極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境 64

2024年11月28日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

湖東三山  西明寺 に対する画像結果 西明寺

【季語と短歌:11月29日】 

        払暁の星吾照らす冬日かな    

                  高山 宇 (赤鬼)

 

百済寺は1400年以上前の推古14年、聖徳太子より創建された近江国最古級
の寺院。像高2.6mの十一面観音を本尊とし御堂は百済の「龍雲寺」を模し
て創建され、開闘法要には高句麗僧恵慈を呪願とし、百済僧道欽や暦を伝
えた観勤も永く住した 名だたる人物の歴史舞台として、また天台別院と称
され、その後、鎌倉時代からは「天台別院」と称され、1300人が居住す
る巨大寺院となるが、惜しくも天正元年4月11日に信長の焼討ちに遭うが、
「坊跡遺構」や「千年菩提樹」をはじめ樹齢数百年の巨杉、山桜、椿群か
ら偲ぶことができ、近江の人々の信仰を集めてきた。


❤️ 酢玉ねぎの12大パワー



老友会のご婦人に「酢玉ねぎ12大パワー」のメモをご丁寧に頂きました
(有難う御座いました😊)。という訳で内容を再編集掲載し、実践させ
ていただきます。

(1)血液をサラサラにする:タマネギに含まれる硫化アリルには、血管
内で血液が固まるのを防ぐ、血液サラサラ効果があります。
加えて、酢に
も血液がネバネバになるのを防ぐ効果があるので、
血液の循環をよくする
最強の組み合わせといえます。

(2)血液を正常化する:玉ねぎの硫化アリルと酢の血液サラサラ効果に
より、
動脈硬化が改善して、血管壁の弾力性が回復します。血管が広がり、
血流がよくなるので、血圧を下げる効果が期待できます。
(3)血糖値をコントロールする:タマネギに含まれる硫化アリルやケル
セチンには、血液中の余分な糖質や脂質を減らす働きがあります。さらに
タマネギの食物繊維が、食後の血糖値の上昇を抑制してくれるので、血糖
値のコントロールに役立ちます。
(4)
コレステロールや中性脂肪を減らすタマネギと酢には、どちらも
内の余分な脂質(コレステロール、中性脂肪など)を減らす働き
があります。
(5)新陳代謝・スタミナアップ:酢に含まれるクエン酸の作用で、新陳
代謝が活発
になります。加えて、タマネギの硫化アリルは、特に筋肉細胞
において、糖がエネルギーに変わるときに必要なビタミンB1の吸収を高
め、その働きをよくします。ビタミンB1が豊富な食材(豚肉など)と一
緒に取ることで、体細胞の新陳代謝がより活発になり、スタミナもアップ
します。
(6)腸内環境をよくする:タマネギに豊富に含まれるオリゴ糖が、腸内
の善玉菌であるビフィズス菌を増やし、腸内環境を改善します。腸管ホル
モン『インクレチン』の増加
が期待できます。(「糖尿病・高血圧・耳鳴
りに…!やっぱりすごい『酢
玉ねぎの12大パワー
!』)😊
(おまけ!)
ナッツを毎日食べることで、健康な年を延ばせる
毎日のナッツの摂取は健康寿命を延ばします
【関連論文】
Title:  Nut consumption and disability-free survival in community-
   dwelling older adults: a prospective cohort study,
Report:Age and Ageing, Volume 53, Issue 11, November 2024, afae239
,https://doi.org/10.1093/ageing/afae239




✳️ 
事例から学ぶ、ドローンの事故原因と安全対策

ここ数年で世界的に広く普及したドローン、普及するにつれてドローンに
よる事故にもますます注意が必要。周囲の人や建物に迷惑をかけず、そ
して自分の大切な機体を長く使うためにも、安全対策を押さえておくこと
はドローンの操縦者にとっては必要不可欠。
🪄ドローン事故の原因は?墜落を未然に防ぐための対策を紹介(2023.10.06)



✳️ 中国2025年 石炭火力発電のピーク?
中国のエネルギー転換は今、重要な瞬間を迎えており、課題が続く中、希
望の兆しが見え始めています。エネルギーとクリーンエア研究センター(C
REA)は、国際エネルギー移行学会(ISETS)と共同で、2024年の国の進捗状
況を評価する年次報告書本日発表した。注目すべき調査結果は、中国が
石炭消費を2025年までにピークアウトする可能性が高いという専門家のコ
ンセンサスが高まっていることで、これは脱炭素化への道のりにおける重
要な節目となる。

気候とエネルギー分野の専門家44人を対象にした調査では、現在52%が
2025年までに中国の石炭消費がピークに達すると考えている。これは2022
年のわずか15%から急増している。同様に、中国の二酸化炭素(CO2)排
出量全体がすでにピークに達している
、または2025年までにピークに達す
ると考える人の割合は、2022年の15%から2024年には44%に増加している。
この楽観的な見方の高まりは、再生可能エネルギーの驚異的な成長と、特
定のセクターにおける化石燃料への投資を削減するための的を絞った取り
組みの組み合わせを反映している。

ISETSのXunpeng Shi会長は「中国のような急速な成長経済でカーボンニュ
ートラルを達成することは容易なことではないが、同国の多大な努力が実
を結び始めている」と述べた。「クリーンエネルギー産業は、経済成長の
主要な推進力として浮上。中国が移行を続けるにつれて、そのメリットは
ますます明らかになり、クリーンエネルギーの展開拡大と進行中の産業変
革は、さらに大きな利点を約束する。この進歩は、脱炭素化を加速し、す
べての人の長期的な繁栄を確保のため、将来に対する楽観的な見方をして
いる。」

