大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 4月13日 ずぶ濡れ

2013-04-13 18:35:55 | B,日々の恐怖







     日々の恐怖 4月13日 ずぶ濡れ







 Hさんの25年くらい前の話です。

 友達の家で遊んでいたのですが、夜の12時頃お腹が減ったので二人で夜食を食べに行こうという話になりました。
そのころは、このあたりにコンビニもなく、仕方がないので峠を越えて1時間くらいの町のハンバーガーショップに行った帰り道のことです。
 行くときは何ともなかったのですが、人里離れた峠を下りてくる頃には霧が立ちこめていました。
時間は午前2時頃だったと思います。
 長い直線が続く下り坂、右はコンクリートの壁、左は並木になっていて風も流れないようで視界がとっても悪かったです。
峠と言っても国道5号線、幹線道路なのに時間のせいか車もすれ違うことがありませんでした。
 その時です。
霧の中、並木の方から人影が道路に。
 ヘッドライトに浮かぶ、上下真っ黒な服を着た人が、道路に出てきて止まれと車線を塞ぎます。
隣に乗っていた友人は「止まるな~、お願いだから止まらないで~。」と叫んでいましたが、俺は見捨てる気持ちにならず車を止めました。
 よく見ると片方の靴は脱げていて、しかも、足跡が道路にくっきり残っていることから、濡れていることがはっきり分かります。
雨が降ってる訳でもないのに、全身ずぶ濡れなんです。
怖いです。
とっても怖いです。
 窓を少しだけ開けて話しかけました。

俺:「 どうしました?」
その人:「 事故を起こしてしまって・・・・。」

どこをどう見ても、車の姿どころか残骸もありません。
もう泣きそうです。

俺:「 く、車なんてないじゃないですか。」
その人「 その並木の向こうにあります。」

仕方なく俺は車を降り、その人の言う並木の向こうを覗き込みました。
 川です。
コンクリートで護岸された川の下に(高さ2メートル)車が逆さまになっておりました。
その時ふっと思ったのです。

“ 車の中を覗いて、その人がいたらどうしよう、しかも血まみれで・・・。”

テレビのドラマのオチとしては、よくあるパターンです。
とても見れませんよ。
 とは言うものの、その人を放置する訳にも行かず、自分の車の後部座席に乗せて峠を下ることにしました。
もちろん、後ろの人からバックミラー越しに目を離せません。

“ 後部座席が濡れていて、乗せたはずの人がいない・・・。”

テレビのドラマのオチとして、これもよくあるパターンです。

 峠を下りたところにある駐在所に連れて行き、お巡りさんを起こして事情を説明しました。
結局、救急車を呼んで病院に行くことで話は付いて、救急隊員の人が着いて、その人に話しているのが聞こえます。

救急隊員:「 あなた、あの人たちにお世話になったんでしょ。
      お礼をするのに名前とか聞いたの?」
その人:「 あの~、失礼ですがお名前を教えてください。」
俺:「 名乗る程の者ではありません、失礼します。」

だって、ホントに怖かったんだもん。
後から化けて出られても困るし。
臨場感が伝わらないと思いますが、ホントに怖かったんですから。

















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