彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん」。
第1部
第2章
この実際の世界で、ぼくときみは少し離れた場所に住んでいる。
ずいぶん遠くというほどではないけれど、思い立ってすぐに会いに
行けるほど近くもない。電車を二度乗り換え、一時間半ばかりかけ
れば、きみの住む街に着くことができる。そしてぼくらの住んでい
る街は、どちらも高い壁に囲まれているわけではない。だからもち
ろん行き来は自由だ。ぼくは海に近い静かな郊外住宅地に住んでお
り、きみはずっと大きくて賑やかな都市の中心部に住んでいる。そ
の夏、ぼくは高校三年生、きみは二年生だ。ぼくは地元の公立高校
に通い、きみはきみの街にある私立の女子校に通っている。いつか
の事情があって、ぼくらが実際に顔を合わせるのは月に一度かニ度、
そんなところだ。ほぼかわりばんこに、ぼくがきみの住んでいる街
を訪ね、きみがぼくの住んでいる街にやって来る。
ぼくがきみの街を訪ねるとき、ぼくらはきみの家の近くにある小さ
な公園か、それとも公共の植物園に行く。植物園に入るには入場料
が必要だが、温室の隣にはいつもあまり混んでいないカフェがあっ
て、そこがぼくらのお気に入りの場所になる。そこでぼくらはコー
ーヒーと林檎のタルトを注文し(ちょっとした贅沢だ)、二人だけ
のひっそりとした会話に耽ることができる。
欲求に駆られないわけがない。でもそういうのはもっと先になっ
てからでいいだろうと、ぼくは本能的に感じる。今のところぼくが
必要としているのは、月に一度かニ度きみと顔を合わせ、ニ人で長
い散歩をし、いろんなものごとについて率直に話し合うことだ。お
互いの情報を親密に交換し、もっと深く知り合うことだ。そしてど
こかの木陰で抱き合い、唇を重ねる----そのような素敵な時間にぼ
くは、それ以外の要素を慌ただしく持ち込みたくなかった。そんな
ことをしたら、そこにある大事な何かが損なわれてしまい、もとあ
った状態にはもう戻れなくなるかもしれない。
身体的なものごとはもっと先のこととしてとっておこう。ぼくは
そう思う。あるいは直感がぼくにそう告げる。
でも、そこで二人で額を寄せ合って、いったいどんな話をしてい
たのだろう? 今となっては思い出せない。あまりにも多くを語り
合ったため、ひとつひとつの話題を特定することができなくなって
しまったのだろう。しかしきみが高い壁に囲まれた特別な街の話を
語るようになってからは、それがぼくらの会話の主要な部分を占め
るようになった。
主にきみがその街の成り立ちを語り、ぼくがそれについて実際的
な質問をし、きみが回答を与えるというかたちで、街の具体的な細
部が決定され、記録されていった。その街はもともときみがこしら
えたものだ。あるいはきみの内部に以前から存在していたものだ。
でもそれを目に見えるもの、言葉で描写されるものとして起ち上
げていくにあたっては、ぼくも少なからず力を貸したと思う。きみ
が語り、ぼくがそれを書き留める。古代の哲学者や宗教家たちが、
それぞれの忠実で綿密な記録係を、あるいは使徒と呼ばれる人々を
背後に従えていたのと同じように。ぼくは有能な書記として、ある
いは忠実な使徒として、それを記録するための小さな専用ノートま
で作った。その夏、二人はそんな共同作業にすっかり夢中になって
いた。
この項つづく
『目次』
プロローグ 衝撃の海外レポート
第1章 一億人国家シナリオの行方
第2章 高出生率国と低出生率国の違い
第3章 出生率向上のための「3本柱」
第4章 「地方創生」と「移民政策」
第5章 議論百出の人口戦略法案
第6章 波乱の「人口戦略国会」
エピローグ 「始まり」の終わりか、「終わり」の始まりか
【著者略歴】
山崎 史郎(やまさき しろう、1954年〈昭和29年〉12月17日 - )は、
日本の厚生・厚労官僚。リトアニア国駐箚日本国特命全権大使等を経
て、内閣官房参与(社会保障・人口問題担当)。
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第1章 一億人国家シナリオの行方
未来への不安
出生率の「勝ち組」と「負け組」
これに対し、1970年代以降、出生率低下に歯止めがかからず、
1・2~1・4で低迷しているのが、日本やイタリアなどで、その