中国カーボンニュートラル2060

✳️ 
SiCパワー半導体の大幅な性能改善
Si(シリコン)を中心とした半導体は、計算機や通信機のロジックやメモ
リに代表される情報処理用途に限らず、電気自動車や電車のモーター制御、
変圧器や直流-交流変換器などいわゆる電力制御(パワーエレクトロニクス)
にも広く用いられている。ただ後者の応用では、制御回路の消費電力(電
力損失)が大きな問題となっており、低損失化を目指して、Siよりも基本
特性の優れるSiC(シリコンカーバイド)によるトランジスタ開発が近年活
発になっている。2020年7月にデビューした新幹線の最新モデルN700Sに
もSiCパワー半導体が用いられるなど、既に実用化が始まっている。

ルチル型GeO2で「世界初」半導体デバイスの動作確認
11月27日、r-GeO2(ルチル型二酸化ゲルマニウム)単結晶薄膜上にショッ
トキーバリアダイオード(SBD)を形成し、その動作を確認したと発表。
r-GeO2で実現された「世界で初めて」(同社)の半導体デバイスのこと。

(EETIMES.JAPAN)

Patentixは、二酸化ゲルマニウム(GeO2)の社会実装に向けた研究開発
を進める立命館大学発のスタートアップだ。次世代パワー半導体の材料と
して、現在バンドギャップが3.3eVと広いSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化
ガリウム)の普及が進んでいるが、GeO2は、バンドギャップが4.6eVとさ
らに広い
。また、r-GeO2と同程度のバンドギャップを持つ半導体として、
酸化ガリウム(Ga2O3)の研究の研究も進んでいるが、同社は「r-GeO2
Ga2O3では困難とされる不純物ドーピングによるP型の発現が理論的に予
測されていて、より幅広いデバイス応用が期待される」と説明。

試作したSBDの構造

今回の成果は、Patentixと物質・材料研究機構(NIMS)の共同研究による
ものだ。Patentixは絶縁性TiO2(酸化チタン)基板状にN+のr-GeO2単結
晶膜を成膜し、その上に1×1017cm-3程度のドナー不純物を導入したN-
層のr-GeO2単結晶を成膜した。続いてNIMSがN-層をドライエッチング
してN+層を露出させ、電極を成膜/形成することで疑似縦型構造のSBD
を形成し、その電流電圧特性を評価した。今回の成果から、デバイスは疑
似縦型構造だが、次に縦型構造のSBDの実現を目指す。結晶膜の高品質化
や半導体デバイスの応用を広げる上で必須のP型の実現も引き続き取り組
んでいく。

    懐かしのロマン歌謡楽曲 『五輪真弓: 一葉舟 』 
                 1979年11月18日



人間の未来 AIの未来 講談社(2018/02発売)

まえがきにかえて 羽生善治から山中伸弥さんへ
第1章 iPS細胞の最前線で何が起こっていますか?
第2章 なぜ棋士は人工知能に負けたのでしょうか?
第3章 人間は将来、AIに支配されるでしょうか?
第4章 先端医療がすべての病気に勝つ日は来ますか?
第5章 人間にできるけどAIにできないことは何ですか?
第6章 新しいアイデアはどこから生まれるのでしょうか?
第7章 どうすれば日本は人材大国になれるでしょうか?
第8章 十年後、百年後、この世界はどうなっていると思いますか?
あとがきにかえて 山中伸弥から羽生善治さんへ
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人間の未来AIの未来』連載第10回
✳️「都合のいい」遺伝子の書き換えが可能に
たとえばiPS細胞による再生医療やゲノム編集技術によって、病気がすべ
てなくなったら、人間は不老不死が可能になるかといえば、老衰は間違い
なく起こるでしょう。今のところ、生きることができるのは、細胞の寿命
である120歳くらいと山中氏が話す。血液を作る細胞である造血幹細胞が
骨髄にあります。生まれた時は確か一万個くらいと少ないん。造血幹細胞
自体はあまり増えないが、分化する途中に前駆細胞を作り出して、その子
たちが急激に増えて赤血球や白血球、血小板になって、どんどん入れ替わ
っている。ただ、造血幹細胞も時々は分裂しなければいけない。分裂して
いると、遺伝子に傷が入ったり、寿命で死んだりしていくものもある。だ
から造血幹細胞はだんだん減っていく。百歳くらいの人を調べたら、造血
幹細胞が2個しかないその2個がすべてで、何もせずにゼロになったら、
間違いなく終わりです。それが老衰による死です。でも、そこで骨髄移植
をすれば、移植された造血幹細胞が血液をつくりだすようになります。心
臓も基本的には生まれたままの細胞がずっと残っていますから、生まれて
100年以上経てば、やがて心不全になります。ただ、これも心臓移植をす
ることができます。足が弱っても、人工関節などの技術が今は進んでいま
す。
あとは脳。脳も基本的に生まれたままで、脳細胞は滅多に増えない。
でも脳を入れ替えてしまうと、その人がいったい誰なのかわからなくなる

だから、決め手になるのは脳じゃないでしょうか。そこまでやるか、とい
う話。でも脳以外は、超大金持ちがお金にモノを言わせて臓器や細胞など
の移植を続ければ、理論的には更新できる一方で、臓器移植をするには、
拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を投与する必要がある。これには副作
用があるので、免疫抑制剤によって健康が損なわれてしまう可能性がある。
基本的に老化によって造血幹細胞がどんどん減って、脳も間違いなく衰え
てだめになるので、そう考えると、やっぱりヒトの寿命は120歳くらいが
限界なのではないか、人間にしても、よくこんな精妙なものができたなと
思と。
ゲノムを解読して、この人は将来、必ず病気になるとわかったら、ゲノム
編集によってあらかじめ治すことはできるのかと羽生氏。
これに対し、「単一遺伝子疾患」といって、それが一個の遺伝子で起こる
ものだったら、治すことは可能。ハンチントン舞踏病などがそれに当たり
複数でも2個の遺伝子ならば、まだ何とかなるかもしれないが、3つ4つ5つ、
10個と多因性疾患になってきたら、なかなか今の技術では難しいと。それ
が一個の遺伝子のせいならば、それを治すことで、女性たちの意識がまっ
たく変わってきたとも話す。

