彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-。
【季語と短歌:10月25日】
朝陽浴び積る雪なきクリスマス
高山 宇 (赤鬼)
✳️ 中国の石油需要は転換点に近づく
世界最大の自動車市場である同国で、電気自動車(EV)が占める割合が拡
大していることが背景にある。
中国は長年にわたり原油の最大の消費国だった。2023年の世界需要に中国
が占める割合は16%(日量1640万バレル)と、08年の約9%から上昇した。
さらに重要なのは、中国が供給過剰分の最大の買い手だったこと。この期
間、世界の石油需要の伸びの半分以上は中国によるものだった。しかし2
3年に消費が記録的な水準に達して以降、新型コロナウイルスを徹底的に
封じ込める厳格な「ゼロコロナ」政策から脱却した後は、中国の需要は鈍
化している。国際エネルギー機関(IEA)によると、石油消費量の伸び率
は、24年に前年比0.8%、25年は同1.3%にとどまる見込み。
中国のEVブーム、石油企業にダブルパンチ 中国自動車市場の変化で石油需要は転換期に
中国の石油需要は依然としておおむね安定しているように見えるが、その
構成は急速に変化している。ガソリンとディーゼル燃料の需要はピークを
迎えたようだ。IEAの推計では、これらの輸送用燃料に対する中国の2024年
の需要は、21年と比べて3.6%低下する見通し。
中国の住宅バブル崩壊も一因だ。建設の減速により、機械で使用されるデ
ィーゼル燃料の需要が弱まった。だがもっと大きな要因は、中国の個人用
移動手段の急速な変化、特にEVの台頭だ。中国乗用車協会(CPCA)によ
ると、ここ数カ月で販売された乗用車の半分以上が、プラグインハイブリ
ッド車(PHV、PHEV)を含む新エネルギー車だった。主にこのトレンドに
より、IEAの予測では、2025年の中国のガソリン需要は21年のピーク時よ
り6.4%低くなる見込み。
また中国では、ディーゼル燃料の代わりに液化天然ガス(LNG)を使用す
る新型の大型トラックも増えている。2024年の中国の石油需要に占めるデ
ィーゼル燃料とガソリンの割合は44%と、18年の51%から低下するとみ
られる。
輸送用燃料の需要が頭打ちになる一方、中国で成長する石油化学セクター
が石油製品を大量に消費している。いずれも石油化学製品の原料であるナ
フサ、エタン、液化石油ガスの消費量は、2019~24年の間に59%増加した。
しかし中国でEV普及が引き続き進む中では、石油化学セクターによる消費
が拡大しても、ディーゼル燃料とガソリン需要の減少を補うには不十分か
もしれない。
米エネルギー情報局(EIA)によると、中国の石油精製能力は2011~23年
に42%増加し、日量1850万バレルに達した。これは特に現在の景気低迷
期には過剰生産能力となっている。中国は非効率な小規模精製所を淘汰す
る取り組みの一環として、精製能力の上限を日量2000万バレルに設定した。
これは大手の総合石油会社にとってダブルパンチとなる可能性がある。中
国の2023年の石油輸入量は日量1130万バレルと、世界の生産量の10%超
を占めた。同国の構造的な需要の減少は、価格への圧力を通じて石油会社
の上流部門に打撃を与えかねない。一方で、過剰な精製能力は石油メジ
ャーの下流部門の利益率を圧迫する可能性がある。これらの部門は従来、
原油価格が低い時期に財務的なバランスを保つ役割を果たしてきた。かつ
て中国の好景気の追い風に乗った石油生産企業は、厳しい現実に直面する
可能性がある。
理論上29%の変換効率29%を超える日本発太陽電池技術!