「負け組」にいたドイツは、2011年には1・36と日本などと同
じ水準だったにもかかわらず、2016年は1・60にまで急回復し、
2019年も1・54となっている。最近のドイツの勤きは、私も大
いに関心を持っている。 そして、近年、出生率が急速に低下して
いるのが、東アジア諸国である。 図(l-10)で分かるように、
韓国、シンガポール、香港、台湾は出生率の低下が著しく2019
年の出生率は、軒並み日本を下回る水準にまで低下している。中で
も韓国は、2018年についに1を割り込んでO・98となり、20
19年はO・92、2020年にはO・84を記録し、予想より4年早
く、2020年から人口減少が始まった。こうした東アジアの低出
生率の要因として、家庭内で女性の状況や教育・雇用面での激しい
競争、雇用形態の変化、東アジア経済の体質などをあげる人口学の
専門家もいる。
図 1-10
中国についても、2020年の人口は14億1177万人、出生
率は1・3との政府発表があったが、これは国連の推計を下回るも
のであり、従来の見通しより5年早く、2022年には人口減少に
転じるのではないかという見方もある。先般の海外レポートによる
と、国連は中国の出生率が上昇すると見込んでいるが、人口の専門
家は、2100年の出生率は1・4~1・5程度にとどより、中国
の総人口は現在に比べ半減し、7億5400万人程度になるだろう
と予測している。もっと厳しい見通しとしては、5億6000万人
まで激減するという ものもある。 さらに中国は、過去の「1人
っ子政策」の副産物として、男児と女児の比率が120対100と
いう特異な状態となっており、人口維持のためには、女性の出生率
はより高くなければならない、というハンディを負っていると指摘
されている----。
「国論分裂」の中で、政策は決まってきた
壱岐は、話を続けた。 すべての国家と国民において、自らの国の
人口をどう考え、人口問題にどのような基本政 策で臨むかは最重要
テーマである。
それゆえに、基本政策の決定に際しては、しばしば激しい議論が
起き、国論が分裂することも ある。政策如何によって、国の消長の
みならず、民族の行方や地域の存続、さらには個人生活の あり方に
まで大きな影響が及ぶのだから当然である。
いくつかの国の事例を紹介しよう。 先に述べたように、フラン
スは100年以上にわたり、国をあげて出生率向上に取り組んでき
たが、同じく高出生率国であるスウェーデンも、少子化対策につい
て古い歴史を有している。
スウェーデンは、1930年代に当時の欧州の中で最低水準の出
生率となり、その時、大きな 政策論争が起きた。「このままでは、
スウェーデン人が消滅する」という危機感が高まり、保守派は、独
身者や無子夫婦への課税、反産児制限などを提起した。これに対し、
福祉の向上の観点 から、人口減少は歓迎すべきことだと主張し、米
国のマーガレット・サンガーが提唱していた産 児制限運動を推し進
めようとした.「新マルサス主義者」と呼ばれる人々が鋭く対立した。
この対立の中で、後にノーベル賞を受賞する経済学者のグンナー・
ミュルダールは、妻アルヴァとともに、『人口問題の危機』(19
34年)を著し、保守派と新マルサス主義者の双方を批判した。保
守派に対しては、出生率低下を個人のモラルの問題とする考え方は
誤りであり、民主主義 理念に基づき産児制限は認めるべきだとした。
同時に、新マルサス主義者に対しては、人口減少は決して歓迎され
るべき現象ではないとして、出産を奨励する必要性を訴えたのであ
る。
ミュルダールは、経済学の視点から人口減少が続けば、いずれ消
費や投資加減返し、最終的に 失業と貧困が増加することを危惧し
ていた。出生率の低下に伴い高齢化率が高まることによっ て、労
働意欲・労働生産性が低下し、広範な社会心理的停滞が引き起こさ
れるのではないか、と 懸念したのである。
そして、人口減少による困難な事態が顕在化する前に、それを避
ける「予防的社会政策」を講じることが重要であり、その方策とし
て、すべての子どもの出産育児を国が支援する「普遍的 福祉政策」
を推進すべきであると主張した。
ミュルダール夫妻は、1935年に政府が設置した人口問題委員
会において主要な役割を果たし、今日に至るスウェーデンの普遍主
義的な家族政策の形成に大きく貢献した。