◾死ぬのが怖くなる
深刻なのは、「あなたは病気になる可能性の高い遺伝子を持っています。
でもどうすることもできません」という場合。その場合に、その事実を
本人が知ること自体が、本当にその人の人生にとってプラスなのかどうか
が問われる。家族性アルツハイマー病の原因となる遺伝子はいくつか特定
されています。でも現状では「遺伝子を検査したら、あなたはかなりの確
率でアルツハイマー病になることがわかった。ただ、現代の医療技術では
どうすることもできません」としか言えない。ただし、この場合は、本人
が事実を知ることで自分の人生を設計できるメリットがあり、50歳くらい
で発症する確率が高いなら、それまでにやりたいことをするとか、家族の
ために何か残しておくとかいろいろ考えられます。そのほうが本人の人生
にとってプラスになる可能性がある。アルツハイマー病も含めて認知症は
世界で急増。2050年には今の3倍の1億3千万人になるという予測がある。
誰にとっても切実な問題。別の見方をすると、それまで抱えてきた人生の
悩みとか怒りを全部忘れて穏やかな日々を過ごしているお年寄りもいる。 
たとえば、認知症の特効薬ができて、100歳になって体が衰えてきても、
頭だけははっきりしていると、死ぬのが怖くなって逆に大変かもしれない

認知症は、死の恐怖に対する人間の一つの防衛手段ではと。   つづく
今日の言葉:     

1277夜 『変貌する民主主義』 森政稔 − 松岡正剛の千夜千冊

 『変貌する民主主義』 森政稔 - 千夜千冊
1277夜 世走篇 2008年12月29日 ⑥

しかしながら、こうした「差別」や「差異」の問題は、何度かにわたる
アメリカでの特段の例をのぞけは、一国の民主主義システムによって乗り
切れるというほうがめずらしい。「差別」や「差異」は、むしろ小さな領
域や隣接しあう領域にこそ、発生しやすいものなのである。こうして問題
はさらに複雑な様相を呈することになる。
国家には、一人ひとりの「生存の問題」というものが先行している。生存
の権利は個人に発生し、これを王権国家も民主主義国家も、何をあとまわ
しにしても優先して守るという義務をもっている。

だから民主主義もまた、つねに個人を救えるものとなっていなければなら
ないのだが、そこに「少数者は多数決のなかでは選択に漏れる」という多
数決の原理が重なると、事情はとたんに複雑になる。いったい少数者の「
尊厳」はどこで保証されているのかということになる。

これは、今日ふうにいえばいわゆる「アイデンティティ」の問題が足元に
絡んできたということである。社会学的にいえば「所属」や「帰属」の問
題だ。

では、どうしたら「差異の多様性」と「帰属の多様性」の両方に対処でき
るような民主主義が持ち-出せるのか。そんな名案はどこにもなかったのだ
が、現実的には二つの提案がなされていったとみなすことができる。

ひとつは「分離の民主主義」である。すでに20世紀前半、ユダヤ人のシ
オニズム
、アフリカ系アメリカ人に「分離の民主主義」はあらわれてきて
いた。もうひとつは「連合民主主義」や「多極共存型民主主義」(conso-
ciatinal democrascy)といわれるもので、一言でいえば「差異の民主主義」
であり、「ネットワークする民主主義」である。この用語-はオランダの政
治学者レイプハルトが提案した。

分離するか、ネットワークするか。この選択は民主主義にとってはあまり
の難問である。仮に分離を選べば、「差異」はたちまち過激なものになる
可能性がある。イスラエルとパレスチナの関係やインドとパキスタンの関
係がそういうふうになっている。さらに分離していけば、イスラム過激
派の自爆テロがそうであるのだが、自爆者たちは“アラーの神の民主主義”
のほうを選んだことになる。

ネットワークを選べばどうなるか。そこには隠れたネットワークが生じる
可能性がある。そして、そこでも実は分離者たちが与えられた多数決民主
主義を壊していく運動が派生しかねない。つまり「少数者の見解」とは、
また「差異の民主主義」というものは、とんでもなく深いものをもってい
るわけなのだ。

こうして難問はいよいよデッドロックにさしかかる。そこにさらに加わっ
てきたのがナショナリズムとポピュリズムの問題だった。

近代の民主主義が選んだもの、それは第1には国民国家であり、第2には
共和政で、第3には議会制民主主義の確立である。ここに資本主義と社会
主義がすばやく交差して、のちにファシズムや国連主義がかぶさった。
では、これだけで民主主義の歯車が作動したり制御されていたのかといえ
ば、そんなことはない。これらの奥には、実は長期型と短期型の二つの“熱
情”がひそんでいた。長期型のものはナショナリズムである。短期型のもの
はポピュリズムだった。いわば“人気”(にんき・ひとけ)というものを、
民族の奥から感じあっていくナショナリズムと、投票などの集計で勝ちと
っていくポピュリズムだ。いずれも民主主義を装うことができた。そして、
人々に「右か左か」を問い、煽るのにも適していた。
ナショナリズムは民族や部族にひそむエトニーやエトノス(民族的なるも
の)が社会に向かって立ち上がり、多くの共感を呼びながら胎動する。そ
れをアントニー・スミスのように近代以前からの動向とみなす学者もいれ
ば、ベネディクト・アンダーソン(821夜)のように近代以降のフィク
ショナルな「想像の共同体」だとみなす学者もいるが、大筋の定義として
はエルネスト・ゲルナーによる「ナショナリズムは国家と民族の一致を要
求する思想である」という見方が通っている。