✳️ ペロブスカイト太陽電池世界最高クラスの発電効率達成
オックスフォード大と京大の研究が融合次世代太陽電池として注目されて
いる「ペロブスカイト太陽電池」について、世界最高クラスの発電効率を
達成したと、京都大や英オックスフォード大などの国際研究チームが発表。
実験レベルで従来のシリコン太陽電池の能力を上回り、さらなる向上も期
待できるという。論文が24日、科学誌ネイチャーに掲載される。
従来の太陽電池は硬くて割れやすいシリコンの結晶を使っている。これを
特殊な結晶構造を持つ「ペロブスカイト」と呼ばれる素材に切り替えたの
がペロブスカイト太陽電池。
京大化学研究所の若宮淳志教授(材料化学)らは、幅広い波長の光を効率
良く利用するため、性質の異なるペロブスカイト結晶の層を複数重ねる「
タンデム型」という手法を採用した。化学的な解析をもとに、高品質な結
晶を印刷技術で作れるよう、成分の改良を進めた。
実験レベルで計測された発電効率は、2層重ねた時で最大29・7%に到
達し、シリコンやペロブスカイトの1層構造の性能(24~27%)を上
回った。理論上は35%まで改良できるという。若宮教授は「オックスフ
ォード大のタンデム型の研究と、京大の化学研究の融合で果たせた国際的
な成果だ」と話す。
産業技術総合研究所の村上拓郎・有機系太陽電池研究チーム長の話 「今
回の発電効率は驚くべき値だ。将来的な手法としてタンデム型の検討も進
めるべきで、その一歩となる研究成果だ」
京都大学,英オックスフォード大学,分子科学研究所,理化学研究所は,
スズを含むSn-Pb系ペロブスカイト半導体の界面構造制御法を開発し,こ
れをボトムセルとして用いることで,オールペロブスカイトのタンデム型
太陽電池の高性能化を実現従来のタイプの単接合型のペロブスカイト太陽
電池の世界最高の光電変換効率は26.7%と,理論限界に近い値にまで向上
している。この単接合型の放射限界を超えて,さらに高い効率が得られる
太陽電池として,異なる光電変換領域をもつ複数のセルを組み合わせた多
接合太陽電池(タンデム型太陽電池)が脚光を浴びている。
特に,接合する全てのセルがペロブスカイト太陽電池である「オールペロ
ブスカイト型のタンデムセル」の高性能化には,長波長領域の光を光電変
換できる狭バンドギャップをもつSn-Pb系ペロブスカイト太陽電池(Eg:~
1.25eV)の特性を改善することが重要となっている。今回研究グループは,
独自の添加剤として,アミノ酸基とカルボン酸基を分子内に併せもつフェ
ニルアラニンをSn-Pb系ペロブスカイト半導体の前駆体溶液に用いることで
,高品質なSn-Pb系ペロブスカイト半導体膜が作製できる手法を開発した。
各種分光測定の結果と理論計算により,塗布成膜過程でのフェニルアラニ
ンがどのようにペロブスカイトの構成イオンと相互作用し,埋もれたペロ
ブスカイトの下層の界面を選択的に構造制御するのかについて,化学的な
視点からそのメカニズムの詳細を解明した。この手法で得られた高品質な
Sn-Pb系ペロブスカイト層を用いて作製した,単接合セル,2接合型タンデ
ムセル,および 3接合型タンデムセルの各デバイスでは,それぞれ0.91V,
2.22V,および3.46Vの開放電圧が得られ,23.9%,29.7%(認証値29.26%
),および28.7%の光電変換効率を達成した。
また,1cm2のサイズの3接合デバイスでも,28.4%(産業技術総合研究所
にて27.28%の認証値)の光電変換特性を得ることができたという。さらに
研究では,初めて4接合型のペロブスカイトタンデム型デバイスまで作製
し,4.94Vもの高い開放電圧と27.9%の光電変換特性が得られることを実
証した。
この研究成果は,京大発ベンチャー「エネコートテクノロジーズ」にも技
術移転し,高性能のペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた開発研究を
展開していく予定だとしている。
【関連論文】
タイトル:スズを含むペロブスカイト半導体の界面構造制御法の開発とメ
カニズム解明