2人の女性大臣が主導した、ドイツの「政策の大転換」
----もっと激しい国論分裂の中で、「政策の大転換」を行ってい
るのがドイツである。 ドイツは、人口問題について大きな「負の
遺産」がある。ナチス政権下において遂行された国家主義的・人種
差別的な人口政策の存在である。これに対する深い嫌悪と反省から、
出生率や出産奨励策をめぐる論議は、旧西ドイツでは長らくタブー
とされてきた。国家は個人的領域に介入すべきではないとするのが
多くの政治・行政関係者や有識者、さらに一般国民に浸透した考え
方だった。
そして、旧悪ドイツのもう1つの特徴は、男性は働き、女性は家
で育児をするという「伝統的家族モデル」を政策の基本に据えてき
たことである。このため、旧悪ドイツの保育サービスは質量ともに
明らかに乏しい状況にあった。
こうした状況下で、出生率は1975年の時点で1・45まで低下
し、それ以降も低迷し続けた。しかし、そのような深刻な状況にな
っても、出産奨励策を支持する者は多くなかった。行き詰まりの状
況にあったドイツにおいて、2000年代に連邦政府の家族政策担
当大臣を相次いで務めた2人の女性が、それまでの政策の方向を大
きく転換させた。その1人が、2002年にシュレーダー政権の担
当大臣に就任したレナーテ・シュミットである。彼女は、長年のタ
ブーを打ち破って、人口問題を意識した家族政策の重要性を訴え、
家族政策において、「家族により多くの子どもを、社会により多く
の家族をもたらす」という政策目標を掲げた。そして、従来の経済
的支援中心から、仕事と育児の両立支援へと、家族政策を転換する
方針を打ち出した。
これを引き継いだのが、2005年に成立したメルケル政権で担
当大臣となったウルズラ・フォン・デア・ライエン(現・欧州委員
長)である。彼女は、シュミット前大臣と同様に、出生率向上のカ
ギは、男女が子どもを持ちながら職業生活を送れるようにすること
であるとし、仕事と育児の両立支援を家族政策の中心に置き制度改
革に邁進した。改革の中心となったのが、2007年の育児休業制
度の「両親手当」導入である。これは、スウェーデンを参考に、従
来の制度を抜本的に改め、給付の大幅引き上げや父親の育児休業促
進などを盛り込んだものであった。ライエン大臣は、この両親手当
は、「我々の社会が、子どもをも つかどうかの各人の選択に無関心
ではない、という強いメッセージを示す制度である」と述べて いる。
そして、もう1つの柱となったのが、保育制度改革である。ドイツ
は保育制度でも大きな困難に直面し、特に旧西ドイツ地域における
保育所不足は深刻だった。政府は期限を定めて保育所整備に取り組
んだが、実態はほとんど改善せず、2002年時点で3歳未満児の
保育所供給率は、旧西ドイツ地域ではわずか2・7%にとどまって
いた。このため、ライエン大臣は、連邦と若州 の間で協定を結び、
保育所整備に精力的に取り組んだ。こうした制度改革は、国をあげ
ての大論争を巻き起こす。そもそも国家が個人生活に介入すること
に対する反対・慎重論に加えて、与党内の保守派は伝統的な家族観
に反するとして、強く反発した。宗教界内部や有識者の意見も真っ
二つに割れた。このような激しい対立の中でも、ライ エン大臣はひ
るまず制度改革を推進し、両立支援策の道筋を定めていった。
この「政策の大転換」が、ドイツの今後の出生率にどのような影
響をもたらすかは、まだはっ きりしていない。が、いずれにせよ、
厳しい意見対立を乗り越えながら、長年にわたる低出生率 の状態か
ら、ドイツは何とか脱しようと努力している。このことは、同じよ
うな状況にある日本 にとって、大いに参考になると思う。
ちなみに、いまや出生率が日本より低くなっている韓国でも、1
990年代後半に大きな政策決定が行われた。それまで30年以上の
長きにわたり強力に進められ、人口減少の最大の要因とされた「人
口抑制政策」を転換したのである。2005年には、政府全体で少
子化と高齢化問題に取り組む体制が作られ、現在、5年ごとに戦略
的目標を設定した「5か年基本計画」に基づき、出生率向上に向け
て総合的な政策が展開されている。韓国も国をあげて取り組んでい
る。
世界の歴史は、人口問題で勤く
----世界の歴史を見ても、人口は、各国の命運に重大な影響を与え
てきたと言える。自国のライバルと見なす国の人口動向は、国家間