が、現代社会にとってのナショナリズムの問題は、ナショナリズムそのも
のにあるのではないとも言わなければならない。問題は、ナショナリズム
の動向が保守主義と合体したり、急進主義と重なっていったとき、そこに
民主主義の楔(くさび)を打ち込むことが難しくなっていくことにある。
ナショナリズムは右にも左にも動くのだ。小熊英二(774夜)は『民主
と愛国』で、戦前の日本のナショナリズムは戦後のある時期までむしろ左
翼が積極的にコミットしていたことを証した。

ナショナリズムにはまた、いくつかの派生特色があった。二つだけあげて
おくが、ひとつは、ナショナリズムはつねに国際主義(コスモポリタニズ
ム・インターナショナリズム)と対決し、根無しの国際主義こそ「民主」
を狂わせるものだと指摘する方向をもったことだ。もうひとつは、ナショ
ナリズムはときに人種主義(racism)にも傾いて、かつてならゴビノーの
優生学や、ナチスの反ユダヤ主義や、黄禍論(イエローペリル=黄色人種
批判)となり、それがアパルトヘイト政策にも、最近では反日ナショナリ
ズムにもなっていく方向をもったことである。

ポピュリズムとは何なのか。現在ではポピュリズムは「人気取りの政治」
に結びつけられることが多いけれど、政治的な意味でのポピュリズムは、
もともと19世紀末のアメリカで「人民党」(ポピュリスト)と名のった
政治運動に起源をもっていた。アメリカ西部や南部の農民を支援者とした
もので、二大政党に収まらない新たな政治を要求するために生まれた。
アメリカの政党史では画期的なものであったのだが、やがてこれを民主党
が吸収し、“西部のライオン”の異名をとったW・J・ブライアンらによっ
て東部エスタブリッシュメントの攻撃部隊をつくりあげた。そこには異様
な進化論批判などもまじっていて、アメリカのファンダメンタリズム(原
理主義)ともつながった。

しかしポピュリズムには、資本主義社会を勝ち抜くことを積極的に肯定し、
とくに独立自営者たちに共感を示すところがあったため、そのプロパガン
ダ性がマスメディアに乗りやすく、つながりやすく、そういうせいもあっ
て、やがてポピュリズムはそのイデオロギーの如何にかかわりなくメディ
ア政治化
し、「ポピュラー民主主義」ともいうべき大きな力を発揮した。
この勢いに80年代になって結びついたのが、新自由主義の「市場原理主
義」と「民営化」路線であり、それを最大限に活用したレーガンだった。
日本ではお粗末すぎてはいたが、小泉内閣がこれを利用した。これらがポ
ピュリズムそのものであったことは、小泉劇場政治にも顕著であろう。

かくて新自由主義的ポピュリズムはケインズ型の福祉国家のヴィジョンの
不備を突くという大きなムーブメントをつくりあげ、公的領域を狭くして
「官から民へ」を推進しさえすれば、「市場の拡大」はそのまま「自由の
拡張」になるだろうという幻想をふりまいていったのだ。これを極端に強
化していくために援用されたのがフリードマンの経済学と、そしてマネー
ゲーム
をレバレッジ型に増長させる金融工学
だったわけである。
                              つづく

🪄これが「毒饅頭」と「リーマンショック」、「福知山線脱線事故」、
「3・11福島第一原発事故」として絡んでいくと、わたしの記憶に残って
いる。数え上げれば切りがなさそうだ。

 

コメント
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エネルギーと環境 63

2024年11月28日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-

 西明寺

【季語と短歌:11月28日】 

        払暁の星吾照らす冬日かな    

                  高山 宇 (赤鬼)



🪄鈴鹿山脈の西山腹に位置する金剛輪寺は、寺伝によれば聖武天皇勅願
奈良時代の僧・行基の開創とされ、創建は737年(
または741年)と伝わ
る。その後、平安時代前期の嘉承年間(848年 - 851年)に天台宗の僧・
(慈覚大師)により再興されたと伝え中興の祖とされる。1573年織田
信長
の兵火で湖東三山の1つである百済寺は全焼し、金剛輪寺も被害を受け
るが、現存の本堂、三重塔は焼失をまぬがれた。当寺の本堂をはじめとす
る中心堂宇は総門や本坊のある地点から数百メートルの石段を上ったはる
か奥にある。湖東三山は、西明寺、金剛輪寺、百済寺の三つの天台宗寺院
の総称である。次回は百済寺。


✳️ 東レが尿素の除去性能2倍の水処理膜
東レは、尿素の除去性を従来の2倍に高めた水処理膜を開発した。半導体製
造工程では不純物が限りなくゼロに近い「超純水」が大量に必要となる。
将来的な水不足に対して半導体製造工程で下廃水再生水の活用が求められ
る中、新開発の高除去・低圧逆浸透(RO)膜を用いると、除去が難しかっ
た尿素を90%近く除去でき、超純水の安定供給に貢献する。
半導体メーカー
は工場で大量の超純水を使うに当たり、工場内廃水の再利用率を高めてい
る。加えて半導体製造に用いる超純水の水源として、現状の水道水に代わ
る下廃水再生水の活用や海水の利用拡大を検討している。ただし、それら
を活用するには塩分やシリカやホウ素、尿素などを除去する必要がある。