🎈世界初の240Hz対応16インチOLED搭載「Blade 16」ゲーミグノートPC
✳️ 喫緊の課題となる充電インフラと国の拡充支援策の要点
😥 再エネだけでは増加分を賄うには不十分か
一つ目が、6口以上の充電器の整備促進、充電回避に向けて、現在渋滞の
回避に向け、充電器の設置が進んでいるが、駐車スペースの整備も含め、
1基1口充電嗣よりもコストか高く。この部分の補助を手厚くすることで、
充電器の複数日化を促進していく。二つ目のポイントか、公共用高出力充
電器の支援拡充。イニシャルコストや導人後の保守管理費・電カコストな
どを考慮し、出力90kW以上の充電器においてコンビニ・ティーラー等で
は、これまで設備費の2分の1を補助していたところを、1分の1を補助す
る形に変更した。二つ目のポイントが、公共用高出力充電器の支援拡充。
イニシャルコストや導入後の保守管理費・電カコストなどを考慮し、出力
90kW以上の充電器においてコンビニ・ディーラー等では、これまで設備
費の2分の1を補助していたところを、1分の1を補助する形に変更し。そし
て、三つ目のポイントが、高出力対応の高圧受電設備への対応。
バスなどのBEVイヒに向けて高出力充電器の導入が進むと、より高い出力
に対応した受電設備が必要になる。以前は、150kW以上の受電設備に対し
て一律400万円を補助していたが、設置設備の総出力に応じて段階的に上
限額を引き上げた。
🎈高速道路の充電インフラ整備は
国土交通省とともに「高速道路における電動化インフラ整備加速化パッケ
ージ」をとりまとめ、今年3月に公表した。利用者がいつでも快適に充電
できる環境を目指して、高速道路におけるBEV充電器の大幅増加と複数
日化・高出力化を促していくための方針です。前述の通り、2025年までに
2020年度比の2.7倍となる約1,100日の急速充電器の設置を目標に掲げ、充
電インフラ補助金の予算拡充・補前額の引き上げを行った。
さらに今後は高速道路外のBEV充電器の活用も視野に入れた検討を進め
ていく。具体的には、国土交通省では、一時的に高速道路を降りて充電し
たとしても損をしない料金体系・決算方法の導入を検討しています。また、
サービスエリアやパーキングエリアにおける駐車場の整備に向けた国費支
援制度の創設も審議しています。充電器拡充に向けた補助金による支援だ
けでなく、国土交通省とも連携し、こうした総合的な取り組みを行うこと
で、利用者にとって使い勝手の良いインフラを構築していきたいと考えて
いる。
整備計画においては、利用者だけでなく、充電インフラを構築・運営す
る事業者の視点も欠かせません。高速道路における充電インフラ整備を加
連させ、一部サービスエリアにおいて頻繁に発生している充電渋滞を解消
するとともに充電器の利用率が高まれば、運営事業者の収益性向上につな
がります。
一方、充電器だけが先に普及し過ぎてしまい利用率が低いままだと、事業
者の経営が厳しくなってしまいます。車両の普及と充電インフラの整備の
両輪でバランス良く進めていくことが重要であり、政府としても状況を注
視しながら補助金などを活用し、BEV普及拡大を促すとともに、2035年
までに乗用車新車販売で電動車100%という目標に向けて取り組んでいく。
政府は補助金政策予算を3倍に増やし、
急速充電器の普及を重点的に促進する
✳️ 電力需給ひっ迫の懸念 全BEV化で約2000億kWh
BEVの導入拡大に向けた動きが加速する一方で、需要の高まりによる電力
不足を懸念する声も聞かれる。
現在も夏場や冬場において電力の需給ひっ迫が懸念される日本でBEV化が
進むと、果たして本当に電力供給不足に陥ってしまうのか。日本エネルギ
ー経済研究所参与の黒木昭弘氏の見解を聞く。(環境ビジネス」2025
年夏季号 より)
🤔 BEV普及によりどのくらい電力需要は増加するか
2020年に自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動胆現会長、当時社長)
が「日本国内の年間乗用車販売約400万台および保有台数(6200万台規模
)がすべてBEVに置き換わると、電カピーク時の発電能力は現状より10