の緊張関係を高め、時には戦争を引き起こす要因にもなった。
たとえば、1914年の第T次世界大戦は、ドイツの著しい経済成
長と人口増加に対する英国やフランスによる恐怖心と、逆にドイツ
が当時人口が急増していたロシアに抱いた恐怖心によって、性急に
引き起こされたという分析がある。
また、1つの国の国内に複数の民族集団が存在するようなケース
では、民族集団の出生率の違いが国内紛争の原因となる場合も多い。
各国の国力(政治力・経済力・軍事力)も、人口によって規定さ
れる面が強い。日本についても、戦後の急成長は、実は1945年
時点で日本は世界最大級の人口を有しており、当時、急速な人口増
加という重大な強みがあったからだとする見解もある。
その日本が、人口減少時代に突入した。今後は人口が急速に減少
し、あわせて高齢化が進み、「大円オーナス」の時代が続く。そう
なると、国際社会における日本の存在感は低下し続けるだろう、と
いつのが洵外の中心的な目万方である。今回のレポートの予測も、
海外の有識者の問では、特段の驚きをもって受けとめられていない。
現在も各国の人口は常に変動しており、それが国際関係に構造的変
化をもたらしている。特に最近のコロナ禍によって、世界各国の出
生数が急速に減少している状況が見られる。このため、各国の少子
化や人口減少の動きはさらに進み、それが将来の各国の経済成長や
国際関係のあり方などに大きな影響を及ぼすのではないかと考えら
れている。今後も、世界の人口動向には目が離せないのである。
人口規模が経済力を決める
その後、意見交換に移った。経営者の古賀が、「一国の『経済力
』とは、何なのですかね」と問うと、国際政治専門の鈴木が答えた。
「国際政治の視点から言えば、やはりGDPの大きさ、経済規模で
すね。その経済規模は、人口に密接に関連しています。イギリスの
人口学者のポール・モまフンドは、著書で、次のように述べていま
す」として、次の一文を紹介した。
----「オランダの繁栄は18世紀も汐世紀も続いたが、人口はそ
れほど多くなかったため、17世紀に比べると、世界の舞台での存
在感を失った。汐世紀末ヽブリテンはアメリカ合衆国に人口で披か
れ、アメリカに対する優位性を夫った。ルクセンブルクは現在のヨ
ーロッパで最も繁栄している国の1つだが、重要性はとても低い。
国民は豊かだが、数が少ないため経済的にはずっと小さな存在だ。
対照的に、中国はまもなく世界最大の経済大国になると思われる
(見方によってはすでになっている)が、それは平均的な人々の生
活レベルは貧しくても、膨大な数の力を持っているためだ。そのた
めに中国は売り手としても買い手としても世界経済で大きな力を持
つこととなった。またそれで軍事大国となるのに必要な資金も手に
入れやすくなった」
「小国」として生きるとは
モーランドの見解を聞いた古賀は問いを垂ねる。
「なるほど。それでは、先日の新聞が紹介していた海外シンクタン
クのレポートのことなんてすが、 日本が『小国として生きるすべを
学ぶ』っていうのぱ、一体どんなことなんですか」
すると、鈴木が次のような話を紹介した。
----「小国」というと、すぐ思い出すことがある。それは、2
010年7月のASEAN地域フォ-ラムでの、中国の楊潔箇外
相(当時)の発言だ。ASEANが南シナ海問題で米国に仲介し
てもらうことを要望したのに腹を立てて、彼は、ASEANの外
相たちに向かって、「我々の間には、基本的に大きな違いがある」
と前置きしたあと、こう言い放った。
「中国は大国であり、あなた方は小国だ、それは厳然たる事実だ」
ジャーナリストの船橋洋一氏は、このことに触れながら、古代
ギリシャの歴史家、ツキジデスが紀元前5世紀のペロポネソス戦
争を記した『歴史』の記述を紹介している。それによると、超大
国アテナイが中立国メロスに朝貢を要求するにあたって送った特
使が、メロスの民に向かって こう言ったという。
「強者はしたいことをする。弱者はしなければならないことを強
いられる」
鈴木は、さらに言う。
「国際政治では小国には小国なりの外交があるとされてい圭すが、
基本的には、国際関係の基本構造 は大国が----決め、小国はその
中で生き残る方策を考えるということになりますね。ただし、私
自身は、あの海外レポートの表現には、若干違和感を持っていま
すが」