中でも尿素は、水の中に含まれていると加水分解によってアンモニアガス
を発生させ、半導体製造において光阻害を起こして難溶で異常な層を基板
上に形成する恐れがある。そのため高いレベルでの除去が求められている
が、尿素は粒子のサイズが小さい上、電気的中性の分子で電気的相互作用
でも分離できず、除去の難度が高い。 東レはRO膜の性能向上に向けて、
穴径分布の設計に注力した。具体的には、RO膜の表面構造の詳細な観察と、
除去性能の核となる1nmよりも小さい穴の構造を可視化する分析技術を活
。分布を均一にすることで、「低い圧力での透水性と尿素の除去性能を
両立させた」。
同社は同技術を採用した「TBW-XHRシリーズ」を2024年1
1月から国内水処理エンジニアリング会社向けに販売し、2025年以降の工
場への実装を計画している。今後は他分野でも展開する考え。同
社の中期
経営計画では、RO膜の売り上げが年率5%で成長とすると予想。2025年度
にはグローバルシェア1位の実現を目標に掲げている。木村氏は「今回の
開発品が中期経営計画に与える影響は極めて限定的」としつつも、同計画
が前倒しで進んでいると明らかにした。「今後は世界的な水不足で半導体
用途に限らず需要は増えると考えている。
【関連特許技術】
1. 特開2023-149452 分離膜 東レ株式会社
【要約】下図1ごとく、本発明の分離膜は、緻密層とマクロボイド層とを有
すると共に第1および第2面を有し、緻密層およびマクロボイド層は同一の
非イオン性高分子を主成分として含有し、緻密層表面が前記第1面であり、
前記第1面において、開孔率は5%以下であり、平均孔径は0.3nm以上
3.0nm以下であり、マクロボイド層は、近似楕円の短径が15μm以
上であり、長軸が前記第1面と平行な方向との間に成す角度が80°以上
100°以下であり、長径と短径との比が4以上であるマクロボイドを有
する実用的な透水性を保持し、硬度成分、特に2価イオンの高除去性を有
すると共に、多糖等の中性分子の高除去性も有する分離膜を提供する。


【発明の効果】
本発明によると、実用的な透水性を保持し、硬度成分除去性に優れると共
に、中性分子除去性も有する  分離膜を得ることができる。
000003
【特許請求の範囲】
【請求項1】緻密層とマクロボイド層とを有する分離膜であって、
  前記緻密層およびマクロボイド層は同一の非イオン性高分子を主成分とし
て含有し、前記分離膜は第1面と第2面を有し、前記緻密層表面が前記第
1面であり、前記第1面において、開孔率は5%以下であり、平均孔径は
0.3nm以上3.0nm以下であり、前記マクロボイド層は、近似楕円
の短径が15μm以上であり、長軸が前記第1面と平行な方向との間に成す
角度が80°以上100°以下であり、長径と短径との比が4以上であるマ
クロボイドを有する分離膜。
【請求項2】前記非イオン性高分子は、ポリスルホン、ポリアクリロニト
リル、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、
ポリ塩化ビニルからなる群より選択される少なくとも1種の高分子である、
請求項1に記載の分離膜。
【請求項3】前記第1面における開孔率が1%以上3%以下であり、孔径
が0.3nm以上、1.0nm以下である請求項1または2に記載の分離
膜。
🪄詳細省略 しかし、これは想定以内であり、だから、企業の実践である
のだが、面倒くさく、辛いもの。当事者たちの努力の高みに敬服。

⬛ 失速「EV」相次ぐ火災事故で広がる不信の連鎖     
  リチウム二次電池の安全工学的考察 ⑭

【関連特許技術】
1. 特開2024-135832 二次電池、電池パック及び車両 株式会社東芝④
【詳細説明】(完了)


✨ 
2025年,スピントロニクス世界市場規模は5,990億円
矢野経済研究所は,スピントロニクスデバイスの世界市場を調査し,カテ
ゴリー別の開発動向,将来展望を明らかにした。スピントロニクスは,電
子が持つ電荷(電気的性質)とスピン(磁気的性質)の両方の性質を利用
する技術分野である。スピントロニクスの物質の電気的特性と磁気的特性
の双方を制御することにより得られる新しい物理現象を利用した材料やデ
バイスにより,エレクトロニクスやマグネティクス,フォトニクスといっ
た電子・情報通信産業のイノベーションの創成が期待されている。

✳️ ペロブスカイト太陽電池向正孔回収材料開発
京都大学と九州大学は,ペロブスカイト太陽電池において,ペロブスカイ
ト層から効率的に正孔を取り出すテトラポッド型正孔回収単分子膜材料(
4PATTI-C3)を開発。


ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けては,高い光電変換効率の実現と
デバイスの耐久性の向上が求められている。
これまで,主にペロブスカイ
ト層の作製法の改良により,光電変換効率が向上してきた。その一方で
ロブスカイト層で光吸収により生成した電荷を選択的に取り出す電荷回収
材料の開発がさらなる特性向上のためのボトルネック課題となっている。
従来の材料では,各層間での電荷のもれを防ぐために100–200nm程度の
アモルファス性の厚い膜として用いられてきた。しかし,この材料自体が
厚いため光を吸収してしまい,ペロブスカイト層に届く光が減少し,取り
出せる電流密度が低下してしまう。また,この厚膜のモルフォロジー(形
態が)の安定性がデバイス自体の低い熱安定性の原因となっている。
さら
に,一般的に有機半導体の厚膜材料では電気伝導度が比較的低いため,p型
のドーパントやイオン性の添加剤を必要する。しかし,これらの添加剤の
高い吸湿性と各イオンのペロブスカイト層への遊泳がペロブスカイト層や
電極などへのダメージとなり,太陽電池デバイスの耐久性を低下させて
しまうという問題があった。

そこで研究グループは,ペロブスカイト層に対して上向きに張り出した極
性官能基をもつマルチポッド型正孔回収単分子膜材料(PATTI)を開発し,
太陽電池特性への効果について明らかにした。
まずπ共役骨格として,サ
ドル型を有するシクロオクタテトラエン骨格に四つのインドール骨格が縮
環したシクロオクタテトラインドール骨格(TTI)に着目し,アンカーと
してアルキルホスホン酸基(PA)を四つ導入したテトラポッド型4PATTI
-C3を設計および合成した。