~15%増強する必要がある」と発言したことをきっかけにパただでさえ、
夏場や冬場において電力の需給ひっ迫が懸念される日本で、なぜBEV普及
を推し進めるのか」という声が聞かれるようになった。
乗用収をすべてBEV化したら、本当に電力不足に陥ってしまうのか。検証
してみたところ、追加的に必要な電力需要量は約2000億kWh(送電ロスを
勘案した必要な発電電力量)だと分かりました。運輸部門のエネルギー消
費は旅客部門・貨物部門とも自動車による陸ト輸送が大半を占‘めているた
め、これがすべてBEVに置き換わったらどれだけの電力量が必要か、過
去の総エネルギー消費量から試算した。
😥 増加分はどのように賄えるか
大幅な需要の増加が予測されますが、実は現在の電源構成および既存設備
でも十分に賄える可能性があります。今、日本では化石燃料による火力発
電が全体の約80%を占めている。しかし、稼働率は50%を切っているので
す。そのため、この稼働串を61%まで引き上げれば、BEV100%化によって
増加が予測される電力需要を満たすことができる。
ただ、ガソリン車をBEVに変えても充電する電気が火力発電所の炊き増し
によるものであれば、C02削減どころか、排出量の純増になります。脱
炭素社会の実現を掲げている中で、目指すべき姿ではない。
🤔 火力発電以外の代替手段は
BEV100%化によって予測される電力需要の増加量約20闇値kWhを仮に原
子力発電だけで賄う場合、120万kW級の発電所が21基必要になるという。
一方、再生可能エネルギー(再エネ)の場合、現在のエネルギー基本計画で
は2030年度の温室効果ガス46%削減に向けて、36~38%(合計3360~35
30値kWh程度)の導入を目指すとしている。ここから2020年度の発電量
1983値kWhを基に、2030年までの追加分を試算すると1370~1500億kWh
程度となり、2000億kWhには及ばないと言う。
🤔 再エネだけでは増加分を賄うことが不十分か
ただし、日本政府が新車販売の100%電前車化(ハイプリット車を合む)
を目指している2035年、保有車の切り替えが進んでいるであろう2040年
頃であれば、再エネ導入量もさらに拡大しているはずなので、電力不足に
陥ることはないと見込まれる。また、これは再エネだけで賄う場合の試算
であり、そこまで極端なことをしなくても、原子力発電と組み合わせたり、
それでも足りない場合はLNG火力発電で補えば問題ないと断言できます。
日本全体のエネルギー需要は下がっていますし、運輸部門のエネルギー
需要も2002年をピークに減少傾向に転じており、2018年はピーク時に比
べて22%縮小しています。したがって、そこまで厳しい努力をしなくても
再エネによる発電だけで十分に賄えるのではないかと考えられる。
⛑️ 充電が集中することによる系統への影響は
聡電力量を満たしていることを前提とした上で、懸念されるのが需要ピー
ク時の対応です。ただ、この問題は、簡単に解決できます。現在は夕方に
電力需要のピークがあるため、この時間帯にBEVを充電しなければよ
いだけの話です。自家用車は勤務先などから帰宅した後、自宅で充電する
のが主流であり、夕方の電力需要のピークに重なる恐れがあります。一方
で、自家用車の稼働率は5%程度であり、かつBEV充電用コンセントに
はタイマーが付いているので、ピーク時を避けて、電気料金が安くなる時間
帯に充電を行うなど、需要コントロールさえできれば問題ない。
営業車についても稼働率は50%程度なので、停車中のBEVを蓄電池と
して活用する動きが加速しています。英国では既に、停車中のBEVを電力系
統に接続し、搭載バッテリーをスマートグリッド全体の蓄電設備として電
力会社が利用するV2G(vehicle to Grid)技術を活用したビジネスモデルが展
開されており、米国でも同様の動きが見られる。
テスラも、V2H(vehicle to Home)やV2Gを搭載した車種の発売を発表
しました。 V2HやV2Gは、電力の無駄を省きながら広域での需要と供