メンバーは、国際政治の厳しいパワーゲームの現実を改めて認
識した。
ドイツの出生率回復
ここで経済学者の片岡が話題を変えた。
「ところで、ドイツの出生率が回復してきているのには、驚きまし
た。ちょっと前まで、ドイツは、日本とイタリアと並んで『少子化
三国同盟』の一員だったのに、1人抜け出した。研究者の間では、
出生率がI・5をいったん切ると、I・5以上に回復するような国
はほとんどないと言われていたぐらいだから、驚きます。移民が増
えた影響が大きいのではないですか」
確かに移民の影響は大きい。最近の出生率の急上昇は、シリアな
ど出生率が高い国からの移民 が増えたのが主な要因となっているこ
とは間違いない。しかし、ドイツ市民権を持つ母親の出生率も、2
003年に、1・28だったのが2019年には1・43となっており、
急速ではないながらも、じわじわと出生率が上昇する実績が表れて
いるという見方がある---- 壱岐がこう述べると、それに重ねるよ
うに社会保障研究者の小川が、
「私も、ドイツ政府による2000年代後半の『家族政策の転換
(パラダィム転換)』が、出生率の回復をもたらしていると問いて
います」とうなずいた。
すると、前回も厳しい発言をしていた経済学者の片岡が気色ばむ。
「一方、キツイことを言うようですが、日本の場合は、政府はい
ろいろと対策を講じてきていると言うけれど、出生率はあまり向上
していないし、最近ではまた低下してきています。一体、どうなっ
て るんですかね」
壱岐が、「人口減少問題は、対策の効果が出るのに時開かかかり
圭すから」と、以前説明した話を持ち出しても、収まらない様子で、
「時間が経てば効果が出るのならいいけれど、目本の少子化対策
がトウー・リトル、トウー・レイトで、いつまで経っても何も変わ
らなかったら、取り返しのつかない事態になってしまいますよ」と
苛立ちを隠そうとしなかった。
日本と中国の人ロバランス
会議も終盤になって、鈴木が、「国際政治の視点からは、やはり
人口大国中国の動きが最も気にかかりますね。日本と中国の人口バ
ランスが今以上に崩れてしまうような事態は、何としても避けたい
」と強い危機感を示した。これに噛みついたのが片岡だった。
「いくら人口減少が進むといっても、2100年ごろでも日本は6
000万人程度の人口規模はある のだから、国際関係でそんなに
神経質になる必要はないんじやないですか。欧州のフランスや英国、
ドイツと遜色ない規模の人口なんですから」
「失礼ですが、それは『地政学』というものをよく理解しておられ
ない。同程度の国力の国が並存し ている欧州と、世界最大級の人口
大国の中国がすぐ隣に位置している日本とでは、状況はまったく異
なります。日本にとって、中国との国力のづフンスをどう確保する
かは、永遠に重大な問題であり続 けます」珍しく語気を強くした鈴
木に、
「地政学ねえ……」
片岡が不貞腐れたような表情を見せた。
それが気になったのか、鈴木が、
「まあ、専門家の予測では、中国も深刻な人目減少が進むという
ことなので、そんなにづフンスが崩 れることはないと思いますが」
とフオローしたのだが、片岡は逆に、
「甘いんじやないかな。先はどの予測は何も対策を講じなかったら
の語でしょ。最近は中国も真剣に人口減少対策に取り組んでいるし、
新型コロナウイルス対策じやないけど、中国はやると決めたら、勣
きは遠く、徹底しているから、人口減少を止めるのだって可能です
よ」と混ぜっ返す。
「中国政府が、今後どう勣くのかよく分かりませんが、民間企業の
立場で言えば、日本と韓国、それにいずれ中国が加わって、アジア
系人材の奪い合いが熾烈を極めてくることは確かですな」古賀が民
間経営者らしい発言をして、その場を収めた。
雰囲気が落ち着いたところで、百瀬がこう締めくくった。
「皆さんが言われるように、海外が日本の将来に対して見る目には、
厳しいものがあります。彼らが抱く懸念は『人口減少』と『国家債
務』の2つであり、特に、人口減少とそれに伴う超高齢化が日本の
国力を衰退させていくのではないか、という見方が強いのは確かで
す。そして、多くの日本国民も、人口減少に大きな不安を抱いてい
ます。
したがって、日本政府は、人口減少問題に対して、これから数十年
先さらには100年先の将来を見通して、しっかりとした対策を打
たなければなりません。『一倍入国家』という国家の目標をどうす