4PATTI-C3の溶液から透明電極にスピンコートすることで,従来の単分子
膜材料と違って,ペロブスカイト前駆体溶液に対して濡れ性の高い単分子
膜が得られることを明らかにした。
このテトラポッド型4PATTI-C3の単分
子層を正孔回収層に用いた逆型ペロブスカイト太陽電池のミニセルおよび
ミニモジュールでそれぞれ21.7%および21.4%の光電変換効率を達成する
とともに,100時間の連続光照射後でも97%以上の出力を保つ高い耐久性
を実現した
研究グループは,この研究成果で太陽電池の開発分野に多大
なインパクトをもたらすとともに,その実用化を大きく加速できるものと
している。
【掲載論文】
タイトル:Tetrapodal Hole-Collecting Monolayer Materials Based on
Saddle-Like Cyclooctatetraene Core for Inverted Perovskite Solar Cells
(シクロオクタテトラエン骨格を用いたテトラポッド型正孔回収単分子膜
材料の開発)
掲 載 誌:Angewandte Chemie International Edition, (2024),
      DOI: doi.org/10.1002/anie.202412939

✳️ 
北大,水と光のみを用いたナノ結晶の作製 
7日、北海道大学の研究グループは,水と光のみを用いた水中結晶光合成
という新たに開発した手法により,銅と酸素の空孔を戦略的に添加ドーピ
ングすることでタングステン酸を用いた光学的臨界相を誘導できることを
明らかにした。

光応答性ナノ粒子を均一に分散させた材料は,太陽電池,光触媒など太陽
光を念頭に置いた持続可能なエネルギー利用やフォトニクスの応用に役立
っている。
しかし,従来の方法では紫外線と可視光までを利用するだけな
ので,太陽光の約40%以上を占める赤外域の光は未利用で,全太陽光をも
れなく利用するための光電変換効率が悪いなどの制約があった。研究グル
ープは,水と光を用いて作製する低環境負荷な新たなナノ材料合成法であ
る水中光合成(SPsC)を開発した。この手法を用いて,銅と酸素の空孔を
戦略的にドーピングすることで非化学量論的タングステン酸(WO3・H2O
)から光学臨界相を誘導できるようになった。これにより,ナノ結晶の合
成過程における欠陥の調節を行ない,広い範囲の太陽光スペクトルを利用
できる。

⓵具体的には,過酸化水素に溶かしたタングステン溶液中で銅元素の濃度
を変えながらドーピングすることで,非化学量論的タングステン酸の半導
体ナノ構造を作ることに成功した。作製した材料を用いたデバイスにより,
優れた光熱変換特性,光アシスト水蒸発特性,及び光電気化学特性を実証。
⓶次に,透過型電子顕微鏡を用いて原子構造解析(HRTEM)と電子線損
失分光(EELS)による誘電率,光吸収(係数)の評価を行ない,さらに,
密度汎関数理論に基づく第一原理計算と紫外線-可視光-近赤外分光分析に
よる吸光度の実測と比較検討した。
⓷これにより,この研究でカギとなる銅添加元素と酸素空孔の欠陥形成機
構を明らかにし,当該現象の光機能発現効果を解明することができた。
【展望】
研究グループは,作製した半導体デバイスは,特に近・中赤外光
域での優れた光電流,光吸収などの光特性を示すため,今後の全太陽光利
用のための光機能半導体・エネルギーデバイス材料開発として,ソーラー
エネルギーの持続可能な利用技術としての進展への寄与が期待されるとし
ている。

 

図1. ワンポットの光誘起水中光結晶合成法
(SPsC)により合成したナノ結晶

図2. 各種の光機能特性調査 
a) 疑似太陽光で照射したCux%- WO3・H2O (x = 0 - 5.8)の光熱変換特性
調査。銅元素1%と5%添加で光学的臨界相になり強い光吸収が起こっている。 
b) ステンレスメッシュ上のWO3・H2O、Cu1%- WO3・H2O、Cu3%- WO3・
H2OのIRランプによる赤外光水蒸発試験。Cu1%- WO3・H2Oで水蒸発が
最も早い。
c) Cu1%- WO3・H2O及び純WO3・H2O粉末試料の光電気化学性能試験
(光電子変換特性調査)。Cu1%- WO3・H2Oでは下向き矢印の光電流の
増加を示した。
【掲載論文】
論文名 Defect Driven Opto-Critical Phases Tuned for All-Solar Utilization
(全太陽光利用のために調節した欠陥導入による臨界相について) 
著者名 Melbert Jeem1, Ayaka Hayano2, Hiroto Miyashita2, Mahiro Nishimura2,
Kohei Fukuroi2, Hsueh-I Lin2, Lihua Zhang1, Seiichi Watanabe1(1北海道
大学大学院工学研究院附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センター、
2北海道大学大学院工学院材料科学専攻) 
雑誌名 Advanced Materials 
DOI 10.1002/adma.202305494 
公表日 2023年7月29日(土)(オンライン公開)
 
🪄すごいですね。太陽光を百パーセント利用できる道筋ができました。再
 生エネルギー研究・工学チームの完全優勝が見えてきましたね。

               懐かしの晩秋の楽曲 恋人よ 五輪真弓』 1986年4月21日


 

人間の未来 AIの未来 講談社(2018/02発売)

