【正念場に余裕のヘーリオス】
7月に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、今年度の導入見込み量が最も多いの
が太陽光発電。経済産業省資源エネルギー庁の推計では計2百万キロワット(出力ベース)で、既存
の太陽光発電設備(約480万キロワット)の4割に達する。再生エネの先導役として活用し、地域活
性化や災害対策にもつながる取り組みを広めたい。群馬県太田市は制度の開始に合わせ、自治体単独
では全国初となるメガソーラー発電事業に乗り出した。出力は1500キロワットで、市内の工業団地の
一角に太陽電池パネル約1万枚(約1万3千平方メートル)を敷き詰めた。年間1800万〜1400万円の
利益が出る見通し。市民が太陽光発電を導入する際の補助金などに活用する予定で、エネルギーの地
産地消を進め、財源としても生かすねらいがある。太田市に隣接する栃木県足利市は、学校や体育館
など市内の公共施設約70カ所の屋上を太陽光発電用に貸し出すことにした。対象事業者は市内に本社
を置く法人とし、災害などによる停電時は、公共施設に電気を供給することが条件だ。こうした試み
は、再生エネに関する住民の理解を深め、導入促進にもつながるはずだ。再生エネ発電に参入する事
業者が相次ぐが、自治体の役割も極めて大きいと言えると指摘されている(毎日新聞 2012年08月06
日「社説:太陽光発電 再生エネの先導役に」)。
さて、この太陽光発電の大規模な普及を阻害している要因が2つある。1つは、余った電力の蓄電と
送電の必要性。もう1つは、ソーラーパネルのコストが高いことだ。2つめの高コストは、太陽光を
電気エネルギーに変換するのに使われる半導体から、電流を取り出すのが厄介なこと。これまで電流
の取り出しは通常、シリコンなど一部の物質でしかできなかったが、金属酸化物や硫化物、りん化物
など、安価で豊富に存在する材料で発電効率の良いソーラーパネルが普及するかもしれない。シリコ
ンを材料とする通常のソーラーパネルは、製造の際に「ドーピング(doping)」と呼ばれる化学処理
が施されるが、カリフォルニア大学などの研究者グループが開発した方法では、化学物質の代わりに
電界利用で、半導体から電気を取り出すことが可能になるというのだ。高い伝導力を持ち、厚さが原
子1個分の炭素原子シートのグラフェンを、シリコン製のソーラーパネルの透明電極として用いるこ
とで、印加電界によって半導体に直接影響を与えることができることを発見。電極の作り方について
グラフェンを利用したものと、極めて細いナノワイヤーを利用したものの2つが提案されている。
一見するとハッとさせる発明のようにみえるが、これは従来のITO膜など、半導体セラミックスを中
心とした材料を主体とした透明電極膜からグラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)などの炭素系
の一次元材料あるいは平面材料や導電性ポリマーなどからなる透明導電膜に変わるもの。これにより
よりフレシキブルで廉価な透明導電膜を実現。しかしながら、酸性官能基を含むカーボンナノチュー
ブ、グラフェン導電性ポリマーあるいはそれらの複合体から作製された透明導電膜を例えばディスプ
レイの透明電極に利用し、配線用金属電極と接合した場合、膜中に含まれる酸性官能基により、接合
する金属電極の腐食が起きてしまうという問題を孕んでいる。しかし、これらの問題も既に取り組ま
れていて解決も時間の問題と考える(参考に下図、ダブルクリック)。
特開2012-146603
特開2012-140308
このように、先日のブログの『世界同時進行性Ⅲ』の米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が、
既存の太陽光発電技術で、米国全土の電力を供給できるとのレポートのように再生可能社会のエネル
ギーの最有力候補として認知されているわけであり、その分野の技術力の先行性はメイドイン・ジャ
パンにあり、パネルコスト競合で中国、韓国メーカの脅威があるといえばあるが、わたし(たち)に
とっては二義的な話であり、日本の産業育成産助戦略の如何に関わる問題で、このように太陽電池の
現代神「ヘーリオス」にとって余裕のハードルにすぎないと言うわけだ。さらに、前述の蓄電池ネッ
ト網の課題は、『限定された類と盛岡冷麺』で紹介したように、環境発電と二酸化炭素冷媒とヒート
ポンプシステムを組み合わせた「チューブラー革命」に代表されるようなシステム、所謂、ここでの、
ブログアバターである蓄電網の現代神「デクサマニー」の出現を待つだけの問題になりつつある(こ
のシステムについてはまた後日、考察してみる)。
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