給の平準化を実現するとともに、停電時などの災害対策にもなる。
一方、BEV化に向けて最も懸念されるのが、大型トラックの運用。長
距離トラックは休憩時間などに短時間で充電しなければならないため、10
00kW級の急速充電器が必要になります。集配センターなどに入出力急速
充電設備を5~6基設置して、さらに電力会社と特別高圧契約を結んで大量
の電気を流す必要がある。しかし、トラック数台が一斉に充電を始めたり、
止めたりすると送配電網に負担がかかり、局地的な電力不足に陥る恐れが
ある。
🤔 大型トラックのBEV化に向けた施策は
世界では、大型蓄電設備を活用するケースが見られます。大型トラックが
いっせいに充電する場合は送配電網から電気を送るのではなく、大型蓄電
設備から放電すれば、送配電網への負担を軽減できます。また、施設内の
需要に合わせて適切に蓄電・放電すれば施設全体のエネルギーの自立化に
もつながる。
今年4月にはテスラが大型蓄電システム「メガパック(Megapack)」の
生では、産工場を中国・上海で建設すると発表した。中国を拠点に、日本
をはじめとする東南アジア諸国向けに出荷する計画であり、2024年第2四
半期に生産開始予定だといわれる。
現在、蓄電池の技術開発に関しては、中国メーカーが独走している。 B
EVおよびBEV用バッテリーの大手、BYDが開発したLFP電池(リン
酸鉄リチウムイオン電池)に加え、リチウムに代わる次世代のバッテリー
として、ナトリウムイオン二次電池の実用化が中国で今後急速に進む見通
しです。エネルギー密度が高く安定性があることに加えて、主原料となる
ナトリウムが世界中に分布していることから材料の調達コストが抑えられ、
電池自体の価格も安価になります。また、中国CATLは500Wh/kgという非
常に高いエネルギー密度の「凝縮型バッテリー」を開発したと発表した。
このように、中国では蓄電池産業戦略が全方位的に進んでいます。 BEV
普及拡大に向けては、蓄電池が大きなカギを握るため、日本も今から技術
やビジネスモデルの開発に積極的に取り組んでいくべきだといえるだろう。
主に三つの点を支援のポイントとしている。
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✳️ 車両価格低減、普及の課題
目標の新車販売電動車100%にはBEV、HEV、PHEV、FCEVが含まれる。
その中にあってBEVの車両価格低減の課題には何かあるか。クルマの電勧
化によるCO2削減の道筋とは?(環境ビジネス2023.SM)
🎈BEV普及の課題とは
C02削減にあたってば電気自動車(BEV : Battery Electric vehicle)の普
及が鍵だとされる。それが実現できればよいのですが、私は、解決の難しい
3つの課題がある。
1つ目はリチウムイオン電池に使刑されるリチウムなど資源の枯渇問題。
世界一のBEV市場でもある中国で既に資源の枯渇を深刻な課題と提えて、
そのリスクのないナトリウムイオン電池の実用化を急速に進めていること
から、大きな課題であることがわかる。資源がなければ、必要とされる電
池の量を製造できない。リサイクル技術もコスト的に成立するレベルには
到達していない。
2つ目は、車両価格に直結するコスト構造の課題です。BEVの原価構造
は、バッテリーのコストの比重が高く、車両価格の3~5割を占めるため自
動車メーカーが利益を出しにくく、中国のBEV企業ですら苦労している。
電池は調速品なので、ガソリン車と違って量産すればスケールメリットで
収益が出せるものでもない。リチウムイオン電池は素材から完成までの製
造プロセスの大半が中国で行われるため、自動車メーカー自身でのコスト
削減が難しく、BEVで収益を確保することが困難な状況。そのため、BE
Vで収益を上げるには、高級BEVを作って利益を生むことが基本となる。
1台当たりの収益が見込めない状態では、たとえ、多くの台数が売れたと
しても収益は期待できないため、普及版、廉価版のBEV市場に対して、
国産の自動車メーカーが勝負を排む意味は小さい。
3つ目の課題は、米中関係の悪化などの地政学的リスクです。現状、BE