るのかをも含めて、総裁選後の新政権は、この日本を覆う暗雲をど
う打ち払うかが、最大のテーマになるのじやないかと思います」
百瀬が主宰した朝食勉強会は、こうして4回で終わった。
最後に百瀬は、参加してくれた壱岐、小川、片岡、鈴木そして古
賀に丁寧に礼を言いながら、「皆さんからいただいたご指摘は、必
ず政策に反映させますから」と述べ、「また近いうちに、お会いし
ましょう」と結んだ。実際のところ、この朝食勉強会は、百瀬や野
口らにとって非常に有意義な機会となった。
✔仮想会議劇で進行しているため、要点の拾い上げで通そうと考えてい
たが、中途半端で思案している。さて、どうする。
この項つづく
ネオビジネスマン考①
知識ゼロからの空き家対策
著者名:杉谷範子【著】/名和泰典【著】
幻冬舎(2021/09発売)
“今”から始める空き家対策
「空き家をどうしようか」――気にはなっていても、何をすればいい
かわからない。問題化してしまう「空き家」対策のすべきことをお教
えします!
【要点】
●多様化する空き家の活用法
●親が元気なうちから対策を
●空き家対策の流れ ほか
【目次】
第1章 ●空き家問題と対策のポイントを理解する ●負不動産になる空
き家と富動産になる空き家 ほか
第2章 ●空き家の履歴書を作成し、実態を把握する ●空き家の履歴書
の作り方 ほか
第3章 ●空き家の片づけ ●空き家の管理 ●外部に相談する ●相続登
記 ほか
第4章 相続争いを防ぎ、“未来の空き家”に備える ●未来の空き家の
原因 ●家族信託とは ●遺言とは ほか
第5章 これだけは知っておきたい トラブルを防ぐ不動産取引の基礎知
識 ●不動産取引の基本 不動産会社の選び方 査定 媒介契約 など ●売
るとき 全体の流れ インスペクション 測量 など ●貸すとき 全体の流
れ 賃貸条件 賃貸借契約 など
第1章-負動産と富動産
A:2年前に、ひとり暮らしだった母が亡くなって実家を受け継いだ
のですが、手つかずのままで。何とかしなくちやとは思っているので
すが……。
Q: 空き家を相続しても、具体的に何をしたらいいかわからない。
そういう人はとても多いんです。でも、そのままほうっておくと、空
き家は「負動産」になっていくんですよ。
A:「負動産」ってどういうことですか?
Q;空き家は持っているだけ で、固定資産税などのコストがかかりま
す。また、建物が劣化すると、近隣住民に迷惑をかけたり、犯罪を招
いたりするリスクもあります。自治体から「特定空家等」に指定され
ると、住宅用地の特例がなくなり、固定資産税が最大6倍になること
も。さらに、台風などで建物が壊れて通行人にけがをさせたり、火災
が起こって隣地に延焼してしまったりしたら、空き家の持ち主が賠償
金を支払わなくてはなりません。
A:そうなんですか! それは大きなリスクですね。
Q:人が住んでいない建物は、想像以上に劣化が早いものです。適切
な管理で建物の劣化速度を抑えれば、その後の活用にも つなげやすく
なります。うまく活用すれば、利益を生み出す「富動産」にもなるん
です。
✔連休の疲れがとれず、売薬を服用して、残件処理の読書してタイピ
ング(この疲労感も相当なものっだが)。山積する問題に向かい合い
っているなかで「ネオビジネスマン」という言葉が脳に浮かんだ。臨
死の期間は「ビジネスする理由があるんだ?!」と。これは新鮮な思
いつきだと”宣言"する。
この項つづく
【再エネ革命渦論 123: アフターコロナ時代 322】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
特異点真っ直中 ⑤
大画面化とアプリ拡充により実用性が向上した
27型空間再現ディスプレイ ソニー発
ソニーは,実在感のある立体映像(3DCG)を裸眼で見られる,27型の
空間再現ディスプレー「ELF-SR2」を2023年6月12日より発売する。こ
の製品は大画面化により,立体映像を見る際の没入感が高まるだけな
く,3DCGデータの細部の確認が容易になり,コンテンツ制作の品質向
上に貢献する。また,原寸大表示が可能になる分野が広がりインダス
トリアルデザインでは実物と比較しながらデザインレビューができ,
医療教育分野では人体構造を原寸大で確認できるなど実用性を高めた。
また,超解像エンジン搭載により,大画面においても高精細な立体映