まえがきにかえて 羽生善治から山中伸弥さんへ
第1章 iPS細胞の最前線で何が起こっていますか?
第2章 なぜ棋士は人工知能に負けたのでしょうか?
第3章 人間は将来、AIに支配されるでしょうか?
第4章 先端医療がすべての病気に勝つ日は来ますか?
第5章 人間にできるけどAIにできないことは何ですか?
第6章 新しいアイデアはどこから生まれるのでしょうか?
第7章 どうすれば日本は人材大国になれるでしょうか?
第8章 十年後、百年後、この世界はどうなっていると思いますか?
あとがきにかえて 山中伸弥から羽生善治さんへ
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人間の未来AIの未来』連載第10回
「都合のいい」遺伝子の書き換えが可能に
ゲノム編集の技術はずいぶん前からありましたが、技術的に非常に難しく
て効率が低く、しかも正確性にも欠けていた。それが2012年に「クリスパ
ー・キャスナイン(CRISPR/Cas9)」という新しい技術が開発されて、そ
の精度の高さと簡易さから一気に汎用性のある技術になりました。
クリス
パー・キャスナインの技術の根底にある「クリスパー」と呼ばれる遺伝子
配列を発見したのは、九州大学の石野良純先生。この技術はDNAの狙った
場所をピンポイントで編集することができます。だからDNA解析と編集の
技術を組み合わせると、理論的には自分たちの都合のいいように遺伝子を
書き換えることが可能になる。(山中)

◾「デザイナー・ベイビー」は許されるか
そうすると、「デザイナー・ベイビー」と言われる、遺伝子操作で親が望
むような外見や知能を持つ子を生み出すこともありうる?(羽生)

『ネイチャー』に掲載された2017年の論文では、遺伝子操作によって身長
を1cmくらい変えることができそうな遺伝子が24個報告されています。「
遺伝子ドーピング」[特定の遺伝子を筋肉細胞などに注入し、運動能力に
関わるタンパク質などを作る手法]によって筋肉量を増やした牛や魚は、
すでにつくられています。牛でつくることができるということは、理論的
には人間でもできます。それはどこまで許されるのか、人間の倫理が科学
技術に追いつけるかという問題ですね。2015年に中国の研究グループが、
ゲノム編集を用いてヒトの受精卵で遺伝子改変を試みた結果を発表した。
中国の研究は遺伝子改変を行った胚を女性の子宮に移植することはして
いないが、学術誌からマスメディアまでその是非をめぐって世界で大論争
になつた。アメリカもヒト受精卵のゲノム編集を条件付きで進めていくこ
とになっている。各国ごとに文化や歴史の違いがあって、世界で統一する
のはなかなか難しいんです。今のところ、受精卵を使った基本的な研究は
やるべきだろう、ただ実際にその受精卵から新しい生命をつくることは当
面はやめよう――というのが、多くの研究者のコンセンサスだと思いる。
日本はまだ、その辺りの議論が紛糾しています。生命科学の技術を使って、
なるべく「健康な子供」が生まれてくるようにすることは、先ほどのデザ
イナー・ベイビーと言われるような「強い子供」が生まれるようにするこ
とにとても近いんです。でも、まず基礎研究はやっていかなければ技術の
見極めもできない。とは言っても、やはりルールは必要で、どんな研究を
誰が、どこで、どんな目的でやっているか、透明性を高めることが大前提
です。その上で、ほぼ確実に遺伝する遺伝子疾患の予防目的といった厳格
な条件下で、少しずつやっていかなければダメじゃないかなと思っている。
データがある世界では、AIは人間の経験値を超える結果を生み出す可能性
がある。
ただ、それが絶対かと言われると、絶対ではないわけです。そのとき、先
ほども言った「ブラックボックス問題」、結果はうまく行っているけれど、
そのプロセスが誰にも見えない状況を人間の側が受け入れられるかどうか
が問われる。 理屈としては理解できなくなって、AIが出した結果なり結論
なりを信じるか信じないか、ただそれだけの話になってしまう可能性もあ
る。でも人間は人間なりに考えたり、発想したりすることを捨ててはいけ
ない、やめてはいけないと思う。(山中)

❤️「いい加減なとこはあったほうがいい」
手探りで「次はどこに行こうかな」と、その場で何とかするケースがほと
んどです。もちろん、その都度ベストな選択を目指していますが、わかり
やすい答えを求めていくアプローチではないんです。100パーセント間違
いない、絶対にこれだ、という選択肢はないですね。読み筋が考えていた
通りの展開になることも滅多にありません。だから、けっこうその場しの
ぎです。
その決断は間違っているけれど、結果としては良かったというこ
とがある。たとえば悪手を指した結果、相手のミスを呼び込んで、予想外
の勝利となってしまう。では、その悪手を指したことは本当に良かったの
かどうか、という問題はありますけれど(笑)。まったく自分が予想して
いなかった状況になったときに、どうにかする。その力は数値化できない
ものだと思います。だから若干いい加減なところがあったほうがいいのか
もしれない。今の時代は環境がすごく整っているので、真面目にやってい
れば、あるところまでは猛スピードで突っ走ることができる。でも逆に言
えば、環境が整ってない時代だったらたどりつけなかった人も、たどりつ
けているとも言えます。

全体的なレベルや力が上がっている中で、これまでの知識の集積や環境の
有利さだけを考えていたのでは、他の人たちと差を付けることは難しくな
っていきます。そうすると、これまでとはまったく違うことをやらなけれ
ばいけないんじゃないか。それは多分、これをやったら必ずプラスになる
、必ずマイナスになる、といったものではなく、はっきり数値化できない
ことが重要なんじゃないかなと思っているんです。(羽生)。

🪄頭の中がこんがらがっていますが、なんとか根気よく読んでいこう。


今日の言葉:     「ラスト九年」に拍車がかかる昨今。「整理整頓第一
         主義」と「健康管理」に肝すえる。

1277夜 『変貌する民主主義』 森政稔 − 松岡正剛の千夜千冊

 『変貌する民主主義』 森政稔 - 千夜千冊
1277夜 世走篇 2008年12月29日 ⑤

もうひとつはサミュエル・ハンチントン(1083夜)が『文明の衝突』
で、今後の世界は主要国家の動向で語られるのではなく、西洋文明・儒教
文明・日本文明・イスラム文明・ヒンドゥ文明・スラブ文明・ラテンアメ
リカ文明・アフリカ文明の、8つの文明間の衝突や連携としてとらえるべ
きだというものである。そのような見方をとるには、市場やマクドナルド
やファッションのような流動的なものでなく、フォルトライン(断層線)
によって世界を見るべきだとした。 

