格差階級社会をなくそう

平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

世論調査で西川社長続投に圧倒的多数が反対

2009-06-08 22:13:04 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


世論調査で西川社長続投に圧倒的多数が反対
6月7日放送のフジテレビ「サキヨミ」が、西川善文日本郵政社長更迭(こうてつ)問題について、独自に行った世論調査結果を公表した。


6月6日記事
「西川社長続投誘導は麻生おろしの策略か」
に記述したように、世論調査が大好きなマスメディアが、5月27日の鳩山由紀夫民主党代表と麻生太郎首相とによる初めての党首討論後、まったく世論調査を行なっていない。


3月3日に小沢一郎民主党前代表の公設第一秘書が逮捕されてから、5月16日に鳩山由紀夫氏が民主党の後継代表に選出されるまで、マスメディアは誰も頼んでいないのに、毎日のように世論調査を実施していた。


マスメディアは、世論調査で小沢代表の辞任を求める声が多いことを、小沢代表辞任要求の最大の論拠とした。


同じ理屈で考えるなら、日本郵政西川社長更迭問題こそ、世論調査で民意を探るべきでないのか。また、党首討論の勝敗も世論調査で確かめるべきではないのか。


小沢前代表の進退問題は、ひとつの政党内部の人事問題である。民主党支持者には重要な問題だが、一般国民に意見を求めることは適正でない。


自民党はそもそも、小沢氏の力量が非常に高いから、小沢氏の代表辞任を熱望し続けてきた。自民党支持者は、道義上の判断からではなく、自民党にとっての損得勘定から小沢氏辞任を唱えた可能性が高い。この意味で、小沢氏辞任の是非を問う世論調査は適正な調査と言い難い。


他方、西川社長更迭問題、鳩山総務相の政治姿勢を有権者がどのように捉えるのかは、世論調査にふさわしい調査項目である。


「かんぽの宿」は貴重な国民資産であって、これを郵政民営化と関わりの深い宮内義彦氏が総帥を務めるオリックスグループに不正廉売しようとしたことの是非を、国民がどのように受け止めているのかは、重要な世論調査のテーマになる。


ところが、マスメディアはこの問題での世論調査をまったく実施してこなかった。今回のフジテレビ調査が初のケースであると言ってよいだろう。


サキヨミの調査結果は以下の通り。


①西川社長続投を認めないとの鳩山総務相の姿勢を
支持する  58%
支持しない 42%


②日本郵政西川社長は
辞任すべき 80%
続投すべき 20%
だった。


 国民は「かんぽの宿」疑惑を正しく捉えている。


 コメンテーターの森永卓郎氏が指摘したように、「郵政民営化」の実態は
「郵政私物化」
「郵政米営化」
であった。


 「かんぽの宿」疑惑は「郵政民営化」が「郵政私物化」であったことを示す「氷山の一角」である。


 ネットから多くの情報が提供され、多くの国民が「かんぽの宿」疑惑の内実を知るようになっている。


 「かんぽの宿」不正売却問題は、三井住友銀行出身の西川善文社長が、日本郵政内部の三井住友人脈による「特命チーム」に担当させたプロジェクトであり、「郵政私物化」の実態を、非常に分かりやすく示す事例である。


 マスメディアの大半は、事実を中立公正の視点から正しく国民に伝えることをしないが、ネットから真実の情報が数多く発信され、多くの国民に真実に近い情報が届いていると考えられる。


 朝日新聞、産経新聞、日本経済新聞、テレビ朝日、TBSテレビの偏向が顕著である。


 「ライフログ ダイアリー」様が実施されたアンケート調査では、
①日本郵政西川社長続投に
 賛成 10%
 反対 90%
 (投票総数1397票)


②竹中平蔵氏の国会での証人喚問に
賛成 96.3%
反対  3.7%
(投票総数3045票)


の結果が示されている。


 国民は日本郵政西川社長の更迭(こうてつ)に賛成であり、
鳩山総務相の西川社長続投を認可しない姿勢を支持している。


 最終的には麻生首相が判断しなければならない。この点については、6月7日付記事


「麻生首相が仕切れる総選挙は8月2日しかない」

 
に詳述した。


 麻生首相が自分の手で解散・総選挙を断行して国民の審判を仰ぎたいのなら、その唯一のチャンスは6月末解散、8月2日総選挙しかないと考えられる。


 7月12日の都議会選挙は自民党に厳しいものになるだろう。7月12日を待つと、解散・総選挙を打つことが非常に難しくなる。国会は、6月末で、実質審議を完了してしまう。