Vを製造するための原料や部品は中国に対する依存度が大きくならざるを
得ない。例えば、BYDのような価格的に魅力ある中国製BEVに関して、
製品そのものの完成度とは別に地政学的リスクは導入の障壁になる。
以上、3つの課題が解決できればよいのだが、どれも、簡単には解決できな
いことばかり。そのため、BEVという一本の矢だけではなく、他の方法と
合わせて、何本もの矢により、地球温暖化に対処することが重要だと考える。
🎈BEV以外の電動車の可能性は
例えば、プラグインハイブリッド車(PHEV)は、EV走行時には 以上、3つ
の課題が解決できればよいのですが、どれも、簡単には解決できないこと
ばかりです。そのため、BEVという一本の矢だけではなく、他の方法と
合わせて、何本もの矢により、地球温暖化に対処することが重要だと考え
ます。CO2を排出せずに走り、1日あたりのEV走行距離が約80kmと日常
使いには十分。
PHEVは、バッテリー容量がBEVの1/5~1/10と比較的小さいため、BEV
より価格も抑えられる。
また、ハイブリッPHEVの他にも、水素を利用するためのインフラなど、
企業がリスクを取りづらい新しい技術開発やインフラの構築に対して、米
国や中国のように政府による投資や支援が鍵を握る。
カーボンニュートラルは一つの方法で実現できるシンプルなものではなく、
さまざまな手段を排除せず柔軟に考えるべきものです。例えば、BEVやP
HEVなど電動車の普及をしていくことでCO2排出をゼロにするという考
え方に加えて、新車販売の大半を占めるエンジン車のCO2排出を、燃費
向上などで少しでも減らすことができれば、CO2削減をより早く進めら
れる。
また、ライフサイクル全体のC02排出量は、小型エンジン車より大型B
EVの方が多いとするデータも報告されており、BEVであっても、大型
の電池を搭載したモデルは、多くのCO2を排出することも分かってきた。
重要なのは、データに基づいた包括的なアプローチ。 BEV一辺倒ではな
くPHEVなど有効な選択肢を駆使し適材適所のポートフォリオ最適化を
考えて、合理的かつ柔軟に取り組むのがよい。
✳️ 高いと言われる車両価格低廉化できるか
BEV購入にあたっては「車両コストがまだ高い」といった声も聞かれる。製
造コストの大半は、心臓部ともいわれる蓄電池が占めることに要因がある。
BEV普及拡大に向けての補助金政策や蓄電池戦略(経済産業省製造産業局
自動車課自動車戦略企画室長 田遠国治氏)
🎈BEVに関連する補助金とは
クリーンエネルギー自動車の普及拡大に向けて予算額を、昨年度から大幅
に増加しており、今年度(令和4年度補正と令和5年度当初合わせて)は車両
の購入補助に総額900億円を計上しています。補助対象となるのは、電気
自動車(BEV)、小型・軽電気自動車(軽BEV)、プラグインハイブリッド車(P
HEV)、燃料電池自動車(FCEV)、超小型モビリティ、ミニカー、電動二輪
の購入費の一部。BEVであれば基本的に最大65万円、条件付きで85万円、
軽BEVの場合は45~55万円が補助されます。車両価格が高いFCEVにお
いては既存ガソリン車と対象車両価格の差額を比較して補助額を設定して
いますので、最大230~255万円の補助。
一方、より多くの方に補助金を活用してもらい、また自動車メーカーのコ
スト低減のための努力を優遇するためにも、メーカー希望小売価格(税抜)
が840万円以上の高価な車両については算定された補前額に価格係数0.8を
乗じて補前額を減額するなどの設計も行っている。
半導体の不足などからBEVの販売台数が落ち込んだ時期もあったが、そ
うした問題も解消されつつあり、また昨年は目産SAKURAなど人気が出る
軽BEVが発売されたことで、補助金の申請が大きく仲びました。自治体
でもBEVの補助金制度を設けているところが多く、併用可能です。脱炭素
化の推進に向けて営業車のBEV化を検討している企業は、これらの制度
をフル活用すれば低価格で車両を導入できます。
一一補助上限額の上乗せの条件とは補助上限額の上乗せの条件は、一つ目