像再現が可能。4K映像を高精細に表示するだけでなく,2K映像も4K映
像にアップコンバートして再生でき、水面や細い木の枝といった自然
物を含む様々な被写体に発生する色モアレ(偽色)補正や裸眼立体視
でおきるクロストークを低減する処理を追加しており,細部や線をよ
りはっきりと正確に表示する。 さらに,Adobe RGBの色域を約100%カ
バーし,高い色再現を実現。3DCGコンテンツのクリエイターが使用す
る2D用モニターと併用しても違和感のない色再現が可能となる。 加え
て,視線認識精度および追従性能が向上し,薄暗い環境でも画面を見
る人の視線を正確にとらえ続ける。大画面化にあわせたレンズ設計に
より広い視野角を実現し,画面の幅で顔を振って見る角度を変えても
自然で快適な立体映像体験を提供するとしている。 この製品はスタン
ド部分が着脱でき,展示用什器などへのはめ込みが可能。VESAマウン
ト規格にも対応しており,一般的なモニターアームに取り付けること
もできる。従来PC側で行なっていた視線認識処理をディスプレー側で
行なうため,PCのCPUへの負荷を低減しており,ゲーミングノートPCな
どと接続して本機を駆動させることも可能。
【展望】
空間再現ディスプレー用のアプリを簡単に検索できるサイト「空間再現
ディスプレー アプリセレクト」を開設。このサイトでは,様々な業務
用途の対応アプリと,その活用方法や実用事例を紹介し,空間再現デ
ィスプレーを導入しやすい環境を提供するとし,今後,多様な業界のク
リエイターによる対応アプリや実用事例を順次追加し,拡充していく。
風蕭々と碧いの時代
John Lennon Imagine
【J-POPの系譜を探る:1994年代 】
● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)一触即発。A Tougch-and-go
Russian 9K720 ISKANDER-M Tactical Missile: Load Launch Impact
動画:YouTube
※プーチンが「戦術核」使用の可能性 専門家は「広島サミットの最中
に」窮地のロシアはキーウを消滅させる!(SmartFLASH) - Yahoo!ニ
ュース 2023.5.17 6:02
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9K720「イスカンデル」(ロシア語:9К720 "Искандер"ヂェー
ヴャチ・カー・セミソート・ドヴァーッツァチ・イスカンデール)はロ
シア製の短距離弾道ミサイル(SRBM)。固体燃料推進で、車両に搭載され
る移動式の戦域弾道ミサイル複合(TBM、Оперативно-так
тический ракетный комплекс、ОТРК)で
ある。北大西洋条約機構(NATO)の用いたNATOコードネームでは、“SS-
26 Stone(「石」の意)”と呼ばれる。「イスカンデル」とは古代マケ
ドニアの英雄アレクサンドロス大王の異称である。
「イスカンデル」は戦域レベルの紛争用に設計された戦術ミサイルシス
テムである[3]。ポイントやエリアの標的、例えば敵火力兵器、防空・
対ミサイル防衛兵器、司令所や通信ノード、密集地帯の軍隊などに合わ
せて通常弾頭を使い分けることで、活動中の軍部隊・標的の両方を破壊
することにより敵軍の戦闘遂行能力を弱体化させる。このシステムは敵
の活動妨害環境の中でも高い確率で任務を遂行することができ、ミサイ
ルの発射準備中や飛行中でもほとんど故障しない。ミサイル飛行経路の
計算と入力は、発射装置が自動で行う。システム搭載車両は移動可能で、
耐用年数の延長や操作の容易さも相まって、高いレベルの戦術的作戦能
力および戦略的機動性を有している。 「イスカンデル」にはクラスター
爆弾弾頭、燃料気化爆弾弾頭、威力増大型弾頭、バンカーバスター用の
地中貫通弾頭、対レーダー作戦用の電磁パルス弾頭など、いくつかの異
なるタイプの通常弾頭が用意されている。製造企業であるロステック会
長セルゲイ・チェメゾフは、国内仕様には核弾頭搭載能力が備わること
を明言している。 via Wikipedia
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