 こうなると、9月10日に臨時国会を召集して衆議院を解散し、10月4日大安総選挙か10月18日先負総選挙のいずれかを選択することになる。


 この場合、自民党は間違いなく8月ないし9月に自民党総裁選を前倒しするだろう。総選挙の顔は麻生太郎氏から別の人物にすげ替えられる。


 したがって、麻生氏が自分の手で総選挙を実施したいのなら、6月下旬解散、8月2日総選挙を選ぶしか道はない。鳩山総務相は麻生首相をこのシナリオに誘導しようとしているのだろう。


 この場合、麻生政権にとっては、日本郵政西川社長更迭を決定する方が、はるかに有利である。国民世論は西川氏辞任を求めており、この問題に関しては、圧倒的に鳩山総務相支持が多いからだ。


 御用メディアが日本郵政西川社長更迭問題を世論調査で取り扱わない最大の理由は、御用メディアの大半が、「売国勢力」に支配されてしまっているからだ。「サキヨミ」では、ニューズウィーク日本語版編集長の竹田圭吾氏が、当然のことながら、「売国勢力」サイドに立った発言を示した。


 しかし、国民の大半は、「郵政私物化」の現状に怒りを感じている。多くの国民は2005年9月の郵政民営化総選挙での投票行動を反省しているのだ。だからこそ、2007年7月参議院選挙で民主党を勝利させ、現在は、政権交代を期待する国民が多数派を形成しているのだ。


 テレビ番組に登場する大半のコメンテーターと政治評論家は、根の腐った「御用」人間である。「御用人間」は、
①日本郵政が民間会社であり、
②内部の指名委員会が西川氏続投を決めた。
③総務相は民間会社の人事に介入すべきでない
④日本郵政は決算で利益を計上した
⑤鳩山総務相の行動は政局狙いのパファーマンスである
ことを述べて、西川氏続投が正しい選択だとする。


 これらの主張がことごとく間違っていることはこれまで何度も指摘してきた。①~③は根本的に間違っている。石原伸晃氏は、ものごとを正確に理解する能力に欠けていると考えられる。6月7日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」でも「根本的に間違っている」発言を繰り返した。


日本郵政は株式を100%政府が保有する、純然たる「完全国有会社」であって、現段階では「民間会社」ではない。株式の政府保有比率が2分の1を下回れば、「民間会社」と呼んで差し支えないが、現状では「完全国有会社」である。


日本郵政が「完全国有会社」であることを踏まえると、総務大臣の権限と比較すれば、日本郵政指名委員会など、「吹けば飛ぶ存在」だ。そもそも、指名委員会委員は、日本郵政の9名の取締役のなかの5名が兼務しており、指名委員会は完全な「お手盛り委員会」である。


現段階では、総務大臣に絶大な監督権限が認められるのは当然だ。この絶大な監督権限の正統性の根拠は、郵政民営化推進議員が成立させた「日本郵政株式会社法」の条文にある。石原伸晃氏、竹中平蔵氏、中川秀直氏などは、法律の条文をまともに理解する力すら保持していないとしか考えられない。恐るべき現実だ。


日本郵政が利益を計上するのは、300兆円の資金が存在し、調達コストと運用利回りとの「利ざや」が存在するからだ。誰が社長でも計上できる利益で、西川氏続投の理由にならない。


鳩山総務相が主張する「正義」は「正論」である。常識的に捉えれば、誰が見ても「かんぽの宿」売却は不正売却にしか見えない。2400億円を投じ、固定資産評価基準額が856億円の「かんぽの宿」を109億円で売却しようとした行為を正当化する根拠はない。売却先決定方法が極めて不透明、不適切であったから、日本郵政は売却契約を白紙に戻したのである。


テレビで情報操作を請け負っている人物の「パージリスト」をそろそろ用意する必要がある。これ以上、情報操作の弊害を拡大させないように、リストを公開し、視聴者に注意を呼び掛けることも必要と考えられる。


「きっこのブログ」様が6月7日付記事
「民放連の世論調査に情報操作の疑い」
に、重大な疑惑を記述された。


民放連が行なった「ラジオ・オピニオン2009」の「東京オリンピックの招致」に関するアンケート結果に、悪質な情報操作の疑いが浮上しているのだ。


私はオリンピックの東京招致に反対である。オリンピックに注ぐお金があるなら、その前に国民生活を支えるべきと考えるからだ。いまやオリンピックは「巨大利権」としてもてはやされているのである。オリンピックを招致しようとする人々の大半は、「利権」を主目的としている。