この見方も、ハンチントンの主旨とはべつに、だからこそ中東の勝手に対
しては強硬に戦争を仕掛けるべきだというネオコン(ネオ保守主義)の宣
伝理論に使われることになる。
ところが、フクヤマやハンチントンの見方は、これを利用しようとする者
にとっては都合がよかったかもしれないが、そのような見方だけではとう
てい世界史の歩みは説明できないということが、しだいに露呈してきたの
だった。いちばんわかりやすいことであろうが、おそらくはいちばん複雑
な問題を孕んでいるのは、民族紛争と宗教戦争の多発によって、大きな事
の変更がおこったことである。フクヤマが歴史の最終形態だと言った自
由民主主義なんて、南米にも中東にも、コソヴォにもチェチェンにもクル
ドにも、まったく関係がなかったのである。また、「文明間の対立」はま
だまだおこりそうもなく(ハンチントンは儒教文明とイスラム文明が連合
して西洋文明に対決を迫るとも予想した)、むしろ「文明内の対立」のほ
うが吹き出してきたわけだった。  

このような予期せぬ事態の進行は、民主主義の基本原理をくつがえすもの
である。民主主義は「多数決の原理」によって、多数支配の法的な根拠を
提供しつづけてきたのであるが、またそれがいかに困難であっても、その
困難を“みんな”で克服することが民主主義の良質な努力であるというもの
であったはずなのだが、これがしだいに少数者(マイノリティ)や少数民
(エスニック・グループ)にはあてはまらなくなってきたからだ。そこ
には“みんな”はいないのだ。 

それでもそこへ強引に民主主義をあてはめようとすれば、そのマイノリテ
ィやエスニック・グループに干渉し、介入的な政策をとるしかない。それ
は民主主義の原則に反するから、そこでなんとか理由をつけて、最初にそ
こに吹き出した非民主的な出来事とその管理運用主体を、先制して潰して
しまうということになる。これがアメリカが仕掛けた「ブッシュの戦争」
の大半だった。チョムスキー(738夜)やサイード(902夜)がどう
しても許しがたいと立ち上がったことだ。民主主義が「少数者の問題」に
ぶちあたったことは、こうして民主主義の原理をゆるがせていったのであ
る。
すでに最初に書いておいたように、ぼくは小学校で手をあげて意見をのべ
ても、それが結局は多数決になることに納得がいかなかったわけであるが、
では、そもそもなぜ民主主義は多数決などという多数者支配を持ち出した
のか。それは一言でいえば、民主主義が「主権」を取り入れたからだった。  

ヨーロッパでは近世になると、国王が中世的な法のくびきで縛られること
を嫌って、国王の絶対性と永続性を認めさせるべく、最初は王権神授をつ
かい、ついでは王権が民権を掌握できることをつかって、主権の位置を確
定させることをつくりあげていた。トマス・ホッブス(944夜)の「リ
ヴァイアサン」の登場はそのころの議論の象徴である。
しかしその王権が分散したり崩れたり、ピューリタン革命やフランス革命
などで覆されたりすれば、では宙に浮いた主権はどうなるかという「主権
の行方」が取り沙汰されることになる(このあたりの事情は『世界と日本
のまちがい』に縷々書いておいた)。
このとき、ルソーやモンテスキューの社会契約説や法学説が颯爽と出てき
て、主権は「在民」していったのである。けれども主権在民とはいえ、そ
の主権、すなわち「民権」は、もはや国王のような絶対者の管轄にあるも
のではないのだから、その意思を決定するしくみが新たに必要だった。そ
こでフランス革命のときには「民会」のようなものが設定され、意思の正
当性を議決するという方法がとられ、そこで多数決のルールが確定してい
ったわけである。   
                (中略)  

多数支配の問題はいろいろの矛盾をかかえている。ひとつはよく知られて
いるように、ファシズムが多数支配と民主主義をトリッキーに演出して「
全体主義」を体現したということであるが、もうひとつはそれとも深い関
係があるけれど、「差別」や「差異」の問題が浮上してきたということに
ある。たとえば黒人問題、たとえば被差別部落問題、たとえばジェンダー
問題
、たとえばアパルトヘイト問題、たとえば信仰問題、たとえば少数言
語問題
である。現代民主主義はこれらの「少数問題」「マイノリティ問題」
を一挙にかかえることになる。  

それでも、アメリカは長らく楽観していた。なぜならアメリカはそもそもが
「移民」の国で(これについても『世界と日本のまちがい』で詳しく説明し
ておいた)、それゆえに建国以来の「多様のなかの統一」という理念があっ
たからである。
したがってアメリカは危機に陥るたびにこの理念を持ち出して、混乱を乗
り切ってきた。たとえば、ルーズベルトのニューディール政策にはさまざ
まな狙いがこめられていたけれど、そのひとつにはアメリカ内部の分裂し
かねない多様な少数者の統合をはたそうとした意図があったのだし、真珠
湾攻撃をきっかけに「リメンバー・パールハーバー」によって日本叩きを
組み立てたのも、9・11でブッシュが「ブッシュの戦争」を公然と始め
たのも、必ずそこには「多様のなかの統一」の理念が大活躍したものだった。

このような理念の実践をケネディ以来は(それを大々的に復権させたのは
ケネディだったから)、民主主義思想の議論では「多数派リベラル」のロ
ジックとも言っている。けれどもそのロジックの正体は、その時期ごとの
「アメリカン・デモクラシー」の代名詞だったのである(きっとオバマ大
統領もこのたびの未曾有の金融危機をこの理念の実践で乗り切るつもりで
あろう)。🪄さぁ、話は核心に切開する....          次回へ

 

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