として、外部給電機能を有することです。必ずしもV2X(vehicle to ever
ything)対応が求められるわけではなく、1,500Wの車載コンセントを装
備していれば対象になります。さらに、今年度は二つ目の条件として、BE
V ・PHEVの乗用車については省エネ法トップランナー制度の2030年
度燃費基準の対象となる車両であることを追加しました。具体的には、同
制度は型式指定を受けている自動車が対象となり、補助対象車両の約8~
9害リが型式指定を取得。
新たな枠組みを設けた背景としては、グリーントランスフオーメーション
(GX)の加速に向けて、単純に補助金による支援のみではなく、規制・
制度と支援の一体化を進めていく狙いがある。
🎈 BEVの低廉化に向けた政策は
BEV生産コストの大半を占めるのが蓄電池です。これまで蓄電池の価格は
年々下落傾向にありましたが、2022年は上昇に転じました。その背景には
リチウムやニッケルの価格変動があります。需要が拡大し大量生産が進め
ば、価格が下がるのが市場の原理です。しかし、BEVの場合は資源価格の変
動が激しく、それが車両価格に跳ね返りやすいため、なかなか一筋縄では
いきません。長期的には、企業の技術開発や競争による価格低下が期待さ
れますが、政府としてもこうした資源価格の動向を注視しながら、補助金
制度を上手く活用して、購入価格の引き下げを行い、BEVの普及拡大を後
押ししていく方針。
また、経済産業省は2022年8月に蓄電池産業戦略検討官民協議会を開催
し、日本の蓄電池技術や製造基盤強化に関する戦略をとりまとめた「蓄電
池産業戦略」を打ち出した。その背景には、原材料の問題や蓄電池産業を
取り巻く市場環境の変化がある。
一一蓄電池産業戦略のポイントは蓄電池の原材料の多くは、埋蔵量・生産
量ともに豪州、南米などの特定国に遍在しており、また中流の製錬工程は
製造コストの低い中国に集中しています。サプライチェーンの工程が特定
の国や地域に遍在していることは、資源の安定確保・供給における大きな
課題です。蓄電池の製造においても、現在は中韓勢の勢いが増しており、
世界シェアの50%以上を占めている。技術優位で初期市場を確保した日本
勢は2015年には車載用リチウムイオシ電池の世界シェアの51.7%を占めた
が、2020年にはシェアが21.1%まで落ち込む。
戦略では、上流資源の確保を含め、蓄電池の製造基盤を強化するための
大規模投資への支援を行い、国内製造基盤を確立することを掲げており、
官民連携で遅くとも2030年までに150GWh/年の基盤確立を目指している。
その他、次世代電池の実用化に向けた技術開発や人材育成、グローバル市
場でのプレゼンス強化などを焦点としている。
先日も、ホンダとGSユアサが組み、国内に約4000億円を投じて、BEV
向けのリチウムイオン電池工場を立ち上げると報じられました。 BEVの
普及拡大には蓄電池が大きなカギを握っており、日本メーカーも巻き返し
を図っています。政府としても、補助金による支援だけにとどまらず、資源
の安定的な確保や日本メーカーの産業競争力強化を促すことで、BEVの低
廉化に向けた動きを後押し、真の普及に取り組んでいきたいとのこと。
今日の楽曲 『 CHAGE&ASKA 史上最大の作戦』
2007年
● 今日の言葉:信頼喪失④
『専守防衛』とは「人命は地球より重し」の真髄なり。貨幣価値で喩えれ
ば(失礼!)、人命一人は世界の総生産力以上の価値である。これは、敵
国であれ自国民であれ同じ。そう、その同額以上の費用を費やしても武力
平和維持(戦争回避)の外交に費やすることを意味する(こんなことを言
うと、不埒な連中が集って来るだろうが)。また、軍事研究開発は世界中
(あるいは宇宙中)最高の防御策を常に研究する組織(傭兵制のもと)は
平時で必要最小限研究することを法整備で国会決議しておくというもので
ある(負性国費と定める)。(「専守防衛」批判に答えて)
春が来ても、鳥たちは姿を消し、鳴き声も聞こえない。
春だというのに自然は沈黙している。
レイチェル・カーソン 『沈黙の春
(因果報応の季節風)より