オリンピック招致に賛成の国民が多数とは到底考えられない。石原都知事がオリンピック招致のために強引な手法を展開していることが目につく。


政治が世論調査を都合よく使ったり使わなかったり、使う場合も、姑息(こそく)な数値操作を行なっている現実に、しっかり目を光らせなくてはならない。

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麻生首相が仕切れる総選挙は8月2日しかない

2009-06-08 22:00:04 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

麻生首相が仕切れる総選挙は8月2日しかない
サッカーW杯アジア最終予選で、日本代表はウズベキスタンに1対0で辛勝し、世界第1号のW杯出場権を獲得した。久しぶりに明るいニュースが舞い込んだ。日本代表のW杯本選での活躍が期待される。


政治はこう着状態に陥っているが、民主党を中心とする野党が国会審議を順調に進展させており、6月中に主な法案処理が完了する見通しである。通常国会の会期は7月28日まで、55日間延長されたが、7月は審議する内容がなくなり、事実上閉会になる。


当面の焦点は、西川善文日本郵政社長更迭問題である。マスメディアのなかで、読売新聞が主張を変えた。6月6日付朝刊に
「日本郵政人事 核心は不祥事の経営責任だ」
と題する社説を掲載した。


このなかで、次の記述を示した。
「総務省の業務改善命令にも、日本郵政は回答していない。そんな段階で西川社長再任の人事案を決めたのは、手順としておかしいのではないか。人事案は自発的に白紙に戻すのが筋だろう。」


本ブログ5月23日付記事
「西川善文日本郵政社長続投論を覆う黒い霧」
に、読売新聞の渡邉恒雄氏が『文藝春秋』2009年1月号のインタビュー記事で語った次の言葉を紹介した。


「僕は竹中さんから直接聞いたことがあるんだが、彼は「日本の四つのメガバンクを二つにしたい」と明言した。僕が「どこを残すんですか?」と聞くと、「東京三菱と三井住友」だと言う。あの頃はまだ東京三菱とUFJは統合していなかったんだが、「みずほとUFJはいらない」というわけだ。どうして三井住友を残すのかというと、当時の西川善文頭取がゴールドマン・サックスから融資を受けて、外資導入の道を開いたからだと言う。「長銀をリップルウッドが乗っ取ったみたいに、あんなものを片っ端から入れるのか」と聞くと、「大丈夫です。今度はシティを連れてきます」と言った。今つぶれかかっているシティを連れてきて、日本のメガバンクを支配させていたらどうなったか、ゾッとする。」
(「文藝春秋」からの引用)


 この発言の重要性については、「神州の泉」主宰者の高橋博彦様も記事を掲載されたが、竹中氏が金融相時代に、米国投資銀行ゴールドマン・サックスによる三井住友への出資を斡旋(あっせん)した疑いが存在するのだ。竹中氏と西川氏の昵懇(じっこん)の関係は、2002年12月11日のゴールドマン:ポールソン&セイン氏と西川氏、竹中氏による4者密会に始まっている。


日本経済は2003年5月にかけて、小泉竹中経済政策によって破壊し尽くされたが、株価暴落誘導とその後の「りそな処理」を中核とする政策対応が、米国資本への利益供与を目的に実行された疑いが存在する。この問題についての詳細は、拙著『知られざる真実-勾留地にて-』をご高覧賜りたい。


読売新聞の渡邉氏は、竹中氏を中心とする人々の「売国的政策」に異を唱える姿勢を、時折、垣間(かいま)見せる。CIAと深い関わりを持つと見られる読売新聞であるから、その真意を測りかねるが、マスメディアのなかから、西川社長続投に反対意見が表明された意味は大きい。


「かんぽの宿」疑惑は、「郵政民営化」の実態が、実は「郵政私物化」、「郵政米営化」であったことを証明する「氷山の一角」である。「かんぽの宿」疑惑は、すでに野党議員によって刑事告発の対象となり、東京地検が正式に刑事告発を受理したから、今後の地検の対応が注目されるわけだが、重大な不祥事であることははっきりしている。


「かんぽの宿」売却プロジェクトは、西川社長直系である三井住友銀行出身の横山邦男専務執行役と、やはり西川社長人事で不動産会社ザイマックス社から日本郵政入りした伊藤和博執行役のラインによって仕切られた。西川社長の責任が問われるのは当然である。


日本郵政株式会社は企業形態こそ、2007年10月に株式会社に変わったが、株式の100%を政府が保有する「純然たる国有会社」である。


日本郵政株式会社法は所管大臣である総務大臣に極めて強力な監督権限を付与している。そして、この法律は竹中平蔵氏を中心とする郵政民営化推進議員が核になって起草されたものである。


