撃て」のアンチヒーローたち。
 狂気の殺人者が大衆によってヒーローになってしまう「タクシードライバー」。
 捜査のためなら手段を選ばない「ダーティハリー」。
 いずれもベトナム戦争を経た映画。
 ベトナム戦争を経てアメリカ人の心象は大きく変わってしまったのだろう。
 陽気でタフな主人公から悩める主人公になってしまった。
 それはアメリカンヒーローの典型である「スーパーマン」や「スパイダーマン」もそう。
 「スーパーマン」は弱点があってわりと弱い悩むし、「スパイダーマン」はいつ悪に転ぶかわからない危うさを持っている。
 唯一ヒルツのような陽気なヒーロー像を受け継いでいるのは「スターウォーズ」のハン・ソロぐらいか?
 同じ「スターウォーズ」でもルークの父は悪に転び、ルークも悪の誘惑に負けそうになりましたからね。

 時代と共に価値観は変わり、ヒーロー像も変化する。
 悩み、自分の中の悪と葛藤するヒーローの多い中で、「大脱走」のヒルツの姿はある意味爽快。
 これからの時代はどの様なヒーローが登場してくるのだろう?
 物語の主人公は時代を映す鏡でもあるんですね。

※追記
 ヒルツの異名は<独房王>。
 17番目の脱走トンネルを掘ったクニー(チャールズ・ブロンソン)の異名は<トンネルキング>。
 脱走作戦を指揮したシリル(リチャード・アッテンボー)の異名は<ビッグX>。
 こういう異名がつくのもカッコイイ。
 これもヒーローの条件。


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