くつろぎて きみ口ずさむ イマジンに 秋の日差しと 茶屋に漂う
1980年12月8日(ニューヨーク時間)、ニューヨーク市の自宅アパート「ダコ
タハウス」前においてジョン・レノンがテキサス州フォートワース出身の元警
備員のマーク・デイヴィッド・チャップマンに射殺された。
セントラルパークの鳥がいっせいに飛び立つ今日も響く銃声 瑞紀
何故、チャップがジョンを殺害する必要があったのかその動機が分からないと
いうのが本音だ。CIA陰謀説をとるにしても無理がある。彼は銃撃の3ヶ月前に
「サージェント ペパーズ ロンリーハーツ クラブ バンド」のジャケットでジ
ョンを見て計画-彼の顔
を見て、混乱して自分が誰でもないと感じる私の疑問
が解決できるという感覚が同時に心に浮かんだ。もし、彼を殺せば有名になる
し大物になれる-と供述したというが・・・
※Mark David Chapman(1955年5月10日~)
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アメリカで聴くジョン・レノン海のごとし民族はさびしい船である
小島ゆかり@短歌いろいろ『ヘブライ暦』
チャップマンは、現場から逃亡せず、手にしていた銃とサイン入りの『ダブル・ファ
ンタジー』を放り出し、警官が到着するまで(レーガン元大統領を狙撃したジョン・ヒ
ンクリーも愛読した)サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を読んだりブラブラし
ていたというが、松岡正剛の『ライ麦畑』の解釈によれば、若者の熱狂的な支持を
得て、アメリカの「暗部」の象徴としての役割を負う-フォニーやフラジャイル、信仰
の喪失、複雑なエスニシティ等の‘アメリカの狂気’-サリンジャーの仕掛けた罠を
顕示したことになるというが・・・
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マザー・テレサのとなりに並ぶジョン・レノン伝記はいつもひんやりとして
@ぽっぽの短歌
犯罪発生件率が米国と並ぶ中、近年それが低下する米国に反して、欧州と同様
に上昇傾向にある我が国の、つまりは高度消費社会の規範を考えさせられる象
徴的な犯罪が続いたが、『ライ麦畑』が参考になるかも知れない。そう考えたとき、
チャップマンの背景に岸田秀の‘反復強迫’が有効だろう。これは英国と比較する
とその違いが明確になるはずだとも思う。英連邦主義やNHKテレビの「探検ロマ
ン世界遺産ビートルズを生んだ街・大英帝国・伝説の港町リバプール」の‘ペニー
通り’もその1つだと思う。
In Penny Lane there is a barber showing photographs
Of every head he's had the pleasure to know
And all the people that come and go stop to say hello
On the corner is a banker with a motor car
The little children laugh at him behind his back
And the banker never wears a mac in the pouring rain
Very strange
Penny Lane is in my ears and in my eyes
There beneath the blue suburban skies
I sit and meanwhile back
ペニー・レインの床屋は写真が自慢/見るとお客さんの頭の写真/
お近づきの記念なんだ/それと集合写真、こちらは立ち寄った記念
だ/自家用車を持っている角の銀行屋がいて/小さな子供たちが
陰で笑っているのを知らない/おじさんはどしゃぶり雨でもいつもレ
インコートなしでとても変なんだ・・・
“Penny Lane”
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短調の曲の少なきジョン・レノン寂しきものは敢えてかがやく
セカンドライフの旅行先の上位に「リバプール-ロンドン」があったがどう
考えて無理だろうと判断し、‘ジョン・レノンの思い出’の地として離山房
を訪ねることにした(ジョン・レノン・ミュージアムは別の機会)。朝6時
起床、ロードスターRHTで名神-中央を走り佐久越えて5時間。勿論、駆け足
で軽井沢を見たが‘街並みの崩れ’が気になった。
1971年、ヨーコとともにお忍びで来日したジョンは、ヨーコの両親に会った。
歌舞伎座で『隅田川』を観劇、言葉もわからないのに涙を流し俳句にも感銘
を受け、「今まで読んだ詩の中で一番美しいもの。僕の詩も俳句のように短
く簡潔になっていく」と予感している。ジョンはショーンとヨーコを連れて
何回か日本に遊びに来ていた。ヨーコの実家の軽井沢の別荘やホテルオーク
ラなどに滞在し、1977年の5月から10月までの5ヶ月間の長期滞在でジョンは
ヨーコとパーティをしたり、サイクリングやヨガ、水泳などを楽しんだとい
う。そんなジョンだが、‘Life is what happens when you're making other plans.’
(人生とはいろいろと他の計画中に時に起こるもの)の語録も、1966年3月4
日のモーリーン・クリーヴとのインタビューの、「キリスト教は消えてなく
なるよ。そんなことを議論する必要はない。僕は正しいし、その正しさは証
明される。僕らは今やイエスよりも人気がある。ロックン・ロールとキリス
ト教。そのどちらが先になくなるかは分からない。イエスは正しかったさ。
だけど弟子達がバカな凡人だった。僕に言わせれば、奴らがキリスト教を捻
じ曲げて滅ぼしたんだよ」との語録も彼が残した豊かな示唆としてわたしの
心に了われた。