鳩山総務相は、この法律に則って、日本郵政西川社長の再任を認可しない方針を明示したのであり、日本郵政株式会社法に基づいて政府が対応を決定する限り、西川社長を続投させる方策はない。


唯一あり得るのは、麻生首相が鳩山総務相を罷免(ひめん)して、西川氏続投を認可する総務相を新たに任命する場合に限られる。この場合、麻生首相は、自民党内「市場原理主義者」=「売国勢力」の要請に屈服することを、高らかに宣言することになる。


罷免された鳩山氏は自民党を離党することになるだろう。


国会審議が6月末で実質的に完了することを踏まえると、総選挙の日程は、もはや二通りしか存在しなくなっている。補正関連法案の国会決議までは解散できないことを前提とすると、7月12日の都議選との同日選の可能性はすでにほぼ消えている。


6月末に国会審議が実質終了してしまうことを踏まえると、この段階で解散すれば、総選挙日程は8月2日大安になる。8月9日は長崎の原爆被災日で、総選挙を行なうのには問題が多い。


ここで解散がない場合、衆議院解散は国会閉会中にはないため、解散は9月10日の任期満了日にならざるを得ない。9月10日に臨時国会を召集し、召集時解散を行なうのだ。この場合、投票日は10月18日大安になる可能性が高い。任期満了選挙である。


民主党の小沢前代表が辞任し、後任の新代表に鳩山由紀夫氏が就任した。この結果、風向きは再び民主党に順風、自民党に逆風に転換した。このため、麻生首相は体制を立て直し、10月18日投票の総選挙日程を頭に置いたと考えられる。


しかし、この考えは甘い。


麻生自民党総裁の任期が9月で満了になるからだ。したがって、総選挙日程を10月に先送りする場合、必ず総選挙前に自民党総裁選が行われることになる。自民党議員は、選挙の顔を間違いなく差し替えるはずだ。


つまり、麻生首相が自分の指揮の下で総選挙を実施しようと考えるなら、そのチャンスは6月末解散8月2日総選挙しかないのである。


麻生首相に西川日本郵政社長続投を強く要求している勢力は、
①まず、西川社長続投をごり押しする。
②西川社長続投が確定した段階で、自民党総裁選前倒し論を党内で高め、麻生おろしを実行する。
③そのうえで、10月総選挙に臨む。
のシナリオを頭に置いていると考えられる。


麻生首相は二つの問題に結論を出さなければならない。


第一は、西川社長更迭の判断を示した鳩山総務相の意向を尊重するのか否か。結論を出すことだ。西川社長を更迭すれば、党内に亀裂は生じるだろう。逆に、西川社長を続投させるためには、その前に鳩山総務相を罷免しなければならず、鳩山邦夫氏の離党まで覚悟に入れる必要が生まれる。


第二は、6月末に自分の手で衆議院の解散に踏み切るかどうかを決断することだ。6月末に解散しない限り、ほぼ確実に、次の総選挙の際の自民党総裁は麻生氏ではなくなっているだろう。


優柔不断に、重要事項に対する決断を先送りし続けてきたツケが、いま、はっきりと表れている。本ブログでは、西川社長解任問題を2月18日付記事以来、繰り返し論じてきた。すでにすべて着地していなければおかしい時期に、麻生首相が「ぶれぶれ」なのだから、そもそも首相の器を持たれていないと考えるべきかも知れない。


麻生首相が有終の美を飾れる選択肢はひとつしか存在しない。西川氏更迭を決断し、6月末解散、8月2日総選挙を決断することだ。サミット直後の7月12日都議選の結果を見てからでは解散は打てない。解散する場合は、6月末が唯一のチャンスである。


鳩山総務相はこのシナリオを念頭に置いて、着実に演技を進行させているのかも知れない。このシナリオが麻生首相と鳩山総務省で共有されている場合、西川社長は更迭され、6月末に衆議院解散が決定され、8月2日に総選挙が実施されることになる。麻生首相がものを考えることがあるとすれば、この可能性が高いように思われる。


ここで解散がない場合は、8月ないし9月に自民党総裁選が実施され、新しい自民党総裁の下での10月18日総選挙になるだろう。しかし、国民から見ると、小泉首相が総裁を退いてから、4回目の総裁選になる。もう誰も評価しない。自民党惨敗は必至だ。

 

果たして麻生首相にこの明白な現実が見えているか。答えは間もなく示される。


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