つぶや句

夢追いおっさんの近況および思うことを気まぐれに。

あ~これだ!

2006-09-02 05:37:50 | ちょっとした出来事
「あ~これだ!」思わず叫んでいた。
会社創立30周年記念の食事会のときである。

100名分の席の一つ一つの卓台にB4サイズの紙の
ランチョンマットが敷かれてあった。
右側の下隅に、あざやかな桔梗の絵がカラーで描かれている。

ここは魚中心の和風料理屋である。いま送迎の車から降りて
ドヤドヤと予約してあった部屋に入って来たところだった。

以前展示した「ギャラリー喫茶」で私の作品を見た方が、「この絵
旅館なんかで卓台に敷く、ランチョンマットに合うと思うわ」
と言ったのである。実はこの時、そのランチョンマットとやらを
見たことがなく、こんなのかなあ…と頭に思い浮かべてみたものの、
はっきりしたイメージが掴めていなかったのである。

その後、たまに行った旅館、料理屋で、それらしきものを目に
したが、お品書きであったり、ただその旅館の名前と地図が
描いてあるだけのものだったりで、「オレの描きたいのはこんなんじゃない!」
と不満を募らせていたのだ。それでもまだ見ぬランチョンマットに
夢を馳せていたのである。そこでこのランチョンマットを目にしたのである。
そのランチョンマットを見た瞬間「これはオレが描くためにある!」と
勝手に思ってしまったのである。

私はまじまじとマットに描かれている桔梗の絵を見詰めた。
「うまい!」ほぼ完璧な構図と色彩である。絵の下隅に女性らしき
名前のサインが入っていた。「う~むこりゃ手ごわいぞ」と、身の
引き締まる思いがした。

30周年記念の行事もそこそこに、料理を運ぶ女性に「ランチョンマットは
どこから仕入れているんですか?だれが描いてるか知ってますか?」
などと矢継ぎ早に質問を浴びせていたのだった。

女性はこのチョイ変おっさんはなんだ、という表情をしつつも、
一応客なので、よくわからないと言うのを丁寧に答えてくれた。

そうこうしているうちに会は始まり、結局ランチョンマットのことは
分からずじまいだった。こちらは別に営業しようというつもりは毛頭なく、
ただひたすた描いてみたいという思いのみで聞きまくってしまったのだ。

一枚持って帰ったランチョンマットを眺めつつ、自分が描いたマットに
料理を乗せて食べる姿を思い描きつつ、ため息をつくのだった。
いまだそのルートは、わかっていないのだ。
コメント
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